世界のワクチン開発競争に日本が「負けた」理由

2020年12月31日 23時20分09秒 | 医科・歯科・介護

WHY JAPAN LOST THE VACCINE RACE
2020年11月17日(火)16時50分

広野真嗣(ノンフィクション作家)

<ファイザーとモデルナのワクチン治験が最終段階に入るなか、日本がワクチン開発競争に出遅れたのは必然だった。キーパーソンへの取材で見えてきたこの国の障壁とは>

新型コロナウイルスのワクチン開発で、日本はなぜ出遅れたのか。開発の先頭集団を走る欧米や中国の製薬企業は臨床試験の最終段階の途上にあり、早ければ10月末にも試験の結論を得て年内承認の可能性もある。対する日本はといえば1社が第1/2段階に進んだが、多くの臨床試験入りはこれからだ。

日本政府の姿勢は「海外頼み」に映る。米国のファイザーとモデルナ、英国のアストラゼネカとの間で計2億8000万回分の購入について基本合意に達するか、あるいは交渉を進める。その調達のための、6714億円という巨額の支出はあっさり閣議決定された。

健康被害の責任は日本側が負うという、海外メーカーの条件も丸のみを強いられた。だが、なぜ最初からそんな不利な状況に追い込まれているのか――。


国内で開発の先頭を走るバイオ製薬企業アンジェスの創業者、森下竜一と会ったのは9月初旬のこと。森下は医師で大阪大学寄附講座教授でもある。都内のホテルで会うと、諦めと不満を口にした。

「国産ワクチンを買い取ると政府が先に表明していれば、海外勢から価格を引き下げたり好条件を引き出したりする交渉ができたはずなのに」

森下は25年近く血管疾患の遺伝子治療に身をささげた第一人者で「アメリカと対等に研究や治療を」という意欲的な研究姿勢を貫いてきた。血管を新生させる因子の遺伝子情報をプラスミドと呼ばれるDNA分子に書き込んで培養したアンジェスの遺伝子治療薬は昨年春、苦労の末、国内初の承認にこぎ着けた。

プラスミドに新型コロナの遺伝子情報を書き込んで開発したのが、アンジェスの「DNAワクチン」だ。「仮に米企業に量産化のめどが立たなければ、日本への輸出を渋ったかもしれない。ワクチンを開発も輸入もできない国は、経済再開の道筋を見いだせない。国の『生死』をワクチンが握る。それほどの戦略物資だ。そう繰り返しているが日本は政府も企業もなかなかピンときていない」

コロナ禍が始まって10カ月、第2波のピークが過ぎた頃から急に、ワクチンに注目が集まり始めた。「ワクチン賠償 国が責任/海外製薬から調達促進」と見出しを打った記事が日経新聞朝刊の1面トップに出たのは8月20日。健康被害の賠償責任を免じることでより多くの供給を海外製薬企業から引き出す、という内容は、来夏の五輪に向け地ならしを急ぐ政府の観測気球と見えた。

記事は「国内勢も開発中だが実用化は海外勢より遅く量も乏しい見込み」という見立てを前提としていたが、私は何か釈然としなかった。日本の新型コロナの人口100万人当たりの死者数は13人程度。600人以上になる英国や米国、そして100人超のドイツと比べて抑えている。国民の自粛の苦しみがあってこそのことだった。

ところが今度は、抑え込みに失敗した欧米の製剤を多額の税金で買わされる。なぜこうなったのか。日本に何が欠けているのか、それを知ろうと取材を始めた――。

インタビューを通じて、森下が歯ぎしりしていた相手は、米国だった。「軍が民間と一緒に積み上げてきたものがあって、日本とは全然違う」

念頭にあるのは、世界の開発競争の先頭を走る米バイオ企業モデルナのmRNAワクチンだ。モデルナは生物学者デリック・ロッシが2010年に創業し、14年からワクチン開発に参入した。新型コロナ禍が発生すると、今年3月半ばにはもう臨床試験を開始していた。

「ワープ・スピード」を掲げるトランプ政権の支援は桁違いで、モデルナには保健福祉省の生物医学先端研究開発局(BARDA)経由で9億5500万ドルの補助金を出し、1億回分を15億2500万ドルで買い取る契約を結んだ。ただ、ここまではコロナ禍が起きてからの支援で、森下が言う「積み上げてきたもの」は別にある。

8月下旬、ワシントン・ポストなどがモデルナについて興味深い情報を報じた。ワクチン開発で「ある機関」から2460万ドルの支援を受けていながら、特許申請に際してその報告義務を怠ったという内容だ。ある機関とは、国防総省傘下の防衛先端技術研究計画局(DARPA)。創業3年目の13年の段階で、mRNAワクチン等の開発でDARPAの補助を受けていた。

その点について森下に問うと、こう答えた。「mRNAワクチンというのは、軍が関与して開発されてきた『お買い上げ物資』だ。派兵地で感染症が起きたらすぐに兵に接種させる」

確かに4隻もの米空母で集団感染が相次いだのは記憶に新しい。加えて、mRNAワクチンやDNAのワクチンが軍に適しているのには、理由があるのだという。

森下によればこれらのワクチンでは、抗原タンパク質の遺伝子情報をRNA(リボ核酸)やDNAに組み込んで注射する。細胞内で抗原タンパク質が合成され免疫反応が誘導される仕組みだ。製造過程での感染リスクが低く、遺伝子情報さえ分かれば1カ月前後で開発でき、化学薬品と同じ要領で化学合成を通じて量産できる。ただし投資をすれば、設備には維持管理の経費がかかり始める。

森下が続ける。「企業側も製造工程を一度つくると、流行がない限り赤字で補助金頼みになる。米軍は毎年数千万ドルをこうしたバイオ企業にばらまき、平時から多様な様式のワクチンを確保してきた。臨床試験の第1、2段階くらいまで進めておけばよく、いざパンデミック(世界的大流行)が起きたら、種の近い病原体のワクチンを応用して最短で大量生産・投入できる」

確かに、モデルナの創業者ロッシは今春、14年以降、現在までに鳥インフルエンザなど7つの感染症のmRNAワクチンで臨床試験に入っているとメディアの取材に答えている。今回の見事なワクチン供給は、科学者の知性の差というより国家の安全保障投資の差なのだ。

「戦略物資」とする視点から森下は「新たなワクチン同盟圏ができつつある」と予想した。共産党創100年を来年に控える中国はアフリカや東南アジアに次々とワクチン提供を申し出て一帯一路圏への影響力を誇示した。ロシアが臨床試験の終了を待たずにワクチンを承認したのは、経済停滞下での起死回生策と映る。フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領は中ロ双方に秋波を送るなどしたたかだ。

「渡航制限を緩和するなら、同じワクチンを使う国から始めるのは合理的だから、そこから世界が改めて色分けされていく可能性もある。同盟国でも、ワクチンを打っていなければ合同軍事演習もできない」


そう言う森下は日本にはワクチンの戦略が欠けているとみる。「自国分の開発に躍起のアメリカも、物量に余裕ができれば次第に中国と同じことをやり始める。日本もワクチンが増えれば、新幹線や原子力に代わる外交上の武器になるのに」

次に会ったのは、防衛省防衛研究所の社会・経済研究室長、塚本勝也だ。まだ機密の多いDARPAについて、数冊の専門書の書評を書いていた。塚本はこの組織のルーツが米国の「技術敗戦」の反省にある点から解き明かした。

「きっかけは1957年のスプートニク・ショックだ。ソ連に人工衛星打ち上げの先を越され威信を失ったアメリカは、翌年に前身のARPAを置き、後に軍事に領域を絞ってディフェンスのDがついた。冷戦終結で脅威は核から生物化学兵器に移り、ワクチンの重要性が高まった」

91 年の湾岸戦争終結後、イラクが生物化学兵器を製造していた痕跡が見つかった。95年に日本で地下鉄サリン事件を起こしたオウム真理教は、93年に炭疽菌を屋外で実験的にまいていた。01年の9・11 同時多発テロ直後には炭疽菌を使ったテロで米国に死者が出た。

危機感を強めた米軍は自らワクチン開発への関与を始める。注目された新しい技術が、RNAやDNAのワクチンだったことは先に触れた。

「注意がいるのは、従来のワクチンに比べ免疫反応が長続きしない可能性があること。当面の作戦に間に合う期間だけ免疫反応が一時的に上がればいい、という発想がある。そうした軍需由来のワクチンが民生用として適しているかどうか」

さらに危ういのは、そのワクチンの短期的な成功が軍事以上に国際政治に影響する点だと、塚本は言う。

「米国が中国の知的財産窃取を問題にするなか、中国が成功すれば国家の沽券(こけん)を示すことになる。これを新たなスプートニクとする見方もある。個人的な見解だが、これと向き合う民主主義の国は、国家の沽券で安全性を犠牲にしていいのか」

軍事・外交上の果実を重くみるほど、ワクチンの安全性への配慮が後景に退きかねない、という警鐘だ。

 

