今日の「お気に入り」は、山本夏彦さん(1915-2002)のコラム集から。
「年賀状というものは、もらえば嬉しいものである。ことに元日の朝、山ほどもらえばうれしいものである。それを嬉しくないというのは、うそである。そんなうそをついて何になるかというと、自慢になる。
自分はすこしは世間に知られた男だから、年賀状を沢山もらう。けれどもこちらからは出さない。出さなくても許される。その証拠に年ごとに賀状はふえるばかりだと、自慢なのである。要するに、もらうのは好きだが、出すのはきらいだというほどのことを飾って言っているのである。
人みな飾って言うのである。」
(山本夏彦著「編集兼発行人」中公文庫 所収)
「年賀状というものは、もらえば嬉しいものである。ことに元日の朝、山ほどもらえばうれしいものである。それを嬉しくないというのは、うそである。そんなうそをついて何になるかというと、自慢になる。
自分はすこしは世間に知られた男だから、年賀状を沢山もらう。けれどもこちらからは出さない。出さなくても許される。その証拠に年ごとに賀状はふえるばかりだと、自慢なのである。要するに、もらうのは好きだが、出すのはきらいだというほどのことを飾って言っているのである。
人みな飾って言うのである。」
(山本夏彦著「編集兼発行人」中公文庫 所収)