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公明・斉藤代表が参政・神谷氏を批判 核保有は「あり得ない選択肢」

2025年08月13日 08時50分36秒 | 医科・歯科・介護
 
 
 
公明党の斉藤鉄夫代表は6日、広島市で記者会見した。
参政党の神谷宗幣代表が「核保有をも認めるような発言」をしたとして「政治勢力のリーダーがそういう考えなのは、非常に残念でならない」と批判した。核保有に関し「あり得ない選択で、自殺行為だ」と強く反対した。

神谷氏は1日の会見で「核を持たないと言い切るのは良くない」と述べるなど、将来的な保有に含みを持たせている。

 

は核武装を「検討すべき」といっている議員・候補者は誰?

2019.07.19
 
7月11日付の毎日新聞によると、同社が参院選の全候補者に対して行ったアンケートの結果、日本の核武装について「将来にわたって検討すべきでない」と80%が答えた一方、「今後の国際情勢によっては検討すべきだ」と9%が答えているとのことです。同記事によると、「『検討すべきだ』と答えた主要政党の15人のうち、11人が維新所属で、維新の回答者の52%を占め、突出している」とのこと。また、「公明、立憲、共産、社民の候補者全員と国民の96%(27人)は『検討すべきではない』と答えた」とのことです。(記事はこちら。候補者データ詳報はこちら

議員ウォッチでは、毎日新聞の紙面およびデジタルを検索して調べたところ、以下の15人が「今後の国際情勢によっては検討すべきだ」と答えていることが判明しました。これが、同記事のいう「主要政党の15人」であると考えられます。

埼玉:沢田良 (新人、維新)
神奈川:松沢成文 (現職、維新)
石川:山田修路 (現職、自民)
京都:西田昌司 (現職、自民)
大阪:東徹 (現職、維新)
大阪:梅村みずほ (新人、維新)
兵庫:清水貴之 (現職、維新)
香川:三宅伸吾 (現職、自民)
比例:
赤池誠章 (現職、自民)
室井邦彦 (現職、維新)
藤巻健史 (現職、維新)
梅村聡 (元職、維新)
柴田巧 (元職、維新)
岩渕美智子 (新人、維新)
桑原久美子 (新人、維新)

上記15人の政党別内訳は、自民4人、維新11人です。もしこの他にも皆さんがお持ちの関連情報があれば、ぜひ議員ウォッチにお寄せください(こちらから)。

なお、毎日新聞では国政選挙のたびに日本の核武装についての考え方を継続して候補者に尋ねているとのことです。「2017年衆院選では候補者の18%が核武装について『今後の国際情勢によっては検討すべきだ』と答えたが、今回は9%に減った」としています。今回、主要政党で「核兵器を保有すべきだ」とする候補者は「一人もいなかった」とのことです。


電位治療器(でんいちりょうき)

2025年08月10日 22時53分06秒 | 医科・歯科・介護

電位治療器(でんいちりょうき)は、交流電界または直流電界の中に人体を置くことで治療を行う医療機器[1]。医家向け(業務用)と家庭用が存在する。

メディカル電子工業が製造した装置

歴史

電位治療器は、日本人の医学者で発明家の原敏之が「高圧送電線下に結核患者がいない」「農作物の収穫量も多い」というドイツの医学雑誌の紹介をもとに[2]、電場が人間の身体に良い影響を与えるのではないかと考え、1928年に「高周波超高圧の電位負荷を利用した治療器」(高圧電位負荷)を世界で初めて開発したのが原型とされている[2]

その後、現在のような低周波で変動する電場による電位治療器が当時の厚生省によって「医療機器」として承認を受け、現在に至っている。

1963年、先発メーカーである白寿生科学研究所により電位治療器「ヘルストロン」が発売され、その後は、ヘルス社「パワーヘルス」と「コスモトロン」、ドクタートロン社「ドクタートロン」、エヌエスジー社「トランセイバー健寿」、バイオトロン社「ビーオス」、日本セルフメディカル社「メディック」、ココロカ社「リブマックス」、プロメイト社「プロメイト」、RIN社「アクセス」が相次いで発売された。

現在においては十数社から30数社の各社製品が製造元の販売代理店によって流通している。また、福祉施設にも設置されている物も見受けられる。2020年代は管理医療機器の高圧電位治療器が各社の主力商品である。

また、高圧電位治療器とは別のシリーズとして太陽放射線の人体への影響についての研究をヒントに、1940年に東邦大学の高田蒔らにより考案された低電圧の負電位負荷による電位治療器がある。

開発が進むにつれて低周波、温熱など別の機能を組合せた独自の治療器も市販されているが、あくまで電位治療の場合は薬機法で認められた効果しか謳うことができない。

2000年代以降は日本での承認と使用状況の信用によって、国外の台湾、中国、香港などアジア諸国の一部でも製造販売されている。

原理

身体を周辺環境に対して高電位にすることで、発生する電界により治療効果を発揮するものである[2]。高電位を維持するために使われる電流はごく微量であり、人体への悪い影響はないとしている。使用によって、血液の電解質に変化があるという研究結果も確認できる[3]

ほか、強電場処置によるBDNFの増加は、記憶力の向上や虚血耐性の誘導、抗うつ作用、抗肥満作用などが得られるという報告がある[4]。 BDNFとは、脳由来神経栄養因子と呼ばれるたんぱく質の一種で、神経細胞の成長や再生を促す物質として知られている。セロトニンなどの脳内伝達物質の前駆物質とも関係がある。BDNFへの着目は2008年の時点で最新の研究としているが、初期的な動物実験の段階としている。

記憶力の向上などは新たな治療器の開発が必要であり、現行の電位治療器に効果があるわけではない[5]

また、仮骨形成を促進[6]したり、肉芽形成・コラーゲン合成を促進するという研究がある[7]。これは、強電場がカルシウムレセプターを介して細胞内カルシウム動態を変化させた結果、ストレス応答に関連した内分泌系及び代謝系に影響してストレス軽減が疼痛改善を示すと報告している[8]。ELF電界のヒト体毛に働く電気力の影響が感覚受容器を刺激する[9]という研究があり、これが血流に影響するという説もある。

GLPが策定される以前にも、各種の動物実験や臨床研究が行われている。

中でも特筆されるのは、1968年に行われたモントリオール大学実験医学研究所のハンス・セリエ研究室から派遣されたパク・ウンス(朴応秀)研究員と開発メーカーとの共同研究で、7800匹にのぼるマウス・ラットを用い、人工的な心筋硬化症を起こして(高電場への暴露ではなく)直接通電をした場合としなかった場合の比較観察した研究がある[10]

生殖機能や妊娠についての研究については、電界によってオスのマウスの生殖活動が盛んになるという研究が公表されている[11]。医薬品医療機器の国際ハーモナイゼーション時代においては[12]、西欧や北米の基準による安全性・有効性の検証や評価の必要性も重要であると言われている。近年のドイツでは、建築生物学(バウビオロギー)において、電界(低周波電界を含む)の生体への悪影響が指摘されている[13]

効果・効能

管理医療機器である「電位治療器」の認証基準に適合する製品に対して、薬機法の認証内容として、頭痛肩こり不眠症・慢性便秘の緩解が効果・効能として認められている[14]。このため、製造元や代理店が体験や販売の場となる体験会場などで薬機法の認証内容を超える効果・効能が得られることを消費者側に説明することは薬機法で禁止されている。 緩解とは全治とまでは言えないが、1時的に病状が治まっておだやかであること、症状が一時的または継続的に好転または消失することである。

付加機能

低周波治療器、温熱治療器、超短波治療器、温灸器などと組み合わせた機器もある[1]

副反応

一般的に製造メーカーや販売代理店は、薬害のような副作用はないと説明している。

体験型ショールームやプロモーション会場と呼ばれる体験会場では、「好転反応」(医学用語:瞑眩)として薬機法に明記されていない「効果・効能」が説明されることがある。セールストークの中では電位治療器における好転反応として「痛み、痺れ、かゆみ、眠気、皮膚炎、もみ返し、湯あたり」の症状が発生すると説明することがあるが、薬機法に明記されていない諸症状が電位治療器によって発生することを謳うのは誇大広告に当たるため、「日本ホームヘルス機器協会」の適正広告基準ガイドラインでは不適切な参考例として記載されている[15]

使用上の注意

医療上の注意事項については、業界団体の日本ホームヘルス機器協会の公式サイト[要文献特定詳細情報]で「家庭用電位治療器の禁忌事項の自主基準」として掲載公表されている。

ペースメーカ、植込み型細動器などの電磁障害の影響を受けやすい体内植込み型医用電気機器。
心電計などの装着形の医用電気機器。
これらとの併用は、誤作動を招く恐れがあるので使用しない。
心臓病と診断され、日常の過激な運動を制限されている人は使用しない。
  • 「注意」とする禁忌事項として
身体に異常を感じたときには、使用を直ちに中止する。
導子が濡れている場合には使用しない。治療中の人に外部の人と触れてはいけない。
  • 次の人は、使用前に医師に相談すること。
悪性腫瘍のある人。心臓に障害のある人。妊娠初期の不安定期又は出産直後の人。体温38℃以上(有熱期)の人。安静を必要とする人。脊椎の骨折、ねんざ、肉離れなど、急性疼痛性疾患。糖尿病などによる高度の末梢循環障害による知覚障害のある人。温度感覚喪失が認められる人(電熱装置を持つ機器に限る)。
  • 1時間を超えるタイマを使用する場合は、前項に加える。
高血圧の人。不整脈のある人。睡眠時無呼吸症の人。喘息の人。

禁忌事項は、カタログ・取扱説明書・添付文書に記載されているほか、体験場にも掲示されており、各メーカーのウェブサイトにも掲載されている。禁忌事項などは、逐次に改定・追加されてきたが、新しい情報を既存購入者・使用者にいかにして知らしめるかが、欧米にはない電位治療器を含む家庭用医療機器の課題の一つとなっている。現在のJIS・認証基準では、就寝時に高電圧で長時間使用ができる機器の製造販売は認められていないが、過去にはそういった使用を前提とした機器の製造販売は認められていた。そういった機器の購入者・使用者への情報伝達や安全の確保も大切であり、また中古業者やネットオークションなどを通じてリサイクルされ行方が不明となった機器や倒産した企業が販売した機器の管理も大事である。現在の法令では、製造販売後安全対策はメーカー(製造販売業)の責任とされ、機器の行方把握、品質、不具合、有効性、副作用などの情報収集等が義務付けられている。

事業者によっては、毎日の継続使用や複数機器の使用と長期連用を勧める場合があるが、使用時間については基準が定められており、取扱説明書・添付文書に記載されている。なお、治療器の濫用使用を勧めるのは問題とされる[16]。これまでのところ問題が発生したという公式の報告や記録は見られない。

消費者への流通

体験会場

  • 平成14年改正薬事法(平成17年4月全面実施)により、管理医療機器販売事業所・店舗に「販売管理者」を設置することが義務付けられた(薬事法施行規則第175条)。販売管理者は医師、薬剤師などの有資格者のほか、1年以上の医療機器の販売業務経験と資格取得講習会を修了した者、一定の学歴要件を満たす者が資格要件となっている。
  • 販売管理者は、販売事業所・店舗において従業者の監督、苦情処理、設備・機器の管理、管理に関する帳簿の保管等についての義務と管理責任が課せられる。1年以上の医療機器の販売業務経験があれば1日程度の講習会で資格が取得できるなど医薬品の登録販売者と比較してもまだ緩やかな規制となっている。
  • 中国・台湾・韓国・マレーシア・タイ・香港・インドネシアなどでも、日系および現地資本の企業により販売されているが、一部で苦情やトラブルが発生している。台湾では日系メーカーの体験場での販売トークにより、適正な治療を受ける機会が逸させられたため、購入者の死亡につながったとして遺族が訴え、事件となった[17][18]

参考文献

  • 電気学会「電磁界の生体効果と計測」(コロナ社 1995年 ISBN 978433900625-4
  • 「ELF電界暴露におけるヒト体毛に働く電気力の解析」(電子情報通信学会論文誌 VOL J86-B NO.7 July 2003)
  • 大森豊明「生体物理刺激と生体反応」(フジテクノシステムズ 2004/1 ISBN 9784938555924
  • 「家庭向け医療機器適正表示ガイドI・II」(社団法人日本ホームヘルス機器協会)
  • 「医薬品化粧品等広告の実際」(じほう社 2006/10 ISBN 9784840735797
  • 「電気の暮らしと健康不安ー電界と磁界の影響はどこまで分かったか」(電気学会電磁界生体影響問題調査特別委員会 2001/02 ISBN 9784886862273
  • 上野照剛重光司岩坂正和「生体と電磁界」(学会出版センター 2003/02 ISBN 4762230111

脚注


万病のもと「血液の汚れ」とは?

