「4時間」
黄金色の月が今日も僕の頭上から大地を眺めている。
寒さなど、いつもは気にしないのに、今日は心の芯まで冷え込む。
西方を向き、僅か4時間の距離を恨む。
ひとりの女が心と体を解放しているのだ、否、したのだ。
あれはまだ夏の日。
そう、思い起こせばいつも夏だった。
徒に年齢を重ねる僕を君は見捨てたりしなかった。
同様に年齢を重ねたはずの君。お互いの人生はどこで離れてしまったのか。
4時間の積み重ねが二人の関係を弄ぶ。
いつか、こんな日が来ると思っていた、恐れていた。
だから、そんなときはいつも家を飛び出して夜空の星屑を眺めた。
今、手元の写真を眺め、ひどく傷ついた心を抑えて放つ優しい言葉。
苦々しい感情はどこに捨てようか。
言葉は魔法だ。
強がりならいくらでも言える。優しい労りの言葉がいくらでも出てくる。
二人の距離が僕の涙を隠す。それが唯一の救いなのかもしれない。
幸福が西方に訪れた。
空白が東方に訪れた。
現実はあまりに唐突で、あまりに残酷だ。
夢や思い出は朽ち果ていつか消え失せる。
そうやって心を落ち着かせるのも単なる魔法であり、儀式でしかない。
それがわかるほど齢(よわひ)を重ねた自分をただただ嘆く。
黄金色の月が秒刻みで西へ向かう。僕は東端に昇る太陽を待つ。
黄金色の月が今日も僕の頭上から大地を眺めている。
寒さなど、いつもは気にしないのに、今日は心の芯まで冷え込む。
西方を向き、僅か4時間の距離を恨む。
ひとりの女が心と体を解放しているのだ、否、したのだ。
あれはまだ夏の日。
そう、思い起こせばいつも夏だった。
徒に年齢を重ねる僕を君は見捨てたりしなかった。
同様に年齢を重ねたはずの君。お互いの人生はどこで離れてしまったのか。
4時間の積み重ねが二人の関係を弄ぶ。
いつか、こんな日が来ると思っていた、恐れていた。
だから、そんなときはいつも家を飛び出して夜空の星屑を眺めた。
今、手元の写真を眺め、ひどく傷ついた心を抑えて放つ優しい言葉。
苦々しい感情はどこに捨てようか。
言葉は魔法だ。
強がりならいくらでも言える。優しい労りの言葉がいくらでも出てくる。
二人の距離が僕の涙を隠す。それが唯一の救いなのかもしれない。
幸福が西方に訪れた。
空白が東方に訪れた。
現実はあまりに唐突で、あまりに残酷だ。
夢や思い出は朽ち果ていつか消え失せる。
そうやって心を落ち着かせるのも単なる魔法であり、儀式でしかない。
それがわかるほど齢(よわひ)を重ねた自分をただただ嘆く。
黄金色の月が秒刻みで西へ向かう。僕は東端に昇る太陽を待つ。