小品日録

ふと目にした光景(写真)や短篇などの「小品」を気の向くままに。

鴨長明 『方丈記』

2020-05-05 19:04:19 | 読書
例年とはだいぶ異なるゴールデンウィークとなってしまいました。

今年のお正月に、書店で方丈記の文庫本を目にして久しぶりに読んでみようと思い、購入しました。
岩波文庫で、脚注、補注付きで、現代語訳はついてないものの、元の文がリズミカルで、短いものですから、意外とスムーズに読めました。最古の写本(大福光寺本)の印影も付されていて、往時の雰囲気も味わえます。
広く知られている「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。よどみに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとゝ"まりたるためしなし。」との冒頭に代表されるように、無常観(感)に満ちています。
大火、辻風(竜巻)、福原遷都(人災?)、飢饉(その上疫病も)、震災など、都を襲った数々の災害に、無常を痛感し、後年には、都を離れた里山に、一丈四方の小屋を建てて住むというわけです。
しかし、悟りきっているわけではなく、いろいろな思いが交錯して、それが滲み出ているところが、かえって人間くさくてよいと思います。
都を離れて清々しているようでありながら、都の情報はしっかりフォローしていたりします。
いまも災厄の時代ですが、人間は昔から様々な困難に晒されてきていながらも、人の営みは続いていることを再認識しました。
後で購入した角川ソフィア文庫のビギナーズ・クラシックスの方は、意訳的な現代語訳がメインとなっていて、現代人に合った親切(ある意味で過剰な?)解説が付いているので、これも併せて読むと、様々な見方ができて一層興味深いです。







 
 
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