公開中 創作 福子の愛と別離 12)

2024年07月29日 06時39分03秒 | 創作欄

「文学散歩」は、近代小説に描かれたリアルな社会(舞台)を歩いてたどることであった。

だが、築400年以上の歴史的な建築物をはじめ古き良き日本の町並みが、次々と失われていることを文芸部のメンバーたちは知ることなる。

そして、本郷界隈はどこもかしこも急な坂道であったことを感じ取ることにもなった。

文学散歩は、ゆかりとともに樋口一葉ファンの竹村令奈の提案で始まり、樋口一葉と本郷をたどるためにも行ってみた。

文京区本郷4丁目、レトロな家並みの残る路地の一画にあるのが、樋口一葉菊坂旧居跡だった。

建物は現存していないが、樋口一葉(本名・樋口奈津)も使ったとされる井戸が、一葉の井戸(通称)として現存していた。

なお、明治の2人の文豪が、数々の名作を生んだ家—森鷗外・夏目漱石住宅は明治村へ移築されたことを知る。

 だが、文学散歩は、顧問の峯田晃とメンバーの一人の野々村ゆかりを、予想外に近付ける皮肉な結果ともなった。

参考

建設年 明治20年(1887)頃
村内所在地 1丁目9番地
旧所在地 東京都文京区千駄木町
文化財種別 登録有形文化財
登録年 平成15年(2003)
解体年 昭和38年(1963)
移築年 昭和39年(1964)

参考

昭和から平成に元号が変わったころ、世はバブル経済に躍っていた。

当時の東京では大手デベロッパーや「地上げ屋」が小規模な土地を買い上げては大規模再開発や、中規模のビルへと変化させることで都心の街並みが変化していった。

原宿の表参道沿いをはじめ、代官山や大塚、江戸川橋などにあった同潤会アパートは、関東大震災後の復興期に建設された当時最先端の集合住宅だ。

平成に入ったころもそのレトロなデザインが味わい深いと、若者や建築愛好家たちからの人気が高かったが、表参道ヒルズ、代官山アドレスといった複合再開発や高級マンションなどにすべて建て替わった。そのかつての建物の姿は、安藤忠雄氏設計の表参道ヒルズの復元建物に辛うじて残されている。

 

 

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