2025年07月09日 03時13分02秒 | 医科・歯科・介護
健康

数値には表れにくい見分け方と注意すべき病【医師解説】

 万病の元は、“血液の汚れ”。現代の医学界で注目を集めるのは、そんな昔ながらの言説だ。あなたの体を知らない間に少しずつ蝕(むしば)んでいくにもかかわらず、検査にも数値にも表れない「血液の汚れ」を徹底取材。血液の汚れの見分け方やポイント、引き起こす病などについて専門家に聞いた。

“血液の質”が健康を左右する

 私たちの体内を流れる血液の量は、体重のおよそ1割を占めるといわれ、体重60kgの場合、5Lもの量が全身を巡っていることになる。その“血液の質”が健康を左右するという説が、いま大きな話題を集めている。

 提唱するのは、自然療法の名医として知られ、自身も74才にして健診数値オールAをたたき出すイシハラクリニック院長の石原結實(ゆうみ)さんだ。

 

「血液は全身の細胞に栄養素と酸素を行き渡らせ、老廃物を排出する重要な役割を担っています。そのため、血液が汚れ、質が低下すればこれらの働きも鈍くなって体内に老廃物がたまり、病気のリスクを高めてしまう。そもそも東洋医学の世界では2000年以上前から“万病の元は、血液の汚れ”といわれてきましたが、近年の最新研究によってその根拠が次々に明らかになってきています。特に最近は新型コロナウイルス感染症と血液の質にも大きな関係があることも判明しており、いかに血液を汚さずに生活するかがこれからの時代を生き抜く要になっているといえるでしょう」(石原さん・以下同)

■見た目で分かる血液の汚れのポイント

●顔に赤みがある

 血流が滞ることで顔が赤くなる。

●お腹が冷えている

 特に太い血管の多い体の中心部が冷えていれば、血流が停滞しているサイン。

●歯茎や舌が紫色

 茶色に変色する場合もある。舌の場合は特に舌先の方に兆候が表れやすい。

●手のひらに赤みがある

 顔と同様、血流が滞ることで赤みが出る。

健康

万病のもと「血液の汚れ」とは?数値には表れにくい見分け方と注意すべき病【医師解説】

 万病の元は、“血液の汚れ”。現代の医学界で注目を集めるのは、そんな昔ながらの言説だ。あなたの体を知らない間に少しずつ蝕(むしば)んでいくにもかかわらず、検査にも数値にも表れない「血液の汚れ」を徹底取材。血液の汚れの見分け方やポイント、引き起こす病などについて専門家に聞いた。

“血液の質”が健康を左右する

 私たちの体内を流れる血液の量は、体重のおよそ1割を占めるといわれ、体重60kgの場合、5Lもの量が全身を巡っていることになる。その“血液の質”が健康を左右するという説が、いま大きな話題を集めている。

 提唱するのは、自然療法の名医として知られ、自身も74才にして健診数値オールAをたたき出すイシハラクリニック院長の石原結實(ゆうみ)さんだ。

 

「血液は全身の細胞に栄養素と酸素を行き渡らせ、老廃物を排出する重要な役割を担っています。そのため、血液が汚れ、質が低下すればこれらの働きも鈍くなって体内に老廃物がたまり、病気のリスクを高めてしまう。そもそも東洋医学の世界では2000年以上前から“万病の元は、血液の汚れ”といわれてきましたが、近年の最新研究によってその根拠が次々に明らかになってきています。特に最近は新型コロナウイルス感染症と血液の質にも大きな関係があることも判明しており、いかに血液を汚さずに生活するかがこれからの時代を生き抜く要になっているといえるでしょう」(石原さん・以下同)

■見た目で分かる血液の汚れのポイント

●顔に赤みがある

 血流が滞ることで顔が赤くなる。

●お腹が冷えている

 特に太い血管の多い体の中心部が冷えていれば、血流が停滞しているサイン。

●歯茎や舌が紫色

 茶色に変色する場合もある。舌の場合は特に舌先の方に兆候が表れやすい。

●手のひらに赤みがある

 顔と同様、血流が滞ることで赤みが出る。

見た目で分かる血液の汚れのポイント

電位治療器の効果

2025年07月09日 02時57分48秒 | 医科・歯科・介護
 

エナジートロン(電位治療器)の本当の効果

2025年07月09日 02時40分39秒 | 医科・歯科・介護
 

S子さん 7△歳 通院歴:5年 診断名:心気症、身体表現性障害、恐怖症

 平成24年10月初診時、「首から上が、物を見る時なんか、ボーッとした感じで不快。それと、胃のあたりに何かが詰まって、どうしても落ちていない。サッカー中継などは夢中で見る。主人はずっと家にいるので鬱陶しく、出かけてくれないかと思う」といった主訴だった。

ドグマチール(50)1錠、メイラックス(1)0.5錠の処方で全快。平成26年2月からドグマチール(50)0.5錠のみ。ここ3年間は、2か月に1回の通院で、すこぶる安定している。

しかし、この安定の背後には、エナジートロンの秘密が隠されている。H.27.10月から、彼女はエナジートロン治療に週2回通い始めた。「週2回行きだしたら、リューマチのこと忘れるくらい調子がいい。もうこのクリニックには通わなくてもいいのではないか」ともいう。エナジートロン(高圧電位治療器)というのは、街中で老人たちを集め、無料体験実演販売されている医療機器のことである。

100人近く集まる所もあり、老人たちの憩いの場所になっている。確かに、ここに通い始めて体調が良くなり、元気になった老人を何人かみてきた。

 “エナジートロン療法”は、認知行動療法的にみて、本当によくできていると思う。

週に何回かは、ちゃんと早起きして出かける。そこで、気の合った話し相手を見つけ、おしゃべりに花を咲かせる。

一人暮らしの老人にとっては、この上ない憩いの場所になるだろう。元気が出て、体調も気分も良くなれば、「これはエナジートロンのおかげだ」と思うようになるのは当然の帰結といえよう。しかし、エナジートロンは、このような全体構造の中でしか効果を十分に発揮できない。

 

M子さん、5△歳 通院歴:6年 診断名:境界性パーソナリティ、PTSD

 彼女も数年前に“エナジートロン療法”に週5日通った。長年訴え続けている、頭痛、肩こり、腰痛、不眠、過食・・・などの症状の改善を期待してのことだった。

確かに相当に効果があった。「エナジートロンは随分効きますね、肩こり、頭痛がなくなり、夜も眠れます」と言っていた。

しばらくして、家庭の事情で通えなくなったので、自宅で使おうと思い、エナジートロンを購入してしまった。その後の話では「エナジートロンなんか全然効きません、肩もこるし、頭も痛いし・・・」という。

現在の彼女の自宅には、埃をかぶったエナジートロン。そして現在もなお払い続けている、毎月○万円のローンが残った。

 

 現在2か月に1回通院しているS子さんへのアドバイスは、毎回決まっている。<エナジートロンには通い続けて下さいね。エナジートロンは自宅で使っても十分な効果は期待できませんからね>と。

しかし彼女は半信半疑のような顔をする。<やっぱり、“エナジートロン効果”を再確認するために、2か月に1回は通院したほうが良さそうです。その方が安上がりだと思いますよ>。

 

*この記事の2年後に書いた、『エナジートロン(電位治療器)の本当の効果(2)』という記事があります。

 
 

 2年前にアップした記事、『エナジートロン(電位治療器)の本当の効果』では、エナジートロンの効果について、私なりの解釈を紹介しました。2年たった今の状況を、S子さんが語ってくれました。

 

 S子さん(7△歳)、4ヶ月ぶりに来院。

 

<4ヶ月ぶりですけど、元気にしてましたか?>

「元気に過ごしていました。おかげさまで。昨日で、クスリが終わったので。」

<ドグマチール(50)1錠は、どんな飲み方してますか?>

「半分を1日おき(朝1回・隔日)です。忘れることもありますけど。」

<エナジートロンは、どうしてますか?>

「エナジーはやめて、替わりに、吹き矢、太極拳、健康体操、だいたい週に2~3回は外に出ています。・・・エナジーは、けっこうストレスだったんです。続けて行かなきゃとか、いろいろ人間関係も出てきたので。・・・家でも、何か考え込んでる自分に気づいたら、イケナイ・イケナイ、私は暇にしてちゃいけないんだわ、と先生の言葉を思い出して、何か用事を探して動くようにしています。」

<現在の調子の良さは、何がいいんでしょうね?。薬が効いてると思う?>

「私は、動いているのが一番効いているのだと思う。」

<どんなところが前と違って良くなっているのか、初診の時ここで、どんなこと言ってたのか、憶えていますか?>

「さあ?どんなこと言ってました?」というので、

<○○さんが言ってたこと、そのまま言いますね、『首から上が、物を見る時なんか、ボーッとした感じで不快。それと、胃のあたりに何かが詰まって、どうしても落ちていない。サッカー中継などは夢中で見る。主人はずっと家にいるので鬱陶しく、出かけてくれないかと思う』と言ってましたよ。>

「ええー?、憶えてません、そんなこと言ってたんですか。今は、良くなってますねえ。」

<エナジー治療はやめてしまったけれど、今は、日常生活のルーティンがしっかりしているので、元気に過ごせているんですよ。このままのルーティンをキープしてくださいね>と。

 

 S子さんは、1年前、腰椎椎間板症のリハビリのため、エナジートロンを5か月間中断した。その時、<エナジーをやめたのなら、それに代わる生活行動療法として、週に2~3回、外出機会を作ってくださいね>と繰り返し伝えた。現在は、吹き矢・太極拳・健康体操が、エナジートロンの代わりになっているようです。

過去4年間の経過を全体として見ると、エナジートロンは、生活行動療法の導入として大きな役割を担ってくれました。そして、S子さんは、この4年間、主治医の提案した宿題や課題を、忍耐強く実行し、継続してきました

 認知行動療法(CBT)というのは、日常生活の中で起こっている問題に、自分が取り組んでいかなければなりません。面接の中で出される宿題や課題を実行し、継続できなければ、成果を上げることはできません。そういう意味では、根気と忍耐が必要な治療法といえます。今回の記事は、“おじいちゃん流の認知行動療法(6)”に相当するものかもしれません。

 

(余談) 診察を終えて、受付にて。

 「中で、先生に、患者さんの多くは、自分が良くなってることに気づいてないんですよ、と言われた。他人事だと思って聞いていたら、<あなたですよ!>といわれた。良くなっていると言われて嬉かったけれど、私??って、感じで、びっくりした。今の状態が当たり前になっているから、気づかなかったんだわ>と。


