巨匠 ~小杉匠の作家生活~

売れない小説家上がりの詩人気取り
さて、次は何を綴ろうか
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心の通わせ方

2017-03-26 22:38:07 | 
言葉を交わすでもなく、ひっそり思い
君の活躍を見に、さり気なく出向くけど
いつもそんな機会がある訳なくて
ときに昂ぶる気持ちを平静に保つ

そんな何も起きない日常の中で
逆にそっちから来てくれるなんて
あまりにサプライズ、突然すぎる
嬉しい気持ちを通り越し、滝汗

嗚呼、半生を生きても人間
この気持ちだけは変わり得ない
平たく言えば、君が好きだ
簡単に口にはできないこの思い

愛すべきを愛し
会いたいと願う
子供の触れ合いとは違う
大人の心の通わせ方

帰り際の爽やかな笑顔
君は今頃リビングのソファーで
小さな寝息を立てて眠ってるだろう
僕は君がこの場に来てくれた
あり得ないその事実を素直に喜ぶ

僕が学生だったら、なんて
ふと思ってしまう、あり得ないけれど
いつまでも大人になりきれない僕の恋心
ひっそりと心の底に埋めておこう

身の程くらいは知っていたいから

君の幸せを願って見守るよ

カルテット

2017-03-26 13:56:28 | 
今日だけだし
今日一日だけのことなのに
忘れかけていたことなのに
時は流れ、僕達は現実に帰る

一年が余りにも早過ぎて
春の訪れを素直に喜べない
どうしてか涙が止まらない
今日は家の中でじっとしてよう

君が今日だというならいいけれど
僕達の心の準備は間に合うのか
奏でよう、弦楽四重奏
そう、僕達はカルテット

息合って
重なって
繋がって
連なって
輪になって

バラバラの弦楽器の音色とリズム
ヴィオラがヴァイオリンに溶け込むように
チェロがヴァイオリンに重なり合うように
誰も認められなかった時間の感覚
徐々にもつれた紐が解けるように
甦って、纏まってくるのを感じる

小さいころ、僕を追い回してた君
今は君の旋律に僕が合わせる役割
余りにもシャイすぎたお互いが
気が付けばいつの間にかなぜか
誰一人欠かせない無敵のカルテット

小さな思い出がふとよぎった
昨年のこの光景、子供時代の日々

四人が弓の動きをピタリと止めた
エンディングに観客席から大歓声
涙も、憧れも、裏切りも、脆さも
すべてを昇華させていく地鳴り
ステージに一直線に並んだ僕達
深々とお辞儀する僕達はひとつ

そうさ、僕達は年に一度ひとつ
永遠に繋がらないひとつ