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広島にもダルクの相談室が開設されます。今、150万円募金を進めています。
栃木ダルク 入所者復帰支援 農業で脱・依存症芽生え
2009年11月13日 13時54分
アルコールや薬物依存者の社会復帰を支援する特定非営利活動法人(NPO法人)「栃木ダルク」(宇都宮市)の入所者が、農業を通じたリハビリに取り組んでいる。今月三日には、収穫した野菜の直売所を栃木県那珂川町にオープン。入所者の住居を備えた農場も立ち上げ、近く本格的な活動に乗り出す。 (宇都宮支局・宇田薫)
「農家も人手不足。うちで農業を学び、就職の選択肢に加えたら?」。農業と入所者のリハビリを結び付けたのは、同町で「星の見える丘農園」を経営する星一明さん(45)のひと言だった。
不況で入所者の就職難が続いているという話を耳にした星さんは、栃木ダルクの栗坪千明代表(41)に農園内の畑を使うよう提案。今年六月に作業がスタートした。
それ以来、男性六人が週二回、星さんから農業のイロハを教えてもらいながらハクサイやニンジン、ネギを栽培している。「薬物依存者に欠けているのは充実感と安定感。手を掛ければ応えてくれる農業が、リハビリに与える効果は大きい」と栗坪代表は話す。
一般の農業研修者も受け入れている星さんは「一般の人は作業のつらさに辞める人が多いが、自立を目指す彼らはとにかくまじめ。薬物依存者に対して持っていた『怖い』とか、『犯罪性が強い』とかいう誤解は消えた」と真剣さに目を見張る。
来年春には、星さんから畑と水田を借りて「栃木ダルクファーム(仮称)」を設立し、野菜と米づくりをする予定。入所者の住居も構え、高齢化が進む近隣農家の田植え作業を手伝う構想もある。住居まで備えて農業に取り組む例は全国的にも珍しいという。
社会復帰後も就職先を見つけにくい中高年の入所者にとっても、農業は魅力的な選択肢の一つ。入所者の夢川義和さん(41)は「将来につながる可能性がある。ここで培った技術を社会復帰後に生かしたい」と意気込んだ。(東京新聞)