総務省が6月20日に公表した、2025年(令和7年)5月分の消費者物価指数は、
(1)総合指数(CPI)は2020年を100として111.8、前年同月比は3.5%の上昇
(2)生鮮食品を除く総合指数(コアCPI)は111.4、前年同月比は3.7%の上昇
(3) 生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数(コアコアCPI)は110.0、前年同月比は3.3%の上昇
となっている。(2020年基準 消費者物価指数 全国 2025年(令和7年)5月分(2025年6月20日公表))
変動の大きな生鮮食品とエネルギーを除いたコアコアCPIが前年比3.3%の上昇ということで、日本銀行が目標としている2%を十分に超えた上昇であり、デフレどころかインフレになっている状況である。
なぜ、日本の物価がこんなにも高くなっているのだろう。新聞やテレビなどは大きく扱わないが、多くの人が知っているように、円安の影響が大きいのである。
日本では、石油や石炭、LNGなどのエネルギー資源を輸入に頼っており、円安になれば国内での販売価格、電気代は高くなる。また、物流などで自動車を使用するためのガソリンや軽油の価格も上昇する。また、農作物を育てるときに使う肥料や燃料、牛や豚を飼うときに使う飼料や燃料、各種の工業製品を作る際に輸入する原材料の価格も、円安になれば上昇する。
多くの輸入品に頼っている日本では、円安になることで物価高に繋がるのである。
では、なぜ円安が進んでいるのだろうか。
(1)総合指数(CPI)は2020年を100として111.8、前年同月比は3.5%の上昇
(2)生鮮食品を除く総合指数(コアCPI)は111.4、前年同月比は3.7%の上昇
(3) 生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数(コアコアCPI)は110.0、前年同月比は3.3%の上昇
となっている。(2020年基準 消費者物価指数 全国 2025年(令和7年)5月分(2025年6月20日公表))
変動の大きな生鮮食品とエネルギーを除いたコアコアCPIが前年比3.3%の上昇ということで、日本銀行が目標としている2%を十分に超えた上昇であり、デフレどころかインフレになっている状況である。
なぜ、日本の物価がこんなにも高くなっているのだろう。新聞やテレビなどは大きく扱わないが、多くの人が知っているように、円安の影響が大きいのである。
日本では、石油や石炭、LNGなどのエネルギー資源を輸入に頼っており、円安になれば国内での販売価格、電気代は高くなる。また、物流などで自動車を使用するためのガソリンや軽油の価格も上昇する。また、農作物を育てるときに使う肥料や燃料、牛や豚を飼うときに使う飼料や燃料、各種の工業製品を作る際に輸入する原材料の価格も、円安になれば上昇する。
多くの輸入品に頼っている日本では、円安になることで物価高に繋がるのである。
では、なぜ円安が進んでいるのだろうか。
2022年2月に1ドル=115円だった為替レートが、2022年4月には1ドル=130円になり、それ以降1ドル=160円を付けるなど、1ドル=140円以上の円安が続いている。この円安の原因としては、アメリカ(FRB、連邦準備制度理事会)がインフレ対策として金利を引き上げたにもかかわらず、日本(日本銀行)は金利が低いままで、日本とアメリカの金利差が主なものと言われている。
なぜ金利差が大きくなると為替レートが変動するのかというと、例えば日本の金利が0.5%でアメリカの金利は4.25%から4.5%であるが、仮に100万円を1年間預金するとどうなるか。政策金利と預金金利が等しいとした場合、日本円だと1年後は100万5千円になるが、米ドルだと1年後は104万5千円になる。どちらにお金を預けるかというと、金利の高いドルを選ぶだろう。
実際は国債で運用を行うため、日本円で100億円を運用すると1年後は100億5000万円、米ドルで運用すると104億5000万円となり、1年間で4億円という大きな違いが出るのである。このため、円ではなくドルで運用することになり、円を売ってドルを買うため、円安が進行するのである。
また、日本の輸出入総額を見ると、近年、輸入金額が輸出金額を上回っており、円安になると貿易収支がさらに悪化し、日本の貿易赤字が増える傾向にある。
円安が進むことで、物価高が進み、庶民の生活を圧迫しているのである。この円安を押しとどめ、逆に円高に誘導することは出来るのだろうか。先ほど見た、日米金利差とドル円レートの推移を見れば、日本銀行が利上げを行うことで円安を是正し、円高に誘導することで、庶民の生活が楽になることがわかる。
では、なぜ日本銀行が利上げをできないのだろうか。
日本では、第2次安倍政権以降、アベノミクスと称する異形の経済政策が取られ、安倍政権の意向に従った黒田日本銀行総裁が異次元緩和と称する量的・質的金融緩和を行った。このため、日本銀行が抱える日本国債は500兆円以上にものぼり、また、放漫財政により日本の国債発行残高は1000兆円を超えている。
日本の国債発行残高が1000兆円を超えることから、日本銀行が利上げを行うと政府の利払い費用が大きく増え、財政規律を整えない場合には、国債の消化が行えず、一気に金利が上昇することが懸念されている。
さらに、企業は日本銀行の低金利政策(異次元緩和)によって低金利で資金を借り入れ、住宅ローンを抱えている人達もその7割以上が変動金利で借りていることから、金利を引き上げる(利上げをする)と中小企業や変動型金利で住宅ローンを借りている人達の負担が増えることになる。
つまり、アベノミクス、異次元緩和の副作用により、日本銀行が金利を引き上げたくても引き上げられない状況に陥っているのである。その結果、円安によって庶民の生活が苦しくなり、また、生産性が低く賃金も引き上げることができないゾンビ企業などが日本にのさばることになる。
庶民の生活を犠牲にした上で、円安によって輸出企業を支える、そして貿易赤字が拡大するという、まるで独裁的な発展途上国と同様の政策を日本政府は取り続けているのである。
資本主義国では、労働生産性を高め、賃金を引き上げ、国内消費を増やすことで経済成長をおこなっているが、日本では労働生産性が低迷し、賃金が低迷し、国内消費も低迷し、経済成長率も低迷しているのである。
すべて、現状維持を望む人達、その人達の支持を得たい自民党などの政党、その政治や世論におびえながら正常化に向かうことができない日本銀行の政策が原因となっているのである。
このままの状況が続けば、日本が老衰死することは確実である。アベノミクス、異次元緩和から素早く転換し、財政の正常化、金融政策の正常化を行わなければいけないのである。
アベノミクスと日銀の異次元緩和、これらの政策が日本の多くの人達に苦しみを強いる一方で、企業や富裕層には大きな富をもたらしている。大きな富を受け取っている企業や富裕層に負担を求めるのが合理的な判断である。