情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

僕パパ事件で検察リークを流した読売とNHKの記者は告発対象ではないか?

2009-05-05 17:32:31 | メディア(知るための手段のあり方)
 少年の供述調書を引用した書籍「僕はパパを殺すことに決めた」について、調書を流した鑑定医師と著者の草薙厚子さんが取調を受け、鑑定医師が起訴された事件について、草薙さんの弁護人だった清水勉弁護士が検察官のリークについて暴露したインタビューが月刊マスコミ市民5月号に掲載されている。

 このインタビューによると、医師と草薙さんは同じ日に家宅捜索をされたが、当初、2人とも情報源について話さなかった。
 
 ところが、数日後、読売新聞の朝刊に、「関係者から」の取材ということで、「家庭裁判所の調書から草薙の指紋が出た」「奈良地検は、指紋が残された経緯について2人から事情を聴き」という記事が出たという。他社もその日の夕刊で後追い記事を書いたらしい。

 しかし、実際には、指紋は出ていなかったようなのだ。草薙さんは、記事の前後を通じて、指紋については一切、取調を受けていないというのだ。

 さらに、その翌日の朝のニュースでNHKが「草薙さんが取材源を話した」という報道を流したという。

 そのニュースの流れた午前中に、医師は自分が提供者であることを認める供述を始めたらしい。

 清水弁護士は明白には述べていないが、確か、捜査段階では、草薙さんは、情報提供者について供述していないはずだ。

 したがって、医師は、前日に草薙さんの指紋が発見されたと思いこまされた上に、それゆえに、草薙さんが自白をしてしまったと思いこまされてしまい、自ら情報源であることを認めるに至ったわけだ。

 これは明らかに違法な取調べだ。実際に医師が情報源であったことは、取調の違法性を免れさせるものではない。

 しかも、違法な取調に利用するために、検察側は、「指紋」と「草薙の自白」という2つの虚偽情報をリークしている。

 もし、検察官(あるいはその関係者)が秘密を漏洩したとすると、検察官と、読売新聞及びNHKの記者は、国家公務員法の秘密漏洩罪の共犯となる。

 したがって、このまま読売とNHKがこの検察の意図的なリークに踊らされて、誤報を流してしまった問題にほっかむりしていると、誰かが、読売とNHKの記者について秘密漏洩罪で告発するのではないだろうか。なぜなら、この二人の記者のリークは、沖縄密約事件のときのような政府の秘密を暴くというような社会的意義がまったくなく、その報道には正当性が認めがたいからだ。(もちろん、告発するには、それなりの理由が必要だから、事情が十分に分からない状態で第三者が告発するべきではないのは言うまでもない)

 しかも、虚偽と認めないのであれば、読み手は書いてあることは事実、秘密は事実と受け止めざるを得ないからだ。

 そういう事態を避けるためには、読売とNHKは、今回のリークについて安易に掲載したことについて自ら反省し、訂正報道をするしかない。報道が事実ではなかったことを先に認めてしまい、秘密漏洩に当たらないとしてしまうわけだ。

 また、そうすることが読売やNHKに対する信頼を回復する途につながる。このまま放置すれば、結局、検察リークをありがたがって書いているご用聞きメディアだという評価を受けることになるだろう。

 週刊新潮が朝日襲撃事件の犯人と称する者の嘘に乗って、大々的に記事を書いた後、騙されてしまいましたという形で訂正記事を書いた。ジャーナリストの誰もが、「嘘だろう。騙された格好にして、書いたんだろう」、そう思っただろう。読売とNHKの例の記者もそう思ったはずだ。

 ところが、今回の読売とNHKの記者が行ったことは、この週刊新潮と同じようなもんだ。指紋が出たという情報を確認もしないで報道し、草薙さんが情報源を明かしたという情報を確認もしないで報道した。一生懸命夜討ち朝駆けして得た取材だし、複数の関係者から確認をしている、そういうかもしれない。しかし、結果的に意図的なリークを防止することができないのであれば、それは書いてはならない。少なくとも、意図的なリークで誤報を書かされたのであれば、ジャーナリストとしては、そのことをありのままに伝えるべきではないか。

 それができないってんなら、最初から、捜査側からしか確認のとれない情報は一切書くなと言いたい。

 裁判員制度が始まったあとも、このような報道が続いたら、きっと、裁判員経験者は、マスコミの嘘に気づくから、ますますマスメディアの信頼が破壊されることになる…。

 おっと、そうだった。裁判員には守秘義務が課せられているんだったっけ。その守秘義務によってマスコミの恥部も隠されるわけだ…(皮肉をいうためのレトリックです。本当は、裁判員は公開の法廷で述べられたこと以上の事実を知るわけではないため、マスメディアが虚偽報道をしていたら、法廷でばれてしまうことになる)。

 このくらいの皮肉を言いたいくらい腹立たしい。「報道の自由」を汚すな!
 

 
  

  



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