内外政策評論 TheOpinion on Global & Domestic Issues

このブログは、広い視野から内外諸問題を分析し、提言を試みます。
Policy Essayist

シリーズJAL再起への5つの提言

2010-02-01 | Weblog
シリーズJAL再起への5つの提言
 JALの法的整理、再生の方針が決まった。当面の最大の焦点は、8千億円とも言われている債務の圧縮と資金調達だが、その点は企業再生支援機構と新経営陣に委ねるとして、JALが運航を継続しながら「再起」するに当たり、影響を受ける方々にはご同情の意を表明すると共に、次の5点を提案したい。
1、 安全への信頼回復
 航空サービスで最も大切なことは旅客の安全の確保だ。特に日航が過去に不幸な事故を起こしているだけに、“安全”について信頼回復出来るように心を新たにして再出発する必要があろう。それなくしては客は戻らない。誰の責任でもない、役員を含め従業員一人一人の責任であるとの意識と妥協のない努力が大切なのであろう。このことは他のエアーラインも同様だ。
 安全と共に、安定と安価を加えた3Aを達成することが大切だ。安定は、大幅な遅延やキャンセルがない安定した運航で何時も安心して乗れることである。
 2、JALのロゴマークの一新
JALのこれまでのロゴマークは、見方によると朱の文字Jで真ん中を真っ二つに割った形となっている。一新して良いのではないだろうか。運航を継続し、意識やイメージを引きずれば一新されたとは見られない。公募するのも良いだろう。
3、企業のためではなく、「顧客のためのサービス」という意識が必要
航空業も営利企業であるので利益を出さなければならない。それが企業目的だ。しかし事業が拡大し、企業規模が大きくなると自然と企業の論理、都合が優先するようになる。顧客へのサービスは画一化し、マニュアル通りの横並びの均一サービスとなる。サービスに差をつけない、むらのないサービスと言う意味では良いが、企業のための規則やマニュアルとなり、「顧客のためのサービス」という原点が薄れて来る。要するに“規則でございます”的な対応となる。その“規則”は誰のためにあるのか。企業にとって都合の良いサービスは、必ずしも顧客のためのサービスとはならない。
このことは巨大化しているその他の民間企業についても言えるが、特に行政について言える。行政は、国レベルでも地方でも権限を持っているので、禁止行為、罰則を含め規則をつくればそれで済むことが多い。しかし何故違反行為が行われるのだろうか。刑法上の犯罪などは別として、そこに何らかの必要性があることが多い。例えば規則上は良いことではないが、駐車・駐輪違反などがある。止めなければ用を足せないからだ。ところが禁止が10年、20年と続く。違反も続く。一定期間禁止したら、その間に便利な場所に駐車・駐輪場所を設置すれば駐車・駐輪違反は減少するだろう。いろいろの問題があるだろうが、それが「行政」というものではないだろうか。行政がどうしても行政側の都合、論理を優先し、国民のニーズに対応した「行政サービス」という意識に欠けるからなのであろう。行政とはそういうものと言えないこともないが、民主主義社会においては、行政側も「国民のための行政サービス」という意識が不可欠なのであろう。「国民の、国民による、国民のための政府」とは本来そのような政府、行政を目指したものであろう。
民間の事業であれば、顧客、消費者のためのサービスでなければ客は得れない。
4、忘れてはならないのは再起のための公的資金の投入
 今回の法的整理に伴い、多額の公的資金が投入される。また主力銀行は総額3,500億円強の債権の放棄を行うと共に、株式の上場廃止、100%の減資となれば機関投資家はもとより、46万人ほどの個人株主の保有株がゼロになり、納税者、国民に広範な負担を強いることになる。従って日航の再起は日航の社内的な問題にとどまらず、国民的な関心があることであり、国民の理解と支援なくしては困難であるとの認識が必要であろう。
 新生日航の会長として京セラの稲盛会長が就任する見通しだ。その際稲盛会長は、高齢であるので毎日は出勤できないが、無給で仕事する旨述べた。最近これほど高潔な経営者を見たことがない。同時に「ナショナル・キャリアーということではなく、日航従業員の幸せのため努力する」旨述べた。新経営者として従業員の不安を除くためであり理解できるが、納税者、国民に広範な負担を強いる再起であることを忘れるべきではない。
 更に、そもそも顧客が戻らなければ再起は困難であろう。これまで日航を支援していた顧客をつなぎとめ、新たな顧客をつかむ努力と処理の仕方が鍵となろう。従来の日航利用者、納税者、国民の理解と支援が不可欠であろう。
5、株式市場への信頼回復
JAJ株は上場廃止、100%の減資で、株券は紙切れとなる。46万人の個人株主を含め株主は、民営化されたJALを資本面だけでなく、顧客としてもJALを支えて来た。今後再生を図る上でこれらの株主が背を向ける可能性がある。
それ以上に、今回の100%減資は一般投資家の株式市場への信頼性を著しく損なう恐れがある。しかも民営化されたあのJALの株券が紙切れとなるのだから影響は大きいと見られる。
金融機関の破綻の場合、1千万円を限度として預金が保証されるペイオフ制度がある。企業破綻についても、今回のような公的支援に基づく再生おいては、株式も1千万円程度を限度として保証される制度が検討されても良いのかも知れない。(01.10.)
