内外政策評論 TheOpinion on Global & Domestic Issues

このブログは、広い視野から内外諸問題を分析し、提言を試みます。
Policy Essayist

先進7カ国財務相会議とガソリン税暫定税率存廃問題 

2008-02-18 | Weblog
先進7カ国財務相会議とガソリン税暫定税率存廃問題 
2月9日、先進7カ国財務相会議が開催され、低所得層を対象としたサブプライム・ローンの破綻を背景とする米国発の世界的な株安や景気後退感の中だけに結果が注目された。
 同日発表された議長声明では、世界は立ち向かわなくてはならない「不確実な環境」に直面しているが、「世界全体のファンダメンタルズは引き続き堅固」であるとし、今後の経済動向を注視し、経済の安定と成長の確保のため、「個別に、或いは共同して適切な行動を取って行く」として、具体的な協調行動などは示されなかった。欧州連合(EU)が欧州においてはマネージ可能な状態としたとされている。同時に、主要7カ国は、「必要な改革を通じて成長力を高める努力を強化」することを確認する一方、米国のポールソン財務長官は、会議後、日本の内需拡大による牽引力への期待感を表明している。
議長国は、本年のサミット(主要先進国首脳会議)の開催国となる日本が務めたが、議長声明には、石油価格の高騰にも言及し、OPEC他の産油国に増産を促すと共に、生産・精製能力の増強等の重要性を強調している。ところが、その後に「財政上の措置により国内エネルギー価格を人為的に引き下げることは、市場におけるエネルギー需要の調整を妨げ、温室効果ガスの排出を増加させることから、避けるべき」との一節が付け加えられていることから、一部マスコミや国会で問題となっている。
一部には、これはガソリン税暫定税率を一部又は全部廃止し、石油価格を引き下げることに反対する趣旨であるとも解釈され、野党等は、国内の個別的な問題であり、議長国の立場から国際会議を利用している等として問題視している。G7財務相会議が、各国の特定の「財政上の措置」に言及することは異例であるが、日本のガソリン税問題が7カ国財務相会議に飛び火した格好だ。
しかし、この文言は、暫定税率の維持を主張する政府やいわゆる道路族にとっては諸刃の刃になる可能性がある。
政府は、本年度の補正予算において、寒冷地の灯油購入費補助などの原油高対策費(570億円)などを含めているが、灯油購入費補助は温室効果ガス排出に繋がり、価格引下げ効果と同様の「財政上の措置」であると共に、一方で原油高対策を実施しながら、他方でこれを否定するという矛盾が生ずる。
そもそも暫定税率を廃止又は引き下げても、現在の物価高傾向の中で減税分がすべてガソリン需要に向かうとも思えない。暫定税減税による景気下支えの波及効果が期待される。また、暫定税率が長期にわたり「道路特定財源」として固定され、かなりの部分が有料高速道路の建設に使用されて来ているが、高速走行はガソリン消費量を高めるので、高速道路をこれまでのペースで作り続けることが省エネや温室効果ガスの抑制に貢献するとも思えない。高速道路建設は自然を削ることもあるので十分な環境アセスメントも不可欠だ。環境を重視するのであれば、既存道路の渋滞の解消や交差点・踏切の地下化・高架化、生活道路・市街地道路の環境改善などの方が効果的であろう。
更に、ガソリン税などが有料高速道路の建設に投入されてきているが、利用者はその高速道路の通行に高額の料金を民営化された「道路会社」に徴収され、いわば2重に徴収される形となっている。高速道路を管理していた道路公団は民営化し、会社経営に移行しているので、本来であれば新規の有料道路の建設は採算性を考慮して、「道路会社」が資金調達し、建設されなくては民営化の意味が薄れるばかりではなく、通行料金とガソリン税等の割り当てという2重の権益を「道路会社」が維持することになる。採算性を度返して有料高速道路が造り続けられれば、いずれは地域の負担となる恐れが強い。第三セクターの失敗を繰り返してはならない。
道路予算は、約1.8兆円の「一般財源」や1.2兆円の財投・「諸手数料収入」を含め、総額8兆円規模(内、約65%が道路特定財源)になっており、必要な道路の新設や改善等を行わないというわけではない。
基本的な問題は、暫定税率を含め、ガソリン税等を道路財源に特定し、優先すべきか、有料高速道路をこれまでのペースで建設すべきか、そして新たな国民のニーズを考慮し、その一部、全部を一般財源化すべきか否かであろう。暫定税率だけの問題ではない。
