現代へのまなざし

日本とはなにかを探求します。

神話を作り出すテレビ局と愚かな人達

2019-11-14 20:35:53 | 政治
 安倍内閣の一員である菅原経済産業大臣が10月25日に辞表を提出、河井法務大臣が10月31日に辞表を提出し、それぞれが大臣を辞任した。この2人の大臣は、いずれも公職選挙法違反の容疑があり、その容疑について国会で追及を受ける前に、追求から逃げるように辞任し、したがって、菅原前経産大臣も河井前法務大臣も自身の容疑について詳しい説明は行っていない。

 一方で、韓国の前法務大臣の家族をめぐる疑惑について、日本のマスコミ、特にテレビは長時間をさいて、ワイドショーなどで繰り返し放送を行っていた。韓国政治の問題であり、韓国の法務大臣の家族が口利きをしようが、韓国の法務大臣が不正を行おうが、日本にとってはほとんど影響ない問題であるにもかかわらず、日本のテレビ局は長時間にわたり、貴重な電波を利用し、大衆に報道し続けたのである。反韓、嫌韓の視聴者のために報道し、その結果、安倍内閣の支持率上昇につながると想定される報道を繰り返したのである。

 しかし、菅原前経済産業大臣や河井前法務大臣の問題は日本の問題である。大臣に任命された国会議員が、公職選挙法に違反した疑いで辞任したのである。本来なら、選挙をめぐる重要な事件について、さらに徹底的に報道すべきであるが、日本ではほとんど報道されない。
 安倍内閣の一員であり、安倍総理が任命した大臣の不正問題を深く掘り下げ、その問題を放送すれば、安倍内閣の支持率低下に繋がるだろう。日本のテレビは、まるで安倍内閣の応援団のような雰囲気である。テレビ局の社長や幹部が安倍総理と会食を繰り返すことで、日本のテレビ局は安倍内閣の広報機関になりつつあるのではないか。
 知識人やエリート層はこのような日本のテレビ報道の異常さに気づくだろうが、大衆は日本のテレビ報道の異常さに気づくこと無く、むしろ、テレビ報道に影響され、さらに愚かになっていくだろう。

 日本のテレビ局は、今や、大本営発表を忠実に報道する国営放送のようになりつつある。政権批判に繋がるような報道は、ネトウヨのような愚かな人達からは「反日」とレッテルを貼られることから、ネトウヨのような低レベル層からのクレームを避けるテレビ局は政権批判を避けるようになっているのだろうか。クレーマー対応には貴重な人材と時間を割くようになり、その結果、会社の生産性を著しく下げるため、クレームを受けるような要素を取り除いて報道しようとする、そうすれば、ネトウヨのような執拗なクレーマーからのクレームは減るだろう。しかし、それでは愚かな人達に異常なまでの配慮をした放送を繰り返すことになる。
 日本の問題を報道することなく、逆に、日本は海外からも賞賛されていますというような報道を繰り返す。まるで、幼稚園児や小学校低学年の子ども達をあやすような報道を繰り返す日本のテレビ局。レベルの低い民衆を満足させる一方で、考えさせることのない報道を繰り返すばかりのテレビ報道。

 愚かな人達とともに生きる日本のテレビ放送局、テレビ局の報道姿勢とその結果は、愚かな結果を招くだろう。客観的な状況判断ができない愚かな人達、論理的な思考ができない愚かな人達、その大衆的熱狂によって、国は誤った方向に進んでいく。このような愚かな人達の支持を念頭に政治を行うのはポピュリストである。アメリカの高卒以下の愚かな白人労働者やキリスト教原理主義のようなキリスト教福音派、そして彼等の熱狂的支持に支えられているトランプ大統領のように、愚かな人達とともに愚かな指導者が国を誤った方向に導く。

 新自由主義、グローバルスタンダードが人々の格差を拡大させ、低所得者層や論理的思考ができないネトウヨやその影響を受けた愚かな人達はポピュリズムに侵され、さらに彼等からの批判を恐れるマスメディアもポピュリズムに埋没していく。まさにその状況が、ポピュリズムに埋没する姿が、今の日本で展開されれているのである。

 日本書紀や古事記に記されていることが事実だと思い込む愚かな人達、それは天地創造を信じ込み進化論を否定するトランプ支持の愚かな白人労働者達と同じ存在であるが、そういう人達によって愚かな人が指導者として選ばれ、国を誤った方向に進める。神話の中の説話で済まないことが、現在の日本やアメリカで展開されている。
 新たな神話が作られる時代になっているのかもしれない。
コメント
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