現代へのまなざし

日本とはなにかを探求します。

安倍政権-民主主義の放棄と新たなる神話の編纂-

2013-12-04 19:25:33 | 日記
・安倍晋三氏は総理就任と同時に重要なポストを自分の意に従う人達で固めた、さらに固めようとしている。
1 日本銀行総裁:黒田氏を総裁に据え、金融緩和や財政ファイナンスを実施させた。
2 内閣法制局長官:集団的自衛権を認めさせるため、慣行を破り、外務官僚OBを長官に任命した。
3 NHKの経営委員についても、自分の考えに近い人達を任命し、報道機関を意に沿わせようとしている。
4 内閣人事局の創設により、官僚の上層部を自分の意に沿う人間で固めようとしている。

 組織で働く人間にとって、人事は最も気になるもので、自らの出世や給与のことを考えると、上司や上層部の意に反するような行動を取ることはなく、上層部の職務命令だけではなく、その意を忖度し仕事をする。その結果、行政運営が安倍総理の意向に従ったものとなり、公務員が全体の奉仕者から総理のための奉仕者に変化することになる。このような官僚の在り方は、首領様の官僚であって国民のための官僚ではないという状況になっている北朝鮮と同じ在り方になってしまう。

 さらに、特定秘密保護法案を提出し、行政が保有している情報を秘密化しようとしている。この法律案では、大臣が「その漏えいが我が国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがあるため、特に秘匿することが必要であるもの」を特定秘密に指定すると、その情報を漏らした場合には、10年以下の懲役に処されることになる。
 情報公開というのは民主主義にとって必要不可欠なものであり、真に国の安全保障に必要な場合のみ、その情報を非公開とすべきものである。この法律案では「特に秘匿することが必要であるもの」と規定され、この文言では、指定を行う大臣(行政機関の長)の裁量にゆだねられることになる。この裁量による特定秘密の指定が、裁量権の逸脱になるか否かは、個々の事例で具体的に判断されるものであるが、それは情報が表に出なければ判断できないため、行政の意のままに特定秘密を指定できることになる。
 情報を秘匿すれば、その情報を特定秘密に指定した大臣(行政機関の長)の裁量が合理的か否かを判断できない。つまり、特定秘密保護法案は情報秘匿法案と言えるのである。

 行政が保有している秘密を保護しようと思うなら、国家公務員法の守秘義務違反による罰則を強化すればそれで足りるのである。それを報道した者まで罰するようなことはあってはならない。なぜ国家公務員法改正でなく、特定秘密保護法案にするのか、そこに安倍政権の情報秘匿の意思が込められているのである。

 現在の安倍政権のやり方を見ると、民主主義にとって危険であり、非常に危機感を感じる。また、上層部の人事を握ることで組織を掌握しようとする安倍晋三氏のやり方は、一般の人達にはその真意を推し量ることができないような巧みなやり方であり、知らないうちに日本が北朝鮮のような全体主義国家になる危険性が高い。さらに、オリンピック招致の場で、福島の状況はコントロールされているという発言に見られるように、国際舞台においてさえも平気で嘘をつくのが安倍総理である。さらに、行政が保有する情報を秘匿する法律案まで作成している状況である。

 かつて、天武天皇が天皇制の神性や正当性を謳った日本書紀を編纂させたが、今の安倍政権は同じような神話を作り出そうとしているようにも思える。民主主義を基本原理とした先進国である日本において、新たな神話など必要ではない。日本にとって安倍晋三氏が総理であることは、不幸でしかない。
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