ワクチン研究は、芽が出るかどうか見えずとも感染症が来た「その時」に向けて必要不可欠な投資だ。
現実に死地に兵を送り出し感染症のリスクにさらしてきた米国は、丸損になる可能性を踏まえてもなお、準備に資金を投じてきた。戦争を米国に委ねている日本で、政治はこうした備えへの投資を決断できるのか。

日本がワクチン開発で出遅れた理由について国立感染症研究所所長の脇田隆字に問うと、こう答えた。「この20年間を振り返れば、新型コロナを含め繰り返し新興・再興感染症が起きているのに警戒感は維持されなかった。『日本はなんとかなるだろう』と。でも今回の反省があって変わらなかったら、よほど鈍感ということになる」

鈍感だったのは誰なのか。09年に新型インフルエンザが流行した際、麻生太郎政権は海外から大量のワクチン輸入を進めた。後に余ると、同年8月の総選挙で野党に転じていた自民党議員がこれを批判した。

翌年6月、専門家による新型インフルエンザ対策総括会議は「ワクチン製造業者を支援し(略)生産体制を強化すべき」と結論付けた。インフルエンザワクチンの集団接種がなくなった80年代以降、接種率が低下し、国内の生産力は衰えていたからだ。

縮小市場に対し、政府の資金的支援が必要だったが実際に行われたことは逆だった。脇田が振り返る。「日本にも国立研究機関における基礎研究と民間企業の開発研究を資金的に橋渡しする厚生労働省外郭の財団はあった。しかし民主党政権の事業仕分けでやり玉に挙がってしまった。米国のような研究開発のサポートの仕組みはその後も不十分だ」

備えへの投資については、自民党も民主党も真剣さを欠いていた。将来を見据えるどころか、その場しのぎのパフォーマンスをしていたのだ。

そして09年にも20年にも、同盟国が戦略物資として融通してくれる、という甘えはなかったか。自国優先主義が跋扈(ばっこ)するトランプ後の世界でもそれで国民を守れるだろうか。現実的に考えてワクチンは万能ではないし、開発を急ぐために安全性が犠牲になってはいないか。

脇田は国産ワクチンの価値を強調した。「遅いと言われてきたが、早ければ年内には臨床試験に入る。従来でいえばワープ・スピードに近い速さで、安心なワクチンができる。確立された技術を使った開発だから」

不活化ワクチンを開発中の、明治HD傘下のKMバイオロジクスは早ければ11月から、組み換えタンパクワクチンを開発中の塩野義製薬は年内には臨床試験を始める予定だ。

「高齢者や基礎疾患がある人には、できるだけ早く届くRNAワクチンやアデノウイルスベクターワクチンを接種してもらう。一方で、新しいワクチンによる未知の副反応を心配する人もいる。そういう懸念があれば、国産のワクチンを使うことができるという選択肢が重要になる」

ワクチンを避ける人も出るなかで、ウイルスの根絶は不可能だ。それでも対コロナの国家戦略の中で、ワクチンという物資の価値を見定めなければ、備えの欠如に右往左往する愚が繰り返されることになる。

<2020年10月27日号掲載>

【関連記事】ワクチンはコロナ対策の「最終兵器」ではない──国立感染研・脇田所長に独占インタビュー
【関連記事】日本人が知らない新型コロナワクチン争奪戦──ゼロから分かるその種類、メカニズム、研究開発最前線

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日本が「ワクチン開発競争に負けた」納得の理由

2020年12月31日 23時18分42秒 | 医科・歯科・介護
あまりに鈍感すぎたこの国の感染症対策
 
「ニューズウィーク日本版」ウェブ編集部 2020/11/29 16:00
 
世界のワクチン開発競争に日本が「負けた」理由は……(写真: Graphs/PIXTA)
ファイザーとモデルナのワクチン治験が最終段階に入るなか、日本がワクチン開発競争に出遅れたのは必然だった。キーパーソンへの取材で見えてきたこの国の障壁とは。
日本はなぜ出遅れたのか
 
新型コロナウイルスのワクチン開発で、日本はなぜ出遅れたのか。開発の先頭集団を走る欧米や中国の製薬企業は臨床試験の最終段階の途上にあり、早ければ10月末にも試験の結論を得て年内承認の可能性もある。対する日本はといえば1社が第1/2段階に進んだが、多くの臨床試験入りはこれからだ。
 
 
当記事は「ニューズウィーク日本版」(CCCメディアハウス)からの転載記事です。元記事はこちら
日本政府の姿勢は「海外頼み」に映る。米国のファイザーとモデルナ、英国のアストラゼネカとの間で計2億8000万回分の購入について基本合意に達するか、あるいは交渉を進める。その調達のための、6714億円という巨額の支出はあっさり閣議決定された。
 
健康被害の責任は日本側が負うという、海外メーカーの条件も丸のみを強いられた。だが、なぜ最初からそんな不利な状況に追い込まれているのか──。
 
国内で開発の先頭を走るバイオ製薬企業アンジェスの創業者、森下竜一と会ったのは9月初旬のこと。森下は医師で大阪大学寄附講座教授でもある。都内のホテルで会うと、諦めと不満を口にした。
 
「国産ワクチンを買い取ると政府が先に表明していれば、海外勢から価格を引き下げたり好条件を引き出したりする交渉ができたはずなのに」
 
森下は25年近く血管疾患の遺伝子治療に身をささげた第一人者で「アメリカと対等に研究や治療を」という意欲的な研究姿勢を貫いてきた。血管を新生させる因子の遺伝子情報をプラスミドと呼ばれるDNA分子に書き込んで培養したアンジェスの遺伝子治療薬は昨年春、苦労の末、国内初の承認にこぎ着けた。
 
プラスミドに新型コロナの遺伝子情報を書き込んで開発したのが、アンジェスの「DNAワクチン」だ。「仮に米企業に量産化のめどが立たなければ、日本への輸出を渋ったかもしれない。ワクチンを開発も輸入もできない国は、経済再開の道筋を見いだせない。国の『生死』をワクチンが握る。それほどの戦略物資だ。そう繰り返しているが日本は政府も企業もなかなかピンときていない」
 
 
コロナ禍が始まって10カ月、第2波のピークが過ぎた頃から急に、ワクチンに注目が集まり始めた。「ワクチン賠償 国が責任/海外製薬から調達促進」と見出しを打った記事が日経新聞朝刊の1面トップに出たのは8月20日。健康被害の賠償責任を免じることでより多くの供給を海外製薬企業から引き出す、という内容は、来夏の五輪に向け地ならしを急ぐ政府の観測気球と見えた。
 
記事は「国内勢も開発中だが実用化は海外勢より遅く量も乏しい見込み」という見立てを前提としていたが、私は何か釈然としなかった。日本の新型コロナの人口100万人当たりの死者数は13人程度。600人以上になる英国や米国、そして100人超のドイツと比べて抑えている。国民の自粛の苦しみがあってこそのことだった。
 
ところが今度は、抑え込みに失敗した欧米の製剤を多額の税金で買わされる。なぜこうなったのか。日本に何が欠けているのか、それを知ろうと取材を始めた──。
 
モデルナの早期開発の陰に米軍事機関あり
 
インタビューを通じて、森下が歯ぎしりしていた相手は、米国だった。「軍が民間と一緒に積み上げてきたものがあって、日本とは全然違う」
 
念頭にあるのは、世界の開発競争の先頭を走る米バイオ企業モデルナのmRNAワクチンだ。モデルナは生物学者デリック・ロッシが2010年に創業し、14年からワクチン開発に参入した。新型コロナ禍が発生すると、今年3月半ばにはもう臨床試験を開始していた。
 
「ワープ・スピード」を掲げるトランプ政権の支援は桁違いで、モデルナには保健福祉省の生物医学先端研究開発局(BARDA)経由で9億5500万ドルの補助金を出し、1億回分を15億2500万ドルで買い取る契約を結んだ。ただ、ここまではコロナ禍が起きてからの支援で、森下が言う「積み上げてきたもの」は別にある。
 
8月下旬、ワシントン・ポストなどがモデルナについて興味深い情報を報じた。ワクチン開発で「ある機関」から2460万ドルの支援を受けていながら、特許申請に際してその報告義務を怠ったという内容だ。ある機関とは、国防総省傘下の防衛先端技術研究計画局(DARPA)。創業3年目の13年の段階で、mRNAワクチン等の開発でDARPAの補助を受けていた。
 
その点について森下に問うと、こう答えた。「mRNAワクチンというのは、軍が関与して開発されてきた『お買い上げ物資』だ。派兵地で感染症が起きたらすぐに兵に接種させる」
 
確かに4隻もの米空母で集団感染が相次いだのは記憶に新しい。加えて、mRNAワクチンやDNAのワクチンが軍に適しているのには、理由があるのだという。
 
森下によればこれらのワクチンでは、抗原タンパク質の遺伝子情報をRNA(リボ核酸)やDNAに組み込んで注射する。細胞内で抗原タンパク質が合成され免疫反応が誘導される仕組みだ。製造過程での感染リスクが低く、遺伝子情報さえ分かれば1カ月前後で開発でき、化学薬品と同じ要領で化学合成を通じて量産できる。ただし投資をすれば、設備には維持管理の経費がかかり始める。
 
森下が続ける。「企業側も製造工程を一度つくると、流行がない限り赤字で補助金頼みになる。米軍は毎年数千万ドルをこうしたバイオ企業にばらまき、平時から多様な様式のワクチンを確保してきた。臨床試験の第1、2段階くらいまで進めておけばよく、いざパンデミック(世界的大流行)が起きたら、種の近い病原体のワクチンを応用して最短で大量生産・投入できる」
 
確かに、モデルナの創業者ロッシは今春、14年以降、現在までに鳥インフルエンザなど7つの感染症のmRNAワクチンで臨床試験に入っているとメディアの取材に答えている。今回の見事なワクチン供給は、科学者の知性の差というより国家の安全保障投資の差なのだ。
 
ワクチンが新幹線や原子力に代わる「武器」に?
 
