北朝鮮は、ソ連のスターリンの後見で作られた国である。
彩音は、昭との出逢いに運命的な心を抱いた。
そして「あなたには、朝鮮の血が流れているような気がするの」と言った。
だが彼女は、世間の人々が北朝鮮による日本人拉致問題に怒りを募ら憎悪の感情を高めていることに、心を痛めていた。
さらには、朝鮮2世であることに、深く恥じる気持ちとなる。
「あなたに言った、あの時の言葉を取り消したいの」 彩音は昭の胸に抱かれた時に詫びた。
「ええ?どんな言葉ば・・・」昭は彼女の瞳を覗き見た。
「もう、いいの」彼女は涙目になり「別れの予感」と口ずさむ。
「いい声だね」昭は彼女の容貌より、何とも言えぬ甘え声に心を惹かれていた。
「パパが言っていた。お前の声はママにとても似ているよ」
そして、カセットテープに唯一残る妻の声を聴いて涙を流してたそうだ。
「ママ、ママ」彼女は涙声となり、昭の乳房を吸うのである。
「私、あなたの子どもを産んでもいいかしら」彼女は身を起こし、昭の目を凝視した。
「子ども?」昭も身を起こす。
「生理が止まっているのよ」
彩音は、昭との関係を日記に綴っていた。
それまで、日記など一度も書いたとはなかった。
昭は、重い現実に直面する思いがしてきた。
そして、しばし首を垂れ沈黙する
「いいの、それとも、ダメなの」彼女は昭の両手をきつく握り絞めた