日本は、昨年の円安にも影響され一人当たりの国民所得は世界第18位に後退したが、製造業を中心とする経済力は強く、貿易収支は黒字を継続し、潤沢な外貨準備を維持しており、国民総生産では依然世界第2位の経済大国である。日本としては、約2.6兆円の「暫定税率」問題もさることながら、後退が予想されている米国経済と世界経済への影響を直視し、G7財務相会議が勧奨するように「必要な改革を通じて成長力を高める努力を強化」し、世界経済の安定の向けた牽引力となり、そのような方向でのリダーシップを発揮して欲しいものである。                  (Copy Right Reserved)
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先進7カ国財務相会議とガソリン税暫定税率存廃問題 

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先進7カ国財務相会議とガソリン税暫定税率存廃問題 
2月9日、先進7カ国財務相会議が開催され、低所得層を対象としたサブプライム・ローンの破綻を背景とする米国発の世界的な株安や景気後退感の中だけに結果が注目された。
 同日発表された議長声明では、世界は立ち向かわなくてはならない「不確実な環境」に直面しているが、「世界全体のファンダメンタルズは引き続き堅固」であるとし、今後の経済動向を注視し、経済の安定と成長の確保のため、「個別に、或いは共同して適切な行動を取って行く」として、具体的な協調行動などは示されなかった。欧州連合(EU)が欧州においてはマネージ可能な状態としたとされている。同時に、主要7カ国は、「必要な改革を通じて成長力を高める努力を強化」することを確認する一方、米国のポールソン財務長官は、会議後、日本の内需拡大による牽引力への期待感を表明している。
議長国は、本年のサミット(主要先進国首脳会議)の開催国となる日本が務めたが、議長声明には、石油価格の高騰にも言及し、OPEC他の産油国に増産を促すと共に、生産・精製能力の増強等の重要性を強調している。ところが、その後に「財政上の措置により国内エネルギー価格を人為的に引き下げることは、市場におけるエネルギー需要の調整を妨げ、温室効果ガスの排出を増加させることから、避けるべき」との一節が付け加えられていることから、一部マスコミや国会で問題となっている。
一部には、これはガソリン税暫定税率を一部又は全部廃止し、石油価格を引き下げることに反対する趣旨であるとも解釈され、野党等は、国内の個別的な問題であり、議長国の立場から国際会議を利用している等として問題視している。G7財務相会議が、各国の特定の「財政上の措置」に言及することは異例であるが、日本のガソリン税問題が7カ国財務相会議に飛び火した格好だ。
しかし、この文言は、暫定税率の維持を主張する政府やいわゆる道路族にとっては諸刃の刃になる可能性がある。
政府は、本年度の補正予算において、寒冷地の灯油購入費補助などの原油高対策費(570億円)などを含めているが、灯油購入費補助は温室効果ガス排出に繋がり、価格引下げ効果と同様の「財政上の措置」であると共に、一方で原油高対策を実施しながら、他方でこれを否定するという矛盾が生ずる。
そもそも暫定税率を廃止又は引き下げても、現在の物価高傾向の中で減税分がすべてガソリン需要に向かうとも思えない。暫定税減税による景気下支えの波及効果が期待される。また、暫定税率が長期にわたり「道路特定財源」として固定され、かなりの部分が有料高速道路の建設に使用されて来ているが、高速走行はガソリン消費量を高めるので、高速道路をこれまでのペースで作り続けることが省エネや温室効果ガスの抑制に貢献するとも思えない。高速道路建設は自然を削ることもあるので十分な環境アセスメントも不可欠だ。環境を重視するのであれば、既存道路の渋滞の解消や交差点・踏切の地下化・高架化、生活道路・市街地道路の環境改善などの方が効果的であろう。
更に、ガソリン税などが有料高速道路の建設に投入されてきているが、利用者はその高速道路の通行に高額の料金を民営化された「道路会社」に徴収され、いわば2重に徴収される形となっている。高速道路を管理していた道路公団は民営化し、会社経営に移行しているので、本来であれば新規の有料道路の建設は採算性を考慮して、「道路会社」が資金調達し、建設されなくては民営化の意味が薄れるばかりではなく、通行料金とガソリン税等の割り当てという2重の権益を「道路会社」が維持することになる。採算性を度返して有料高速道路が造り続けられれば、いずれは地域の負担となる恐れが強い。第三セクターの失敗を繰り返してはならない。