「戦略物資」とする視点から森下は「新たなワクチン同盟圏ができつつある」と予想した。共産党創100年を来年に控える中国はアフリカや東南アジアに次々とワクチン提供を申し出て一帯一路圏への影響力を誇示した。ロシアが臨床試験の終了を待たずにワクチンを承認したのは、経済停滞下での起死回生策と映る。フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領は中ロ双方に秋波を送るなどしたたかだ。
 
「渡航制限を緩和するなら、同じワクチンを使う国から始めるのは合理的だから、そこから世界が改めて色分けされていく可能性もある。同盟国でも、ワクチンを打っていなければ合同軍事演習もできない」
 
そう言う森下は日本にはワクチンの戦略が欠けているとみる。「自国分の開発に躍起のアメリカも、物量に余裕ができれば次第に中国と同じことをやり始める。日本もワクチンが増えれば、新幹線や原子力に代わる外交上の武器になるのに」
 
次に会ったのは、防衛省防衛研究所の社会・経済研究室長、塚本勝也だ。まだ機密の多いDARPAについて、数冊の専門書の書評を書いていた。塚本はこの組織のルーツが米国の「技術敗戦」の反省にある点から解き明かした。
 
「きっかけは1957年のスプートニク・ショックだ。ソ連に人工衛星打ち上げの先を越され威信を失ったアメリカは、翌年に前身のARPAを置き、後に軍事に領域を絞ってディフェンスのDがついた。冷戦終結で脅威は核から生物化学兵器に移り、ワクチンの重要性が高まった」
 
91 年の湾岸戦争終結後、イラクが生物化学兵器を製造していた痕跡が見つかった。95年に日本で地下鉄サリン事件を起こしたオウム真理教は、93年に炭疽菌を屋外で実験的にまいていた。01年の9・11 同時多発テロ直後には炭疽菌を使ったテロで米国に死者が出た。
 
危機感を強めた米軍は自らワクチン開発への関与を始める。注目された新しい技術が、RNAやDNAのワクチンだったことは先に触れた。
 
「注意がいるのは、従来のワクチンに比べ免疫反応が長続きしない可能性があること。当面の作戦に間に合う期間だけ免疫反応が一時的に上がればいい、という発想がある。そうした軍需由来のワクチンが民生用として適しているかどうか」
 
さらに危ういのは、そのワクチンの短期的な成功が軍事以上に国際政治に影響する点だと、塚本は言う。
 
「米国が中国の知的財産窃取を問題にするなか、中国が成功すれば国家の沽券(こけん)を示すことになる。これを新たなスプートニクとする見方もある。個人的な見解だが、これと向き合う民主主義の国は、国家の沽券で安全性を犠牲にしていいのか」
 
国産ワクチンを「備える」ことの重要性
 
軍事・外交上の果実を重くみるほど、ワクチンの安全性への配慮が後景に退きかねない、という警鐘だ。
 
ワクチン研究は、芽が出るかどうか見えずとも感染症が来た「その時」に向けて必要不可欠な投資だ。
 
現実に死地に兵を送り出し感染症のリスクにさらしてきた米国は、丸損になる可能性を踏まえてもなお、準備に資金を投じてきた。戦争を米国に委ねている日本で、政治はこうした備えへの投資を決断できるのか。
 
日本がワクチン開発で出遅れた理由について国立感染症研究所所長の脇田隆字に問うと、こう答えた。「この20年間を振り返れば、新型コロナを含め繰り返し新興・再興感染症が起きているのに警戒感は維持されなかった。『日本はなんとかなるだろう』と。でも今回の反省があって変わらなかったら、よほど鈍感ということになる」
 
鈍感だったのは誰なのか。09年に新型インフルエンザが流行した際、麻生太郎政権は海外から大量のワクチン輸入を進めた。後に余ると、同年8月の総選挙で野党に転じていた自民党議員がこれを批判した。
 
翌年6月、専門家による新型インフルエンザ対策総括会議は「ワクチン製造業者を支援し(略)生産体制を強化すべき」と結論付けた。インフルエンザワクチンの集団接種がなくなった80年代以降、接種率が低下し、国内の生産力は衰えていたからだ。
 
縮小市場に対し、政府の資金的支援が必要だったが実際に行われたことは逆だった。脇田が振り返る。「日本にも国立研究機関における基礎研究と民間企業の開発研究を資金的に橋渡しする厚生労働省外郭の財団はあった。しかし民主党政権の事業仕分けでやり玉に挙がってしまった。米国のような研究開発のサポートの仕組みはその後も不十分だ」
 
備えへの投資については、自民党も民主党も真剣さを欠いていた。将来を見据えるどころか、その場しのぎのパフォーマンスをしていたのだ。
 
そして09年にも20年にも、同盟国が戦略物資として融通してくれる、という甘えはなかったか。自国優先主義が跋扈(ばっこ)するトランプ後の世界でもそれで国民を守れるだろうか。現実的に考えてワクチンは万能ではないし、開発を急ぐために安全性が犠牲になってはいないか。
 
脇田は国産ワクチンの価値を強調した。「遅いと言われてきたが、早ければ年内には臨床試験に入る。従来でいえばワープ・スピードに近い速さで、安心なワクチンができる。確立された技術を使った開発だから」
 
不活化ワクチンを開発中の、明治HD傘下のKMバイオロジクスは早ければ11月から、組み換えタンパクワクチンを開発中の塩野義製薬は年内には臨床試験を始める予定だ。
 
「高齢者や基礎疾患がある人には、できるだけ早く届くRNAワクチンやアデノウイルスベクターワクチンを接種してもらう。一方で、新しいワクチンによる未知の副反応を心配する人もいる。そういう懸念があれば、国産のワクチンを使うことができるという選択肢が重要になる」
 
ワクチンを避ける人も出るなかで、ウイルスの根絶は不可能だ。それでも対コロナの国家戦略の中で、ワクチンという物資の価値を見定めなければ、備えの欠如に右往左往する愚が繰り返されることになる。
 
<2020年10月27日号掲載>
 
広野真嗣(ノンフィクション作家)
1975年、東京都生まれ。1998年に慶應義塾大学法学部法律学科卒業。神戸新聞社記者を経て2002年に猪瀬直樹事務所にスタッフとして入所、データマンとして活動する傍ら、2007年より石原都政、猪瀬都政で東京都専門委員。2015年10月よりフリーランスとして独立。2017年、『消された信仰―「最後のかくれキリシタン」‐長崎・生月島の人々』で第24回小学館ノンフィクション大賞受賞。
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「会食は絶対『なし』です」都が懸念する新型コロナ「2つの未知」

2020年12月31日 23時10分37秒 | 社会・文化・政治・経済

12/31(木) 16:00配信

THE PAGE

[画像]「感染状況」と「医療提供体制」の分析結果。7つの指標すべてが悪化した(東京都モニタリング会議資料より)

 新型コロナウイルスの流行は新しい局面に――。感染拡大に歯止めがかからない中、英国や南アフリカからの変異株が国内で検出されるなど、これまでにない規模で広がり続ける第3波に対し、東京都のモニタリング会議は危機感をあらわにした。今年最後の会議となった30日には「感染状況」「医療提供体制」ともに4段階で最高の警戒レベルを維持したが、小池百合子知事は年末年始で感染拡大を食い止められるよう、これまでより強い呼びかけを都民に行った。

【会見動画】小池知事、若者に「コロナ甘く見ないで」 緊急事態宣言“要請の可能性”も言及

「緊急事態宣言」発出の要請にも言及
「経験したことのない状況だと思っている。怖い状況を迎えている。この寒さは脅威だし、変異株がどういう振る舞いをするか本当に心配している。(医療)現場は身構えている。4月と同じような心境でいる」

 モニタリング会議後に行われた臨時会見で、国立国際医療研究センターの大曲貴夫(のりお)国際感染症センター長は、新規陽性者数の最多を連日更新する都内のコロナ感染状況の今後を危惧した。

 小池知事の発言にも、春の第1波の流行を思わせるような危機的な言葉が並んだ。

「東京は厳しい状況。かつてない大きさの第3波が襲いかかっている。いつ感染爆発が起きてもおかしくない。誰が感染していてもおかしくない状況にある」
「年末年始のここで感染を抑えなければますます厳しい局面に直面する。『緊急事態宣言』の発出を(政府に)要請せざを得なくなる。こういった事態を何としても回避しなければいけない」