(All Rights Reserved.) (不許無断引用)
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シリーズJAL再起への5つの提言

2010-02-01 | Weblog
シリーズJAL再起への5つの提言
 JALの法的整理、再生の方針が決まった。当面の最大の焦点は、8千億円とも言われている債務の圧縮と資金調達だが、その点は企業再生支援機構と新経営陣に委ねるとして、JALが運航を継続しながら「再起」するに当たり、影響を受ける方々にはご同情の意を表明すると共に、次の5点を提案したい。
1、 安全への信頼回復
 航空サービスで最も大切なことは旅客の安全の確保だ。特に日航が過去に不幸な事故を起こしているだけに、“安全”について信頼回復出来るように心を新たにして再出発する必要があろう。それなくしては客は戻らない。誰の責任でもない、役員を含め従業員一人一人の責任であるとの意識と妥協のない努力が大切なのであろう。このことは他のエアーラインも同様だ。
 安全と共に、安定と安価を加えた3Aを達成することが大切だ。安定は、大幅な遅延やキャンセルがない安定した運航で何時も安心して乗れることである。
 2、JALのロゴマークの一新
JALのこれまでのロゴマークは、見方によると朱の文字Jで真ん中を真っ二つに割った形となっている。一新して良いのではないだろうか。運航を継続し、意識やイメージを引きずれば一新されたとは見られない。公募するのも良いだろう。
3、企業のためではなく、「顧客のためのサービス」という意識が必要
航空業も営利企業であるので利益を出さなければならない。それが企業目的だ。しかし事業が拡大し、企業規模が大きくなると自然と企業の論理、都合が優先するようになる。顧客へのサービスは画一化し、マニュアル通りの横並びの均一サービスとなる。サービスに差をつけない、むらのないサービスと言う意味では良いが、企業のための規則やマニュアルとなり、「顧客のためのサービス」という原点が薄れて来る。要するに“規則でございます”的な対応となる。その“規則”は誰のためにあるのか。企業にとって都合の良いサービスは、必ずしも顧客のためのサービスとはならない。
このことは巨大化しているその他の民間企業についても言えるが、特に行政について言える。行政は、国レベルでも地方でも権限を持っているので、禁止行為、罰則を含め規則をつくればそれで済むことが多い。しかし何故違反行為が行われるのだろうか。刑法上の犯罪などは別として、そこに何らかの必要性があることが多い。例えば規則上は良いことではないが、駐車・駐輪違反などがある。止めなければ用を足せないからだ。ところが禁止が10年、20年と続く。違反も続く。一定期間禁止したら、その間に便利な場所に駐車・駐輪場所を設置すれば駐車・駐輪違反は減少するだろう。いろいろの問題があるだろうが、それが「行政」というものではないだろうか。行政がどうしても行政側の都合、論理を優先し、国民のニーズに対応した「行政サービス」という意識に欠けるからなのであろう。行政とはそういうものと言えないこともないが、民主主義社会においては、行政側も「国民のための行政サービス」という意識が不可欠なのであろう。「国民の、国民による、国民のための政府」とは本来そのような政府、行政を目指したものであろう。
民間の事業であれば、顧客、消費者のためのサービスでなければ客は得れない。
4、忘れてはならないのは再起のための公的資金の投入
