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「empathy教育」 抜粋

2015年10月14日 21時02分01秒 | Weblog
貧富の格差が広がり、心の病が増えつつある先進諸国。そんななか声高に叫ばれるリーダーシップ教育やチェンジ・メイキングの重要性ですが、数多くの社会起業家を世に出してきた渡邉奈々氏は、それよりも先にやらなければならない教育があると語ります。


25年周期で人々の価値観に変化がおとずれる

渡邉菜々(以下、渡邉):今日はせっかくの貴重な12分を頂いたので、今私が考えていることと、今日これから、そして明日からすることについて話したいと思います。まず、私たちの住んでいる社会について考えるとき、だいたい四半世紀、25年ぐらいで、人々の意識とか価値観に変化がおとずれる、というパターンがあります。

そして、25年前、この過去25年に何が起こったのかとちょっと考えてみると、グローバルには、貧富の差が大きく広がったっていうことがあります。世界に住む成人人口、20歳以上の人口の10%が、世界の資産の85%を保有しています。日本は世界の資産の27%を保有しています。

そして一方、たった1%の成人が50%の富を持っています。言い方を変えるならば、約10億人の人が1日1ドル以下、80円(レートは当時)以下の収入で暮らしています。

一方、日本のような先進国に住む私たちの問題というのもあるわけですね。主に心の問題、精神の問題です。日本を例に取りますと、今からちょうど25年前、97年に、大手金融機関の破綻がありました。その翌年の98年には、初めて自殺者の数が3万人に達しました。そして98年というのは同時に、小中学生の引きこもりが13万人に達した年です。

あれから25年経ちますけど、この数は増えはしますが、減ることはありません。社会がこういうふうに破綻してくると、ヒューマンネーチャー(人情)というのは、なんとかしたい、何か魔法の処方箋はないかと求めるんですね。そうすると、みんな教育にフォーカスするわけです。教育を変えれば社会をよくできるんじゃないか。それは先進国が自動的に、オートマティックに思うことなんです。

そうすると、例えば日本やその他先進国で、2000年代には「リーダーシップ教育」というのをみんなが言い出し始めましたね。日本にはリーダーがいない、日本にはフォロワーだけだ。どうやったらリーダーを育てられるのか。エリートを育てたい。いろいろな大学院とか塾とかがそういうコースを作り上げたりしています。

また一方、4,5年前から、特にこの2,3年は、社会を育てるソーシャルリーダー、それを育てようと強い動きが、世界中であります。日本でも、企業までもが、社会起業コンテストとか、若者の社会を変えるイノベーションコンテストをやるようになっています。
つまりこれは今、新しい時代が始まりつつあるので、私たちはその移行期、入口に来てるわけです。では移行期が終わったときにどういう時代が来るかというと、意識と価値観が変わって、それに影響されて社会構造が変わって、そして法律も変わる。そういう社会になると思います。

その中で、いろいろな教育とか魔法の処方箋を探している。これは、化粧品会社が、これをすると若返るとかシワが取れるとか、毎年化粧品を出しますでしょ。あれには特に効き目はないのに、スキンケアを探して私たちは毎年、出るたびに買うわけですよね。それとちょっと似てるんじゃないかと。

人間に一番必要なのは希望なので。これをやったらこうなるんじゃないか、という希望を糧に私たちは生きてるんじゃないかと思います。

ショカでも、96年からユースベンチャーとして若者が、ソーシャル・チェンジ・メイキングをする取り組みを立ち上げてて、日本でも2010年からパイロットをやって、今年(2012年)は東北ユースベンチャーを立ち上げたりしています。これを突き詰めていくと、人に一番必要な資質はempathy(エンパシー)だ、というのが私の今の結論であり、また先端的な大きな教育機関の結論でもあります。


いじめ撲滅に効果大の「empathy教育」


渡邉:英語ではempathy、日本語では訳がないので、あえて訳すと「他人の気持ちや感情を理解したり、人の立場になってその人の心の痛みを、わかること」。そういう能力がなければ、チェンジ・メイキングも、リーダーシップもまったく無意味だ、っていうことがコンセンサスのようです。

これをどうしたらいいかということなんですけど、いったいempathyって教えることができるのか? ということになりますね。この場合、私は、教育を2つに別けたいんです。Empathyを高める教育、それは幼稚園、できたら生まれたときから、小学生にかけて。そして、中学生でチェンジ・メイキング、高校生でリーダーシップ。これが理想の形だと思います。empathyから始めなくてはいけない。

Empathyを教える、高める教育というのは、実はもうあるんですね。例えばカナダでは「Roots of Empathy」っていうのが国中に広がっていて、週1回45分のクラスを子供たちが9か月取っただけで、その子たちの間でのいじめや仲間はずれが9割減った、という調査結果が出ています。これは各国に広がりつつあって、ニュージーランド政府とオーストラリア政府、それからアメリカのシアトルが取り入れています。それからドイツにも、もう入っています。

あとは、オランダの素晴らしい教育で、「ピースフルエデュケーション」というのがあって、これもオランダ中に広がっています。それで、今「ピースフルエデュケーション」を日本に導入する、という具体的な動きがあるところです。他にも、ニューヨークの「Piece First」とか、いろいろなプログラムがすでに効果を生んでいます。

それとは別に私が思うのは、empathyを教えることができるかということなんですけれども、これは例えば、数学とかたまたま語学の才があるとか、運動神経が発達しているとか、音楽だったら音感があるとか、そういうのは全部生まれつきの才能ですね。

でも、どんなに音感がなくても1日1時間ピアノを練習したら、1年したらちょっと何らかの効果があると思うし、数学でも、私は数学が弱かったですけど、毎日1時間勉強したらそれは何らかの効果がありますね。だからそういう風にとらえるやり方も入れるべきだと思います。ですから例えば、読み書き、それから語学、いろいろな事を学校で習って、そこにもう1つ、empathyを高める教育というのを入れると良いと思います。

これをどういう風にやっていくかということに、答えはなにもないです。教育とか人に関わることに答えはなくて、いつも模索してて、全部が実験です。でも、もう他に教育に効果が出てるという例があるので、それは大変にありがたいことです。初めてやるわけではないので。

来年から日本でやろうと思っています。empathyを高める教育をどういう風にやるかというと、まずは私が話したビジョン、empathyを持ち込むことによって、20年25年後の日本が絶対に変わっていくと。人の痛みがわかる人が1人でも増えれば、それだけすべてが変わっていきます。これをやりたいと150%信じてる人が集まったら、できると思うんですね。

みんなで一緒に日本を変えましょう。よろしくお願いします。



だそうです。

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