「そば粉のクレープ」という広告を見てふらりと訪ねたら、
そこはなんと、お洒落なカフェーではありませぬか。
フランスはブルターニュ地方の伝統料理で、ガレットと仰るのだそうです。
オープンテラスのような店頭では、若い女性がなにやらお召し上がり中。
皿にはカリッと香ばしい色の生地に、とろりと黄身の広がった半熟エッグ。
このシズル感が、私の心をぐっと掴んで離しません。
種類はいろいろのですが、注文したのはプロヴァンサルとやら。
「有機トマト、自家製のオニオンコンフィ、チーズ、卵、アンチョビ、
ハム、ハーブと、こだわりの具材をトッピング」だそうです。
お味はそりゃもう、「いいね!」ボタン押しまくりでした。
カリッとした触感の奥から飛びだしてくる、トマトの甘酸っぱさ、
ハムやチーズのコク、そしてアンチョビのお高くとまった塩っ気……。
お好み焼きの「皆、まとめていったれ!」的な結束力とは違う、
あくまで個人主義者たちなれど、結果としてはハーモニー、みたいな。
この感覚は新鮮でした。ほほーぉ。
お店もお味も申し分なくハイレベルですが、その分お値段も。
こちらは1,680円で、ビールと合わせて約2,500円。
(そばビールというのを頼みましたが、濃くて美味でした)
いやー、そんな野暮はノンノン、ってもんではありますが、
食事の値段ってなんだろう、とふと思った次第です。
えーっと、何も高い安いだけの話ではなくて、お店のサイトによると
『かしこまったイメ-ジがなく、気軽に楽しめるフランス料理でもあるガレット』、
こんな値段つけられて困惑してないだろうか……。
「あれー、地元じゃ毎日食べてくれるのに、日本人はつれないなぁ」とか。
いやいや、ここは具材も調理の腕も一流ですから。
日本の蕎麦だって老舗のこだわり手打ちと、駅前の立ち食い、違いますから。
ごもっともです。何の文句もありません。
でもなー(未練がましさは庶民の武器)、
たとえば自分がお店やるとしたら。
メニュー数をもうちょっと絞り込んで、コスト頑張るけどな。
いっそのことテーブルを鉄板にして、客に焼いてもろたら
……って、それお好み焼きだろ!(注:関西はお店の人が焼くところが多い)
などと考えているうちに、なんだかお腹がふくれてきました。
思った以上に満腹感のある食べ物でもあるのですね。
うん、美味しい上に、これだけ話のネタにしてお腹一杯。
ま、元は充分とったかな、と言えるかもしれません。
結論:天狗も好きだが、ガレットも好きだ!(比べるなよ)
ふと思いだして、食べたくなる類の味であることは否めません。
後はご自身でお試しを。銀座のお店はこちらです。