 今回の法的整理に伴い、多額の公的資金が投入される。また主力銀行は総額3,500億円強の債権の放棄を行うと共に、株式の上場廃止、100%の減資となれば機関投資家はもとより、46万人ほどの個人株主の保有株がゼロになり、納税者、国民に広範な負担を強いることになる。従って日航の再起は日航の社内的な問題にとどまらず、国民的な関心があることであり、国民の理解と支援なくしては困難であるとの認識が必要であろう。
 新生日航の会長として京セラの稲盛会長が就任する見通しだ。その際稲盛会長は、高齢であるので毎日は出勤できないが、無給で仕事する旨述べた。最近これほど高潔な経営者を見たことがない。同時に「ナショナル・キャリアーということではなく、日航従業員の幸せのため努力する」旨述べた。新経営者として従業員の不安を除くためであり理解できるが、納税者、国民に広範な負担を強いる再起であることを忘れるべきではない。
 更に、そもそも顧客が戻らなければ再起は困難であろう。これまで日航を支援していた顧客をつなぎとめ、新たな顧客をつかむ努力と処理の仕方が鍵となろう。従来の日航利用者、納税者、国民の理解と支援が不可欠であろう。
5、株式市場への信頼回復
JAJ株は上場廃止、100%の減資で、株券は紙切れとなる。46万人の個人株主を含め株主は、民営化されたJALを資本面だけでなく、顧客としてもJALを支えて来た。今後再生を図る上でこれらの株主が背を向ける可能性がある。
それ以上に、今回の100%減資は一般投資家の株式市場への信頼性を著しく損なう恐れがある。しかも民営化されたあのJALの株券が紙切れとなるのだから影響は大きいと見られる。
金融機関の破綻の場合、1千万円を限度として預金が保証されるペイオフ制度がある。企業破綻についても、今回のような公的支援に基づく再生おいては、株式も1千万円程度を限度として保証される制度が検討されても良いのかも知れない。(01.10.)
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 JALの法的整理、再生の方針が決まった。当面の最大の焦点は、8千億円とも言われている債務の圧縮と資金調達だが、その点は企業再生支援機構と新経営陣に委ねるとして、JALが運航を継続しながら「再起」するに当たり、影響を受ける方々にはご同情の意を表明すると共に、次の5点を提案したい。
1、 安全への信頼回復
 航空サービスで最も大切なことは旅客の安全の確保だ。特に日航が過去に不幸な事故を起こしているだけに、“安全”について信頼回復出来るように心を新たにして再出発する必要があろう。それなくしては客は戻らない。誰の責任でもない、役員を含め従業員一人一人の責任であるとの意識と妥協のない努力が大切なのであろう。このことは他のエアーラインも同様だ。
 安全と共に、安定と安価を加えた3Aを達成することが大切だ。安定は、大幅な遅延やキャンセルがない安定した運航で何時も安心して乗れることである。
 2、JALのロゴマークの一新
JALのこれまでのロゴマークは、見方によると朱の文字Jで真ん中を真っ二つに割った形となっている。一新して良いのではないだろうか。運航を継続し、意識やイメージを引きずれば一新されたとは見られない。公募するのも良いだろう。
3、企業のためではなく、「顧客のためのサービス」という意識が必要