道路予算は、約1.8兆円の「一般財源」や1.2兆円の財投・「諸手数料収入」を含め、総額8兆円規模(内、約65%が道路特定財源)になっており、必要な道路の新設や改善等を行わないというわけではない。
基本的な問題は、暫定税率を含め、ガソリン税等を道路財源に特定し、優先すべきか、有料高速道路をこれまでのペースで建設すべきか、そして新たな国民のニーズを考慮し、その一部、全部を一般財源化すべきか否かであろう。暫定税率だけの問題ではない。
日本は、昨年の円安にも影響され一人当たりの国民所得は世界第18位に後退したが、製造業を中心とする経済力は強く、貿易収支は黒字を継続し、潤沢な外貨準備を維持しており、国民総生産では依然世界第2位の経済大国である。日本としては、約2.6兆円の「暫定税率」問題もさることながら、後退が予想されている米国経済と世界経済への影響を直視し、G7財務相会議が勧奨するように「必要な改革を通じて成長力を高める努力を強化」し、世界経済の安定の向けた牽引力となり、そのような方向でのリダーシップを発揮して欲しいものである。                  (Copy Right Reserved)
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2月9日、先進7カ国財務相会議が開催され、低所得層を対象としたサブプライム・ローンの破綻を背景とする米国発の世界的な株安や景気後退感の中だけに結果が注目された。
 同日発表された議長声明では、世界は立ち向かわなくてはならない「不確実な環境」に直面しているが、「世界全体のファンダメンタルズは引き続き堅固」であるとし、今後の経済動向を注視し、経済の安定と成長の確保のため、「個別に、或いは共同して適切な行動を取って行く」として、具体的な協調行動などは示されなかった。欧州連合(EU)が欧州においてはマネージ可能な状態としたとされている。同時に、主要7カ国は、「必要な改革を通じて成長力を高める努力を強化」することを確認する一方、米国のポールソン財務長官は、会議後、日本の内需拡大による牽引力への期待感を表明している。
議長国は、本年のサミット(主要先進国首脳会議)の開催国となる日本が務めたが、議長声明には、石油価格の高騰にも言及し、OPEC他の産油国に増産を促すと共に、生産・精製能力の増強等の重要性を強調している。ところが、その後に「財政上の措置により国内エネルギー価格を人為的に引き下げることは、市場におけるエネルギー需要の調整を妨げ、温室効果ガスの排出を増加させることから、避けるべき」との一節が付け加えられていることから、一部マスコミや国会で問題となっている。
一部には、これはガソリン税暫定税率を一部又は全部廃止し、石油価格を引き下げることに反対する趣旨であるとも解釈され、野党等は、国内の個別的な問題であり、議長国の立場から国際会議を利用している等として問題視している。G7財務相会議が、各国の特定の「財政上の措置」に言及することは異例であるが、日本のガソリン税問題が7カ国財務相会議に飛び火した格好だ。
しかし、この文言は、暫定税率の維持を主張する政府やいわゆる道路族にとっては諸刃の刃になる可能性がある。
政府は、本年度の補正予算において、寒冷地の灯油購入費補助などの原油高対策費(570億円)などを含めているが、灯油購入費補助は温室効果ガス排出に繋がり、価格引下げ効果と同様の「財政上の措置」であると共に、一方で原油高対策を実施しながら、他方でこれを否定するという矛盾が生ずる。
そもそも暫定税率を廃止又は引き下げても、現在の物価高傾向の中で減税分がすべてガソリン需要に向かうとも思えない。暫定税減税による景気下支えの波及効果が期待される。また、暫定税率が長期にわたり「道路特定財源」として固定され、かなりの部分が有料高速道路の建設に使用されて来ているが、高速走行はガソリン消費量を高めるので、高速道路をこれまでのペースで作り続けることが省エネや温室効果ガスの抑制に貢献するとも思えない。高速道路建設は自然を削ることもあるので十分な環境アセスメントも不可欠だ。環境を重視するのであれば、既存道路の渋滞の解消や交差点・踏切の地下化・高架化、生活道路・市街地道路の環境改善などの方が効果的であろう。