ISO13485

2025年07月08日 14時03分53秒 | 医科・歯科・介護

管理医療機器とは

2025年07月08日 14時02分10秒 | 医科・歯科・介護

HAPIマークとは

2025年07月08日 13時51分27秒 | 医科・歯科・介護

協会について

本協会は、ホームヘルス機器(主として、電子・電気応用の機器であって、家庭においてセルフケアを目的として用いられる家庭用の治療機器並びに健康管理機器及び疾病予防機器をいう。)に関する技術の向上、品質及び安全性の確保、流通及び販売の適正化等を図ることにより、国民の健康の自主的な保持増進とホームヘルス機器産業の健全な発展に寄与し、もって国民福祉の向上に貢献することを目的とする一般社団法人です。

事業内容

  • ホームヘルス機器に関する法令、基準等の周知徹底及び行政施策の円滑な実施に対する協力
  • ホームヘルス機器に関する技術の向上並びに品質、安全性及び有効性の確保のための調査研究
  • ホームヘルス機器に関するJIS及び認証基準等の策定・見直し
  • ホームヘルス機器に関する適正な広告及び販売のためのガイドラインの策定
  • ホームヘルス機器に貼付するHAPIマークの普及及び啓発
  • ホームヘルス機器に関する技術者・販売従事者等の知識向上のための教育研修の実施
  • 健康増進機器に関する認定
  • 医薬品医療機器等法に基づく医療機器の販売・貸与の営業所管理者基礎講習の実施
  • 医薬品医療機器等法に基づく医療機器の販売・貸与の営業所管理者及び修理業責任技術者継続的研修の実施
  • ホームヘルス機器に関する統計の作成並びに情報の収集及び提供
  • ホームヘルス機器に関する内外関係機関等との交流及び協力
  • ホームヘルス機器の適正な流通及び秩序ある販売の指導及び確保
  • 機関誌「ホームヘルス機器」の発行
  • 協会のホームページによる各種情報の提供
  • ホームヘルス機器に関する会員からの法律、規格・基準等の相談
  • ホームヘルス機器に関する消費者からの問い合わせ及び相談
  • 会員の意見を集約して、行政への意見要望等の伝達
  • コンプライアンスセミナーを始めとする各種セミナーの開催
  • その他協会の目的達成に必要な事項

ホームヘルス機器とは

家庭においてセルフケアを目的として用いられる健康機器の総称で次の機器があります。

家庭用医療機器
電位治療器/電解水生成器/治療浴装置/マッサージ器/指圧代用器/赤外線治療器/紫外線治療器/炭素弧光灯治療器/電気磁気治療器/永久磁石磁気治療器/低周波治療器/超短波治療器/温熱治療器/温灸器/吸入器/組合せ家庭用医療機器/等
健康管理機器
自動電子血圧計/手動式電子血圧計/自己検査用尿糖計/体重計/体脂肪計/体組成計/歩数計/心拍計/塩分計/等
家庭用美容機器及び家庭用健康機器
家庭用クレンジング器/家庭用保湿促進器/家庭用マイクロカレント器/家庭用スチーム式美容器/家庭用EMS 機器/等
健康増進機器
人の健康・美容の増進、QOL の向上を目的とする機械器具等であって、当協会が認めるもの(家庭向け製品)

HAPIとは

一般社団法人日本ホームヘルス機器協会の英文名(The Japan Home-health Apparatus Industrial Association)の略称です。

「HAPIマーク」について

HAPIマーク
HAPIマーク

家庭におけるセルフケアを目的として用いられる健康機器の総称をホームヘルス機器と言い、家庭用医療機器・健康管理機器等があります。当協会の会員企業が製造・販売するホームヘルス機器には、「信頼と安心」の証としてHAPIマークが貼付されています。製品を選ぶ目安としてお確かめ下さい。
HAPIマークには、生産物賠償責任保険(PL保険)が付保されております。
詳しくは、消費者相談室にお問い合わせ下さい。


書籍 「美と強運を手に入れる口もとセルフエステ」 徳間書店

2025年07月05日 17時06分35秒 | 医科・歯科・介護

美と強運を手に入れる口もとセルフメンテ30

口もとを美しくするだけで〝なりたい自分?になれる! 〝思い通りの毎日?を送ることができる!

著者 北原文子 著・文・その他

歯科美容プロデューサーとして、多い時で年間2万人以上の人たちを対象に全国各地で講座やセミナーをおこなっています。そこで聞くことができる女性たちの生の声は、私にとって宝物のように大切なもの。今を生きる女性たちが、口もとや歯のことでどんなふうに悩み、感じているのかをリアルに知ることができるからです。

それから、オーラルケアに携わる企業からの相談や新商品の企画、お披露目に立ち会うのも私の大事な仕事のひとつです。どんな思いを込めてゼロから企画を立ち上げどんなプロセスを経て新商品という形に結実させたのかを知ることは、オーラルケアの専門知識を深めるだけでなく、どうしたら女性たちをハッピーにできるのかを考えるヒントになるからです。

私にとって、口もとを美しくすることは、単純に「綺麗になる」とか「アンチエイジングケア」といったことだけではなくて、自分のことを好きになって、幸せをつかむための方法のひとつ。女性は、口もとを美しくするといくらでも〝なりたい自分?になれるし、いくらでも〝思い通りの毎日?を送ることができると心から信じています。

その具体的なティップスを、言葉やテクニックでひとりでも多くの女性たちに伝えていくのが私の使命。この本では、私が今まで実際に体験してきたことで、女性たちをハッピーに導くために必ず役に立つと確信している、口もとにまつわるあらゆる美容法やオーラルケアのコツをたくさん詰め込みました。
(はじめにより)

北原文子
 
日本大学歯学部付属歯科衛生専門学校卒業後、歯科医院勤務。
 
その後、有限会社エイチ・エムズコレクション取締役副社長を経て、現在は歯科医院で臨床を行うかたわら、衛生士やスタッフなど人材育成や歯科医院コンサルタント、歯科衛生士学校や歯科医師会での講師など幅広く活動。
年間2万人以上の患者さんへの啓発活動をおこなっている。
雑誌やテレビなど数多くのメディアでも、わかりやすい指導と気さくな語り口で働く女性を中心に絶大な人気を誇る。全国で開催されるイベントやセミナーでは講師としてのリピート率は驚異の90%以上。お口の悩み、それにともなうメンタルの不調改善など、女性が抱えるあらゆる課題を解決に導くことを得意とする。自分らしく美しく生きたいと願う、すべての女性を応援中。

病の原因となるタンパク質の構造と機能

2025年06月27日 14時30分54秒 | 医科・歯科・介護

タンパク質の動きが病気を引き起こす
~ パーキンソン病の原因タンパク質の分子運動を観測することに成功 ~

【発表のポイント】

  • パーキンソン病の発症に関係するタンパク質「α-シヌクレイン」の分子の運動を、中性子を利用した最先端の分析技術及び新たに開発した解析法を用いて測定
  • 正常なタンパク質分子の特定の運動が、分子が集合して「アミロイド線維」と呼ばれる異常な塊を作る過程に関与することを世界で初めて発見
  • パーキンソン病をはじめとしたアミロイド線維が関わるさまざまな病気の発症のメカニズムを解明する手がかりとなることに期待

国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構(理事長 平野俊夫。以下「量研」という。)量子生命科学領域の 藤原 悟 専門業務員、松尾 龍人 主任研究員、河野 史明 研究員、名古屋大学シンクロトロン光研究センターの 杉本 泰伸 准教授、構造生物学研究センターの 成田 哲博准教授、松本 友治 研究員、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構(理事長 児玉敏雄)J-PARCセンターの 柴田 薫 常勤特別嘱託らは共同で、脳内に存在する正常なタンパク質「α-シヌクレイン1)」の分子の特定の運動が、パーキンソン病発症のカギとなる「アミロイド線維2)」という異常な塊を作り出す原因となることを突き止めました。中性子準弾性散乱3)装置を用いて「α-シヌクレイン」の運動を分子レベルで調べたところ、線維状の集合は、このタンパク質の折れ曲がり運動と内部の局所的運動が同時に起こることでもたらされることを世界で初めて発見しました。

現在、その機能に関してはまだ不明な点が多い「α-シヌクレイン」というタンパク質が、「アミロイド線維」という異常な集合体を作りはじめることが、パーキンソン病の発症に関与しているとされています。正常なタンパク質が異常な状態に陥ってしまう、そのきっかけが何であるのかはまだ解明されていません。本研究は、この「きっかけ」の解明に、大きく貢献できることが期待されます。

一般に、タンパク質分子が集合して異常な状態を形成していくのは、正常に折りたたまれたタンパク質分子の構造の一部が「ほどけて」しまい、フラフラと動きやすくなることがきっかけになると言われています。そこで研究チームは、「α-シヌクレイン」分子の運動の特徴を詳細に調べることが重要と考えました。一口に「分子の運動」と言っても、全体の移動、大きな折れ曲がり、局所的なゆらぎ等の種類があります。そこで量研では、中性子準弾性散乱により分子の折れ曲がり運動と分子内部の局所的運動を個別に調べることのできる方法を新たに開発しました。J-PARC4)の中性子準弾性散乱装置を用いて実験を行い、この方法で解析した結果、アミロイド線維ができるためには、「α-シヌクレイン」分子の折れ曲がり運動と分子内部の局所的運動の両方が同時に活発でなければならないことを発見しました。

本成果によって、これまで謎であった「α-シヌクレイン」からアミロイド線維が形成される最初の過程について、分子の折れ曲がり運動と分子内部の局所的運動に注目すべきことがわかりました。これにより、アミロイド線維形成機構の科学的解明の糸口が得られたことはもちろん、タンパク質分子の特定の運動に着目し、それを抑制する薬剤分子を探索・開発するという、まったく新しい観点からのパーキンソン病治療/予防法の開発へとつながることが期待されます。

さらに、アミロイド線維の形成は、パーキンソン病だけでなく、アルツハイマー病5)家族性アミロイドポリニューロパチー6)など、さまざまな病気の発症と関わっていることが知られており、本研究成果は、これらの病気の発症メカニズムの解明と治療/予防法の開発にも寄与できると考えられます。

この研究成果は、分子生物学・生物物理学分野における国際科学誌「Journal of Molecular Biology」にオンライン掲載(2019年6月8日付)されました。

補足説明資料

【研究開発の背景と目的】

パーキンソン病は進行性の神経難病で、脳内の神経細胞がゆっくりと死んでいくことで、身体の運動の調節がうまくいかなくなる病気です。50~60歳代で発症することが多く、高齢になるほど発症率が高くなる(患者数:1~1.5人/1000人、但し60歳以上では1人/100人となる)ため、全世界的に高齢化が急速に進展すると見込まれている現在、その治療や予防は社会的にも重大な関心事です。パーキンソン病の患者の脳細胞には、「α-シヌクレイン」という健常な脳内にも存在するタンパク質が、「アミロイド線維」と呼ばれる異常な線維状態となって蓄積していることが知られており、このアミロイド線維の形成がパーキンソン病発症のカギとされています。アミロイド線維の形成過程を明らかにすることは、医学にとって非常に重要な課題ですが、残念ながら未解明のままです。

タンパク質は、たくさんのアミノ酸が数珠つなぎにつながってできていますが、その骨格である「ひも」からアミノ酸側鎖7)の「こぶ」がたくさん突き出ています。通常は、その「ひも」と「こぶ」がきちんと折り畳まれて特定の構造を形成し(図1)、本来の機能を発揮します。ところが、何らかの原因で、折り畳まれた構造の全体あるいは一部がほどけてしまい、「ひも」がグニャグニャになり、動きやすくなってしまうこと(「変性」という)があります(図2)。また、この部分から突き出ている「こぶ」も、ふらふらと動きやすくなります。一般に、このタンパク質の「変性」がきっかけとなり線維の形成が始まるため、アミロイド線維形成の仕組みを明らかにするには、この「ひも」や「こぶ」の動きを詳細に調べることが重要です。

