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TRASHBOX

日々の思い、記憶のゴミ箱に行く前に。

不老長寿 by 緒方篤

2009年02月15日 | 映画とか
緒方篤氏脚本、監督の短編コメディ(約15分)。健康食品の通販を騙って詐欺をしようとする男(益岡徹)と、物忘れのすすんだ風の老婆(池田道枝)のやりとり。今月20日まではこちらのTVF入賞作品のサイトで見られます。

題材は今風ではあるけれど、世界観はどこか寓話的。この距離感は、海外生活の長い緒方氏ならではかもしれない。なんか日本を主題に外国人が撮った映画のようなだ。音楽の使い方もエキゾチック・ジャパンだし。

オチ(?)に持っていくテンポ感なども含めて、構成のまとまりなどは手慣れた感じ。映画作家としての巧さは感じます。俳優もスタッフも力のある人が揃っているし、完成度はかなり高い。ちなみに緒方氏自身も、ちらりと顔を出しています。



<以降、ネタばれあり>



でもなんだろう、この距離感。ヒリヒリすることなく「鑑賞」し終えてしまったのは、男の行為に切迫感がないからだと思う。アマチュア詐欺師を引っ掛ける手だれの老婆という構図には、ちょっと肩すかしを食った気分だ。もう一回転、欲しいなぁ。たとえば男は本当に身内(たとえば息子)で、母の記憶の刺激を目論んでいた、とかどうでしょう?

その土曜日、7時58分

2008年11月18日 | 映画とか
(原題:Before The Devil Knows You're Dead)

久々のシドニー・ルメット&PSH(フィリップ・シーモア・ホフマン)に惹かれて見に行った。ストーリーも気になる感じだったし。しかし正直、なんだかなぁ、という感想。狙ったつもりの構成の面白さが空回り、というか透けて見えちゃったような印象が残る。

こういう「ヤバいことに踏み入れちゃった」話の常として、その当事者たちの慌てぶりや落ち着かなさ加減にちょっと苛つくことがあるのだが、それは今回も同じだった。もちろん自分があんな状況に置かれたらやっぱりああなっちゃうのだろうが、なんていうか、ヤバい中での一瞬の開き直りとか余裕とかユーモアみたいなものが物語のスパイスになるのでは。

もしかしたら、構成への取り組み方と心理描写の演出が合っていなかったのだろうか。アルバート・フィニー演じる父親はなかなかよかったが、それは見る側に与える情報の少なさと関係があるのかもしれない。視点を変えて何度も繰り返されるシーンが、もう少し驚きを与えてくれるものになっていたらまた違ったのになぁ、と勝手に思うのだけど、いかがでしょうか。

どこかの雑誌に「メメント」を思い起こすなんて書いてありましたが、あの足元をすくわれるような意外性は皆無だった。どちらかというと、ちょっと難しい「ファーゴ」って感じかな。

アニー・リーボヴィッツ レンズの向こうの人生

2008年11月11日 | 映画とか
今年の2月に劇場公開された、写真家アニー・リーボヴィッツのドキュメント。ジョン・レノンが殺害される数時間前に撮ったヨーコとの写真(ベッドの上でヨーコに抱きついている裸のジョン)やデミー・ムーアの「妊婦ヌード」など、誰もが見たであろう時代の記録のような作品も多い。

被写体となった多くの「セレブ」たち――ミック・ジャガーやミハエル・ばりし横フ、そしてヒラリー・クリントンなど――が語る「自然にそこにいて、自分たちの一部になる」キャラクターは、写真家としての大きな武器だったのだろう。しかしそれはどこからきたものなのか?

映像を見ていると思うのだが、彼女は内なる好奇心に忠実に生きながらも決して「自己表現」を追い求めているわけではない。真実を見たいという、ある種無我な願望があのような一枚を生んだのではないだろうか。

パートナーであったスーザン・ソンタグを亡くした後での、「仕事が私のいちばん長い友人」という彼女の言葉が耳に残る。アニー・リーボヴィッツにとって写真とは、自分を表現する道具ではなく友だったのだなぁと思う。なんか、いい生き方見せてもらいました。

ちなみに監督、脚本は姉のバーバラ・リーボヴィッツ。波瀾万丈な話でありながらどこか温かを感じるのは、そのせいだろうか。

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珈琲時光(2004)

2008年09月02日 | 映画とか
DVDで鑑賞。静かな川を見ているように、なぜか見入ってしまった。無口で饒舌な映画でした。不思議。

この映画の関係者から製作の裏話を聞いたことがあるのだけれど、予算的にはそれはもう大変だったとのこと。侯孝賢監督や浅野忠信の宿も朝食つきで8,000円程度のビビネスホテルだったとか、若手スタッフはなるべく乗り物を使わず機材車などに詰め込んで移動とか。それでも映画の空気はやわらかい。

もちろん製作費はあるにこしたことはないけれど、物づくりの原動力はお金じゃない。そんなこともふと考えたりした。あたりまえなんだけどね。

珈琲時光

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