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TRASHBOX

日々の思い、記憶のゴミ箱に行く前に。

WALL-E

2008年08月31日 | 映画とか
これを見たのは先月末のニューヨーク旅行中。細かいところまでアイデアとクオリティの詰まった仕上げはさすがピクサー、素晴らしい(ウォーリーの再起動音がMacと同じなのも楽しい)。

映画自体は素直に面白く、あーだこーだという必要はないだろう。ただ思うに、こういうタイプの愛らしさがメジャーになってきたのはファインディング・ニモあたりからで、本来アメリカのメインストリームではなかったのではないだろうか(初期ピクサーの電気スタンド的なキュートなキャラクターはいろいろあったにせよ)。

チェブラーシカのエントリーでも書いたけれど、こういう可愛らしさが受け入れられるようになったのは、社会が何かを無くしている裏返しなのでは……なんて考えなくても充分価値ある一本ではあるんですけどね。さて「崖の上のポニョ」は見るべきか。

チェブラーシカ

2008年08月26日 | 映画とか
なんとも愛らしいんです。「ロシア史上、最も愛される人形童話」と言われるだけあって、みんなを和ませ、癒しちゃうんです。あー、我が家にも1人(1匹?)いてくれたらなぁ。

でもこの和みをもっと必要としているのは、よその国に勝手に戦車とかで乗り込んでもっともらしいことを言っている連中の方かもしれない。もちろんこういうものは一方的にどちらが悪いというものはないが(たとえば佐藤優のコメント)、戦争行為が行われているのは事実。

そんなことも考えると、あのほのぼのさの裏には、ああいう風にしか表現することのできなかった生きることへの思いを感じてしまう。普通にまっすぐモノを言うことは、ときとして命がけだったりするわけで。

でも日本の「カワイイ」文化も、もしかしたら何かの裏返しなのかもしれない。なんだか和みに行きつつも(実際に和みましたとも、キャラはかわいいし)いろいろ考えちゃいました。

鳥の巣 北京のヘルツォーク&ド・ムーロン

2008年08月23日 | 映画とか
以前飛行機で乗り合わせたアメリカ人の建築家、成田経由で北京に行くところだった。「中国のクライアントは担当者の決定が遅いうえに上の意向で話がすぐ変わる」と話してくれて、日本の広告主と似てるなぁ(全部とは言いませんが)と妙に記憶に残っている。

で、皆さん、オリンピック見てました?この映画はあのメインスタジアムを手がけたヘルツォーク&ド・ムーロンが、「鳥の巣」と取り組む姿を追ったドキュメント。ドイツ語音声を日本語字幕で見るそのリズムにちょっと手間取ったけれど、淡々としている分強いリアリティを感じた一本だった。

まあ若干西洋目線の部分はあるかもしれないが、建築家というかアーティストとしても現代最高峰の2人に対して35%近いコストダウンを要求したり、担当者は「発注者には自由に変更、修正を求める権利がある」と無神経に(主観ですが)言ってのけたり、違和感の逆立つエピソードもちらほら。どうでもいいけど、これ中国では見られるんでしょうか。

でも問題を乗り越え結果をだす姿は、やっぱりプロフェッショナル。あくまで淡々とした2人の姿に凄さを感じた。建築って、ある種肝が座ってないとできないお仕事なのだなぁ。

嫌われ松子の一生(2006)

2008年07月06日 | 映画とか
「下妻物語」の中島哲也監督作品。話題にもなっていた(なんか村上隆とか玄人受けしていたような)ので期待度はけっこう大きかった。実は最初の方は演出の過剰さが少々鼻についたのだが、この過剰さに慣れてくると気にならないというか、あって当然という感覚を覚えちゃいました。演出方針の徹底というのは大事なのだなぁ。

前半は映画のトーンや空気感を楽しんでいたのだが、後半松子が刑務所に入ったあたりから物語に力が出始める。修学旅行先で旅館の金を盗み、松子の転落のきっかけを作った教え子龍洋一との再会あたりからはなかなかドラマチック。最後はちょっとホロリとした気分になったが、映像の過剰さが安易な感傷にひたらせてくれない(ひたりたくないけど)。この辺がひねたオヤジには有り難いわけで、セカチューではないぞと。期待を裏切らない一作でありました。

先日あるインタビューで「納得いかないとOKださなかったので現場は殺伐としてました」という中島監督の言葉を聞いた。そりゃあやっと決めた照明を「やっぱり違う」と夜中の2時にダメ出しされたら厳しいよな。「現場の空気はフィルムに写る、という人もいるけど、もしそうなら僕の映画は滅茶苦茶ですね」というコメントも。これを聞いて思いだすのは同じ中島でも信也さん。こちらもCM界の巨匠(そういうキャラじゃないんですけどね、この人)だけど、氏の場合は現場の空気をとても大事にする。場合によっては自分の意見を通すよりも雰囲気の良さを守る方を選ぶこともあるそうだ(実際に仕事した人から聞くと、結構キツいこともあるそうなのだけど、ま、それはあたり前でしょ。趣味の世界ではないわけで)。

対照的な2人の中島監督(哲也氏は「なかしま」ですが)だけど、結局目指すものに辿りつくための方法論の違いなのだろうか。その貫き加減という意味では、アーティストというよりも職人的な凄さを感じさせられた一本だった。

ヤーチャイカ

2008年06月18日 | 映画とか
数千枚のスチルで構成された「写真映画」。単なるコマ送りの映像にならないよう、一枚一枚の表現力に心を砕いた、という谷川俊太郎の言葉(たしかインタビューでそんなことを…)どおり、イマジネーションをせっついてくれる作品だった。

役者としてのってるな、という感じの香川照之に、河瀬直美監督にスカウトされて「萌の朱雀」でデビューした尾野真知子は良いはまり具合。尾野のいそうでいない存在感、なかなか他の人にないのでは。

最後に少しだけ入る動画が、ずっと静止画を見いてたせいか新鮮だった。しかし映っているものははっきりしない。曖昧だが印象に残る。そんな不思議な技法も見せてもらった。

映像的には興味深い一作。あとはナレーションのトーンだろうか。これはこれでしっくり、というかはまり過ぎるくらい合っているのだが、色合いをつけていくとしたら声と言葉。TVCMとは全く正反対の立ち位置にある映像だけど、いろいろ刺激にもなった。公式サイトはこちら。