情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

新聞広告費がネット広告に抜かれた日~市民として何を考えなければならないか?

2010-02-24 05:46:03 | メディア(知るための手段のあり方)
 ついに、ネット広告費が新聞広告費を追い抜いた。読売新聞によれば、【電通が22日発表した2009年の国内の総広告費は、景気低迷による企業の経費削減などの影響で、前年比11・5%減の5兆9222億円となり、2年連続で前年を下回った。減少率は1947年の調査開始以来、最大だった。
 新聞、雑誌、テレビ、ラジオの主要4媒体の広告費合計は、同14・3%減の2兆8282億円で、総広告費に占める割合は47・8%にとどまり、2年連続で50%を割り込んだ。テレビは1兆7139億円(前年比10・2%減)、新聞は6739億円(同18・6%減)だった。一方、インターネットは同1・2%増の7069億円で、初めて新聞を上回った。】という(http://www.yomiuri.co.jp/net/news/20100223-OYT8T00390.htm?from=yoltop)。

 深刻なのは、新聞の急激な落ち込みだ。ITメディア(http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1002/22/news056.html)が掲載した電通の資料に基づく表によれば、新聞は前年度比8割という悲惨さだ。テレビは前年度比約9割だから、新聞業界には、景気の落ち込みだけでは片づけられない問題があることははっきりしている。

 この結果をみて、皆さんはどう思われただろうか。

 私は、非常に危機感を抱いた。

 何と言っても新聞は報道機関として最も大きな取材力を持っている組織だ。この点、娯楽番組が中心のテレビやスタッフの人数が少ない雑誌などとは異なっている。

 もちろん、新聞がクロスオーナーシップ等の影響で権力との距離が保てず、十分な監視機能を果たすことができていないのは事実だ。

 しかし、それでも、新聞があることで、権力は見られているという意識があるはずだ。

 特に内部告発。この存在は大きい。記者は直接資料にアクセスできるわけではないので、何らかの内部告発(付き合いのあるネタ元によるものを含む)によって不正を知ることが多い。

 そして、権力側もそのような内部告発がなされていることは知っており、それが権力の乱用に対する一定の歯止めとなっている。

 新聞がなくなると、そのような内部告発の受け皿がなくなる。そうなったら、権力側はやりたい放題ということになりかねない。

 そこで、この新聞の退潮については、業界だけの問題としてとらえるのではなく、市民全体の民主主義の基盤としての知る権利をいかに実現させるかという視点で考える必要がある。

 すなわち、権力が透明性を高めれば、つまり、情報公開などを積極的に行えば、新聞がなくとも、ある程度の情報に市民やフリージャーナリストが直接アクセスすることできる。

 そうすれば、心ある市民やフリージャーナリストがその問題をインターネットなどの手段を通じて伝えることが可能となる。

 非営利でもあるいは少ない利益でも、情報を入手し、それを分析して伝えることが可能な仕組みを真剣に考えなければならない、ということだと思う。


 米国独立宣言の起草者トーマス・ジェファソンは、「新聞のない政府か政府のない新聞か、どちらを選ぶかと聞かれたら、後者を選ぶ」と語ったという。

 われわれは、いままさに、新聞のない政府を押し付けられようとしている。

 相当深刻な事態だと思う。

 市民的にこの問題を議論する必要がある。

 ちなみに、MLでメディアの公共性などに関する議論が続いているコムライツ(http://www28.atwiki.jp/comrights/)、記者会見の解禁を求める人たちが情報交換をする #fpress (ツイッター)、など、議論する場は次々と出現している。

 多くの方の参加を期待したい。


 




【ツイッターアカウント】yamebun


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