小品日録

ふと目にした光景(写真)や短篇などの「小品」を気の向くままに。

徳田秋声 「風呂桶」

2005-11-11 23:25:05 | 小説
季節の花や旬の食べ物を見ても、自分の死を考えてしまう男。
そんな主人公が、風呂を作りに来た大工に話している妻の声が気に入らないと、癇癪を起こして、妻に暴力を振るう。
ひどい男の話だし、前後の文章の繋がりがおかしなところもあるのに、独特の味があります。
そして、重苦しい中にも、最後の一行がちょっと笑いを誘います。
集英社文庫「私小説名作選」(中村光夫選!)に入っていましたが(7ページ)、だいぶ前に絶版になったようです。この本には、「黒髪」や「崖の下」など26篇が入って、¥540だったのですが、残念。
岩波文庫「或売笑婦の話・蒼白い月 他七篇」に収録されていて、こちらも品切れですが、古本が比較的手に入りやすいと思われます。
或売笑婦の話,蒼白い月 他7篇

岩波書店

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なお、本作は、中村明「名文」(ちくま学芸文庫)に取り上げられています。
名文

筑摩書房

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