更に、ガソリン税などが有料高速道路の建設に投入されてきているが、利用者はその高速道路の通行に高額の料金を民営化された「道路会社」に徴収され、いわば2重に徴収される形となっている。高速道路を管理していた道路公団は民営化し、会社経営に移行しているので、本来であれば新規の有料道路の建設は採算性を考慮して、「道路会社」が資金調達し、建設されなくては民営化の意味が薄れるばかりではなく、通行料金とガソリン税等の割り当てという2重の権益を「道路会社」が維持することになる。採算性を度返して有料高速道路が造り続けられれば、いずれは地域の負担となる恐れが強い。第三セクターの失敗を繰り返してはならない。
道路予算は、約1.8兆円の「一般財源」や1.2兆円の財投・「諸手数料収入」を含め、総額8兆円規模(内、約65%が道路特定財源)になっており、必要な道路の新設や改善等を行わないというわけではない。
基本的な問題は、暫定税率を含め、ガソリン税等を道路財源に特定し、優先すべきか、有料高速道路をこれまでのペースで建設すべきか、そして新たな国民のニーズを考慮し、その一部、全部を一般財源化すべきか否かであろう。暫定税率だけの問題ではない。
日本は、昨年の円安にも影響され一人当たりの国民所得は世界第18位に後退したが、製造業を中心とする経済力は強く、貿易収支は黒字を継続し、潤沢な外貨準備を維持しており、国民総生産では依然世界第2位の経済大国である。日本としては、約2.6兆円の「暫定税率」問題もさることながら、後退が予想されている米国経済と世界経済への影響を直視し、G7財務相会議が勧奨するように「必要な改革を通じて成長力を高める努力を強化」し、世界経済の安定の向けた牽引力となり、そのような方向でのリダーシップを発揮して欲しいものである。                  (Copy Right Reserved)
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2月9日、先進7カ国財務相会議が開催され、低所得層を対象としたサブプライム・ローンの破綻を背景とする米国発の世界的な株安や景気後退感の中だけに結果が注目された。
 同日発表された議長声明では、世界は立ち向かわなくてはならない「不確実な環境」に直面しているが、「世界全体のファンダメンタルズは引き続き堅固」であるとし、今後の経済動向を注視し、経済の安定と成長の確保のため、「個別に、或いは共同して適切な行動を取って行く」として、具体的な協調行動などは示されなかった。欧州連合(EU)が欧州においてはマネージ可能な状態としたとされている。同時に、主要7カ国は、「必要な改革を通じて成長力を高める努力を強化」することを確認する一方、米国のポールソン財務長官は、会議後、日本の内需拡大による牽引力への期待感を表明している。
議長国は、本年のサミット(主要先進国首脳会議)の開催国となる日本が務めたが、議長声明には、石油価格の高騰にも言及し、OPEC他の産油国に増産を促すと共に、生産・精製能力の増強等の重要性を強調している。ところが、その後に「財政上の措置により国内エネルギー価格を人為的に引き下げることは、市場におけるエネルギー需要の調整を妨げ、温室効果ガスの排出を増加させることから、避けるべき」との一節が付け加えられていることから、一部マスコミや国会で問題となっている。
一部には、これはガソリン税暫定税率を一部又は全部廃止し、石油価格を引き下げることに反対する趣旨であるとも解釈され、野党等は、国内の個別的な問題であり、議長国の立場から国際会議を利用している等として問題視している。G7財務相会議が、各国の特定の「財政上の措置」に言及することは異例であるが、日本のガソリン税問題が7カ国財務相会議に飛び火した格好だ。
しかし、この文言は、暫定税率の維持を主張する政府やいわゆる道路族にとっては諸刃の刃になる可能性がある。
政府は、本年度の補正予算において、寒冷地の灯油購入費補助などの原油高対策費(570億円)などを含めているが、灯油購入費補助は温室効果ガス排出に繋がり、価格引下げ効果と同様の「財政上の措置」であると共に、一方で原油高対策を実施しながら、他方でこれを否定するという矛盾が生ずる。
