情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

時事通信、ちょっと恥ずかしくないかい?国会図書館開示停止問題で公報のような報道!

2008-08-21 08:20:41 | メディア(知るための手段のあり方)
 目を疑ったね、国会図書館の文献閲覧停止事件に関する時事通信の記事。見出しが【マル秘資料が流出=国会図書館で一時閲覧可能-法務省】で、本文が【法務省は19日、秘密扱いの資料が外部に流出し、国会図書館で一時閲覧可能となっていたことを明らかにした。同省では、流出ルートや国会図書館で一般用に閲覧されることになった経緯について「分からないが、恐らく法務・検察の文書管理が悪くて流出したのだろう」(幹部)と落ち度を認め、今後は文書管理を徹底するとしている。】だ。

 時事通信は情報をとってきてなんぼの商売でしょう。法務省が「これは秘密です」と説明したら、それで直ちに納得っていうようになったら、商売あがったりでしょうが…。どうして、そうやって自分で自分の首を絞めるような記事を書くのだろうか。

 もちろん、これはどうも共同の特ダネだったようだから、ライバルとしては、火消しに走りたいのかもしれないけれど、単なる事件ネタではなく、ことは、国家の情報公開のあり方に関する問題ですぞ。「文書管理を徹底する」なんて言わせてていいのか!

 そもそも、ここでいう秘密扱いの文書とは、アメリカで公開された公文書に概要が書いてあることに関するものだ。しかも、閲覧可能だったときに、全文のコピーもすでにされているようだ。

 もはや、秘密にすべき意味なんてまったくない。それなのに、閲覧禁止とはまさに、「知らしむべからず」じゃないか!

 読売新聞でさえ、【米兵刑事事件の取り扱い資料、国会図書館が非公開に】という見出しのもと、

【国会図書館が所持する、米兵による刑事事件の取り扱いに関する実務資料が、今年6月23日に、公開から非公開に変更されていたことが19日、分かった。

 法務省が非公開とするよう国会図書館に要請していたものだ。同図書館は自主判断で非公開とすることを決めたとしている。

 非公開となった文書は法務省刑事局が1972年に作成した「合衆国軍隊構成員等に対する刑事裁判権関係実務資料」。日米地位協定に基づき、米兵による刑事事件の裁判上の取り扱いの実務についての日米の合意や、法務省通達などを掲載・解説したもの。

 掲載された1953年の法務省刑事局長通達では、「裁判権の行使については、合衆国軍隊の地位などにかんがみ運用上、極めて慎重な考慮を払わなければならない」としている。

 同省などによると、秘密資料として省内に保存されていたが、外部に流出し、国会図書館が90年に入手し、91年から公開対象文書となっていた。同省は今年5月に文書が公開されていることを知り、「外交上の支障がある」などとして、非公開とするよう求めた。

 国会図書館は「内部手続きに従って非公開としたもので、法務省から圧力を受けたわけではない。現在のところ公開は検討していない」とコメントしている。法務省は「関係省庁と協議した上、可能な部分については公開したい」としている。】

と閲覧禁止を問題視していることが伺えるようなタッチになっている。

 本日、ジャーナリストの斎藤貴男さんが、閲覧請求する予定だ。閲覧できなかったら、法的手続きを行う予定であることを発表することになるという。会見は午後2時、参議院会館第3会議室で行われる。このことを時事通信やほかの報道機関がいかに報道するか、注目したい。

 


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2 コメント

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NPJ通信で本件の今後の展開を詳細にフォローしてください (怒れる元ジャーナリスト)
2008-08-21 17:31:47
実はこの【国会図書館開示停止問題】は、単なる【米兵による刑事事件の取り扱いに関する実務資料が、法務省の要請により非公開にされた】事実以上の、深刻な憲法上の問題を孕んでいる。それに気づかずに、法務官僚公報を鵜呑みにし代弁したような「ボンクラ官製報道」記事を配信した時事通信記者は、ジャーナリストの恥である。時事通信はリテラシー(報道機関のあり方と記者の立ち位置)と調査報道の基本姿勢を、法務クラブ担当記者に教育しているとはとても思えないリリースだ。あきれて、あいた口がふさがらない。本事件を分析すれば、見えてくる本質は憲法と「国のあり方」の問題だ。占領終了後も、1953年以降こんにちに至るまで「実質・占領軍」は刑事事件を引き起こしても裁かれず、(治外法権の)基地内か本国へトンズラしさいすれば無罪放免。これでは日本国は独立国とはいえない。この間、いったい何百・何千の日本市民が強盗・殺人や強姦・暴行の被害者となってきたのだろうか?憲法で保障されたはずの主権在民は有名無実化され、実質「米国主権」だったわけですね。25条で保障された「安全に幸福に文化的に生活できる」はずの基本的権利も、傍若無人な駐留米軍によって「安全保障条約」どころか侵害されてきたわけです。本事件の発覚をきっかけに、全国の基地の町が過去の被害状況を各地方紙と全国紙に公表し、「米軍厚遇・地方と市民は冷遇」されてきた不条理な日米安保条約下の歴史を、徹底的に検証すべきときがきたのではないか?その怒れる市民の声を反映するメディアとしての役割を、貴「ヤメ蚊」先生のブログとNPJ通信に期待したい。本日午後の斉藤貴夫氏、閲覧請求に関する参議院議員会館集まりに出席できなかったことは残念だが、今後はぜひ、貴ブログとNPJによる問題提起と斉藤氏運動のフォローを詳細に報じていただきたい。NPJが世論喚起の起爆剤となられることを切にお願いしたい。以上。
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Unknown (真実)
2008-08-21 09:39:51
まぁヤメ蚊さんの仰ることはわかりますがそれより弁護士の公権力に対しての発言力の弱さはどないかせんといかんでしょう! 
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