 ひっ迫する都内の医療提供体制の状況を説明した東京都医師会の猪口(いのくち)正孝副会長の危機感は具体的だった。

「医療提供体制はひっ迫した危機的状況に直面している。このままの(感染拡大)状況で行くと破綻の危機に瀕する可能性が高い」

「変異株」の出現と初めての「冬の寒さ」
 小池知事は現在の流行拡大は「『2つの未知』に直面している」と強調した。

 大曲氏が触れたように、一つ目は従来より感染力が強いとされる「変異株」の出現、二つ目はコロナ禍で初めて経験する「冬の寒さ」で、「未知の課題で最大級の警戒・備えをする必要がある」とした。

 その上で、これまでの年末年始に向けた呼びかけよりも強い危機感をにじませながら、「人流を抑える」「人と人との接触を避ける」といった感染対策の徹底を都民に求めた。

「この年末年始は命を優先してください。お祝い事や楽しみがたくさんあるはずですが、今回はどうぞ諦めてください」
「家族でステイホームをぜひ徹底してほしい。友達を呼んでのホームパーティや親族が集まっての飲み会はお避けください」

 米国でサンクスギビング(感謝祭)の際、親族が家に集合して感染が急増した事例を紹介し、「お正月におせちを召し上がる際もいつもの家族のメンバーにして」と訴えた。

 高齢者や持病のある人と同居する家族には「家でもマスク着用をお願いします」。さらに「忘年会・新年会は、今回は『なし』。会食・飲食は感染拡大リスクが高まる。絶対に『なし』です」。続けて「帰省も『なし』。初詣でも感染状況が落ち着くまでお控えください」と述べた。

 企業や官庁、学校などに対しても「飲み会は『なし』と呼びかけて」とした。

 こうした呼びかけのポイントは、感染経路で約半数を占める「家庭内感染」の拡大を防ぐために、会食や飲食によって家庭内にウイルスを持ち込まないということだ。

全指標が悪化「20代、30代の割合が増加」

[グラフ]新規陽性者数の推移(東京都モニタリング会議資料より)

 小池知事は、感染しても軽症や無症状で終わることの多い若い世代に対しても「コロナを甘く見ないでほしい」と訴えた。新型コロナは発症の2日前から感染性を発揮するため、飲み会などに参加することで無自覚に感染を拡大させることにつながるからだ。

 都内の新規陽性者(7日間平均)は12月29日時点で751.0人と前週の616.7人より大幅に増加。過去最大を記録し、3週連続で急増した。

 大曲氏は、その中でも「20、30代の割合が増加してきた」と指摘する。20代は26.9%、30代は20.3%でこの世代だけで半数近くを占める。

 さらに新規陽性者がこのままのペースで続くと、2週間後に都の確保病床が埋まると警告した。今週の新規陽性者の増加比は約123%で、これが2週間続けば約1.5倍になり、1日あたりの新規陽性者は約1136人出る計算だ。都内では現状約25%が入院するので、この比率がそのままであれば「2週間後を待たずに確保した4000床を超える入院患者が出る可能性がある」という。


[グラフ]検査陽性率の推移(東京都モニタリング会議資料より)

 PCRなどの検査陽性率の上昇も気になる指標だ。政府の分科会が提示した4段階のステージの指標では陽性率10%以上が「ステージ3」「ステージ4」に該当する。都内の今週の陽性率は8.4%と前週の7.4%からさらに上昇し、10%に近づいている。

 検査人数(7日平均)は前週の7817.7人から今週は8085.3人と8000人を越えた。猪口氏は「陽性率の増加はまだ分析が進んでいないが、きちんと検査が届いてるのかも心配だし、それ以外の要素もあるのではないかと分析していくことが大事」だと語った。

 今週のモニタリング会議では、7つの指標すべてが悪化している。

過去に効果あった対策が効かない?変異株
 しかし、専門家からとりわけ注視されるのが変異株の今後だ。国立感染症研究所のレポートによると、英国で感染が広がっている変異株は、実効再生産数を0.4以上増加させ、伝播のしやすさが最大で70%アップすると推定されるように「今までの流行株よりも感染性が高い」とみられる。南アフリカでもそれとは別系統の変異株の増加が確認されているが、これについては現時点では「感染性の増加や重篤な症状との関連は不明」だという。

 小池知事は「東京iCDC」に変異株の発生状況を把握するための新たな検討チームを立ち上げたと明らかにした。同専門家ボード座長の賀来満夫・東北医科薬科大特任教授は「これが広がってくると、イギリスでも南アフリカでもかなり防ぎにくいことが分かっている」、小池知事も「英国の専門家によると、極めて危険な段階に突入する。過去に効果のあった対策では効かないことを意味する」とそれぞれ懸念を示した。

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「感染させる人の約半数は無症状。若い人はリアリティを知ってほしい」 尾身会長の緊急メッセージ

2020年12月31日 23時04分38秒 | 社会・文化・政治・経済

12/31(木) 17:24配信

Yahoo!ニュース 特集

(撮影:編集部)

感染拡大が止まらない。東京都は31日の新型コロナウイルスの新規感染者が1300人を超え、全国的にも高止まりしている。医療体制が崩れるなど、危機的な状況も懸念されている。政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は、若者への緊急のメッセージとして「このウイルスは誰でも感染するし、感染させる可能性もあることを知ってほしい」と発した。(ノンフィクション作家・河合香織/Yahoo!ニュース 特集編集部)

感染を抑えられなかった「勝負の3週間」
──11月25日に政府が「この3週間が勝負」と訴えましたが、感染拡大が止まりません。

4月の緊急事態宣言の頃より、私は今のほうが強い危機感を持っています。このままではみなさんが空気のように当たり前のように感じてきたかもしれない、質の高い日本の医療が維持できなくなってしまう。医療体制が崩れると、社会の根幹が崩れてしまうことになりかねない。さらに、職を失う人も増えるかもしれません。


政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長(撮影:編集部)

──政府の緊急事態宣言を再び求める声も高まっています。

いま緊急事態宣言を出しても、4月頃に比べて国や自治体の協力を得ることが難しくなっています。必ずしも、前と同じ効果が得られるかどうかはわからないと思います。4月の時点では、宣言を出すという行為そのものが、人々の行動を大きく抑制する効果があった。感染防御のため、みんなが協力して自分の仕事を休むなどしてくれた。だが、いま2度目の緊急事態宣言を出しても、あのときのような協力が得られる確証は今のところありません。

感染を抑えるために必要な対策についてリアリティをもって分析し、いま何が求められているかという中身を議論しなければならない。対策は、人々の協力が得られるものでないと意味がないと思います。


緊急事態宣言下の東京・渋谷(4月10日、写真:アフロ)

──効果的な対策は何でしょうか。

ウイルスの性質について、今はわかってきたことが多い。その知見からすれば、一律にすべての国民に自粛を要請するのではなく、リスクの高いところに重点的に対策を強化すべきです。つまり急所を押さえることです。

飲食店が感染の要素になるということは、膨大なデータから明らかになりました。以前のように夜の街だけではなく、昼間のレストランなどでも、マスクを外しての会話で感染の場となり得ることが明らかになった。時間や場所、お酒の有無にかかわらず、食事の場は感染のリスクが高いわけです。

──だから、感染を抑制するには飲食店に行くのを控えなくてはいけないのでしょうか。

確かにそうです。ただし、飲食店側からすれば、協力したくても経営上難しい面があることはよくわかります。であれば、今まで以上に強力に経済的支援を行うべきだと思います。感染症で亡くなる人も、失業や休業で困窮する人も同じ命です。

しっかり経済的支援をするというメッセージを

「今の協力金では足りない」という飲食店は多い(写真:GYRO_PHOTOGRAPHY/イメージマート)

──営業時間の短縮要請やそれに応じた店への協力金を支援するなど、新型コロナウイルス特措法改正の議論もあります。

事業者に国が十分な協力金を手当てできる法律を制定する計画があるのなら、なるべく早く実行してもらいたい。それにより、しっかりと経済的支援をする強い意志が国にあるというメッセージが国民に伝わると、多くの事業者の協力が得られるのではないかと思います。これは政治の役割だと思います。


(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

──5人以上の会食を控えるように政府は呼びかけていたにもかかわらず、政治家が多数で会食している報道が相次ぎました。

議員が自ら大勢の会食をしていては、いろいろ我慢している市民はついていけないでしょう。もちろん議員の行動で感染拡大が起きたわけではありません。ですが、選挙で選ばれた人たちが宴会をがんがんやっていれば、市民はそれを大人数で会食してもいいんじゃないかというメッセージとして受け取るでしょう。

約半数が無症状。誰でも感染させる可能性がある
──10代、20代などの比較的若い世代が感染を広めているという指摘があります。事実でしょうか。

はい、そういう傾向があります。しかし、私が強調したいのは、若い世代に責任がないことです。これはウイルスの特徴によるものです。若い人は感染してもほとんどが無症状で重症化しない。その結果、知らないうちに感染が広まっています。