そもそも暫定税率を廃止又は引き下げても、現在の物価高傾向の中で減税分がすべてガソリン需要に向かうとも思えない。暫定税減税による景気下支えの波及効果が期待される。また、暫定税率が長期にわたり「道路特定財源」として固定され、かなりの部分が有料高速道路の建設に使用されて来ているが、高速走行はガソリン消費量を高めるので、高速道路をこれまでのペースで作り続けることが省エネや温室効果ガスの抑制に貢献するとも思えない。高速道路建設は自然を削ることもあるので十分な環境アセスメントも不可欠だ。環境を重視するのであれば、既存道路の渋滞の解消や交差点・踏切の地下化・高架化、生活道路・市街地道路の環境改善などの方が効果的であろう。
更に、ガソリン税などが有料高速道路の建設に投入されてきているが、利用者はその高速道路の通行に高額の料金を民営化された「道路会社」に徴収され、いわば2重に徴収される形となっている。高速道路を管理していた道路公団は民営化し、会社経営に移行しているので、本来であれば新規の有料道路の建設は採算性を考慮して、「道路会社」が資金調達し、建設されなくては民営化の意味が薄れるばかりではなく、通行料金とガソリン税等の割り当てという2重の権益を「道路会社」が維持することになる。採算性を度返して有料高速道路が造り続けられれば、いずれは地域の負担となる恐れが強い。第三セクターの失敗を繰り返してはならない。
道路予算は、約1.8兆円の「一般財源」や1.2兆円の財投・「諸手数料収入」を含め、総額8兆円規模(内、約65%が道路特定財源)になっており、必要な道路の新設や改善等を行わないというわけではない。
基本的な問題は、暫定税率を含め、ガソリン税等を道路財源に特定し、優先すべきか、有料高速道路をこれまでのペースで建設すべきか、そして新たな国民のニーズを考慮し、その一部、全部を一般財源化すべきか否かであろう。暫定税率だけの問題ではない。
日本は、昨年の円安にも影響され一人当たりの国民所得は世界第18位に後退したが、製造業を中心とする経済力は強く、貿易収支は黒字を継続し、潤沢な外貨準備を維持しており、国民総生産では依然世界第2位の経済大国である。日本としては、約2.6兆円の「暫定税率」問題もさることながら、後退が予想されている米国経済と世界経済への影響を直視し、G7財務相会議が勧奨するように「必要な改革を通じて成長力を高める努力を強化」し、世界経済の安定の向けた牽引力となり、そのような方向でのリダーシップを発揮して欲しいものである。                  (Copy Right Reserved)
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2月9日、先進7カ国財務相会議が開催され、低所得層を対象としたサブプライム・ローンの破綻を背景とする米国発の世界的な株安や景気後退感の中だけに結果が注目された。
 同日発表された議長声明では、世界は立ち向かわなくてはならない「不確実な環境」に直面しているが、「世界全体のファンダメンタルズは引き続き堅固」であるとし、今後の経済動向を注視し、経済の安定と成長の確保のため、「個別に、或いは共同して適切な行動を取って行く」として、具体的な協調行動などは示されなかった。欧州連合(EU)が欧州においてはマネージ可能な状態としたとされている。同時に、主要7カ国は、「必要な改革を通じて成長力を高める努力を強化」することを確認する一方、米国のポールソン財務長官は、会議後、日本の内需拡大による牽引力への期待感を表明している。
議長国は、本年のサミット(主要先進国首脳会議)の開催国となる日本が務めたが、議長声明には、石油価格の高騰にも言及し、OPEC他の産油国に増産を促すと共に、生産・精製能力の増強等の重要性を強調している。ところが、その後に「財政上の措置により国内エネルギー価格を人為的に引き下げることは、市場におけるエネルギー需要の調整を妨げ、温室効果ガスの排出を増加させることから、避けるべき」との一節が付け加えられていることから、一部マスコミや国会で問題となっている。
一部には、これはガソリン税暫定税率を一部又は全部廃止し、石油価格を引き下げることに反対する趣旨であるとも解釈され、野党等は、国内の個別的な問題であり、議長国の立場から国際会議を利用している等として問題視している。G7財務相会議が、各国の特定の「財政上の措置」に言及することは異例であるが、日本のガソリン税問題が7カ国財務相会議に飛び火した格好だ。
しかし、この文言は、暫定税率の維持を主張する政府やいわゆる道路族にとっては諸刃の刃になる可能性がある。
