差別する宗教 : インクルージョンの視座からの告発

2024年07月07日 08時48分19秒 | 社会・文化・政治・経済

鈴木文治 (著)

本書が取り上げるのは、宗教、具体的には仏教とキリスト教における障害者や同和地区の人々への差別や排除の実態である。

仏教において、障害は「因果応報」の理法で解釈されてきた。例えば仏教説話では、経典を誹謗した者は障害者の姿で生きることとなる、前世の報いを受け今世で障害者として生まれたと説かれる。

神はすべての人を等しく愛しているとするキリスト教においては、「人は心で信じて義とされ、口で公に言い表して救われる」が金科玉条として掲げられる。言葉を話せない障害者、聾唖者や知的障害者には教会の門戸すら開かれてこなかった。

本書は、経典や教義にも踏み込み、宗教が障害者差別、更に部落差別を助長してきたことを明白にする。更に、宗教者が第二次世界大戦中の日本でとった態度を明るみにし、その戦争責任にまで踏み込む。

障害者教育を専門とする教師とキリスト教の牧師という立場から、当事者を見つめ続けてきた著者。怒りに満ちた告発と、著者自ら取り組むインクルージョンの理念と実践という展望の書。

著者について

1948年長野県飯田市生まれ。中央大学法学部法律学科及び立教大学文学部キリスト教学科卒業。川崎市立中学校教諭、神奈川県教育委員会、神奈川県立盲学校長・県立養護学校長、田園調布学園大学教授、日本キリスト教団桜本教会牧師等を歴任。
 
インクルージョンは解除の反対。
インクルージョンとは、直訳で「包括」「包含」「包摂」などを意味する言葉です。
 
著者は、牧師であるが、キリスト教を批判している。
その根本的問題は、わが国では軍部におもねり戦争に協力した。
同時に仏教宗派もも同様だった。さらに宗教も障害者を差別してきたが、その過去を反省していていない。
 
キリスト教は障害者の洗礼も拒否してきた。
仏教も同罪であり、因果論から、障害は前世か家族に原因があるとした。
このことが障害者を苦しめたのである。
 
戦争に反対した宗教は?
 

戦争に反対した人々

 
 

目次

特別高等警察と治安維持法
戦争に反対した宗教者たち
軍部を批判した内務官僚
軍隊内で反戦活動をした兵士たち
戦争を批判した社会主義者
右翼の暴徒に殺された衆議院議員
軍隊に反戦ビラを撒布した人たち
短詩系文学で戦争に反対した人々
戦争に反対した詩人たち
警察署で殺された人々
刑務所内で獄死した人々
戦争に反対した漫画家たち
戦争に反対した女性たち
藤原義一の略歴

侵略戦争をしていた時代の日本で、戦争に抵抗した人々、四十人余りを紹介した一冊。治安維持法という法律で、それらの人々は捕らえられ、時には警察署内で殺されました。その人達の苦難の物語を追いました。

 
 
「当時の人たちは、何故あの無謀な戦争に反対しなかったのか」という疑問を持ち、しばしばそうした質問をすることがある。
 たしかに大部分の人は、何の疑いもなく侵略戦争を「聖戦」と信じて戦争に協力していったことはたしかである。
 戦争に非協力的であれば、「非国民」のレッテルを貼られて非難された。また軍隊に反抗すれば、「反軍的行為」として検挙し処罰された。
 一人でも見逃すまいと常に、特高警察や憲兵の目が光っていた。
 しかし、そういう厳しい状況下にあって、少数ではあったが、戦争とファシズムに反対する人びとや組織があった。
 彼らは侵略戦争の本質を暴露し、真実を伝えようとした。
 
だが、新聞・ラジオも戦争を支持し協力した。
 
 

 

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