ただし、若い人にはこうしたリアリティも知ってほしい。このウイルスは他の人に感染させる人の約半数が無症状です。知らないうちに家庭内に伝播し、家庭内の高齢者が高齢者施設に行くと、そこには基礎疾患のある人も多くいる。そうなると重症化する方が増え、結果的に医療の負担が減ることはない。


首都圏の医療機関(写真:ロイター/アフロ)

今はみんなが協力して、感染レベルを下げることが重要です。若い人たちには、自分たちの行動が苦境の日本を救う、おじいちゃんおばあちゃんを救うということを、ぜひ知っていただければと思います。

──社会のために行動を変えて欲しいということですね。

私自身の若い頃を思い出しても、自分のことで精一杯。せいぜい考えるのは自分の家族や恋人のことでした。だから、それを求めるのは難しいことだというのは、よく理解しているつもりです。しかし一方で、日本の若い人も災害が起きれば、大勢が自発的にボランティアに行くわけですよね。誰かから強制されたわけでもなく、自ら困っている人を助けたいという気持ちもあるのではないか。それは責任感や道徳観や義務感ではない、もっと自然な思いかもしれませんね。

もちろん、すべての自由を諦める必要はありません。自分の人生を楽しみながらも、少しそういったリアリティに心を馳せてほしい。それだけで感染状況は変わってくると思います。

(図版:新型コロナウイルス感染症対策推進室(内閣官房)より)

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「明らかに増加傾向にあり、大変厳しい。特に東京を始めとする皆様には不要不急の外出をできるだけ避けていただきたい」菅総理

2020年12月31日 23時02分13秒 | 社会・文化・政治・経済

12/31(木) 18:30配信

ABEMA TIMES

菅総理

 菅義偉総理は夜、官邸で記者団に対し「明らかに増加傾向にあり、大変厳しい」との認識を示した。

【映像】取材に応じる菅総理

 その上で「三大臣と状況をそれぞれ整理させていただいて、まずは自治体としっかりと連携取ってこの休み期間中に医療体制を確保する。このことを改めて指示した。感染対策の基本はマスク、手洗い、三密回避。特に東京を始めとする皆様には不要不急の外出をできるだけ避けていただきたい。このことをお願い申し上げたい」と述べた。

 緊急事態宣言の発出について問われると、「今の医療体制をしっかり確保し、感染拡大防止に全力を挙げる」と答えた。(ABEMA NEWS)

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国内の感染者、4515人 初の4千人台、最多を更新

2020年12月31日 22時50分25秒 | 事件・事故

12/31(木) 18:17配信

朝日新聞デジタル

電子顕微鏡で見た新型コロナウイルス(米国立アレルギー・感染症研究所提供)

 新型コロナウイルスの国内の感染者数は31日午後6時現在で4515人に上り、1日あたりの感染者数として過去最多を更新した。これまでの最多は26日の3882人(修正値)で、初めて4千人を超えた。年の瀬を迎えても、感染拡大に歯止めがかからない状況が続いている。

【写真】「もう元には戻れない」コロナ感染、涙を流した住吉美紀

 東京都でも31日、新たに1337人の感染が確認され、26日の949人を大幅に上回って最多を更新した。神奈川県でも新たに588人の感染が発表され、24日の495人を上回り、過去最多となっている。

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トン子が競輪グランプリで22万円ゲット!

2020年12月31日 03時28分16秒 | 未来予測研究会の掲示板

輪子は1-2 2-1の2車単車券・各500円を看護師の同僚のさっちゃんに頼まれていた。

自分は、大ファンのワッキーの2番から4番、3番、8番を各400円。
更に、4-2、3-2、8-2を各200円。
驚いたことに、トン子が3連単車券で、「車券に絡むのは、番手、番手よ」と2-4-9 2-7-4 2-9-4の3連単とワッキー2着の4-2-9 7-2-4 9-2-4を抑えに各100円を買っていた。
珍しく二人はオッズは見ていない。
取手一高の後輩の吉田 拓矢選手が勝った10レースで1-5 950円(3番人気)を1000円買っていて、「拓矢!強い勝ち方だったね」とインタビューをテレビで見て興奮していた。
そして、11レースのS級グランプリレース。
ワッキーは昨年同様、差されて2着に。
4-2の2車単は2万20円(55番人気)
トン子が買って3連単車券の4-2-9は22万1650円(419番人気)
「ええ!22万なの?!」払い戻しで、トン子は目を見張って現金を手にする。
輪子は4万円余を手にした。
二人は寿司屋で乾杯!

至高のレース S級グランプリ

予想担当記者:
赤競 小山 裕哉
並び提供:8-9-6 1-4 3-5 2-7
小田競






選手名
府県/年齢/期別


ギヤ
倍数
直近4ヶ月の成績
競走得点 S B 1
2
3


2連
対率
3連
対率
  4 1 1 郡司 浩平
神奈川/30/99
SS 3.92 118.37 3 8 2 13 2 1 14 4 1 5 58.3 75.0 79.1
  2 2 2 脇本 雄太
福 井/31/94
SS 3.92 124.00 1 4 3 3 0 0 6 0 0 3 66.6 66.6 66.6
  5 3 3 松浦 悠士
広 島/30/98
SS 3.92 117.83 10 12 4 12 5 1 11 11 4 6 34.3 68.7 81.2
    10 4 4 和田 健太郎
千 葉/39/87
SS 3.93 116.42 3 0 0 0 7 7 3 11 4 10 10.7 50.0 64.2
    7 5 清水 裕友
山 口/26/105
SS 3.92 114.80 0 9 2 6 0 0 3 5 3 10 14.2 38.0 52.3
    10 5 6 守澤 太志
秋 田/35/96
SS 3.92 114.80 1 2 2 2 7 2 8 5 6 7 30.7 50.0 73.0
  6 7 平原 康多
埼 玉/38/87
SS 3.92 117.52 0 3 2 7 5 0 7 7 0 8 31.8 63.6 63.6
×   3 6 8 新田 祐大
福 島/34/90
SS 3.93 122.00 3 8 4 8 1 0 11 2 1 3 64.7 76.4 82.3
  9 9 佐藤 慎太郎
福 島/44/78
SS 3.93 116.79 9 0 0 0 15 6 11 10 2 6 37.9 72.4 79.3
【誘導員】齊藤 竜也 S1

※各項目トップの数値は赤字で表示されます。




選手名 着差 上り 決ま
り手
S

B
勝敗因
  1 4 和田 健太郎   11.0    
2 2 脇本 雄太 3/4車身 11.5 B  
3 9 佐藤 慎太郎 1/8車輪 10.8      
  4 6 守澤 太志 3/4車身 10.8      
5 7 平原 康多 タイヤ差 11.5      
  6 5 清水 裕友 1/4車輪 11.3      
× 7 8 新田 祐大 1車身1/2 11.2      
8 3 松浦 悠士 3/4車身 11.6   S  
9 1 郡司 浩平 1車身1/2 11.7      
 
2

2=4
1,770円(12)
2

2=4
7,110円(23)
3

2=4=9
23,060円(69)


2=4
2,120円(25)
2=9
1,330円(18)
4=9
3,120円(31)
4-2
4,430円(29)
4-2
20,020円(55)
4-2-9
221,650円(419)

レース後記

レース後記写真

 号砲と共に松浦悠士が飛び出して正攻法に構える。

その後ろに郡司浩平が率いる南関勢が陣を取る。

新田祐大が率いる北勢が後ろ中団。脇本雄太と平原康多が後方に構えて隊列が落ち着く。赤板でも隊列に大きな動きはなく、脇本が打鐘手前から勢いよく叩きに出て主導権。松浦が前受けから飛び付きを狙ったが平原が凌いで脇本に続く。

5番手で脚をためていた郡司浩平が最終1センターからまくり上げたが、松浦も合わせる形で踏み込むも共に外へ浮く。

3コーナーから内を狙った清水裕友が自力に転じてまくり上げたが平原康多が懸命にブロック。4コーナーで空いた内を和田健太郎が鋭く伸びて直線で突き抜けた。
 「嬉しいの一言ですね。だいたいあのような展開になるとは思っていました。最終的に郡司の直感に任せていました。自分自身は平常心でやれたと思う。郡司がきつそうだったので申し訳ないけど内へ行かせてもらいました。ちょうど空いたので。自分が持っているというより郡司がやってくれたのでコースが空いた。(来年一年間1番車ということに関しては)非常に気が重い。位置取りだったり責任だったり。(グランプリを優勝して)これで満足していないっていったら全競輪選手に怒られますよ。でもまだドッキリじゃないかって思ってますよ」
 2着には平原の援護を受けた脇本が逃げ粘った。
 「自分の中で最善は尽せたと思う。これだけやって負けたならしかたない。自分の中で初手は理想の形でしたね。新田さんの後ろから進めたかったので。松浦君の動きが自分の中で想定外でしたね。あんなに持ってくると思わなかった。自分の中では優勝した高松宮記念杯と同じ感じで走れたと思うんですけど、周りが自分のレースを研究しているなって感じました。平原さんと初めての連係だったしやった方だと思います。お互いに今まで敵同士として戦ってきたけど、今回ラインを組んで。平原さんに任せてもらえたのは光栄ですし、お互いに尊重しながら戦えた。関東の若手や近畿のベテランにいい刺激になったと思います。負けて悔しいですけど、走っていて楽しかった」

