小品日録

ふと目にした光景(写真)や短篇などの「小品」を気の向くままに。

芥川賞二作

2012-02-26 21:28:09 | 読書
今更ながら、芥川賞2作の感想を。

田中さんの『共喰い』は、会見での言動が話題になりましたが、作品自体は、話の内容に好き嫌いはあるでしょうが、正統派の小説で、読みやすく感じました。
特に、「川辺」という場の力が、一貫して物語を強く動かしていたように思います。
ちょっと中上健次を思い浮かべましたが、選考委員の中にも触れている方がいましたね。

円城さんの『道化師の蝶』は、最初の方はなかなかとっつきにくかったものの、章が進むにつれて、その世界に入っていけるようになりました。
捕まえようとしても、するりと抜けて裏返ってしまうような、とらえどころのない世界です。
これを硬い文体ではなく、くだけた文体でやってみると、もっと可能性が広がって面白いと思います。


共喰い
クリエーター情報なし
集英社


道化師の蝶
クリエーター情報なし
講談社


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