現代へのまなざし

日本とはなにかを探求します。

靖国神社-国家神道による戦争動員装置-

2018-06-10 13:42:38 | 政治
 靖国神社とはどのような神社なのか。戦没者を追悼する施設だ、などという考え違いをしている人が多いのでは無いか。
 靖国神社のサイトに記載されている紹介文の概要は次のとおりだ。

 ・靖国神社の起源は明治2年(1869)6月29日に建てられた東京招魂社に遡る。
 ・明治天皇は明治2年6月、国家のために亡くなった人々の名を後世に伝え、その御霊を慰めるために、「招魂社」を創建。
 ・明治12年(1879)6月4日に社号が「靖国神社」と改められた。
 ・靖国神社には、戊辰戦争や西南戦争等の国内の戦いで、明治維新のために新政府側の人間として命を落とした人達をはじめ、戦争に際して国家防衛のために亡くなった人達の神霊が祀られており、その数は246万6千余柱に及ぶ。

 つまり、靖国神社は(天皇主権の)国家の為に戦って死んだ軍人・軍属を祀る神社であることがわかる(西郷隆盛などは明治政府に反旗を翻したため祀られることはないし、空襲や原爆で亡くなった民間人も戦ってないため祀られることはない。)。そしてその国家というものが天皇主権の超国家主義的な性格を有していたため、靖国神社は国家神道の支柱となり、「天皇のため」に戦って死んだ人をすべて「神」として祀り、それらを英霊とすることで、「天皇のため」に戦う国民の精神的支柱となったのである。

 これは軍国日本を精神的に支えたものであり、庶民の家族制度を利用した軍国日本の宗教でもある。国家のために戦死すれば英霊になるのである。その家族は英霊の家族であり、周囲からも尊敬の念を集めることとなる。
 自分の子供が、大したこともできず、名誉ある地位にも就けない農民の子供が、お国のために、天皇陛下のために戦い、死ねば英霊と化すのである。当時の母親は、自分の子供が英霊になるのであれば喜んで子供を戦場に送り出そうとしたのである。一部の不届きな母親は、国のために戦うことは否定しなかったが、戦死はしないようにと念押しをしていたかも知れない。しかし、学校を通じて、子供の頃から国のために戦って死ぬことが美徳と教育されていた人達はためらいもなく国家のために、天皇のために戦死したのである。それが犬死にだとも知らずに。

 国民を戦争に駆り立てる道具としての靖国神社、そして靖国神社を利用して作り上げた神話を信じ込んだ多くの日本人。神話に騙されないためには、論理的に考える力、歴史を見つめる能力が必要である。
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