航空業も営利企業であるので利益を出さなければならない。それが企業目的だ。しかし事業が拡大し、企業規模が大きくなると自然と企業の論理、都合が優先するようになる。顧客へのサービスは画一化し、マニュアル通りの横並びの均一サービスとなる。サービスに差をつけない、むらのないサービスと言う意味では良いが、企業のための規則やマニュアルとなり、「顧客のためのサービス」という原点が薄れて来る。要するに“規則でございます”的な対応となる。その“規則”は誰のためにあるのか。企業にとって都合の良いサービスは、必ずしも顧客のためのサービスとはならない。
このことは巨大化しているその他の民間企業についても言えるが、特に行政について言える。行政は、国レベルでも地方でも権限を持っているので、禁止行為、罰則を含め規則をつくればそれで済むことが多い。しかし何故違反行為が行われるのだろうか。刑法上の犯罪などは別として、そこに何らかの必要性があることが多い。例えば規則上は良いことではないが、駐車・駐輪違反などがある。止めなければ用を足せないからだ。ところが禁止が10年、20年と続く。違反も続く。一定期間禁止したら、その間に便利な場所に駐車・駐輪場所を設置すれば駐車・駐輪違反は減少するだろう。いろいろの問題があるだろうが、それが「行政」というものではないだろうか。行政がどうしても行政側の都合、論理を優先し、国民のニーズに対応した「行政サービス」という意識に欠けるからなのであろう。行政とはそういうものと言えないこともないが、民主主義社会においては、行政側も「国民のための行政サービス」という意識が不可欠なのであろう。「国民の、国民による、国民のための政府」とは本来そのような政府、行政を目指したものであろう。
民間の事業であれば、顧客、消費者のためのサービスでなければ客は得れない。
4、忘れてはならないのは再起のための公的資金の投入
 今回の法的整理に伴い、多額の公的資金が投入される。また主力銀行は総額3,500億円強の債権の放棄を行うと共に、株式の上場廃止、100%の減資となれば機関投資家はもとより、46万人ほどの個人株主の保有株がゼロになり、納税者、国民に広範な負担を強いることになる。従って日航の再起は日航の社内的な問題にとどまらず、国民的な関心があることであり、国民の理解と支援なくしては困難であるとの認識が必要であろう。
 新生日航の会長として京セラの稲盛会長が就任する見通しだ。その際稲盛会長は、高齢であるので毎日は出勤できないが、無給で仕事する旨述べた。最近これほど高潔な経営者を見たことがない。同時に「ナショナル・キャリアーということではなく、日航従業員の幸せのため努力する」旨述べた。新経営者として従業員の不安を除くためであり理解できるが、納税者、国民に広範な負担を強いる再起であることを忘れるべきではない。
 更に、そもそも顧客が戻らなければ再起は困難であろう。これまで日航を支援していた顧客をつなぎとめ、新たな顧客をつかむ努力と処理の仕方が鍵となろう。従来の日航利用者、納税者、国民の理解と支援が不可欠であろう。
5、株式市場への信頼回復
JAJ株は上場廃止、100%の減資で、株券は紙切れとなる。46万人の個人株主を含め株主は、民営化されたJALを資本面だけでなく、顧客としてもJALを支えて来た。今後再生を図る上でこれらの株主が背を向ける可能性がある。
それ以上に、今回の100%減資は一般投資家の株式市場への信頼性を著しく損なう恐れがある。しかも民営化されたあのJALの株券が紙切れとなるのだから影響は大きいと見られる。
金融機関の破綻の場合、1千万円を限度として預金が保証されるペイオフ制度がある。企業破綻についても、今回のような公的支援に基づく再生おいては、株式も1千万円程度を限度として保証される制度が検討されても良いのかも知れない。(01.10.)