図1.一般的なタンパク質の構造の例(タンパク質の骨格の「ひも」(黒~青の線)とアミノ酸側鎖の「こぶ」(オレンジ色の部分)

図2.タンパク質の変性の模式図

量研のチームは、2016年に、アミロイド線維を形成した後の状態の「α-シヌクレイン」の動きを調べ、線維状態では、タンパク質同士が強く結合して動きが制限されているにも関わらず、分子が局所的に大きく動くことを突き止めていました。本研究は次のステップとして、線維が形成される過程について取り組みました。

「α-シヌクレイン」は、どんな環境でもアミロイド線維を形成できるわけではありません。体内の環境に近い中性で生理的濃度に近い塩(以下「高塩濃度」)の入った溶液ではアミロイド線維を形成することができますが、中性でも塩が入っていなければ、集合が足りず、線維になりきれないこと、また、酸性溶液中では線維が長くなる前に短い線維同士が急速に集合し、大きな塊を作ってしまうことが知られていました(図3)。このような様々な条件下での「α-シヌクレイン」の分子の運動を解析すれば、どのような動きがアミロイド線維の形成をもたらすかを明らかにすることができると考えました。

図3.溶液の違いによる「α-シヌクレイン」のアミロイド線維のできやすさの違い

今回、体内環境に近い中性で高塩濃度の溶液、中性で塩の入っていない溶液、酸性の溶液中のそれぞれについて、「α-シヌクレイン」分子の「ひも」の折れ曲がり運動と「こぶ」の局所的運動の特徴を調べました。実験には、中性子準弾性散乱という手法を用いました。これは、中性子がタンパク質内にたくさん存在する水素原子とぶつかりやすいことを利用して、その跳ね返り方を調べることにより、タンパク質の運動を調べる手法です。中性子準弾性散乱実験は、世界最先端の中性子実験施設であるJ-PARCの物質・生命科学実験施設で行いました(図4)。測定に用いた試料の調製は量研、中性子準弾性散乱実験と解析は量研およびJ-PARCセンター、実験データの解析に必要なその他の実験(X線小角散乱8)実験、動的光散乱9)実験、電子顕微鏡10)撮影)は量研と名古屋大学が担当しました。

図4.中性子準弾性散乱を測定するダイナミクス解析装置(DNA)

【研究の手法と成果】

「α-シヌクレイン」は140個のアミノ酸からなるタンパク質で、1本の「ひも」から140個の「こぶ」が突き出ています(図5)。「α-シヌクレイン」は、「ひも」が特定の構造を持たない特殊なタイプのタンパク質(天然変性タンパク質11)と呼ばれる;図5)であることが知られているので、その分子の動きを考えると、分子全体の移動や回転の他に、「ひも」が常に伸びたり曲がったりしている動きと、140個の「こぶ」それぞれが常にゆらいでいる動きが想定できます(図6)。

図5.「α-シヌクレイン」の構造の模式図

図6.「α-シヌクレイン」のさまざまな運動

タンパク質の「ひも」の折れ曲がり運動や「こぶ」の局所的運動は、測定すること自体が極めて難しく、定量的な測定はこれまでほとんど行われていません。「こぶ」の局所的運動を直接、詳細に測定できるのは、現在のところ中性子準弾性散乱のみです。さらに、今回、量研のチームは、中性子準弾性散乱のデータと追加測定したX線小角散乱および動的光散乱のデータを組み合わせることで、タンパク質の「ひも」の折れ曲がり運動を調べることのできる新しい解析法を開発しました。今回の研究では、この新しい解析法を用いることにより、世界で初めて「ひも」の折れ曲がり運動と「こぶ」の局所的運動を同時に調べることができました。

図7に研究の結果をまとめました。まず、「こぶ」の局所的運動は、「α-シヌクレイン」の集合が足りず線維になり切れない条件(中性で塩がない)で最も小さく、アミロイド線維が形成される条件(中性+高塩濃度)ではそれよりも大きく、短い線維が急速に集合してしまう条件(酸性)では、さらに大きくなることがわかりました。これは、「α-シヌクレイン」同士が結合することに「こぶ」の局所的運動が働いていることを示しています。一方、「ひも」の折れ曲がり運動は、アミロイド線維が形成される条件(中性+高塩濃度)で大きく、他の2つでは小さいことがわかりました。これは、問題となる繊維状の構造を「α-シヌクレイン」が形成するためには、「ひも」の折れ曲がり運動が必須であることを示しています。以上のように、アミロイド線維を形成する過程では、「α-シヌクレイン」の「こぶ」の局所的運動と「ひも」の折れ曲がり運動の両方が同時に活発でなければならないことが、中性子準弾性散乱によって世界で初めて観測されました。

図7.さまざまな溶液中での「α-シヌクレイン」の運動の特徴のまとめ

図8に今回の結果から推測されるアミロイド線維形成過程の仕組み(モデル)を示します。アミロイド線維は「α-シヌクレイン」の中央部分同士で結合することが従来から知られていました。分子同士が相互作用するためには、まず「こぶ」の局所的運動が必要であり、さらに、アミロイド線維ができるためには、「ひも」の折れ曲がり運動によって分子の中央部分が充分露出し、相互作用できるようになることが必要と考えられます。

図8.さまざまな溶液中での「α-シヌクレイン」の動き方の違いとアミロイド線維のできやすさの関係

本成果は、アミロイド線維形成の仕組みを解明するための大きな手がかりとなり、さらにその知見に基づき「ひも」の折れ曲がり運動や「こぶ」の局所的運動を抑える薬を開発することで、パーキンソン病の新しい治療・予防薬の開発へとつながることが期待されます。

【今後の展開】

本研究の特色は、正常なタンパク質の「特定の運動」が、疾病発症の原因とされるアミロイド線維などの異常な構造ができる原因となることを示した点にあります。これは、その運動を抑えることで異常な構造の形成を抑えることができる可能性を示しています。今後、「α-シヌクレイン」の分子の中のどの部分が曲がりやすいかなど、より詳しく運動を調べていくことで、「タンパク質の運動の制御」という全く新しい考え方に基づく創薬につながっていくことが期待されます。

また、アミロイド線維は、「α-シヌクレイン」によるパーキンソン病に関係したもののみではなく、レビー小体型認知症12)やアルツハイマー病などの様々な認知症や家族性アミロイドポリニューロパチーをはじめとする種々の難病の発症に関係しています。それぞれの疾病に関連するタンパク質について系統的に調べていくことで、アミロイド線維形成と疾病発症の根本的な関係の解明に繋がることが期待されます。

本研究の一部は、日本学術振興会科学研究費助成事業(16K13730、26293210)の支援を受けて実施されました。

【論文掲載情報】

掲載誌:「Journal of Molecular Biology」2019年6月8日オンライン掲載

論文タイトル:Dynamic Properties of Human α-Synuclein Related to Propensity to Amyloid Fibril Formation

著者:S. Fujiwara, F. Kono, T. Matsuo, Y. Sugimoto, T. Matsumoto, A. Narita, and K. Shibata

DOI:10.1016/j.jmb.2019.05.047

【用語解説】

1)α-シヌクレイン

ヒト脳神経細胞の末端部に大量に存在するタンパク質で、脳細胞間の信号のやりとりに関係した様々な働きがあると言われているがまだその正常での機能に関しては不明な点が多い。このタンパク質のアミロイド線維化が、パーキンソン病の発症と密接に関係すると言われている。α-シヌクレインは天然変性タンパク質の一つで、下記項目11)で説明するように、溶液中で、特定の構造を持たず、さまざまな構造の間をゆらいでいる。

2)アミロイド線維

通常のタンパク質は、単独でバラバラに存在し、あるいはいくつかのタンパク質が正しく集まりきちんとした構造体を形成して、機能を発揮する。ところが、何らかの異常により、タンパク質同士が線維状に集合した状態となることがある。このタンパク質の線維状の異常な集合体をアミロイド線維という。パーキンソン病をはじめ、アルツハイマー病や家族性アミロイドポリニューロパチーに代表される全身性アミロイドーシスなど種々の疾病において、その患者の体内にアミロイド線維が沈着していることが報告されており、アミロイド線維形成とこれらの疾病の発症には密接な関係があると言われている。

3)中性子準弾性散乱

中性子は、物質を構成する最小基本粒子のひとつである。加速器や研究用原子炉により発生させた中性子ビームを用いて、物質の様々な性質を調べることができる。中性子ビームを分子に当てると、分子に当たった中性子は散乱される。散乱された中性子は、分子とのエネルギーのやり取りのため、そのエネルギーが変化している。このエネルギー変化を伴う中性子の散乱を中性子準弾性散乱という。中性子ビームを分子に当て、準弾性散乱された中性子の方向やエネルギー変化を調べることにより、分子の運動の大きさや速さなどを解析することができる。

4)J-PARC(大強度陽子加速器施設;Japan Proton Accelerator Research Complex)

日本原子力研究開発機構と高エネルギー加速器研究機構が共同で運営している加速器実験施設。陽子加速器群と、物質・生命科学実験施設、ニュートリノ実験施設、ハドロン実験施設の実験施設群から成り、物質科学、生命科学、素粒子物理、原子核物理など幅広い分野の研究が行われている。本研究では、物質・生命科学実験施設の中性子準弾性散乱装置を用いて実験を行った。

5)アルツハイマー病

記憶や思考能力が徐々に損なわれ、最終的には日常生活を行う能力も失われてしまう不可逆的な進行性の脳疾患で、認知症の原因として最も多い疾患である。アルツハイマー病患者の脳の病理解剖で、老人班と呼ばれる数10~100 mの大きさの構造物が多く見つかるが、その主成分が、「アミロイドβタンパク質」のアミロイド線維であることから、このタンパク質のアミロイド線維形成が発症と密接な関係があると言われている。

6)家族性アミロイドポリニューロパチー

血清中のタンパク質の変異により全身の様々な臓器にアミロイド線維が沈着し、機能障害を起こす病気の一種で、神経障害を主な症状とするものをいう。種々の病型があるが、特に「トランスサイレチン」というタンパク質の変異が原因での発症の頻度が最も高い。

7)アミノ酸側鎖

タンパク質はアミノ酸が重合して1本の鎖を形成したものである。アミノ酸は、アミノ基とカルボキシル基を持ち、右図のように、アミノ酸同志の脱水縮合でペプチド結合を形成し、鎖を形成していく。タンパク質を作るアミノ酸は20種類あるが、アミノ酸毎に側鎖の組成が異なり、その大きさ、電荷分布などが異なる。ペプチド結合で連なっていく主鎖の部分が「ひも」であり、突き出たアミノ酸側鎖が「こぶ」となる。タンパク質を形成する鎖のアミノ酸の配列はタンパク質毎に異なるので、タンパク質毎に側鎖の並び方が異なる。この側鎖の並び方の違いがタンパク質の個性の違いとなり、性質、機能の違いとなる。

8)X線小角散乱

X線を物質に照射し、散乱されたX線の強度を測定することで物質の構造情報を得る手法で、散乱角の小さいX線の測定から物質のナノスケールの情報が得られる。タンパク質の溶液試料の測定から、タンパク質の溶液中での構造情報、特に、タンパク質の形状に関する情報が得られるので、タンパク質の構造研究でもしばしば用いられる。

9)動的光散乱

レーザー光を目的とする粒子を含む溶液に照射し、その散乱光の時間変化を測定することで、粒子の移動のしやすさを表す拡散係数を測定する方法である。タンパク質溶液の測定の場合、タンパク質全体の移動のしやすさを調べることができる。

