出雲市大社町日御碕、「日御碕神社」から少し先へと進むと日本海に臨む日御碕の突端に出ます。 一帯は「大山隠岐国立公園」の一角を成しており、晴れた日には遠く隠岐諸島までも臨む事ができるといいます。
青い海と流紋岩の造形美が織りなす島根半島。その最西端、柱状節理石英角斑岩の基盤の上に建つ『出雲日御碕灯台』。
「公益社団法人燈光会」はこの灯台を、日本一の灯塔の高さをもつ石造灯台として紹介しています。
日御碕灯台が着工されたのは明治33年(1900)。三年の歳月を要し 明治36(1903)4月1日に初点灯されました。高さ43.65m、海面から灯塔の頭上まで63.30m。設計・施工ともに日本人が手がけ、外観には松江市美保関町から切り出された硬質の石材を使用。
荒れ狂う日本海を、おだやかにさざめく海上を、一日も休むことなく照らし続け、人々の航海の安全を守り続けた美しい白亜の灯台。110年の歳月を経てなお、今も変わらない美しさで海を往く人々を守り続けています。
日御碕灯台に使用されたレンズは、全国に5箇所しかない最大の第1等レンズ。その光は夜間約40kmの沖合まで達するとか。 資料展示室には、実際に神戸で使用されていた第五等フレネルレンズが、日御碕灯台の諸々の資料や内部模型と共に展示されています。
そういえばここでとても面白い資料を発見。「埼・・・草木が生えない荒れ地が海につきだしている場所。 岬・・・陸地が海につきだしいる場所。 崎・・・山の様子が険しい場所。」だそうです。
日本の灯台50選にも選ばれた美しい灯台。その歴史や文化的な価値の高さから、1998年に「世界の歴史的灯台百選」に。また私たちが訪問した翌年2012年には「国の登録有形文化財」に選定されました。
一般的に灯台と言うと、外から眺めるか、もしくは離れた場所から見るものですが、ここはちょっと違います。 何と!有料(大人200円)で一般公開されている参観灯台。一番上まで登って眼下に日本海を一望できるのです。
ただし階段は狭く急で、特に最上階への18段は勾配が極めてきつい梯子状の階段。 それでなくても平坦でない道を一人で歩くのは危険だと言われ続けている身なので見学は無理。もともと異常と言っても良いほどの高所恐怖症の私には、やっぱり灯台は外から見る方が美しい(〃∇〃) ・・と言ってる私の側で、首が痛くなる程、塔頂を見上げているご亭主殿。登りたかったら私に遠慮なんて全く無用なのにね(笑)
灯台の周囲には海食によって形成された流紋岩の「段丘崖(だんきゅうがい)」が広がり、それはそれは素晴らしい景色だそうです。傍らには「日御碕の地形」の説明ボードも設置されています。
数万年前、海面はこの位置まであり、繰り返される波浪の浸食作用がこの地形を作り上げました。数万年と文字にしてしまえば軽すぎる時間ですが、それだけにその長さの実感が伴いません。そして・・・何度でも繰り返しますが、高い所に立って下を見るなどと・・そんな恐ろしい事 (((((^_^;)
随分とありったけの勇気と根性を総動員して・・これが精一杯。
青空の中にすっくと立つ白亜の灯台。最後にもう一度灯台を背景に記念の写真を残し、私たちはこの美しい日御碕の地を後にしました。
訪問日:2011年5月17日