創作 彩音(あやね)との別離 13 )

2024年07月04日 04時30分55秒 | 創作欄

思わぬ大金を得た昭は、アンナに誘われて先輩の森田とともに、アンナの伯父が経営する錦糸町の韓国料理店へ向かった。本場の味を提供する韓国料理店だった。

定番メニューのサムギョプサルやチーズタッカルビ、キムチ盛り 、ナムル盛り、エビチーズフォンデュ、玉ねぎも焼きキムチなどをアンナが選らんだ。

チーズの美味しそうなメニューがたくさんあった。

バリエーション豊かなマッコリ、韓国酒まで豊富な品揃えだった。

塩ごま油と赤いタレがあって、どちらも美味しかった。
「とっても、おいしいよ!」アンナは満面笑みで、焼きキムチを肉と一緒にサンチュに包んで食べる。

思えば、昭と彩音は彼女の父親が経営する上野の朝鮮料理店では、一度も朝鮮料理を食べていなかった。

昭は、初めてマッコリを飲んだ。

マッコリは、主に米を原料に作る韓国伝統の発酵アルコール飲料である。

昔から農作業の合間に飲んだことから、「農酒(ノンジュ)」とも呼ばれているそうだ。

アルコール度数は約6%とビールよりも少し高いのであるが、甘みがあって飲みやすいため、女性にも人気でアンナも何杯も飲んでいた。

森田は、アルコールがまったくダメで、黙々と料理を満喫していたのだ。

飲食後は、大金を得た昭が清算した。

「あんたと、次の店ゆくよ」アンナが昭に身を寄せる。

先輩の森田は、独身である昭を気遣い「俺は、もう充分。お二人でどうぞ」と背を向け自宅へ向かう。

昭は、アンナに誘われて、韓国パブへ向かったのだ。

 

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創作 彩音(あやね)との別離 12 )

2024年07月04日 03時28分29秒 | 創作欄

人生には、<落とし穴>があるものなのだ。

昭は、その日、会社の先輩の森田優斗に誘われて、彼の兄が経営する東京・亀戸駅に近いスナックへ行く。

そこで、出会ったのが、ポステスの韓国人アンナであった。

無論、アンナは源氏名なのだ。

森田の妻は、出産を控えて能登の実家へ戻っていた。

昭は、誘われ森田の錦糸町の実家へ泊る。

翌日、アンナと3人で向かったのは、中山競馬場であった。

昭にとっては、初めての競馬だった。

19歳のアンナは、気勢を上げて自分が買った馬たちを応援する。

その姿が如何にも、無邪気で、可愛いらしい。

しばらく、昭は馬券を買わずにレースを観戦していた。

「やった!」馬券が的中して、アンナはスタントで小躍りしていた。

アンナが買った1000円の馬券が、何と7万円余になっていたのだ。

「こんな世界があったのか!」昭は驚くとともに、競馬に興味を募らせる。

そして、昭が初めて買った1000円の馬券は、信じられない!

50万円を超える配当となったのだ。

買った馬券は、愛する彩音の誕生日の8-6。

1番人気の3-5は、皮肉にも惨敗であった。

「君、やるな!」先輩の森田が1度も払い戻したことがない、大穴馬券だっのだ。

アンナも「あんた、すごいね!」と昭に抱き着く。

昭は2人に5万円をそれぞれ進呈する。

「すごい!こんなのはじめて、あんたに、わたし惚れるよ」アンナはまた昭を抱擁する。

 



 

 

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映画 キューポラのある街

2024年07月04日 02時13分13秒 | 社会・文化・政治・経済

貧しさにもめげず強く、明るく、逞しく生きる子供たちをテーマに描いた感動の珠玉篇。浦山桐郎監督第一回作品、文部省選定。主演の吉永小百合が当時最年少のブルー・リボン主演女優賞を受賞し、以後大スターへの道を躍進することにもなった記念すべき作品。

 

鋳鉄溶解炉キューポラやこしきが林立する埼玉県川口市は、昔から鋳物職人の町である。

石黒辰五郎も、職人気質一途にこしきを守って来た炭たきだ。辰五郎がつとめる工場の職工は、今年二十歳の塚本克己を除いて中老ばかり。

それだけに大工場に買収されると辰五郎ほか三人の職工はクビになり、翌日から路頭に迷った。辰五郎の家は、妻トミ、長女ジュン、長男タカユキ、次男テツハルの五人家族。

辰五郎がクビになった夜にトミは男児を産んだが、ヤケ酒を飲み歩いていた辰五郎は病院へ顔を出さず、克己とジュンが介抱した。ジュンは根性ある少女で、運動神経や成績もよく、高校進学を志していた。

しかし辰五郎の退職の涙金も出ない石黒家は、次第に苦しくなっていった。

ちょっとした揉めごとで家を飛び出していたタカユキを、姉のジュンが迎えにくると、彼は喜んで家に帰った。

タカユキは心から姉を慕っていた。タカユキがチンピラたちにインネンをつけられた時は、ジュンは敢然とチンピラたちの本拠へのりこみ、タカユキを救い出した。貧しくとも、この姉弟の心には輝かしい未来の灯があかあかと燃えていた。

なかなか職がみつからない辰五郎が、ある日酔いつぶれて帰って来た。ポケットからは、予想新聞と数枚の千円札。わずかな退職金はオートレースにつぎこまれてしまったのだ。そこへジュンの親友ノブコがやってきて、小さいながらも彼女の父が経営する会社で辰五郎の職がみつかったと知らせてくれた。

父の就職が決まりジュンが息をついたのも束の間、新しい職場には新しい技術が溢れており、勘を否定する若い工員に我慢出来なかった辰五郎は、まだ半月しかたたないというのに「会社なんかいけるか!」と酒を飲み始めてしまう…。

 
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