10)電子顕微鏡

可視光を用いる通常の光学顕微鏡と異なり、電子線を用いて観察することにより、光学顕微鏡よりはるかに解像度が高く、ナノスケールの構造を観察することができる顕微鏡である。

11)天然変性タンパク質

通常のタンパク質はアミノ酸がつながった「ひも」および側鎖の「こぶ」がきちんと折り畳まれ、特定の構造を持つが、「ひも」の全てあるいは一部の領域が、特定の構造を持たずに様々な構造間をゆらいでいるタンパク質が存在する(下図参照)。即ち、これらのタンパク質は、自然の状態で「ひも」が変性しているために、天然変性タンパク質と呼ばれる。α-シヌクレインは代表的な天然変性タンパク質の一つである。ヒトの全タンパク質の約30% が天然変性タンパク質あるいは天然変性領域を持つタンパク質と言われており、生命現象が発揮される上での天然変性タンパク質の役割は重要と考えられる。

12)レビー小体型認知症

レビー小体型認知症とは、老年期に認知症を呈する病気の一つで、アルツハイマー型認知症についで多い病気で、高齢者の認知症の約20%を占めている。記憶障害を中心とした認知症と、動作が遅くなり転びやすくなるパーキンソン症状、繰り返す幻視がみられる。

参考部門・拠点:   J-PARCセンター

症状は病気の兆候

2025年06月26日 12時04分32秒 | 医科・歯科・介護

頭痛や吐き気のように、本人が主観的に感知する心身の不健康感を「症状(Symptom)」という。

 

これに対して発熱や嘔吐のように客観的に検知できる心身の異常を「徴候(Sign)」という。 多くの場合、症状と徴候は同時に現れる。

たとえば頭痛を訴える人の体温を測ると39℃を示すとか、嘔気を訴えているうちに実際に嘔吐するとかだ。 しかし、症状と徴候は必ずしも手を携えて現れるわけではない。

 

悪い病気には必ず「こんな兆候」がある

がん 心筋梗塞 脳梗塞 糖尿病ほか

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虫歯でもないのに歯が痛い、最近脚がよくつる、左腕がだるい―こんな症状、見すごしていませんか? そこには危険な病気が潜んでいる可能性があります。

背部が痛いのは要注意

「目がかすんで、見えにくくなったな・・・」

 Aさんが40代前半のときだった。近くの眼科へ行くと「糖尿病性網膜症」と診断された。生活を改善するよう指導されたが、痛みが生じるものでもなく、視力が弱くなった程度で日常生活に支障がなかったので、「まあ、いいか」とそのまま放置した。酒好きで毎日晩酌を欠かさず、1日2箱は吸う煙草もやめることはなかった。

 

 そうして6年経ったある日、突然、呼吸困難が彼を襲った。苦しくて歩くこともできず、救急車で病院へ担ぎ込まれた。病名は急性心筋梗塞。そのまま入院して2ヵ月後、容態が急変して帰らぬ人となった。まだ48歳の若さだった―。

 金沢医科大学氷見市民病院(富山県氷見市)総合診療科長の神田享勉医師が言う。

「この方には一卵性双生児の兄がいます。兄も糖尿病でしたが、内科で受診して治療を受け、現在も元気に過ごしています。A氏も糖尿病を指摘された時点で、適切な治療を始めていれば、助かったはずです。遺伝子より、本人の生活態度が明暗を分けたのです」

神田医師が勤務する「総合診療科」は、自分の体に異状は感じるが、「何科を受診すればよいかわからない」という患者の診断を行い、適切な診療科へ案内する、いわば「診断のプロ」集団だ。そんな神田医師に、よくある症状の見分け方を聞いた。

●頭痛

 急激にきた頭痛で、例えばハンマーで殴られたような頭痛は危ない。クモ膜下出血の可能性アリ。高熱があって頭痛を伴うのも危険。意識が遠のくようなら、髄膜炎かもしれない。逆に、締めつけられるような頭痛や、頭を押して痛む場合は、頭の表面、つまり頭皮の神経が傷んでいる場合がほとんどで、命の心配はない。

●胸の痛み

 締めつけられる痛みは要注意。狭心症や心筋梗塞の可能性アリ。逆に、胸がちくちく痛むのは、まず問題ない。肋骨の間を押すと痛むケースも生命の危険はない。

「肋骨の間が痛いのは、『肋軟骨炎』といって、主にストレスが原因なのです」

●腹痛

 鋭く持続的な痛みは危ない。局部が痛ければ、自分で押してみるとよい。痛みが強くなれば、腹膜炎の可能性が高い。右下腹部が、押すときより離すときの方が痛い場合は、虫垂炎か憩室炎。背部の痛みも注意が必要で、前屈して楽になるのは、膵臓がんや膵炎が疑われる。

 このように、同じ部分の痛みでも、原因は様々。だが、一つの兆候だけで、病気か否かは決めつけられない。日本人に多くみられる「悪い病気」―「がん」「心臓病」「脳卒中」「糖尿病」について、放っておくと危険な兆候を、専門医に聞いた。

血便は大腸がんを疑え---がん

 いまや日本人の死因第1位で、年間約34万人が死亡しているがん。一般的に、早期がんでは自覚症状がないことが多いことは知られているが、部位によって特徴的な症状はあるという。

●胃がん

 空腹時にみぞおちあたりが痛む、食後にムカムカする―このような症状を繰り返したら、要注意だ。

「これは胃潰瘍の症状ですが、胃がんとの合併症が多い。このような症状の出た方が胃カメラを飲むと、胃潰瘍と一緒に胃がんが見つかるケースがよくあります」

 こう指摘するのは、都立駒込病院(東京都文京区)外科部長の岩崎善毅医師。胃がんは、初期の場合、症状がないことが多く、検診で発見されるケースがほとんどだという。では、がんがさらに進行した場合はどんな症状が出るのだろうか。

「食欲がなくなる、貧血、便に黒っぽい血液がまじる黒色便などの症状が出ます。食道と胃の境目にできたがんが大きくなると、食べ物がつかえるような感じがする。

 胃の下部、腸との境目にできると、食べてもすぐにお腹がいっぱいになったり、吐いてしまう、体重が急に減ってくるなどの症状が現れてきます。ここまで来ると、かなりがんは進行している。そうなる前に、胃の不具合を感じたら、消化器科の医師に相談しましょう」(岩崎医師)

●肺がん

 「風邪かな?」と勘違いしやすいのが、扁平上皮がん。気管支の上皮にできるがんだ。化学療法研究所附属病院(千葉県市川市)副院長の小中千守医師が解説する。

「これは比較的早い時期から症状が出るタイプの肺がんです。咳が出たり、ちょっと進行しただけで、血痰が出るようになります。ただ、咳が出るので医者に行ったが、がんが小さいためレントゲンには何も写らず、『風邪』と診断されて、がんが見逃されたというケースがよくあります。

 気管支にがんができた場合も、大きくなってくると咳が出ます。また、気管が細くなるので、ヒューヒューという呼吸音が聞こえ、喘息のような症状も出る。息を吸うときと吐くときのどちらも音が聞こえる場合は、喘息ではなくがんの疑いが強いと判断できます」

 こうした症状があったら、痰の細胞診やCTなどを受けることだ。

 肺がんは、種類やできる場所によって、兆候の出方が異なるという。

 扁平上皮がんの他に、代表的な肺がんに、小細胞がんと腺がんがある。小細胞がんは、進行すると声がかれることがある。腺がんは肺の端にできるので、初期には症状がないが、進行して、がんが肺から飛び出し胸壁に浸潤してしまうと、胸が痛くなることがある。リンパに転移すると、顔や首がむくんだり、息苦しくなる場合もある。

昭和大学横浜市北部病院 副院長・消化器センター長の工藤 進英医師

「肺がんは、症状が出る頃には手遅れになっていることが多い。ですから、40歳を過ぎたら、年に1回レントゲンを撮ることをお勧めします。症状のない腺がんも、検診で見つかります」(小中医師)

●大腸がん

「便が出きらない、便をしたあとにすぐまた行きたくなる。これは直腸がんの典型的な症状。腸が狭くなっているので、残便感があるので

す。そうした症状が出たら、まず大腸がんを疑います。

 また、結腸がんでは、便秘傾向や、便が細くなるなどのほか、腹痛があることもあります」

 そう話すのは、昭和大学横浜市北部病院(神奈川県横浜市)消化器センター長の工藤進英医師。大腸がんは早期の場合、ほとんど症状が出ないが、進行がんの場合、共通して最も多い兆候は血便である。

「ただ、日本人の約半分は痔持ちなので、血便が出ても『自分は痔だから』と勝手に解釈して発見が遅れるケースがとても多いのです」

 肛門に近い直腸がんの場合は真っ赤な血便、S状結腸がんは少し黒っぽく粘性のある血便、胃や十二指腸から出血している場合は墨汁のような真っ黒な便が出るという。大腸がんは早期の場合、日帰りの内視鏡治療で完治できる。だからこそ、血便が出たらとにかく内視鏡検査を受けることだ。

夜中に2回以上のトイレ---肝臓がん

 「沈黙の臓器」と言われるだけに、がんが相当進行しないと症状が出ない。したがって兆候からがんを発見するのは難しい。順天堂大学医学部附属順天堂医院(東京都文京区)肝・胆・膵外科主任教授の川崎誠治医師が言う。

「日本の肝臓がんの場合、C型肝炎をベースに持っている方が7割です。他にB型肝炎が1~2割、最近増えてきた非アルコール性脂肪性肝炎(通称NASH)が1割程度。ですから、肝炎の患者さんは、定期的に専門医に診てもらうことが一番です」

 NASHはメタボリックシンドロームの人に多いとされる。また、アルコールを長年大量に飲み続けアルコール性の肝硬変になった場合も、肝臓がんになりやすい。休肝日をもうけることは、その意味でも大切だ。

●前立腺がん

 尿の出が悪い、尿意はあるのに出ない、液に血が混じる、ED、昼間2時間おきに尿意を催す、夜中2回以上トイレに起きる、失禁する―これらの症状にどれか1つでも当てはまったら、前立腺の疾患が考えられる。

「これらの症状が前立腺がんに直結するものではありませんが、前立腺肥大や前立腺炎といった前立腺関連の疾患にも共通する症状です。これらの病気と合併して、前立腺がんが見つかることも多いので、兆候には注意が必要です」

 長瀞医新クリニック(埼玉県秩父郡)院長の横山博美医師は、こうアドバイスする。特に、尿の障害は、老化とともに、ある程度出てくるものなので、「年のせいだから」と放置している人も多いという。

 前立腺がんが進行すると、これらの症状に加えて、背骨、腰、骨盤、恥骨などに痛みが出てくる。骨に転移するためだ。

「前立腺がんは、早期発見なら完治できます。患者さんの多くは60代ですが、目安としては、50代になったら、一度PSA検査を受けてください」(横山医師)

 PSA検査とは、血液中のPSA(前立腺特異抗原)を測定するもので、1ng/ml以下であれば、3年に1回検査を受ける。3ng/ml以上の場合は要注意なので、半年に1回検査をして経過を見る。がんだけではなく、前立腺肥大や、前立腺炎などの場合も、この数値は上昇する。

●心筋梗塞・狭心症

 動脈硬化で粥腫というおできのようなものができて、冠動脈が狭くなるのが狭心症、血栓で詰まってしまうのが心筋梗塞だ。心筋梗塞は突然発症するケースも多く、兆候を見つけるのが難しいこともあるが、多くの人に共通した予兆があるという。虎の門病院(東京都港区)循環器センター内科部長の石綿清雄医師が指摘する。

