ネタのない一日

今日も終わり
というか終わらせた
打ち切って旅に出よう
手ぶらで気楽に行こう

相変わらず消化不良な一日だと
溜息をつきながら
溜池山王を後にする
語呂がいいと一人悦に入る僕
余りにくだらない馬鹿が約一名

雨模様の東京に一人
彷徨う僕の遊び心
今宵誰と踊ろうか
足は自然と上野に向く

特急の指定席に滑り込み
ビールのプルトップを開け
乾いた喉を勢いよく潤す
この苦味がたまらない
今日は発泡酒じゃなくてビール

非生産的に見えるかもしれないが
僕の一日は無駄じゃない
決して人を不幸にしないし
無理も無駄も強いてない

何が君の妨げになっているのか
検証してみようじゃないか
それは僕ではないはず
僕は君の人生に干渉しない

明日の訪れに怯える僕は
今日と明日の狭間で揺れ動く
今日の終わりを僕は知らない

現世との決別

涙に暮れた日々はいつだったか
今はもう感情という感情を
忘れ去ってしまって
つまらない人間が
つまらない俗世間を
つまらなく生きている
つまらない毎日だ

そんな僕のポケットに
ひとひらの花びらが舞い降りる
思考停止を決め込んだ僕に
季節感という微妙な感情が
湧き上がるかどうかを
試しているかのように

この時期の終電近くは
酒臭く、騒がしくて仕方ない
無駄に混雑する車内に辟易しつつ
人混みをかわすように空間を作り
文字を綴る僕の肩を誰かが叩く
振り向くと懐かしい過去の仕事仲間
早く、巧く、お前は抜け出したな

もうすべてがすべてカオスで
無感情、無表情な僕も笑うしかない
いったい誰が、何が、どうやって
この乱れきった世を秩序立てるのか
そんなことを期待する僕が馬鹿なのか
僕はこの世の無駄という無駄を
消費している気分だ、違うか！

お偉方が掲げるワークライフバランス
結局はゼロサム、それが万物の真理
総体で見れば、こんな付け焼き刃は
生活のリズムを逆に歪ませるぞ
どこかを歪ませるということは
誰かが割を食うようにできているんだ

僕達が築いてきた社会をなめるなよ
この非効率性は僕達が生み出した産物
自らの歴史を塗り替えようとしても
それは単なる自己否定、進化ではない
いずれ破綻する、よく見ておくがいい

ああ、隣の国は債務超過だってね
我が国も他人事じゃない
何処もかしこも異常事態だ
その前に我が身を案じよう
一切の感情を失った僕は
何を拠り所に生きればいい

毎日顔を合わす隣人は遥か遠くの他人
スマホ越しに見る面識ない人が友達？
僕達が創りあげた現代社会は
こんなにも薄っぺらく、馬鹿げていて
おおよそ社会などとは呼べない産物

嗚呼、こんな僕にも感情があった
諦観という感情が

悪感情しか持てぬ奴など
この世から消えてしまえ！

僕は自分を襲うブーメランを放ち
忌み嫌うこの世との決別を図る