小品日録

ふと目にした光景(写真)や短篇などの「小品」を気の向くままに。

長山靖生 『戦後SF事件史』

2012-04-03 21:11:17 | 読書
戦後から21世紀ゼロ世代までの日本のSF業界周辺の歴史を一覧した本です。
ここでいうSFは、SF小説に限らず、漫画やアニメ、映画やテレビ、演劇、果ては現代美術と、広範囲に及んでいます。

SF業界において、ファンの影響力が大きかったというのをはじめて知りました。
コミケもけっこう歴史があるんですね。

安部公房が、50年代に、大手企業経営者に「コンピュータがなければ会社が一日もやっていけなくなる」と言って冷笑されたり、小松左京が、90年代に、原発の安全対策が70年代よりも後退し、形式的なものになっていると危惧していた、などの話も印象的でした。

これまで「SF」と特に意識してなかったのですが、子供のころからSFは身近にあったんだな、ということを感じました。
多くの方が、この本のどこかの部分で自分の歴史とつながるのではないかと思います。

いま、SFはなかなか多難な時期にあるのかもしれませんが、想像力は新しいものを生み出してくれるはず。

そういえば、先の芥川賞を受賞した円城塔さんは東北大でSF研に所属していたんですね。

戦後SF事件史---日本的想像力の70年 (河出ブックス)
クリエーター情報なし
河出書房新社
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