Nさん公判傍聴のお願い
1 Nさんのこれまでの経緯 Nさんは、知的障がいを持つ33歳の女性です。今回、自転車のビニールシートを燃やしたという器物損壊1件と他人の家に入ったという住居侵入3件により起訴されています。 Nさんの知的能力は5歳程度しかありません。しかし、Nさんの周囲の人々も、福祉関係者も、そして司法関係者も、Nさんの知的障がいの事実に気づかなかったため、Nさんは、生まれてこの方、適切な福祉的支援を受けることができませんでした。その後、本件刑事裁判を追行する中で、初めて福祉関係者の支援を受けることができ、その結果、Nさんの財産管理・身上監護を行う成年後見人が就任するとともに、Nさんは、知的障がい者更生施設に入所することができました。
2 本件公判の意義 Nさんに懲役刑が宣告されることになると、現行の刑法の下では、執行猶予がつかないため、Nさんは、刑務所で服役しなければならないことになります。 しかし、Nさんが刑務所で服役することになると、これによりNさんに対する福祉的支援が遮断されるため、Nさんに悪影響を及ぼします。また、刑務所では、知的障がい者向けの更生プログラムが組まれていないため、Nさんが刑務所で服役しても更生が図れないことは明らかです(現に、今回再犯に及んでいます。)。むしろ、Nさんは、福祉関係者の支援のもと、知的障がい者更生施設で生活し、再犯を犯さないように教育を受けながら生活する方が、再犯防止につながります。今回、Nさんが再犯に及んだのは、これまで、周囲の人々、司法関係者がNさんの障がいを気づかず、Nさんに福祉的支援が及ばなかったためであり、この責めをNさんに負わせるのは、あまりにも酷です。私たちは、Nさんを、刑務所で服役させることなく、Nさんに福祉の手をさしのべ、Nさんを保護するために、闘っています。また、これまでの公判で明らかになったのは、裁判所及び検察官の知的障がいの特性に対する無理解及び社会福祉関係者に対する不敬の事実です。当方提出の証拠が十分に採用されないばかりか、担当検察官が、証人として来ていただいた精神科の先生に対し、生半可な知識に基づく失礼な質問をするなど、司法関係者は、社会福祉に対する理解が不十分であり、これを正していく必要があります。
3 次回の公判の内容について 次回の公判では、再度の鑑定請求についての判断が行われるとともに、成年後見人が、被害者との間で進めた示談の証拠を提出します。また、検察官の論告求刑も予定されています。
4 傍聴のお願いについて 次回の公判は、平成21年8月31日(月)16時~、神戸地方裁判所尼崎支部1号法廷(3F)で行われます。 この裁判は、マスコミにも取り上げていただく予定ですが、我々はもっと多くの方々にこの裁判の存在を知っていただくとともに、できるだけ多くの方々に裁判を傍聴していただき、裁判官の不当な訴訟指揮や検察官の不見識な訴訟行為を監視し、正していくことが必要だと考えております。そのことが、Nさんに対する支援のみならず、社会福祉に対する正しい見識を司法関係者に持たせることにもつながります。 ぜひとも、皆様のご協力をお願いいたします。 以上