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県庁の星

2005年09月20日 | 本のはなし
「県庁の星」を読みました。

エリート公務員が民間企業へ研修に行くという話です。主人公は野村聡、県庁勤めのエリート公務員です。県知事の思いつきで民間企業への研修に派遣される事になります。一年間の研修を無事終えれて県庁に戻れば昇進が約束された研修です。しかし、その派遣先は普通の小さな町のスーパーでした。

自分たちが県を動かしていると意識が強いエリート公務員が、普通のしがないスーパーに派遣され憤慨します。しかも、教育係はパートのおばさんです。しかし、このパートのおばさん、パートながら実は店を全て把握している人で、できればもっと店を良くしたいと考えている人です。

はじめは全く立場が違う二人は反目し合います。しかし、主人公はエリート意識をのぞけば真面目で一生懸命な性格です。はじめは自分のためながら、とんちんかんな改革に挑戦しはじめます。初めは全くかみ合いませんが、徐々にパートのおばさんも応援し始めます。そして、挫折もありながら、まわりとの理解を深めていき自分と周りを変えて行きます。

話のバランスは少し気になるところもありましたが、一気に読めてなかなか面白い作品でした。主人公もエリート意識が強く、頭の良い人にありがちな頭の堅さみたいなものがありますが、反面不器用ながら真面目で向上心があり、好感を持つ事ができました。

もう一人の主人公とも言うべきパートのおばさんも憎まれ口を叩きますが、心の奥では優しさをきちんと持っています。はじめは県庁勤めの主人公を快く思いません。しかし、店を良くしたいと思う気持ちがあり、段々主人公のいいアドバイザー役になっていきます。

はじめはガチガチの役人的な考えだったのが、スーパーの人との交流で段々変わってくるところはなかなか面白かったです。できれば、変わって行く過程をもう少しじっくり書いてほしかったとは思いますが、ストーリーはコミカルで楽しめるし、最後は感動しました。

自分から環境を変えていける人というのはごくわずかかもしれないけど、みんなやる気がないように見えても環境さえ良くなれば、頑張れる人はたくさんいるのだと思わされました。みんな、頑張れるものが欲しいのかもしれません。作者の桂望実さんの作品は初めて読みましたが、読んだ後いい気分になれましたし、手軽に読めるのでなかなか良かったです。

県庁の星

小学館

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