政府は、本年度の補正予算において、寒冷地の灯油購入費補助などの原油高対策費(570億円)などを含めているが、灯油購入費補助は温室効果ガス排出に繋がり、価格引下げ効果と同様の「財政上の措置」であると共に、一方で原油高対策を実施しながら、他方でこれを否定するという矛盾が生ずる。
そもそも暫定税率を廃止又は引き下げても、現在の物価高傾向の中で減税分がすべてガソリン需要に向かうとも思えない。暫定税減税による景気下支えの波及効果が期待される。また、暫定税率が長期にわたり「道路特定財源」として固定され、かなりの部分が有料高速道路の建設に使用されて来ているが、高速走行はガソリン消費量を高めるので、高速道路をこれまでのペースで作り続けることが省エネや温室効果ガスの抑制に貢献するとも思えない。高速道路建設は自然を削ることもあるので十分な環境アセスメントも不可欠だ。環境を重視するのであれば、既存道路の渋滞の解消や交差点・踏切の地下化・高架化、生活道路・市街地道路の環境改善などの方が効果的であろう。
更に、ガソリン税などが有料高速道路の建設に投入されてきているが、利用者はその高速道路の通行に高額の料金を民営化された「道路会社」に徴収され、いわば2重に徴収される形となっている。高速道路を管理していた道路公団は民営化し、会社経営に移行しているので、本来であれば新規の有料道路の建設は採算性を考慮して、「道路会社」が資金調達し、建設されなくては民営化の意味が薄れるばかりではなく、通行料金とガソリン税等の割り当てという2重の権益を「道路会社」が維持することになる。採算性を度返して有料高速道路が造り続けられれば、いずれは地域の負担となる恐れが強い。第三セクターの失敗を繰り返してはならない。
道路予算は、約1.8兆円の「一般財源」や1.2兆円の財投・「諸手数料収入」を含め、総額8兆円規模(内、約65%が道路特定財源)になっており、必要な道路の新設や改善等を行わないというわけではない。
基本的な問題は、暫定税率を含め、ガソリン税等を道路財源に特定し、優先すべきか、有料高速道路をこれまでのペースで建設すべきか、そして新たな国民のニーズを考慮し、その一部、全部を一般財源化すべきか否かであろう。暫定税率だけの問題ではない。
日本は、昨年の円安にも影響され一人当たりの国民所得は世界第18位に後退したが、製造業を中心とする経済力は強く、貿易収支は黒字を継続し、潤沢な外貨準備を維持しており、国民総生産では依然世界第2位の経済大国である。日本としては、約2.6兆円の「暫定税率」問題もさることながら、後退が予想されている米国経済と世界経済への影響を直視し、G7財務相会議が勧奨するように「必要な改革を通じて成長力を高める努力を強化」し、世界経済の安定の向けた牽引力となり、そのような方向でのリダーシップを発揮して欲しいものである。                  (Copy Right Reserved)
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2月9日、先進7カ国財務相会議が開催され、低所得層を対象としたサブプライム・ローンの破綻を背景とする米国発の世界的な株安や景気後退感の中だけに結果が注目された。
 同日発表された議長声明では、世界は立ち向かわなくてはならない「不確実な環境」に直面しているが、「世界全体のファンダメンタルズは引き続き堅固」であるとし、今後の経済動向を注視し、経済の安定と成長の確保のため、「個別に、或いは共同して適切な行動を取って行く」として、具体的な協調行動などは示されなかった。欧州連合(EU)が欧州においてはマネージ可能な状態としたとされている。同時に、主要7カ国は、「必要な改革を通じて成長力を高める努力を強化」することを確認する一方、米国のポールソン財務長官は、会議後、日本の内需拡大による牽引力への期待感を表明している。
議長国は、本年のサミット(主要先進国首脳会議)の開催国となる日本が務めたが、議長声明には、石油価格の高騰にも言及し、OPEC他の産油国に増産を促すと共に、生産・精製能力の増強等の重要性を強調している。ところが、その後に「財政上の措置により国内エネルギー価格を人為的に引き下げることは、市場におけるエネルギー需要の調整を妨げ、温室効果ガスの排出を増加させることから、避けるべき」との一節が付け加えられていることから、一部マスコミや国会で問題となっている。