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東京へ行くのを自重

2020年12月31日 03時19分14秒 | 日記・断片

昨日、東京の友人に電話をして、様子を聞く。
「来れば、安全なところへ案内するけど」と友人は言っていたのだが・・・。

思えば、今年東京へ行ってのは何時だっただろうか?
つまり、新橋で友人と会って酒を飲んだのは、1月、2月までか、3月も行ったのか?記憶が定かではないのだ。
後楽園、東京駅、日比谷、六本木辺りのイルミネーションを見に行こうかとクリスマス前後に思ったのだが、行きそびれ大晦日を迎えることとなる。

一方、家人は月に1回くらいのペースで東京へ行っている。
趣味の<追っかけ演歌歌手(浜博也など>の歌を聞きに。
ところで、ムード歌謡の加門亮が亡くなったのはシックだった。
---------------------------------
歌手の加門亮が死去、享年61

「海峡物語」、「男の慕情」、「霧情のブルース」、「麗子」などのヒットで知られる歌手の加門亮(本名・梁瀬 茂)が、3月30日に死去した。

1958年10月13日生まれ、千葉県出身。1988年、「海峡物語」で歌手デビュー。横浜音楽祭優秀新人賞受賞。1995年、「男の慕情」がスマシュヒット。同年、第46回「NHK紅白歌合戦」に初出場を果たす。

1996年、「霧情のブルース」で日本有線大賞最多リクエスト曲賞を受賞。1997年、「麗子」が売上約30万枚を記録する大ヒットとなった。日本有線大賞最多リクエスト曲賞を受賞。以降もコンスタントに作品を発表し続け、2018年には28枚目のシングル「アイラブユー」をリリースしていた。

2020年3月30日、がんによる多臓器不全のため死去。

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茨城県 新型コロナの感染者数287人 退院者数 2,095人

2020年12月31日 02時55分39秒 | 社会・文化・政治・経済

新型コロナの感染者数
2020年12月30日 23時55分更新
データ提供:JX通信社/FASTALERT
茨城県の感染者数状況
新規感染者数
37
前日比 -6
現在感染者数
287
前日比 +32
累計感染者数
2,418
死亡者数
36
退院者数
2,095

新型コロナウイルス感染症陽性者一覧

公表日 年齢 性別 居住地 区分
12/30 20代 鉾田市 濃厚接触者
12/30 30代 東京都 新規
12/30 40代 境町 新規
12/30 50代 古河市 新規
12/30 20代 古河市 濃厚接触者
12/30 20代 結城市 濃厚接触者
12/30 30代 結城市 新規
12/30 50代 栃木県 濃厚接触者
12/30 30代 土浦市 新規
12/30 50代 つくば市 新規
12/30 10代 つくば市 濃厚接触者
12/30 20代 つくば市 濃厚接触者
12/30 60代 つくばみらい市 濃厚接触者
12/30 50代 常総市 濃厚接触者
12/30 70代 守谷市 濃厚接触者
12/30 30代 取手市 濃厚接触者
12/30 30代 つくば市 濃厚接触者
12/30 未就学児 牛久市 濃厚接触者
12/30 70代 美浦村 新規
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日本国内の重症者数 12月30日時点 668人

2020年12月31日 02時48分52秒 | 医科・歯科・介護

日本国内の感染者数(NHKまとめ)

(12月30日 23:59 時点)

  感染確認 重症 死亡 退院
日本国内 ※ 23万1234人
前日比 +3852人
668人 3443人
前日比 +59人
18万9466人
うちチャーター機 14人
クルーズ船 712人 0人 13人 659人
  感染確認 重症 死亡 退院
合計 23万1946人
前日比 +3852人
668人 3456人
前日比 +59人
19万125人

※「前日比」は、午前0時時点の情報との比較です。表の右上に表示された時点までの集計分です。この表は随時更新しています。
※「日本国内」は、クルーズ船(ダイヤモンド・プリンセス)の帰宅後の確認を含みます。
※ 自治体が過去の数値を修正することがあります。

日本国内の感染者数(NHKまとめ)

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東京都 新型コロナ 4人死亡 944人感染確認 2番目の多さに

2020年12月31日 02時43分25秒 | 社会・文化・政治・経済

東京都は30日、これまでで2番目に多い944人が都内で新たに新型コロナウイルスに感染していることを確認したと発表しました。また、30日時点で入院している人は、これまでで最も多い2384人で現在、確保している病床のおよそ68%を使用していることになります。さらに、都は、感染が確認された4人が死亡したことを明らかにしました。

東京都は30日、都内で新たに10歳未満から90代の男女合わせて944人が新型コロナウイルスに感染していることを確認したと発表しました。

都内で1日に発表される人数としては、今月26日の949人に次いで、これまでで2番目に多くなりました。

また、水曜日としてはこれまでで最も多くなり、曜日ごとの最多を更新するのはこれで16日連続です。

都の担当者は「年末年始の休みに入ったが非常に多い数であり、重く受け止めている。感染拡大の傾向が収まっていない。医療機関も保健所もギリギリのところで頑張っている。改めて引き締めて、いつもと違う緊張感を持ってほしい」と述べ、この年末年始は、久しぶりの人と会ったり会食したりすることを避けるなど極力、人との交流を減らすよう呼びかけました。

また、30日までの7日間の平均は815.7人となり、初めて800人を超えたほか、20日連続で最多を更新しました。

30日に感染が確認された944人を年代別にみると、
▽10歳未満が11人、
▽10代が73人、
▽20代が249人、
▽30代が178人、
▽40代が150人、
▽50代が136人、
▽60代が60人、
▽70代が40人、
▽80代が34人、
▽90代が12人、
▽このほか、年齢が不明の人が1人います。

944人のうち、
▽およそ29%にあたる276人はこれまでに感染が確認された人の濃厚接触者で、
▽残りのおよそ71%の667人はこれまでのところ感染経路がわかっていないということです。

このほか、海外渡航歴がある人では、今月26日にイギリスから帰国した20代の女性が1人いるということです。変異したウイルスに感染しているかどうか調べるため国立感染症研究所に検体を送ったということです。

濃厚接触者の内訳は、
▽「家庭内」が141人で最も多く、
▽「職場内」が39人
▽「施設内」が36人
▽「会食」が12人
▽「夜間営業する接待を伴う飲食店の関係者」が7人などとなっています。

このうち、「施設内」では、6つの高齢者施設で利用者と職員合わせて12人、7つの医療機関で患者と職員合わせて14人の感染が確認されました。
これで都内で感染が確認されたのは合わせて5万8840人になりました。

また、自宅で療養している人は29日より207人増えて2975人と、これまでで最も多くなりました。

さらに、30日時点で入院している人は29日より110人増えて2384人で、こちらもこれまでで最も多くなりました。現在、確保している3500の病床のおよそ68%を使用していることになります。都は4000床の確保を医療機関に要請していて、今よりさらに500床増やす計画です。

また、入院患者のうち、都の基準で集計した30日時点の重症の患者は29日より1人増えて85人となり、ことし5月に緊急事態宣言が解除されたあとでは最も多くなりました。

重症患者の年代別では
▽70代が最も多く32人、
▽60代が23人、
▽80代が17人、
▽50代が8人、
▽40代が4人、
▽30代が1人です。

また、都は、感染が確認された80代と90代の女性と、50代と90代の男性の合わせて4人が死亡したと報告があったことを明らかにしました。このうち、50代の男性は、今月27日に亡くなった立憲民主党の羽田雄一郎参議院幹事長だということです。また、90代の男性は施設内で、90代の女性は病院内でぞれぞれ感染したということです。

これで都内で死亡した人は合わせて622人になりました。

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「最も尊敬する男性」にトランプ氏 オバマ氏を初めて抜いて単独首位に立ったのはなぜか? 

2020年12月31日 02時32分07秒 | 社会・文化・政治・経済

米調査

飯塚真紀子 | 在米ジャーナリスト
12/30(水) 16:31

「世界に存命している男性の中で、最も尊敬している人物は誰か?」
 米調査機関ギャラップは、毎年、アメリカの人々にこの質問を投げかけて調査を行なっているが、今年も12月1日〜17日に、18歳以上の1018人の成人を対象に、2020年度調査が実施され、12月29日、結果が発表された。
トランプ氏がオバマ氏を抜く

 それによると、18%の回答者がトランプ氏を最も尊敬していると回答、トランプ氏が12年間首位に立ってきたオバマ氏を初めて抜いた。ちなみに、来年、次期大統領に就任するバイデン氏と回答した人は6%で、バイデン氏はオバマ氏に次いで3位となった。
 ギャラップは1946年から74回この調査を行なっているが、うち、60回、現職大統領が「最も尊敬する男性」に選ばれている。現職大統領が選ばれないケースは、その大統領の人気がない時。トランプ氏の場合は、2017年と2018年はオバマ氏に次いで2位、2019年は両氏ともに18%を獲得して首位を分け合い、今年初めてトランプ氏はオバマ氏を抜いて単独首位に立った。ちなみに、トランプ氏は政界入りする前に4回トップ10入りしており、今回トップ10入りするのは10回目だ。

なぜトランプ氏が単独首位に立ったのか?

