工房 十一椿(toi tsubaki)

久留米絣や 大島紬など 着物を使って洋服やバッグなどの製作・販売を行っています。

元気をもらってます。

2012年01月21日 | 日記
今日 ミシン屋さんで

80歳をすぎたおばあちゃん(生徒さん)が

大きな箱を紐で 背中にくくってやってこられました。

箱の中身は・・家庭用ミシン

(そんな・・重いものを・・担いで歩いてくるなんて・・)


まるで 二宮金次郎のようなお姿で・・




「歩いてたら あったまったよ~。」


明るい笑顔で笑うおばあちゃん。




私の大好きなおばあちゃんです。

若い頃は

ずっと

宮崎で大島紬を織っていらっしゃったそうで



せっせと

その頃 織った大島紬のハギレで“帽子”作りをされています。



「イッピキ織ると このくらいのハギレがでるんよ~」



っと たくさん(風呂敷いっぱいの)大島のハギレをみせてくれます。




大島紬を それまであまり見たことのなかった私にとっては

その色・柄の多様さに

改めて驚かされ

そして

ますます 大島・着物の魅力に惹きこまれてしまいます。



そして

その頃の思い出もたくさん。



毎回 おばあちゃんが何気なく話す思い出話が

私にとって 貴重な勉強の時間になってます。感謝


大島紬のことはもちろん


今日は 胃腸薬代わりのよもぎの煎じ方などなど・・



いろんな意味で

人生の大先生です。






今日は

あるハギレをみつけて


「あぁっ!ここにあったんかっ!」



っと・・。



それには


「昭和38年・・・」


っと日付をかいたシールが貼られていました。



「これ・・たくさん織った中で 一番難しかったんよ・・。」




あまりの難しさに 記念に日付を書いておいたそうです。






中学を出て ずっと機織一筋で

お子さんを育てあげたおばあちゃん。



その間に織った大島紬は 数知れず・・。



おばあちゃんの手元にあるハギレたちは

長さが どれも約50cmくらいです。


一反分織って やっとそのくらいの長さが手元に残るそうです。


その50cmのハギレが 風呂敷を解くと

100枚近くあるでしょうか・・。



その一枚一枚に思い出が詰まっていて


懐かしそうに眺めながら

「幸せ 幸せ。」

っと

帽子作りをされるその笑顔が

側で見ていて 本当に癒されます。





ふと わが身に置き換えた時

自分の人生を語れる物って

私の周りにどれだけあるだろう?




80歳になった時

こんな風に懐かしく 昔を思い出させてくれる物・・



そんな風に考え あたりを見渡してみると・・




洋裁にかかわり始めて

○十年・・


学生の頃から使っている定規や

表紙が取れそうになっているノート・・

ミシンやロックミシン・・かな。







80歳になるまで

洋裁を続けていられたら



その時 私はこの歯がボロボロになった定規や

ノートを開きながら

洋裁人生を

おばあちゃんみたいに

笑顔で振り返ることができるのかな・・。








人生の折り返し地点を曲がり


あと何十年後


こんな風に 

笑顔でいられるおばあちゃんになっていたい



あと残り何十年を

そう思えるような洋裁人生にしていかなければ・・



そう思った一日でした。




そして

おばあちゃんは

帰りも二宮金次郎のように 箱を背中に括り帰ろう・・



しましたが


さすがに みんなに止められ

ミシン屋さんが箱を取り上げ?

車で送っていかれました。



元気なおばあちゃん

来週も また 楽しいお話聞かせてくださいね。

 
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