「最も典型的なのは、いつもと同じ行動をしているのに、前胸部、みぞおちのあたりが痛むパターンです。それも一点ピンポイントではなく、胸全体に重い痛みが現れるのが特徴。例えば、階段の途中で胸が痛くなり上れなくなる。普通に歩いているのにひどく息が切れるなど。

 このような症状が急に出てきて、時間と共に悪化していくのを見逃さないことが大切。じっとしているのに胸が痛くなる人もいます。こうなると不安定狭心症といって心筋梗塞に移行する直前の症状です」

 心筋梗塞の多くは、明け方から午前中に発生することがわかっている。「前日、遅くまで仕事をして睡眠不足のまま早朝からゴルフに出かけ、倒れる人もいます。特に注意が必要なのは、その日の最初のティーショットや、勝負を決めるパターの瞬間。いずれも極度の緊張がかかるため、心筋梗塞になりやすい」(石綿医師)という。狭心症を持っている人は、特に注意したい。

 見逃されやすいこんな兆候もある。

あごや歯の痛み・・・虫歯でもないのに、あごのあたりに固く締めつけられるような痛みを感じる。歯が浮く感じがする

腕の痛み・・・特に左腕内側にだるい痛みがあり、力が抜けるような感じがする

 血圧やコレステロール値が高く、肥満傾向にある人がかかりやすいので生活習慣にも気をつけたい。

 

 

 


エナジートロン 爪は健康のバロメーター

2025年06月21日 12時05分13秒 | 医科・歯科・介護
エナジートロンで、爪の伸びが早くなった人が多かった。
 
は指先を保護し納品たり、物をつかむときの指の支えになっている他、 指の先端には、神経や血管が多く通っていることから、健康状態を映し出す役割も担っています。
 健康な爪は薄いピンク色。 表面も滑らかでつやもあります。 の形や色がいつもと違った場合は、体調不良などを知らせるサインかもしれません。 に横線がある場合は、栄養不良や血行不良、ストレスなどの影響で、の成長が抑えられている状態を表わします。

爪は健康のバロメーター!? 日頃から爪をチェックしてみよう ...

この日は、人間の口、食道、消化管、胃の働き、十二指腸、肝臓の働き、小腸、大腸の役割などが解説された。

エナジートロンの体験で、胃の痛みが改善された人や寝起き良くなった人が居た。

電気でしか、血液はきれいにならない―という話は、来週の月い曜日に話すとうだ。

インストラクターは、健康・維持・増進と予防に良いと強調していた。

 


血液の汚れとは?

2025年06月20日 03時05分46秒 | 医科・歯科・介護

「ドロドロ血液」汚れの四つの凶悪原因とは? 血管を若返らせる「抗酸化食品」を紹介

ドクター新潮 ライフ

栗原毅

栗原毅医師(他の写真を見る

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 昨年夏に厚生労働省が発表した統計資料によれば、2021年時点での日本人の平均寿命は男性が81.47歳、女性が87.57歳で、女性は世界1位。

平均寿命とは、その年に生まれた0歳児が平均して何歳まで生きるかを予測したものですから、交通事故や病気で若くして亡くなる人がいることを考慮すれば、すでに高齢期にさしかかっている人はさらに長生きをすると考えられます。実際、17年の時点で日本人男性の4人に1人、女性だと半分以上が90歳まで生存することが分かっている。人生100年時代は本当に目前まで迫ってきていると言ってよいでしょう。

 一方で統計資料には平均寿命の他に「健康寿命」というデータもあります。これは介護を受けることなく自立した生活を送れる期間を指しますが、19年時点の男性の健康寿命は72.68歳、女性が75.38歳。

つまり、平均寿命と健康寿命との間には、男性で約9年間、女性で約12年間の“ギャップ”が存在するのです。言い換えれば、男女とも人生の最後は平均して10年前後の要介護生活を送らなければならないのです。

健康寿命を伸ばすために必要なこと

〈医療技術の発達や国民の健康意識の向上により寿命が延びるのは喜ばしいこと。だが、要介護状態のまま長生きするのはあまりにわびしい。長年にわたり生活習慣病などの治療に当たってきた栗原クリニック東京・日本橋の栗原毅院長が指摘する通り、長寿国となったわが国では健康寿命をいかに延ばすかが喫緊の課題となっている。

 栗原氏によれば、要介護生活に陥る人たちの多くには「血管の不調」という共通点が見られる。

そして、この重要な体内インフラである血管の不調を改善することこそが“ピンピンコロリ”への一番の近道なのだという。〉

 なぜわれわれは要介護生活に陥ってしまうのか。19年の厚労省の発表によれば、要介護に陥る原因の第1位は認知症で17.6%、第2位は脳血管疾患で16.1%となっています。

 脳血管疾患とは脳梗塞や脳出血、くも膜下出血などの総称で、脳にある血管が詰まったり傷ついたりしてしまうことで起こる病気です。

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血液をアルカリ化する

2025年06月20日 02時58分04秒 | 医科・歯科・介護

私たちの体にとって、ミネラルは生命活動を維持するために必要不可欠な栄養素です。特に腎臓は、血液中のミネラル濃度を精密に調整する重要な役割を担っています。

腎臓の機能が低下すると、カルシウム、リン、カリウムといったミネラルのバランスが崩れ、体に様々な不調が現れることがあります。

この記事では、腎臓とミネラルの関係、各ミネラルの役割、そしてバランスが崩れた場合に起こりうる問題について、分かりやすく解説します。

腎臓の基本的な働きとミネラルの重要性

腎臓は、私たちの体を健康に保つために、休むことなく働き続ける臓器です。その機能は多岐にわたりますが、特に体内のミネラルバランスを維持する上で中心的な役割を果たします。

ミネラルは微量でも体の調子を整えるために重要な栄養素であり、その濃度が適切に保たれることで、私たちは健康な生活を送ることができます。

腎臓が担う主な機能

腎臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれ、自覚症状が出にくい特徴がありますが、生命維持に欠かせない多くの働きをしています。主な機能には、老廃物の排泄、体液の量と組成の調整、血圧の調整、ホルモンの産生などがあります。

腎臓の主要な機能

機能 説明
老廃物の濾過と排泄 血液を濾過し、体内で不要になった老廃物や余分な水分を尿として体外へ排出します。
体液バランスの維持 体内の水分量やナトリウム、カリウムなどの電解質(ミネラル)濃度を一定に保ちます。
血液の酸性・アルカリ性調整 血液のpHバランスを適切に保ち、体が正常に機能するように調整します。

体内におけるミネラルの役割

ミネラルは、体の構成成分となるだけでなく、体の機能を維持・調整する上で非常に重要です。例えば、骨や歯の形成、神経や筋肉の機能維持、ホルモンの作用など、生命活動の様々な場面で活躍しています。

代表的なミネラルには、カルシウム、リン、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、亜鉛などがあります。

主要ミネラルの種類と基本的な働き

ミネラル名 主な働き
カルシウム (Ca) 骨や歯の主成分。神経伝達や筋肉の収縮にも関与します。
リン (P) 骨や歯の形成、細胞膜の構成成分、エネルギー代謝に関わります。
カリウム (K) 細胞の浸透圧調整、神経刺激の伝達、心機能や筋肉機能の調節を行います。

腎臓病とミネラルバランスの乱れ

腎臓の機能が低下すると、これらのミネラルの排泄や再吸収がうまくいかなくなり、血液中のミネラル濃度に異常が生じます。これをミネラルバランスの異常と呼びます。

例えば、リンが過剰に蓄積したり、カルシウムの吸収が悪くなったり、カリウムが体外へ排泄されにくくなったりします。これらの変化は、骨の病気、血管の石灰化、心臓や血管の病気など、様々な合併症を引き起こす原因となります。

健康な腎臓を維持するためのミネラルの知識

健康な腎臓を維持するためには、ミネラルについて正しい知識を持つことが大切です。

どのミネラルがどのような働きをし、不足したり過剰になったりすると体にどのような影響が出るのかを理解することで、食生活や生活習慣を見直すきっかけになります。

特に、腎臓の機能が低下し始めている場合には、医師や管理栄養士の指導のもと、適切なミネラル管理を行うことが重要です。

カルシウムの役割と腎臓への影響

カルシウムは、私たちの体内に最も多く存在するミネラルであり、そのほとんどが骨や歯に貯蔵されています。しかし、血液中にも一定量のカルシウムが存在し、神経の働きや筋肉の収縮、血液凝固など、生命維持に重要な役割を担っています。

腎臓は、この血液中のカルシウム濃度を精密にコントロールする上で中心的な役割を果たします。

カルシウムとはどんなミネラルか

カルシウムは、骨や歯の主要な構成成分であることはよく知られています。しかし、それ以外にも、細胞間の情報伝達、ホルモンの分泌、酵素の活性化など、体の様々な生理機能に関与しています。

体内のカルシウムの約99%は骨と歯に存在し、残りの約1%が血液や細胞内に存在して、これらの重要な働きをしています。

腎臓とカルシウム代謝の深い関係

腎臓は、カルシウム代謝において複数の重要な役割を担います。まず、尿へのカルシウム排泄量を調節することで、体内のカルシウム量を一定に保ちます。また、腎臓はビタミンDを活性型ビタミンDに変換する働きも持っています。

活性型ビタミンDは、腸からのカルシウム吸収を促進し、骨の健康を維持するために必要です。腎機能が低下すると、これらの調節機能がうまく働かなくなり、カルシウム代謝に異常が生じます。

カルシウム代謝に関わる腎臓の働き

  • 尿中へのカルシウム排泄量の調整
  • 活性型ビタミンDの産生
  • リンの排泄調整(間接的にカルシウムに影響)

カルシウム異常が引き起こす症状(高カルシウム血症・低カルシウム血症)

血液中のカルシウム濃度が正常範囲から外れると、様々な症状が現れます。カルシウム濃度が高すぎる状態を高カルシウム血症、低すぎる状態を低カルシウム血症と呼びます。

高カルシウム血症の主な症状

症状の種類 具体的な症状例
消化器系 食欲不振、吐き気、嘔吐、便秘
精神神経系 倦怠感、意識障害、抑うつ
泌尿器系 多尿、口渇、腎結石

一方、低カルシウム血症では、手足のしびれ、筋肉のけいれん(テタニー)、不整脈などが起こることがあります。重症化すると、喉頭けいれんによる呼吸困難や、けいれん発作を起こすこともあります。

腎臓病患者におけるカルシウム管理

慢性腎臓病(CKD)が進行すると、活性型ビタミンDの産生が低下し、腸からのカルシウム吸収が悪くなります。

また、リンの排泄も悪くなり高リン血症を招きやすく、これが二次性副甲状腺機能亢進症を引き起こし、骨からカルシウムが過剰に溶け出す原因となります。

そのため、腎臓病患者さんでは、血清カルシウム濃度、リン濃度、副甲状腺ホルモン(PTH)濃度などを定期的に測定し、適切な管理を行うことが重要です。

食事療法や薬物療法(カルシウム製剤、活性型ビタミンD製剤、リン吸着薬など)を組み合わせて治療します。

リンの役割と腎臓への影響

リンは、カルシウムに次いで体内に多く存在するミネラルで、骨や歯の主要な構成成分です。

また、細胞膜の成分であるリン脂質や、遺伝情報を担う核酸(DNA、RNA)、エネルギー通貨であるATP(アデノシン三リン酸)の構成成分としても重要です。

腎臓は、体内のリン濃度を一定に保つために、尿へのリン排泄量を調節しています。

リンとはどんなミネラルか

リンは、生命活動に不可欠なミネラルであり、私たちの体のあらゆる細胞に存在します。主な役割は、骨や歯の形成、エネルギー産生、細胞膜の構成、遺伝物質の構成、体液のpHバランスの維持など多岐にわたります。