 それにしても、支持率が下降を続けているトランプ氏が「最も尊敬する男性」となったのは意外だ。同氏がオバマ氏を凌駕することができたのはなぜなのか?
 ギャラップによると、その背景には、共和党支持者がトランプ氏を圧倒的に支持している状況があるからだという。実際、48%の共和党支持者が最も尊敬している男性はトランプ氏と回答。2%以上の共和党支持者から尊敬されていると指摘された公人はトランプ氏以外にいなかった。
 また、ギャラップの別の調査によると、共和党を支持している有権者の87%がトランプ氏を支持していることもわかった。
 一方、民主党支持者の場合、支持対象が分散しているため、オバマ氏だけに回答が集中することがなかったという。民主党支持者の間でオバマ氏と回答した人は32%と昨年の41%から低下する一方、13%が次期大統領のバイデン氏と回答したのだ。オバマ氏とバイデン氏で回答が割れたのは、それだけ、多くの米国民がバイデン次期政権に期待を寄せている証拠だろう。民主党大統領候補だったバーニー・サンダース氏も6回目のトップ10入りを果たし、根強い人気がある。
 また、今年大活躍した米新型コロナ対策チームのアンソニー・ファウチ博士は4位にランクインし、特に、民主党支持者の5%が同氏を尊敬している回答した。
「最も尊敬する女性」はオバマ夫人

 一方、「最も尊敬する女性」は、ミシェル・オバマ氏が3年連続でトップとなった。2位は初のトップ10入りを果たした次期副大統領のカマラ・ハリス氏、3位はファースト・レディのメラニア・トランプ氏である。過去の調査を振り返ると、「最も尊敬する女性」はファースト・レディがトップに立つことが圧倒的に多かったが、メラニア夫人の場合はトップ10入りはしても1位になることはなかった。
 また、ニューヨーク州のオカシオ・コルテス議員や米最高裁判事に選ばれた保守派のエイミー・バレット氏が初めてトップ10入り、スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥーンベリさんは2度目のトップ10入りを果たしている。

ギャラップは、共和党支持者がトランプ氏以外に尊敬できる公人の名前をほとんどあげておらず、また、民主党支持者の尊敬する対象が分散している状況を考えると、トランプ氏が将来大統領選で勝利する可能性があると指摘している。
動画で大統領選出馬を暗示か?

 トランプ氏も2024年の大統領選出馬の可能性をにおわせ始めている。12月29日には、出馬を予感させるかのような以下の動画をツイートした。

動画でトランプ氏は「アメリカのために闘う」「アメリカの人々の雇用のために闘う」「自由や正義、軍事力、平和、法と秩序のために闘う」と訴えている。トランプ陣営は、バイデン氏の大統領就任式に合わせて2024年の大統領選の選挙運動を開始する可能性があるとも報じられているが、この動画は、まるで選挙キャペーン用の動画のようにも見える。
 トランプ氏は共和党支持者からの狂信的支持を背景に、選挙運動を開始するのか? 2021年もトランプ氏の動向から目が離せない。

大分県生まれ。早稲田大学教育学部英語英文科卒業。出版社にて編集記者を務めた後、渡米。ロサンゼルスを拠点に、政治、経済、社会問題、トレンドなどをテーマに、様々な雑誌に寄稿している。ノーム・チョムスキー、ロバート・シラー、ジェームズ・ワトソン、ジャレド・ダイアモンド、エズラ・ヴォーゲルなど多数の知識人にインタビュー。著書に『9・11の標的をつくった男 天才と差別ー建築家ミノル・ヤマサキの生涯』(講談社刊)、『そしてぼくは銃口を向けた」』、『銃弾の向こう側』、『ある日本人ゲイの告白』(草思社刊)、訳書に『封印された「放射能」の恐怖 フクシマ事故で何人がガンになるのか』(講談社 )がある。

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「禁断の書・聖書」持っていた女性はなぜ、北朝鮮で処刑されたか

2020年12月31日 02時23分12秒 | 事件・事故


高英起 | デイリーNKジャパン編集長/ジャーナリスト
12/28(月) 6:05

 非難浴びる北朝鮮の人権侵害(2)

北朝鮮は宗教、中でもキリスト教を忌み嫌い、信者のみならず、キリスト教関係者に接触したり、聖書を持っていたりしただけで処刑を含めた極刑を下している。聖書は、同国ではまさに「禁断の書」なのだ。
今年3月には咸鏡南道(ハムギョンナムド)の新浦(シンポ)で、聖書を持っていただけの女性が処刑される事件が起きた。
現地のデイリーNK内部情報筋が伝えたところによると、女性のシンさんは、両江道(リャンガンド)恵山(ヘサン)などを行き来して商売をしていた今年1月、聖書に接した。北朝鮮では一種の「お守り」として聖書が密かに売られているとの報道もあるが、彼女がいかにして聖書を手に入れたのかはわからない。
いずれにしても、女性は特にキリスト教を信仰していたわけではなく、聖書も家財の中に埋もれていた。偶然それを見た知人が当局に密告し、スパイ容疑で逮捕されたのだ。
(参考記事:女性芸能人らを「失禁」させた金正恩の残酷ショー)
北朝鮮当局がキリスト教に容赦ない弾圧を加えるのは、少なくないキリスト教団体が、脱北者支援や北朝鮮人権活動に参加していることが背景にある。中には、北朝鮮に伝道師を潜入させたり、クリスチャンを連れ出し、韓国に亡命させたりする団体もある。
北朝鮮のキリスト教に対する弾圧には、さらにもう一つの隠された理由があると筆者は見る。
実は、金正恩党委員長の祖父・金日成主席がクリスチャンの家庭に育ったという事実がそれだ。
彼の母親である康盤石(カン・バンソク)氏の名前は、新約聖書に出てくる「使徒ペテロ」にちなんでいる。さらに、金日成氏が教会に通っていたことは、彼の回顧録でも述べられている。
分断される以前の北朝鮮は、韓国よりキリスト教が盛んであり、平壌(ピョンヤン)は「東洋のエルサレム」と呼ばれていたほどだった。金日成氏の父親が通っていた学校も、キリスト教系の学校だった。金日成氏自身も、キリスト教の影響を強く受けていたとの証言もある。
北朝鮮は最高指導者を神格化し、その絶対的な権威で国民を支配してきた。だから、最高指導者が一時的にせよイエスを仰いだという事実も、そして、そのイエスを崇める信仰が国内に存在することも許容できないのだろう。
だが言うまでもなく、そのような姿勢は欧米諸国と関係を構築する上で深刻な問題を引き起こす。
米国務省は今月7日、北朝鮮や中国、イラン、サウジアラビアなど10カ国を信教の自由が侵害されている「特定懸念国」に指定したと発表した。北朝鮮が「特定懸念国」に指定されるのは19年連続となる。
非核化交渉を優先し、人権問題を脇に追いやったトランプ政権下でも、信教を抑圧する北朝鮮への非難は変わらなかったのだ。この問題が米朝間の火種となる可能性は、常にくすぶり続けているのである。

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「気絶、失禁する人が続出」金正恩、軍人虐殺の生々しい場面

2020年12月31日 02時16分36秒 | 事件・事故

高英起 | デイリーNKジャパン編集長/ジャーナリスト
12/30(水) 6:05

非難浴びる北朝鮮の人権侵害(4)
国連安全保障理事会は11日、北朝鮮の人権状況について非公開会合で討議。参加国に日本を加えた8カ国で声明を発表し、新型コロナウイルスと関連して北朝鮮で処刑が増加していることに憂慮を表明した。
この声明を受け、金正恩党委員長が怒り心頭に発したであろうことは想像に難くない。何しろ金正恩氏は10月10日の朝鮮労働党創建75周年を記念して行われた閲兵式(軍事パレード)での演説で、涙さえ見せながら、自国の防疫体制の完璧さを誇ったのだから。
しかし今のところ、北朝鮮はこの声明に何の反応も見せていない。このところ北朝鮮は、人権侵害に対する国際社会からの非難に取り合わないようになってきている。今回も「スルー」を決め込んだのだろうか。その可能性はある。だがもしかしたら、自慢の防疫体制を人権侵害と結びつけられたことに当惑したのではないだろうか。
北朝鮮で行われた新型コロナ関連の処刑とは、どのようなものか。例えば、韓国紙・東亜日報の記者で脱北者でもあるチュ・ソンハ氏は、自身のブログで次のような事例を伝えている。
今年8月、咸鏡北道(ハムギョンブクト)の穏城(オンソン)郡で、複数の軍関係者が処刑される事件が起きた。この地域では少し前、国境の川を渡って中国へ脱北した地域住民が、再び故郷に戻り逮捕されていた。金正恩氏は、新型コロナの流入を防ぐために国境を徹底的に封鎖するよう厳命しているが、それが出来ていないことが発覚してしまったのだ。
報告を受けた金正恩氏は激怒。防疫ルールを遵守しない現象については、容赦なく銃殺、無期懲役で処罰しろと命じたという。
その結果、件の脱北者が越境した地点を受け持っていた国境警備隊の中隊長、政治指導員、責任保衛指導員、軍保衛部封鎖部長、軍機動巡察隊長、そして脱北者本人が所属する職場の党委員長と支配人が処刑され、家族は追放されたという。さらに、チュ氏は処刑の場面を次のように生々しく描写している。
「そして彼らの処刑場面を、当該地域の幹部たちに参観させた。どれほど残忍に処刑されたのか、参観者の中からは気絶する人、失禁する人が続出した。北朝鮮でよく行われる、数百発の銃弾を浴びせ、人間の原型すらとどめないやり方だったのだろう」
(参考記事:機関銃でズタズタに…金正日氏に「口封じ」で殺された美人女優の悲劇)
読めばわかる通り、処刑された軍人や党官僚は、故意に防疫ルールを破ったわけではない。どれほど警戒しても、広い国境地帯を完璧な監視下に置くのは不可能に近い。そんなことの責任を問われて処刑されたのでは、命がいくつあっても足りないだろう。
金正恩式の防疫体制の問題点は、それが国民の命を守るためというよりは、体制の安定を守ることを優先しているように見えることだ。各国とも、都市封鎖(ロックダウン)を含め厳しい防疫体制を取ってはいるが、それはひとりでも多くの国民を救うためだ。不可抗力とも言うべき落ち度を理由に処刑してしまう北朝鮮の防疫体制は、似て非なるものと言わざるを得ない。

