ときぶーの時間

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もう一つの怒り

2011-11-21 11:11:21 | 日記
NO-6                                              この頃、少しおかしいよな?って感じている事があるのだけれど、11月の後半だというのに何で汗かいて生活しなければならないのだろうか?特に昨日の暖かさには驚いた。                                                                     

半そでのシャツ一枚で平気でいられるなんて、東北の福島県民には、この都会の暖かさがびっくりである。                                                  

寒いよりは暖かい方が好きだし、着の身着のまま避難した僕とっては、持っている洋服が少ないので、今一気に寒くなったら確かに困る。                                                                  

今月の27日に、一時帰宅の許可が下りたから、その時に富岡の自宅へ帰るまでは、今ある洋服で凌がなきゃならないので、それまでは我慢しなければ。                                                                               

かみさんは女だから、洋服が欲しければ安価なものを、その時々に買っているのだが、男の僕は買い物があまり、好きではなくて持っているアイテムが少ない。(泣)もう少し27日までは、暖かい日になりますように祈って、今日も書く。                                                                                         

ここまで、強制避難区域に残されたペットや牛の事など書いてきたけれど、あの時の彼に、一つだけ怒りが増えていた事を話そう。                                                                

3月11日の事故から、残されたペットたちの面倒を一人で見てきた彼は、牛舎を覗きその惨状を見て、生き残っている牛の餌や水やりまでは、たった一人ではどうする事も出来なかったと言った。                                                          

牛の餌が無かったのと、水をやるといっても大量の水が必要で、電気も水道も完全に止まっている町で、川から水を汲んで来る事も考えた彼であったが、各家々に残された犬や猫や鳥に豚まで、ようやく見ていたのだから、どう考えても一人では出来なかっただろう。                                                                        

彼はいつも事故を起こした電力会社が、牛の面倒を見るべきだ!と本気で怒り悔しがった。5月に東京で彼と再会した時に、相変わらず彼は憤慨していた。                                                    

町に残されたペットの事や、牛舎でつながれたまま餓死した数百頭の牛の屍骸の事、まだ生き残っている牛の事、国や電力会社の後手になる被災者救済のあり方とか、復旧のめどの立たない町の現状を、真剣に危惧し怒り心頭の様子だった。                                                                                    

彼はこの日僕に、この原発事故による一斉避難で祖母を亡くした事を話してくれた。彼はこの怒りを、ずっと抱えて生活していたのだ。                                                                   

町にあった大きな病院から、環境が全く違う病院に移動させられて、その移動先の病院で亡くなったと話したが、葬式は当然地元富岡町では出来ず、遠く離れた郡山で葬儀を済ませたのだが、葬儀屋の手配からお坊さんの手配など、知っている人もいないし全く知らない土地での葬式は、とても大変だったと。                                                        

特にお墓の問題が大変だったと彼は言ったが、富岡にお墓があるのにどうしたのだろう。後で紹介する獣医W氏のお母さんも、避難先でお亡くなりになり、葬儀も落ち着いたら正式にやるので今回は密葬にしたと聞いたが、W氏もお墓が富岡にあるから、お母さんをお墓に入れてあげられないので、本当に困っていると思う。                                        

僕のかみさんの友達も、この震災で夫とお母さんを亡くしていて、お骨をまだ納骨出来ないでいるのだ。他にも随分と、避難先でお亡くなりになられた方がいると聞いている。                                                

お墓参りも僕ら、原発被災者は出来ないでいるのだが、いつになったら供養しに行けるのだろうか?新しいお墓を買えばいいじゃないかと言われると、立つ瀬がない。                                                             

買うと言っても、最低で200万円位はかかるだろうし、先祖代々のお墓があるのだから、そんな事出来ないだろうし、それは、家も土地も捨てろと言われているのと同じだ。                                                          

特に、都会の人には信じて貰えないかも知れないが、僕の住むこの地方では、お彼岸の時に必ず家族揃ってお墓参りをする良い風習が残っていて、これには横浜から福島に行った僕が、最初に驚いた事だった。                                                     

日本人にとっては、お墓はとても大事で蔑ろに出来ない問題だから、電力会社はこの事を被災者の側に立って、真剣に考えなければいけない。                                                                

彼は「避難しなければ祖母は死ななかった。病院には入っていたけれど、普通に元気でいたのに」と言葉に力を入れて僕に言った。                                                                     

この頃は、首都圏でも計画的停電が実施されていたと思うのだけど、彼の祖母の避難先は電気も足りないような、部屋はとても寒い病院だったと彼から聞いた。                                                               

その病院に入れられた事を、彼はとても怒っていたし、ほんとに僕は気の毒に思った。どんな状況であれ、身内との別れは辛いものだと思う                                                                 

彼は、この事故のせいで、祖母は亡くなったのも同じだ!と、電力会社に詰め寄ったのだが、この時の彼の怒りはすざましい怒りだったのだ。                                                                

彼も怒りをぶつけるところが、そこにしか見い出せ無かったのだと思う。時期が時期だけに、彼の気持ちが痛いほど分かった僕だった。                                                                    

避難しているだけでも、辛いのに家族を失うなんて僕には想像できない。だから、宮城県や岩手県の大津波で、家族の中に亡くなられた方がいらっしゃる人には、同じ被災者である僕からも、一緒に頑張りましょうと声を掛けたい。                                                                                        

僕は震災後、一ヶ月半位鬱状態で暮らしていたが、ある日、このままで終わるものか!と気持ちが入った。TVで三陸の方や宮城の方の映像を見て僕より、辛い思いをしているのに、立ち上がって頑張っている人がいるじゃないか!と勇気をもらったからで、僕は、東北の復興を信じてこれからもやっていこうと思う。                                                                                                  
                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                           
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