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1、 安全への信頼回復
 航空サービスで最も大切なことは旅客の安全の確保だ。特に日航が過去に不幸な事故を起こしているだけに、“安全”について信頼回復出来るように心を新たにして再出発する必要があろう。それなくしては客は戻らない。誰の責任でもない、役員を含め従業員一人一人の責任であるとの意識と妥協のない努力が大切なのであろう。このことは他のエアーラインも同様だ。
 安全と共に、安定と安価を加えた3Aを達成することが大切だ。安定は、大幅な遅延やキャンセルがない安定した運航で何時も安心して乗れることである。
 2、JALのロゴマークの一新
JALのこれまでのロゴマークは、見方によると朱の文字Jで真ん中を真っ二つに割った形となっている。一新して良いのではないだろうか。運航を継続し、意識やイメージを引きずれば一新されたとは見られない。公募するのも良いだろう。
3、企業のためではなく、「顧客のためのサービス」という意識が必要
航空業も営利企業であるので利益を出さなければならない。それが企業目的だ。しかし事業が拡大し、企業規模が大きくなると自然と企業の論理、都合が優先するようになる。顧客へのサービスは画一化し、マニュアル通りの横並びの均一サービスとなる。サービスに差をつけない、むらのないサービスと言う意味では良いが、企業のための規則やマニュアルとなり、「顧客のためのサービス」という原点が薄れて来る。要するに“規則でございます”的な対応となる。その“規則”は誰のためにあるのか。企業にとって都合の良いサービスは、必ずしも顧客のためのサービスとはならない。
このことは巨大化しているその他の民間企業についても言えるが、特に行政について言える。行政は、国レベルでも地方でも権限を持っているので、禁止行為、罰則を含め規則をつくればそれで済むことが多い。しかし何故違反行為が行われるのだろうか。刑法上の犯罪などは別として、そこに何らかの必要性があることが多い。例えば規則上は良いことではないが、駐車・駐輪違反などがある。止めなければ用を足せないからだ。ところが禁止が10年、20年と続く。違反も続く。一定期間禁止したら、その間に便利な場所に駐車・駐輪場所を設置すれば駐車・駐輪違反は減少するだろう。いろいろの問題があるだろうが、それが「行政」というものではないだろうか。行政がどうしても行政側の都合、論理を優先し、国民のニーズに対応した「行政サービス」という意識に欠けるからなのであろう。行政とはそういうものと言えないこともないが、民主主義社会においては、行政側も「国民のための行政サービス」という意識が不可欠なのであろう。「国民の、国民による、国民のための政府」とは本来そのような政府、行政を目指したものであろう。
民間の事業であれば、顧客、消費者のためのサービスでなければ客は得れない。
4、忘れてはならないのは再起のための公的資金の投入
 今回の法的整理に伴い、多額の公的資金が投入される。また主力銀行は総額3,500億円強の債権の放棄を行うと共に、株式の上場廃止、100%の減資となれば機関投資家はもとより、46万人ほどの個人株主の保有株がゼロになり、納税者、国民に広範な負担を強いることになる。従って日航の再起は日航の社内的な問題にとどまらず、国民的な関心があることであり、国民の理解と支援なくしては困難であるとの認識が必要であろう。
 新生日航の会長として京セラの稲盛会長が就任する見通しだ。その際稲盛会長は、高齢であるので毎日は出勤できないが、無給で仕事する旨述べた。最近これほど高潔な経営者を見たことがない。同時に「ナショナル・キャリアーということではなく、日航従業員の幸せのため努力する」旨述べた。新経営者として従業員の不安を除くためであり理解できるが、納税者、国民に広範な負担を強いる再起であることを忘れるべきではない。
 更に、そもそも顧客が戻らなければ再起は困難であろう。これまで日航を支援していた顧客をつなぎとめ、新たな顧客をつかむ努力と処理の仕方が鍵となろう。従来の日航利用者、納税者、国民の理解と支援が不可欠であろう。
5、株式市場への信頼回復
JAJ株は上場廃止、100%の減資で、株券は紙切れとなる。46万人の個人株主を含め株主は、民営化されたJALを資本面だけでなく、顧客としてもJALを支えて来た。今後再生を図る上でこれらの株主が背を向ける可能性がある。
それ以上に、今回の100%減資は一般投資家の株式市場への信頼性を著しく損なう恐れがある。しかも民営化されたあのJALの株券が紙切れとなるのだから影響は大きいと見られる。
金融機関の破綻の場合、1千万円を限度として預金が保証されるペイオフ制度がある。企業破綻についても、今回のような公的支援に基づく再生おいては、株式も1千万円程度を限度として保証される制度が検討されても良いのかも知れない。(01.10.)