食品中には有機リンと無機リンの形で存在し、特にタンパク質が豊富な食品(肉、魚、乳製品、豆類など)や加工食品に多く含まれます。

腎臓によるリンの調節機能

健康な腎臓は、食事から摂取されたリンの量に応じて、尿中へのリン排泄量を調節し、血液中のリン濃度を厳密にコントロールしています。

この調節には、副甲状腺ホルモン(PTH)や線維芽細胞増殖因子23(FGF23)といったホルモンが関与しています。

腎機能が低下すると、これらのホルモンの働きが乱れ、リンの排泄がうまくいかなくなり、血液中にリンが蓄積しやすくなります(高リン血症)。

リン異常が引き起こす症状(高リン血症・低リン血症)

血液中のリン濃度が異常になると、様々な健康問題を引き起こします。特に腎臓病では高リン血症が問題となることが多いです。

高リン血症の主な症状と影響

影響 具体的な内容
骨への影響 骨の痛み、骨折しやすくなる(腎性骨症)。
血管への影響 血管壁にカルシウムとリンが沈着し、血管が硬くなる(血管石灰化)。動脈硬化を進行させ、心筋梗塞や脳卒中のリスクを高めます。
皮膚への影響 強いかゆみが生じることがあります。

低リン血症は、腎臓病患者さんでは比較的まれですが、極端な食事制限や特定の薬剤の使用などにより起こることがあります。症状としては、筋力低下、骨の痛み、食欲不振などが見られます。

腎臓病患者におけるリン管理と食事療法

腎臓病患者さん、特に透析治療を受けている患者さんにとって、リンの管理は非常に重要です。高リン血症は、心血管疾患のリスクを高め、生命予後にも影響を与えるため、厳格なコントロールが求められます。

リン管理の基本は、食事療法、薬物療法(リン吸着薬)、そして適切な透析です。

リンを多く含む主な食品群

  • 乳製品(牛乳、チーズ、ヨーグルト)
  • 肉類、魚介類、卵
  • 豆類、種実類
  • 加工食品(ハム、ソーセージ、インスタント食品、清涼飲料水など)

食事療法では、これらの食品の摂取量に注意が必要です。特に加工食品には無機リンが多く含まれており、吸収率も高いため、できるだけ避けることが推奨されます。

管理栄養士と相談し、個々の状態に合わせた食事計画を立てることが大切です。

カリウムの役割と腎臓への影響

カリウムは、主に細胞内に存在するミネラルで、細胞の正常な機能維持に必要です。ナトリウムとのバランスを保ちながら、細胞の浸透圧を調整したり、神経刺激の伝達、心筋を含む筋肉の収縮に関与したりしています。

腎臓は、体内のカリウム量を一定に保つために、尿へのカリウム排泄量を調節する重要な役割を担っています。

カリウムとはどんなミネラルか

カリウムは、生命維持に欠かせない電解質の一つです。体内のほとんど(約98%)は細胞内に存在し、細胞外液(血液など)にはごく微量しか存在しません。この細胞内外のカリウム濃度差が、神経や筋肉の正常な働きに重要です。

カリウムは、野菜、果物、いも類、豆類、海藻類などに多く含まれています。

腎臓によるカリウムの調節機能

腎臓は、カリウムバランスを維持する主要な臓器です。食事から摂取されたカリウムの大部分(約90%)は腎臓から尿中へ排泄されます。

腎臓は、体内のカリウム量に応じて、尿細管でのカリウムの再吸収と分泌を調節し、血液中のカリウム濃度を狭い範囲内に保ちます。この調節には、アルドステロンというホルモンなどが関与しています。

カリウム異常が引き起こす症状(高カリウム血症・低カリウム血症)

血液中のカリウム濃度が正常範囲を超えて高くなる状態を高カリウム血症、低くなる状態を低カリウム血症と呼びます。どちらも体に様々な影響を及ぼし、特に心臓への影響が大きいため注意が必要です。

高カリウム血症の主な症状

症状の系統 具体的な症状例
神経・筋症状 手足のしびれ、脱力感、知覚過敏、麻痺
消化器症状 吐き気、嘔吐、下痢
心血管症状 不整脈、心電図異常、重篤な場合は心停止

低カリウム血症では、筋力低下、筋肉痛、便秘、不整脈などが現れることがあります。高カリウム血症も低カリウム血症も、症状が出にくい場合があるため、定期的な血液検査によるチェックが重要です。

腎臓病患者におけるカリウム管理のポイント

腎機能が低下すると、カリウムの排泄能力が低下し、高カリウム血症を起こしやすくなります。特に、尿量が減少している場合や、特定の薬剤(ACE阻害薬、ARB、カリウム保持性利尿薬など)を使用している場合は注意が必要です。

高カリウム血症は、致死的な不整脈を引き起こす可能性があるため、厳格な管理が求められます。

カリウムを多く含む代表的な食品

食品カテゴリー 代表的な食品例
果物類 バナナ、メロン、キウイフルーツ、アボカド、ドライフルーツ
野菜類 ほうれん草、かぼちゃ、たけのこ、いも類(じゃがいも、さつまいも)
その他 豆類、海藻類、ナッツ類

食事療法では、これらのカリウムを多く含む食品の摂取量を制限することが基本となります。野菜やいも類は、茹でこぼしたり、水にさらしたりすることでカリウムの含有量を減らすことができます。

ただし、自己判断での極端な制限は栄養バランスを崩す可能性があるため、必ず医師や管理栄養士の指導を受けましょう。

その他の重要なミネラルと腎臓

カルシウム、リン、カリウム以外にも、腎臓の健康や体全体の機能維持に関わる重要なミネラルは数多く存在します。

ここでは、マグネシウム、ナトリウム、そして特に「腎臓 亜鉛」というキーワードで関心の高い亜鉛について、腎臓との関連を中心に解説します。

マグネシウムと腎臓の健康

マグネシウムは、体内で300種類以上の酵素反応に関与し、エネルギー産生、タンパク質合成、神経機能、筋肉収縮など、多岐にわたる生命活動を支えています。腎臓はマグネシウムの排泄を調節し、体内のマグネシウムバランスを維持しています。

腎機能が低下すると、マグネシウムが体内に蓄積しやすくなり、高マグネシウム血症を引き起こすことがあります。高マグネシウム血症の症状には、吐き気、筋力低下、血圧低下、呼吸抑制などがあります。

腎臓病患者さんは、マグネシウム含有量の多い制酸薬や下剤の使用には注意が必要です。

ナトリウムと腎臓機能のバランス

ナトリウムは、主に細胞外液に存在し、体液量や浸透圧の調節、神経刺激の伝達、栄養素の輸送などに関与しています。腎臓はナトリウムの排泄量を調節することで、体内の水分バランスや血圧をコントロールしています。

腎機能が低下すると、ナトリウムと水分の排泄がうまくいかなくなり、体内に余分な水分が溜まりやすくなります。これにより、むくみ(浮腫)、高血圧、心不全などを引き起こす可能性があります。

そのため、腎臓病患者さんでは、塩分(ナトリウム)摂取量の制限が重要となります。

亜鉛と腎臓の関係性

亜鉛は、多くの酵素の構成成分として、免疫機能、創傷治癒、味覚、成長、生殖機能など、体の様々な機能に関与する重要な微量ミネラルです。「腎臓 亜鉛」というキーワードで検索される方が多いように、亜鉛と腎臓には深い関わりがあります。

腎臓病患者さん、特に透析患者さんでは、食事制限や透析による喪失などにより、亜鉛欠乏が起こりやすいことが知られています。

亜鉛欠乏で見られる主な症状

  • 味覚障害(味が分かりにくい、金属味など)
  • 食欲不振
  • 皮膚炎、脱毛
  • 免疫機能の低下(感染症にかかりやすくなる)
  • 創傷治癒の遅延

これらの症状が見られる場合、亜鉛欠乏の可能性も考慮し、医師に相談することが大切です。亜鉛は、牡蠣、肉類、レバー、豆類などに多く含まれます。

腎臓病の食事療法を行っている場合は、亜鉛の摂取量も考慮し、必要に応じて医師の判断のもとで亜鉛製剤の補充を検討することもあります。

亜鉛を比較的多く含む食品

食品名 特徴
牡蠣(かき) 亜鉛含有量が非常に多い代表的な食品です。
牛肉(赤身) 良質なタンパク質とともに亜鉛も摂取できます。
レバー(豚・鶏) 鉄分も豊富ですが、亜鉛も多く含みます。

微量ミネラル(鉄、銅など)と腎臓

鉄は、赤血球中のヘモグロビンの成分として酸素運搬に不可欠であり、不足すると腎性貧血を悪化させる可能性があります。腎臓病患者さんでは、エリスロポエチン産生の低下に加え、鉄欠乏も貧血の原因となるため、適切な鉄管理が重要です。

銅は、鉄の利用を助けたり、活性酸素を除去する酵素の成分となったりするミネラルです。腎臓病における銅の代謝異常はあまり顕著ではありませんが、バランスの取れた摂取が大切です。

ミネラルバランスを保つための生活習慣

腎臓の機能が低下している場合、ミネラルバランスを維持するためには、日々の生活習慣の見直しが非常に重要です。食事療法を中心に、水分摂取、適度な運動、そして定期的な検査と医師との連携が鍵となります。

自己判断に頼らず、専門家のアドバイスを受けながら、根気強く取り組むことが大切です。

食事療法の基本と注意点

腎臓病の食事療法は、病気の進行度や個々の状態によって内容が異なりますが、一般的にタンパク質、塩分、カリウム、リンなどの摂取量を調整します。ミネラルの観点からは、特にカリウムとリンのコントロールが重要です。

ミネラルコントロールのための食事の工夫

ミネラル 工夫のポイント
カリウム 野菜やいも類は小さく切って茹でこぼす、水にさらす。果物は摂取量に注意する。
リン 加工食品や乳製品、肉・魚卵の摂取を控える。リン吸着薬を食直前に服用する。
ナトリウム(塩分) だしや香辛料を活用して薄味に慣れる。漬物や加工食品を控える。

管理栄養士による栄養指導を受け、具体的な食品の選び方や調理方法について学ぶことが、食事療法を継続する上で役立ちます。また、食事記録をつけることで、自身の食生活の傾向を把握しやすくなります。

水分摂取の重要性

水分摂取は、腎臓の状態によって推奨される量が異なります。腎機能が比較的保たれている初期の段階では、適度な水分摂取が老廃物の排泄を助けることがあります。

しかし、腎機能が著しく低下し、尿量が減少している場合や透析治療を受けている場合は、水分制限が必要となることがあります。過剰な水分摂取は、むくみや心臓への負担を増大させる原因となります。

医師の指示に従い、適切な水分量を守ることが重要です。

適度な運動とミネラル代謝

適度な運動は、体力維持、筋力向上、ストレス解消だけでなく、血糖コントロールや脂質代謝の改善にもつながり、間接的に腎臓への負担を軽減する効果が期待できます。

ただし、運動の種類や強度は、個々の健康状態や腎機能に合わせて調整する必要があります。無理のない範囲で、ウォーキングなどの有酸素運動を継続することが推奨されます。

運動前に医師に相談し、適切なアドバイスを受けるようにしましょう。

定期的な検査と医師との連携

腎臓病の管理において、定期的な血液検査や尿検査は非常に重要です。これらの検査によって、腎機能の状態やミネラルバランスの変化を把握し、治療方針を適切に調整することができます。

検査結果について医師から十分な説明を受け、自身の状態を理解することが大切です。

また、食事療法や薬物療法で疑問点や不安なことがあれば、遠慮なく医師や看護師、管理栄養士に相談し、良好なコミュニケーションを保ちながら治療に取り組むことが、ミネラルバランスの維持、そして腎臓病の進行抑制につながります。

腎臓とミネラルに関するよくある質問(Q&A)

腎臓とミネラルの関係について、患者さんやご家族から寄せられることの多い質問とその回答をまとめました。これらの情報が、皆様の疑問解消の一助となれば幸いです。

腎臓が悪くなると、なぜミネラルバランスが崩れるのですか?

