情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

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裁判員法を巡る疑問に弁護士会も見解発表~市民に分かりやすい説明を求めるべき!

2007-08-02 04:21:56 | 適正手続(裁判員・可視化など)
 
 
 
 裁判員法67条1項の解釈を巡って疑問があることを「裁判員法の条文が不明確なのは何故か?~システムへの無頓着さが悪用される恐れも…」(←クリック)で、少し前に報告しましたが、こういった疑問に対し、日本弁護士連合会がこのほど、上記のような見解を発表しました。

 本件は、67条1項には、「評議における裁判員の関与する判断は、(中略)構成裁判官及び裁判員の双方の意見を含む合議体の員数の過半数の意見による」とあり、これについて、【仮に裁判員六人が無罪で、裁判官三人が有罪の場合、条文をそのまま読むと、無罪が過半数でも裁判官の意見が含まれないので、無罪にも有罪にもならずに評議は成立しない。だれかが意見を変えるまで評議を続けることになる】という解釈がなりたつのではないかという問題だ。

 確かに、「双方の意見を含む」とある以上、そう読むことも出来る。

 しかし、裁判所は、【裁判官三人が有罪意見でも過半数ではないのだから、犯罪の証明がないとして無罪となる】との見解を発表し、弁護士会も上記のとおり、裁判所の解釈となることを確認したわけだ。

 無罪推定の原則から、有罪の評決がない以上、無罪となる、つまり、「裁判官と際場人の双方を含む合議体の過半数」が有罪としない限り、無罪となる…というのだ。

 そういう解釈となることは大いに歓迎すべきではあるが、ここでの問題は、そのことを明確に条文に書くか、もしくは、裁判員に対する説明の中できっちりと示してほしいということだ。

 裁判官3人がまとまって、有罪を主張していても、裁判員が5人以上、無罪を主張すれば、無罪になるということを!

 この辺りを曖昧にしてしまうと、裁判官のペースで議論が進むことになりかねない。

 弁護士会も、単に、裁判所の見解を流すだけでなく、このことを裁判員(候補者である市民)にきちんと伝えることの大切さにも触れてほしい。

 こういう安易な書き方だと、裁判員制度導入を機に、20日間もの勾留(その間の自白強要)、密室での取調(取調の録音・録画化、弁護士立会の不存在)、有罪証拠のみの開示(捜査側が無罪の証拠を握っていても出さなくてよい)という3大悪を抱えた日本の司法制度をなんとしても改正させるという意気込みが伝わってこない。

 頑張って制度改正を実現しましょう!


















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