 
高英起
デイリーNKジャパン編集長/ジャーナリスト
北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。関西大学経済学部卒業。98年から99年まで中国吉林省延辺大学に留学し、北朝鮮難民「脱北者」の現状や、北朝鮮内部情報を発信するが、北朝鮮当局の逆鱗に触れ、二度の指名手配を受ける。雑誌、週刊誌への執筆、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に『コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記―』(新潮社)『金正恩核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』(宝島社)『北朝鮮ポップスの世界』(共著)(花伝社)など。近著に

 

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寝屋川事件・山田死刑囚の確定後の手記と、この1年間の死刑をめぐる状況について思う

2020年12月31日 01時59分59秒 | 事件・事故

篠田博之 | 月刊『創』編集長
12/30(水) 20:01

2020年12月30日、寝屋川中学生殺害事件・山田浩二死刑囚が15日付で書いた手記が手元に届いた。11月26日、大阪高裁の決定により二度目の控訴取り下げが有効とされ、死刑が確定した、あの山田死刑囚だ。
 そこに書かれた本人の説明によると、12月1日に弁護士が接見、その時はまだ未決囚の処遇だという話をしたのだが、ちょうどその日の午後、拘置所側から説明を受け、死刑確定者の処遇になることを宣告されたという。その後、死刑確定者の居房に移されるなど、いろいろな変化もあったという。
 ちなみに前回ヤフーニュースに書いたように、彼は秋に獄中結婚をしたために姓が変わっている。しかし、ここではややこしくならないように当面、山田死刑囚と、これまでの呼び方を続けることにする。前回の記事は下記をご覧いただきたい。
寝屋川事件・山田浩二死刑囚の二度目の死刑確定と獄中結婚を伝える手紙
https://news.yahoo.co.jp/byline/shinodahiroyuki/20201202-00210660/
死刑確定により家族と弁護人以外接見が禁止に
 死刑が確定して一番大きな変化は、家族と弁護人以外は接見禁止となり、外部との関わりを遮断されることだ。死刑確定とは、法的には半年以内に死刑が執行されるということを意味する。実際にはそうすぐに執行とはならないのだが、控訴を取り下げて死刑を確定させた者の場合は、執行時期が早いから、山田死刑囚も、いつ執行されても不思議ではない立場に置かれたことになる。
 だから今回のように死刑確定者から近況を書いたものが外部に伝えられるのは、そう多いことではない。これまで月刊『創』(つくる)では、宮崎勤死刑囚の手記は、死刑確定後も掲載し続けたし、秋葉原事件の加藤智大死刑囚の手記も雑誌に掲載している。工夫をすれば死刑確定者の手記が掲載されることもないわけではないのだ。
 今回の山田死刑囚の近況手記も、なるべく早い時期に紹介しようと思う。『創』2月号はもう校了してしまったので、恐らくこのヤフーニュースでということになると思う。
2020年は9年ぶりに死刑執行がなかったという報道
 さて、その同じ日に、毎日新聞や共同通信が、2020年は死刑執行がなかった、これは9年ぶりだというニュースを報じている。民主党政権以来という。民主党政権下で法務大臣に就任した千葉景子さんは、もともと死刑制度に反対していた議員だから、そこでの執行停止は意味があったのだが、2020年はどうなのだろう。恐らくコロナ禍で手続き上執行ができなかったとか、そういう理由ではないだろうか。だから、死刑執行がなかったことにそう大きな意味はないように思える。
 それよりもこの1年、印象に残ったのは、当事者が控訴を取り下げて死刑を確定させた事例が続いたことだ。3月末に相模原障害者殺傷事件の植松聖死刑囚、そして同月、山田死刑囚も二度目の控訴取り下げを行い、年末には座間9人殺害事件の白石隆浩死刑囚も控訴を取り下げた。特に山田死刑囚の場合は、その控訴取り下げの有効性を争って、検察側と弁護側が激しい攻防戦を展開、死刑制度をめぐる大きな問題を提起した。
 私は植松死刑囚とも山田死刑囚とも密に関わっていたため、3月30日は、その日に控訴取り下げを行うという植松死刑囚(当時は被告)を朝一番で横浜で説得し、その足で大阪拘置所を訪れ、控訴取り下げを行ったばかりの山田死刑囚と話し合うという、大変な一日となった。
 こんなふうに社会的に知られる死刑事件で、被告人が相次いで控訴取り下げを行うというのは、考えるべき多くの問題を提起していると思う。
死刑確定者がブラックボックスに置かれる現実
 同時に、以前から多くの人が指摘している通り、死刑が確定すると同時に接見交通権がはく奪され、死刑囚が何を思い、どんなふうに生きているかが世の中に全く伝わらなくなり、死刑囚がブラックボックスに置かれてしまうという、この制度のあり方についても、もっと考えてみなければいけないと思う。
 日本は先進国では極めて例外的に世論調査で死刑制度に賛成する国民が8割を占めるというのも、よく言われることだが、これは死刑の実態がほとんど世の中に知られていないこととも関わっている。

死刑の実態もよくわからないままアンケートが来たら、まあ現状で死刑制度があるのだから敢えて変える必要はないのではないかという意見が多数を占めることはおおいに考えられることだ。
 だから死刑のあり方について議論するには、まず死刑制度の実態について、少しでも現実が多くの人に知られることが必要だと思う。宮崎勤死刑囚にしろ、和歌山カレー事件の林眞須美死刑囚にしろ、多くの死刑囚の手記を公表することに『創』が努めてきた理由のひとつはそこにある。
 だから山田死刑囚の置かれた現実についても、工夫を重ねてできるだけ社会に明らかにしていきたいと思う。それは相模原事件の植松死刑囚についても同じで、彼の近況についても伝えるべきいろいろな努力を重ねている。
 ただ、死刑確定者を社会から遮断しようという力はますます強くなっている。植松死刑囚には弁護士も接見を拒否されたし、山田死刑囚についても、彼が獄中で養子縁組した家族が先日、拘置所を訪れたが接見が不許可となった。どうやら拘置所は運用を厳格化して、以前なら接見できたようなケースでも不許可にすることが増えているように思う。
 ちょうど私が宮崎死刑囚に死刑確定後に接見したのは、旧監獄法が改正され、弾力的運用が取り入れられた時期で、一時はあきらめた接見が再開した時には、あのいつも無表情な宮崎死刑囚が面会室で嬉しさを顔に出してみせた。
 常に死と隣り合わせなだけに、死刑囚の処遇をめぐっては重たい問題や現実がつきまとう。林眞須美死刑囚は、刑が確定して最後の接見をした時に、死刑への恐怖で朝、目が覚めると語っていた。
 どんなに社会的に凶悪犯と指弾されている者であっても、死は重たいものだ。死刑囚がどんな現実に置かれ、どんなふうに死と直面しているかについては、今後も機会あるごとに伝えていこうと思う。

篠田博之
月刊『創』編集長
月刊『創』編集長・篠田博之1951年茨城県生まれ。一橋大卒。1981年より月刊『創』(つくる)編集長。82年に創出版を設立、現在、代表も兼務。東京新聞にコラム「週刊誌を読む」を十数年にわたり連載。北海道新聞、中国新聞などにも転載されている。日本ペンクラブ言論表現委員会副委員長。東京経済大学大学院講師。著書は『増補版 ドキュメント死刑囚』(ちくま新書)、『生涯編集者』(創出版)他共著多数。専門はメディア批評だが、宮崎勤死刑囚(既に執行)と12年間関わり、和歌山カレー事件の林眞須美死刑囚とも10年以上にわたり接触。その他、元オウム麻原教祖の三女など、多くの事件当事者の手記を『創』に掲載してきた。

 

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