一部には、これはガソリン税暫定税率を一部又は全部廃止し、石油価格を引き下げることに反対する趣旨であるとも解釈され、野党等は、国内の個別的な問題であり、議長国の立場から国際会議を利用している等として問題視している。G7財務相会議が、各国の特定の「財政上の措置」に言及することは異例であるが、日本のガソリン税問題が7カ国財務相会議に飛び火した格好だ。
しかし、この文言は、暫定税率の維持を主張する政府やいわゆる道路族にとっては諸刃の刃になる可能性がある。
政府は、本年度の補正予算において、寒冷地の灯油購入費補助などの原油高対策費(570億円)などを含めているが、灯油購入費補助は温室効果ガス排出に繋がり、価格引下げ効果と同様の「財政上の措置」であると共に、一方で原油高対策を実施しながら、他方でこれを否定するという矛盾が生ずる。
そもそも暫定税率を廃止又は引き下げても、現在の物価高傾向の中で減税分がすべてガソリン需要に向かうとも思えない。暫定税減税による景気下支えの波及効果が期待される。また、暫定税率が長期にわたり「道路特定財源」として固定され、かなりの部分が有料高速道路の建設に使用されて来ているが、高速走行はガソリン消費量を高めるので、高速道路をこれまでのペースで作り続けることが省エネや温室効果ガスの抑制に貢献するとも思えない。高速道路建設は自然を削ることもあるので十分な環境アセスメントも不可欠だ。環境を重視するのであれば、既存道路の渋滞の解消や交差点・踏切の地下化・高架化、生活道路・市街地道路の環境改善などの方が効果的であろう。
更に、ガソリン税などが有料高速道路の建設に投入されてきているが、利用者はその高速道路の通行に高額の料金を民営化された「道路会社」に徴収され、いわば2重に徴収される形となっている。高速道路を管理していた道路公団は民営化し、会社経営に移行しているので、本来であれば新規の有料道路の建設は採算性を考慮して、「道路会社」が資金調達し、建設されなくては民営化の意味が薄れるばかりではなく、通行料金とガソリン税等の割り当てという2重の権益を「道路会社」が維持することになる。採算性を度返して有料高速道路が造り続けられれば、いずれは地域の負担となる恐れが強い。第三セクターの失敗を繰り返してはならない。
道路予算は、約1.8兆円の「一般財源」や1.2兆円の財投・「諸手数料収入」を含め、総額8兆円規模(内、約65%が道路特定財源)になっており、必要な道路の新設や改善等を行わないというわけではない。
基本的な問題は、暫定税率を含め、ガソリン税等を道路財源に特定し、優先すべきか、有料高速道路をこれまでのペースで建設すべきか、そして新たな国民のニーズを考慮し、その一部、全部を一般財源化すべきか否かであろう。暫定税率だけの問題ではない。
日本は、昨年の円安にも影響され一人当たりの国民所得は世界第18位に後退したが、製造業を中心とする経済力は強く、貿易収支は黒字を継続し、潤沢な外貨準備を維持しており、国民総生産では依然世界第2位の経済大国である。日本としては、約2.6兆円の「暫定税率」問題もさることながら、後退が予想されている米国経済と世界経済への影響を直視し、G7財務相会議が勧奨するように「必要な改革を通じて成長力を高める努力を強化」し、世界経済の安定の向けた牽引力となり、そのような方向でのリダーシップを発揮して欲しいものである。                  (Copy Right Reserved)
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先進7カ国財務相会議とガソリン税暫定税率存廃問題 

2008-02-15 | Weblog
先進7カ国財務相会議とガソリン税暫定税率存廃問題 
2月9日、先進7カ国財務相会議が開催され、低所得層を対象としたサブプライム・ローンの破綻を背景とする米国発の世界的な株安や景気後退感の中だけに結果が注目された。
 同日発表された議長声明では、世界は立ち向かわなくてはならない「不確実な環境」に直面しているが、「世界全体のファンダメンタルズは引き続き堅固」であるとし、今後の経済動向を注視し、経済の安定と成長の確保のため、「個別に、或いは共同して適切な行動を取って行く」として、具体的な協調行動などは示されなかった。欧州連合(EU)が欧州においてはマネージ可能な状態としたとされている。同時に、主要7カ国は、「必要な改革を通じて成長力を高める努力を強化」することを確認する一方、米国のポールソン財務長官は、会議後、日本の内需拡大による牽引力への期待感を表明している。
