小品日録

ふと目にした光景(写真)や短篇などの「小品」を気の向くままに。

内田百 「掻痒記」

2007-06-18 23:59:59 | 内田百
大学卒業後、妻子も抱えながら、遊食生活を送る百鬼園先生が、頭にできものが出来て痒みに悩まされます。
悶々とした気持ちが、身体症状と相俟って、百鬼園先生が苛立つ様子がひりひりと伝わってきます。
ところが、歴代の女中さんや出入りの運送屋さんの話題、家が近すぎると遅刻するという法則など、話があちこちに散らかるのが百マジック。
せっぱ詰まった状況のはずが、まったりした流れになったりする不思議さがあります。
そんな中で、床屋さんにかかるのが大問題となっていて、百先生の苦労ぶりが、真剣?かつユーモラスに描かれています。
きっぱりと坊主頭になれる百先生に、師の漱石先生もちょっと感心?している様子です。

旺文社文庫『無絃琴』で、17ページ。
ちくま文庫『百集成7 百鬼園先生言行録』で読めます。

百鬼園先生言行録―内田百けん集成〈7〉 ちくま文庫

筑摩書房

このアイテムの詳細を見る
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ”ことバス”走る (取手シリ... | トップ | 若山牧水 「みじか夜の・・・」 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

内田百」カテゴリの最新記事