腎臓は、血液を濾過して尿を作る過程で、体に必要なミネラルを再吸収し、余分なミネラルを排泄するという精密な調整を行っています。

腎機能が低下すると、この調整能力が衰えるため、特定のミネラルが体内に溜まりすぎたり(例:カリウム、リン)、逆に不足したり(例:活性型ビタミンDの低下によるカルシウム吸収不良)するようになり、ミネラルバランスが崩れます。

食事以外でミネラルバランスを整える方法はありますか?

食事療法が基本ですが、それだけではコントロールが難しい場合、薬物療法が行われます。

例えば、リンが高い場合にはリン吸着薬を服用して腸からのリン吸収を抑えたり、カルシウムや活性型ビタミンDが不足している場合にはそれらを補う薬を使用したりします。

また、カリウムが高い場合には、カリウムを下げる薬を使用することもあります。これらの薬は医師の指示に従って正しく使用することが重要です。


自殺する人間 自殺しない人間の違いは?

2025年05月30日 01時17分32秒 | 医科・歯科・介護

医師が語る 自殺する人と、踏みとどまる人の違い

自殺について考える(上)

 
自殺を考え、実行してしまう人と踏みとどまる人の違いには、精神疾患の重症度のほかに、個人のパーソナリティーが大きく影響しているようです。
3月は例年、月別自殺者数が最も多くなることから、厚生労働省は「自殺対策強化月間」と定めている。3月に自殺者が増えるのはなぜか。人はどんなときに自殺を考えるのか。身近な人が「死にたい」と言葉にしたとき、私たちはどのように対応すればいいのか。日本自殺予防学会理事長で、帝京大学医学部附属溝口病院精神神経科教授の張賢徳さんにお話を伺った。

前編では、3月に自殺者が増える要因や、人が自殺を考えるプロセスについて解説する。

3月の自殺には特有の心理が影響する

――3月は1年の中で最も自殺者数が多くなっています。なぜ、3月に自殺者が増えるのでしょうか。

月別の自殺者数はその時代によっても変わってくるのですが、厚生労働省が発行している「平成29(2017)年版自殺対策白書」の「月別自殺者数の推移」を見ると、近年はほとんどの年で3月、次いで5月に自殺者が多くなっていることが分かります。

※「平成29(2017)年版自殺対策白書」より

この現象には、いくつかの要因が考えられます。一つは、3月は自殺につながりやすい心理的な効果が働くことです。そもそも自殺を考える人のほとんどは困り事を抱えていて、精神科で診断がつくレベルのうつ状態になっています。これについては後で詳しく説明したいと思いますが、そうした精神状態にあるところへ、3月は年度末となることから追い立てられるような心境に拍車がかかり、「死ぬしかない」という思いに駆られやすいのです。

さらに、年度末には現実的な問題が生じることも多くなります。例えば、会社員の人では年度末は繁忙期でもあり、残業や休日出勤が多くなると、睡眠などの心身を休める時間や、家族・友人とのコミュニケーションの時間も十分に取れなくなります。自営業の人では、取引先への支払いや借り入れ金の返済を迫られるといった問題も起こってくる。そうした状況が「最後の一押し」となってしまうこともあります。

また、冬の間は気持ちが沈みがちでも、3月になると春の日差しが訪れることで、気分が華やいでくるのを感じる人も多いと思います。ところが、うつ状態にある人は、そうした周囲の華やぎと自分との間にギャップを強く感じてしまい、疎外感や孤独感が深まってしまうことが、100年以上前から指摘されています。海外でも特にヨーロッパでは同様の指摘があり、やはり春に自殺者が多いことが知られています。

――一般的に、春は自律神経のバランスの乱れから、メンタル不調を起こしやすいといわれていますが、そうした影響もあるのでしょうか。

医学的な範囲に限って考えると、それが大きな要因だと思います。自律神経には、体を活性化させるときに優位になる交感神経と、体を休めるときに優位になる副交感神経があり、日の出と日の入りがスイッチとなって、そのバランスが保たれています。私たち人間の体は動物と同じように、冬と夏とでコンディションが異なります。その変わり目となるのが春と秋で、その時期には体の変化とともに、自律神経のバランスも乱れやすくなるんですね。

――春は就職や転職、異動や転勤、引っ越しなど、環境の変化からメンタル不調に陥ることもありそうです。

確かにそうですね。ただ、そういった環境の変化によるメンタル不調が自殺につながってくるのは、5月ごろになると考えられます。3月に環境の変化が起こると、その状態に慣れるために懸命に頑張ります。それから少したつと日本ではゴールデンウイークを迎えるため、そこで張りつめていた緊張の糸がプツッと切れてしまい、いわゆる「五月病」と呼ばれるうつ状態を引き起こし、自殺につながることがあります。つまり、3月に次いで5月に自殺者が多いのは、こちらの要因が大きいことがうかがえます。

余談ですが、環境の変化の中でも引っ越しは特に、うつのトリガー(引き金)となることが知られています。引っ越しの準備から新しい環境に慣れるまで緊張が続いたあとに、ふっと気が抜けることでうつ状態を引き起こす。このような現象は「荷下ろしうつ」と呼ばれています。同様の心理が働くものでは、受験に受かったあとに起こる「合格うつ」、昇格したあとに起こる「昇進うつ」などがあります。合格も昇進も喜ばしいことですが、人によってはそれまでの努力が報われたと同時に、プレッシャーや責任を感じてしまうことがあるんですね。

自殺に至るまでにはプロセスがある

――これまで伺ってきたような状況に陥ったとき、自殺を考え、実行してしまう人もいれば、踏みとどまる人もいます。その選択の違いには、どのような背景があるのでしょうか。

1つには、うつ病をはじめとする精神疾患の重症度が挙げられます。先ほど、自殺を考える人のほとんどは精神科で診断がつくレベルのうつ状態にあるとお話ししましたが、WHO(世界保健機関)が公表しているデータによれば、自殺者の実に約97%が、何らかの精神障害の診断がつく状態であったことが分かっています。

そのうちの約3割を占めるのが、うつ病を含む気分障害。次いで、薬物やアルコール依存などの物質関連障害、統合失調症、パーソナリティー障害の診断が多くなっていて、これらが自殺に関連する4大精神疾患といわれています。また、これらは主たる診断の統計で、重複診断も含めると、自殺者の約7割がうつ病の診断がつく状態であったというリポートもあります。

ただし、人が自殺に至るまでにはプロセスがあり、ある日突然、うつ病を発症するわけではありませんし、うつ病を発症したすべての人が自殺するわけでもありません。何らかの出来事(ライフイベント)をきっかけにうつ状態になった人は、「トンネル・ビジョン」と呼ばれる心の視野狭さくが起こっています。その状態が数カ月も続いていくと、さらに視野が狭くなり、「私はもう死ぬしかない」という気持ちに追い込まれて、自殺のプロセスが進行していく。第三者が客観的に見れば、その人が抱えている問題を解決する方法は必ずあるはずなのですが、本人にはほかの選択肢が見えなくなってしまうんですね。このプロセスを表したのが、下記の図です。

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※張賢徳さん作成の図を基に編集部が作成

図を見ていただくと分かるように、うつ状態にあるときに家族や友人、職場の仲間などから適切なサポートを受けられれば、トンネル・ビジョンを脱することが可能です。また、最終段階では先ほどお話ししたように、うつ病などの精神疾患の診断がつくレベルのケースがほとんどですので、精神科での治療やそこにつなげるサポートが必要になってきます。つまり、適切なサポートの有無も自殺をするかしないかの選択につながるといえます。このサポートについては、後編で改めてお話ししたいと思います。

ここでもう1つ重要なのは、自殺を考え、実行してしまう人と踏みとどまる人の違いには、精神疾患の重症度のほかに、個人のパーソナリティーが大きく影響するということです。

個人のパーソナリティーを形成するものには、家庭や学校、友人・仲間といった要素がありますが、その根底には、その人の信念や宗教観、自殺を含めた生死に関する文化・社会通念があります。

無宗教の国は自殺率が高い

――確かに、自殺を罪とする宗教もあるので、そうした信仰を持つ人は、自殺を思いとどまれるのかもしれませんね。

そうなんです。これについても、WHOが興味深いデータを公表しています[注1]。世界の国や地域の自殺率を宗教圏別にまとめたデータで、これによると無宗教と見なされる国や地域の自殺率が圧倒的に高く、次いで仏教、キリスト教、ヒンズー教で、最も低いのがイスラム教の順になっています。自殺というデリケートな死因のため、そのすべてが報告されているわけではないことが考えられますが、教義で明確に自殺を禁じている宗教圏では自殺率が低い。一方、無宗教の次に自殺率が高い仏教は、自殺を明確には禁止しておらず、「極楽浄土」「輪廻(りんね)転生」といった思想から、自殺を誘発する懸念があることが指摘されています。

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※A global perspective in the epidemiology of suicide:suicidologi 2002掲載のグラフを基に作成

こと日本に関しては、無宗教もしくは仏教の方も多く、自殺を含めた生死に関する文化・社会通念にも、自殺を誘発しやすいベースがあると考えられます。私はこの生死に関する文化・社会通念が、自殺に対する心理的な閾値(いきち)に最も影響するのではないかと思っています。

――それはどういうことでしょう?

例えば、時代劇では切腹のシーンがしばしば見られますよね。あれも自殺の一種ですが、美化されて描かれることが多いので、自死に対して罪悪を感じるよりも、むしろ自死をもって責任を取ることへの称賛や憧れのような気持ちを抱くことがあります。そうしたいわゆる「切腹文化」の名残が、自殺に対する心理的な閾値を低めているように思うのです。

というのも、日本では自殺に対して、「そうなってしまったことは気の毒だけど、最終的には本人が決めたことだから仕方がないよね」という考えを持つ人が少なくありません。しかし、繰り返しになりますが、自殺者のほとんどは、精神科で診断がつくレベルのうつ状態になっていて、客観的な判断ができなくなっていますから、本人が冷静に自殺を決意したわけではありません。だからこそ、自殺に至ってしまう前に、サポートすることが重要なのです。

かつての日本ではこのことがあまり理解されず、自殺予防対策がなかなか進まない現状がありました。しかし、1998年に前年の自殺率を35%も上回り、自殺者が3万人を超えたことをきっかけに、国を挙げての自殺予防対策が進められることになりました。

◇  ◇  ◇

後編「自殺を防ぐために 知っておきたい『TALKの原則』」では、日本で自殺予防対策の取り組みが進んできた背景と、身近な人が「死にたい」と口にしたときに、それを防ぐ「ゲートキーパー」の役割を果たすための対応の仕方を解説する。

 

[注1]A global perspective in the epidemiology of suicide:suicidologi 2002

(ライター 田村知子)

張賢徳さん
 帝京大学医学部附属溝口病院精神神経科教授。1991年東京大学医学部卒業後、帝京大学医学部附属市原病院・本院で臨床研修に従事。97年英国ケンブリッジ大学臨床医学系精神医学博士号取得。同年帝京大学市原病院精神神経科講師、99年同大学溝口病院精神科神経科長・講師、2004年同科長・助教授、08年同科長・教授。川崎市や横浜市の自殺対策事業など公的活動に積極的に参画。日本自殺予防学会理事長。