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1、 安全への信頼回復
 航空サービスで最も大切なことは旅客の安全の確保だ。特に日航が過去に不幸な事故を起こしているだけに、“安全”について信頼回復出来るように心を新たにして再出発する必要があろう。それなくしては客は戻らない。誰の責任でもない、役員を含め従業員一人一人の責任であるとの意識と妥協のない努力が大切なのであろう。このことは他のエアーラインも同様だ。
 安全と共に、安定と安価を加えた3Aを達成することが大切だ。安定は、大幅な遅延やキャンセルがない安定した運航で何時も安心して乗れることである。
 2、JALのロゴマークの一新
JALのこれまでのロゴマークは、見方によると朱の文字Jで真ん中を真っ二つに割った形となっている。一新して良いのではないだろうか。運航を継続し、意識やイメージを引きずれば一新されたとは見られない。公募するのも良いだろう。
3、企業のためではなく、「顧客のためのサービス」という意識が必要
航空業も営利企業であるので利益を出さなければならない。それが企業目的だ。しかし事業が拡大し、企業規模が大きくなると自然と企業の論理、都合が優先するようになる。顧客へのサービスは画一化し、マニュアル通りの横並びの均一サービスとなる。サービスに差をつけない、むらのないサービスと言う意味では良いが、企業のための規則やマニュアルとなり、「顧客のためのサービス」という原点が薄れて来る。要するに“規則でございます”的な対応となる。その“規則”は誰のためにあるのか。企業にとって都合の良いサービスは、必ずしも顧客のためのサービスとはならない。
このことは巨大化しているその他の民間企業についても言えるが、特に行政について言える。行政は、国レベルでも地方でも権限を持っているので、禁止行為、罰則を含め規則をつくればそれで済むことが多い。しかし何故違反行為が行われるのだろうか。刑法上の犯罪などは別として、そこに何らかの必要性があることが多い。例えば規則上は良いことではないが、駐車・駐輪違反などがある。止めなければ用を足せないからだ。ところが禁止が10年、20年と続く。違反も続く。一定期間禁止したら、その間に便利な場所に駐車・駐輪場所を設置すれば駐車・駐輪違反は減少するだろう。いろいろの問題があるだろうが、それが「行政」というものではないだろうか。行政がどうしても行政側の都合、論理を優先し、国民のニーズに対応した「行政サービス」という意識に欠けるからなのであろう。行政とはそういうものと言えないこともないが、民主主義社会においては、行政側も「国民のための行政サービス」という意識が不可欠なのであろう。「国民の、国民による、国民のための政府」とは本来そのような政府、行政を目指したものであろう。
民間の事業であれば、顧客、消費者のためのサービスでなければ客は得れない。
4、忘れてはならないのは再起のための公的資金の投入
 今回の法的整理に伴い、多額の公的資金が投入される。また主力銀行は総額3,500億円強の債権の放棄を行うと共に、株式の上場廃止、100%の減資となれば機関投資家はもとより、46万人ほどの個人株主の保有株がゼロになり、納税者、国民に広範な負担を強いることになる。従って日航の再起は日航の社内的な問題にとどまらず、国民的な関心があることであり、国民の理解と支援なくしては困難であるとの認識が必要であろう。
 新生日航の会長として京セラの稲盛会長が就任する見通しだ。その際稲盛会長は、高齢であるので毎日は出勤できないが、無給で仕事する旨述べた。最近これほど高潔な経営者を見たことがない。同時に「ナショナル・キャリアーということではなく、日航従業員の幸せのため努力する」旨述べた。新経営者として従業員の不安を除くためであり理解できるが、納税者、国民に広範な負担を強いる再起であることを忘れるべきではない。
 更に、そもそも顧客が戻らなければ再起は困難であろう。これまで日航を支援していた顧客をつなぎとめ、新たな顧客をつかむ努力と処理の仕方が鍵となろう。従来の日航利用者、納税者、国民の理解と支援が不可欠であろう。
5、株式市場への信頼回復
JAJ株は上場廃止、100%の減資で、株券は紙切れとなる。46万人の個人株主を含め株主は、民営化されたJALを資本面だけでなく、顧客としてもJALを支えて来た。今後再生を図る上でこれらの株主が背を向ける可能性がある。
それ以上に、今回の100%減資は一般投資家の株式市場への信頼性を著しく損なう恐れがある。しかも民営化されたあのJALの株券が紙切れとなるのだから影響は大きいと見られる。
金融機関の破綻の場合、1千万円を限度として預金が保証されるペイオフ制度がある。企業破綻についても、今回のような公的支援に基づく再生おいては、株式も1千万円程度を限度として保証される制度が検討されても良いのかも知れない。(01.10.)
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