国道122号沿いの音楽喫茶 『ドルフィン』

さぁ、音楽を聴け!
コーヒーは自分で沸かして用意して…
そんな仮想の音楽喫茶

世間では「海賊」人気が高まっているが、こちらの「お宝」も見逃せない!(2)

2011年06月10日 | 僕のジャズ歴史物語
「ブートレグ」とは海賊盤のことである。
語源は禁酒法時代に、
密酒をブーツに隠して運んだことから来ていると言われている。
「ブーツ(長靴)」と「レッグ(脚)」という2つの言葉が結びつき
それを組み合わせたとなれば納得がいく由来だろう。
「ブートレグ」の主な音源になるのが、ライブであったり、
未発表のスタジオ音源であったり、ラジオ音源であったりする。

一方で海賊版とは、「パイレーツ」と呼ばれるようで
こちらは元音源を無許可で並び替えたり、焼き移したりしたものである。
つまり「ブートレグ」と「パイレーツ」は根本から違っているのだ。

では、僕らが「ブートレグ」に何を期待するのかと言えば
やはりライブ音源である。
公式盤で録音されている音源は、まさに創り上げられた作品である。
だが、ジャズは「アドリブ」に代表されるように
その場その時に生まれる音楽の煌めきを聴くものである。

現在では著作権問題がかなり厳しくなっているし、
ほぼ無許可で録音されたものが巷に出回るのをミュージシャンたちが
どう思うのかという問題はある。

その反面、体験できなかったライブを体験できるというのは魅力的だ。
加えて、公式では録音されることがなかったグループや
一つの曲が練り上げられていく過程を聴くことができるのはたまらないだろう。

ミュージシャンへのイメージというのがいつの間にか組み立てられている。
例えばビル・エヴァンスを語る言葉は「リリカル」であり、「耽美」であることが多い。
だが、ライブでのエヴァンスは決して静かな演奏だけではない。
時に激しくピアノを叩き、スピードを上げ、
かと思えば現場の緊張感の中で恐ろしいほどに静かに音を紡ぎ出す。
決してリヴァーサイドだけがエヴァンスではないのだ。
「ブートレグ」には正しいミュージシャン理解につながる音源も数多くあるのだ。

マイルスが600枚とも言われている。
あのビートルズにもブートレグがある。
ボブ・ディランは自分で「ブートレグ・シリーズ」と銘打って
過去の未発表音源をコンスタントに発表している。
ビーチ・ボーイズの幻『スマイル』の断片も耳にすることができる。

全てが全て良いというわけではない。
だが、ミュージシャンが生み出す音はいつも輝きを持っているのだ。

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