小品日録

ふと目にした光景(写真)や短篇などの「小品」を気の向くままに。

二葉亭四迷 「私は懐疑派だ」

2005-11-20 23:08:35 | 随筆・エッセイ
日本の近代小説の元祖といわれながら、文学者であることを嫌った二葉亭四迷の気質がよく出ている。
「書いていてまことにくだらない」、「筆を持っちゃどうしても真剣になれん」という。
真面目に考えるからこそ、そういう言葉が出てくるのであろう。
先駆者の大気焔にあたってみるのも面白いです。
講談社文芸文庫「平凡・私は懐疑派だ」で。(8ページ)


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TC-1

2005-11-19 23:19:34 | 写真
TC-1は、名刺サイズで、35mmフィルム用では世界最小のカメラですが、チタン外装で、モノとしての存在感も立派です。
レンズは、キレよく、色ノリもいいです。
そして、ファインダーを覗いたときに、作りの良さがわかります。
9年前に購入して以来、故障することもなく、愛用しています。
職人さんの手で組み立てられていたということですが、今年、生産中止となってしまいました。
こういうきっちりした物が消えていくのは残念です。
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横光利一 「機械」

2005-11-18 23:40:45 | 小説
ネームプレート工場で、製法の秘密をめぐり、「私」が他の二人の職人と心理戦?を展開する。
とどまるところを知らず回転し続ける自意識が、隙間のない文章で綴られていく。
緊張した中にも、投げやりな気分の薄ら笑いが浮かぶような気がします。
基本的な古典の部類に入ると思いますが、今は意外と読まれていないのでは?
「日輪・春は馬車に乗って 他八篇」(岩波文庫:33ページ)、「機械・春は馬車に乗って 」( 新潮文庫)などで。
日輪・春は馬車に乗って 他八篇

岩波書店

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機械・春は馬車に乗って

新潮社

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金井美恵子 「兎」

2005-11-17 22:46:44 | 小説
「私」は、散歩中に迷い込んだ空家の庭で、兎の着ぐるみを着た少女に出会う。
その少女から聞かされる父と娘の血塗られた物語・・・
かなりエグいので、気弱な方はご注意ください。
読んだら、もう記憶からは消えないでしょう。
講談社文芸文庫「愛の生活・森のメリュジーヌ」に収録。(21ページ)
愛の生活 森のメリュジーヌ

講談社

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坂口安吾 「風博士」

2005-11-16 23:35:12 | 小説
蛸博士を憎み、遺書を残して忽然と消えた風博士。
「諸君」と呼びかけて書かれる文体も、その内容も人を食っています。
狐につままれたような読後感のうちに、妙な微苦笑が浮かんできます。
何ともへんてこりんな小説です。
ちくま文庫「坂口安吾全集1」で9ページ。(品切れのようです。)
「ちくま日本文学全集 坂口安吾」、集英社文庫「堕落論」などに収録。
坂口安吾

筑摩書房

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堕落論

集英社

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古井由吉 「先導獣の話」

2005-11-15 23:13:14 | 小説
先導獣とは、群れを狂奔に導く獣のことである。
通勤の混雑の中でひっそりとした姿ながら常に自分の先を行くような男や、隅の机で目立たぬうちに大仕事を仕上げている先輩、あるいはホームで人目を気にしながら小突きあう二人の男がもたらす薄気味悪さについて語られる。
そして、ホームにうずくまる二日酔いの男が、見る者に不安感を引き起こし、先導獣になるという。
都市に生きる群衆についての政治的考察と言えるかも知れません。
講談社文芸文庫「古井由吉自選短編集 木犀の日」に収録。(32ページ)
木犀の日―古井由吉自選短篇集

講談社

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魯迅 「吶喊」自序

2005-11-14 23:41:36 | 小説
魯迅は、日本の医学校に学んでいたときに、中国人がスパイ容疑で斬首されるところを他の中国人が見物しているスライドを見せられて、医学よりも文芸が急務と考える。
寂寞の中に発する吶喊の声を聞いてほしい。
岩波文庫「阿Q正伝・狂人日記 他12篇(吶喊)」に収録。(8ページ)
阿Q正伝・狂人日記 他十二篇(吶喊)

岩波書店

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藤枝静男 「雛祭り」

2005-11-13 19:04:31 | 小説
妻を亡くして間もない「私」が、雛人形にまつわる身近な人たちのエピソードを思い浮かべる。
つつましく生き、やがて消えていく人間を思う心がしみじみと伝わってきます。
「感傷」と「ふわふわだけがある」、と語ります。
講談社文芸文庫「悲しいだけ・欣求浄土」に収録されています。(13ページ)
(「私小説名作選」にも入っていました。)
悲しいだけ;欣求浄土

講談社

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遠藤周作 「男と九官鳥」

2005-11-12 23:59:35 | 小説
今日も「私小説名作選」から。
結核病棟で退屈な日々を送る三人が、新しく入院してきた老人が連れてきた九官鳥の世話をすることになる。
はじめは張り切っていたが、すぐに嫌気がさしてきてしまう。
そして、老人の寂しさ・哀しみを思う。
九官鳥の発する「ゴロゴロ、カァ」、「マ・ヌ・ケ」、「カァ、ちゃん」という声が、様々な感情を引き起こします。
悲哀とユーモアのまじった人間味あるよい短編です。(27ページ)
講談社文芸文庫「戦後短篇小説再発見5 生と死の光景」にも収録されています。
戦後短篇小説再発見〈5〉生と死の光景

講談社

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徳田秋声 「風呂桶」

2005-11-11 23:25:05 | 小説
季節の花や旬の食べ物を見ても、自分の死を考えてしまう男。
そんな主人公が、風呂を作りに来た大工に話している妻の声が気に入らないと、癇癪を起こして、妻に暴力を振るう。
ひどい男の話だし、前後の文章の繋がりがおかしなところもあるのに、独特の味があります。
そして、重苦しい中にも、最後の一行がちょっと笑いを誘います。
集英社文庫「私小説名作選」(中村光夫選!)に入っていましたが(7ページ)、だいぶ前に絶版になったようです。この本には、「黒髪」や「崖の下」など26篇が入って、¥540だったのですが、残念。
岩波文庫「或売笑婦の話・蒼白い月 他七篇」に収録されていて、こちらも品切れですが、古本が比較的手に入りやすいと思われます。
或売笑婦の話,蒼白い月 他7篇

岩波書店

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なお、本作は、中村明「名文」(ちくま学芸文庫)に取り上げられています。
名文

筑摩書房

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