議長国は、本年のサミット(主要先進国首脳会議)の開催国となる日本が務めたが、議長声明には、石油価格の高騰にも言及し、OPEC他の産油国に増産を促すと共に、生産・精製能力の増強等の重要性を強調している。ところが、その後に「財政上の措置により国内エネルギー価格を人為的に引き下げることは、市場におけるエネルギー需要の調整を妨げ、温室効果ガスの排出を増加させることから、避けるべき」との一節が付け加えられていることから、一部マスコミや国会で問題となっている。
一部には、これはガソリン税暫定税率を一部又は全部廃止し、石油価格を引き下げることに反対する趣旨であるとも解釈され、野党等は、国内の個別的な問題であり、議長国の立場から国際会議を利用している等として問題視している。G7財務相会議が、各国の特定の「財政上の措置」に言及することは異例であるが、日本のガソリン税問題が7カ国財務相会議に飛び火した格好だ。
しかし、この文言は、暫定税率の維持を主張する政府やいわゆる道路族にとっては諸刃の刃になる可能性がある。
政府は、本年度の補正予算において、寒冷地の灯油購入費補助などの原油高対策費(570億円)などを含めているが、灯油購入費補助は温室効果ガス排出に繋がり、価格引下げ効果と同様の「財政上の措置」であると共に、一方で原油高対策を実施しながら、他方でこれを否定するという矛盾が生ずる。
そもそも暫定税率を廃止又は引き下げても、現在の物価高傾向の中で減税分がすべてガソリン需要に向かうとも思えない。暫定税減税による景気下支えの波及効果が期待される。また、暫定税率が長期にわたり「道路特定財源」として固定され、かなりの部分が有料高速道路の建設に使用されて来ているが、高速走行はガソリン消費量を高めるので、高速道路をこれまでのペースで作り続けることが省エネや温室効果ガスの抑制に貢献するとも思えない。高速道路建設は自然を削ることもあるので十分な環境アセスメントも不可欠だ。環境を重視するのであれば、既存道路の渋滞の解消や交差点・踏切の地下化・高架化、生活道路・市街地道路の環境改善などの方が効果的であろう。
更に、ガソリン税などが有料高速道路の建設に投入されてきているが、利用者はその高速道路の通行に高額の料金を民営化された「道路会社」に徴収され、いわば2重に徴収される形となっている。高速道路を管理していた道路公団は民営化し、会社経営に移行しているので、本来であれば新規の有料道路の建設は採算性を考慮して、「道路会社」が資金調達し、建設されなくては民営化の意味が薄れるばかりではなく、通行料金とガソリン税等の割り当てという2重の権益を「道路会社」が維持することになる。採算性を度返して有料高速道路が造り続けられれば、いずれは地域の負担となる恐れが強い。第三セクターの失敗を繰り返してはならない。
道路予算は、約1.8兆円の「一般財源」や1.2兆円の財投・「諸手数料収入」を含め、総額8兆円規模(内、約65%が道路特定財源)になっており、必要な道路の新設や改善等を行わないというわけではない。
基本的な問題は、暫定税率を含め、ガソリン税等を道路財源に特定し、優先すべきか、有料高速道路をこれまでのペースで建設すべきか、そして新たな国民のニーズを考慮し、その一部、全部を一般財源化すべきか否かであろう。暫定税率だけの問題ではない。
日本は、昨年の円安にも影響され一人当たりの国民所得は世界第18位に後退したが、製造業を中心とする経済力は強く、貿易収支は黒字を継続し、潤沢な外貨準備を維持しており、国民総生産では依然世界第2位の経済大国である。日本としては、約2.6兆円の「暫定税率」問題もさることながら、後退が予想されている米国経済と世界経済への影響を直視し、G7財務相会議が勧奨するように「必要な改革を通じて成長力を高める努力を強化」し、世界経済の安定の向けた牽引力となり、そのような方向でのリダーシップを発揮して欲しいものである。                  (Copy Right Reserved)
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先進7カ国財務相会議とガソリン税暫定税率存廃問題 
2月9日、先進7カ国財務相会議が開催され、低所得層を対象としたサブプライム・ローンの破綻を背景とする米国発の世界的な株安や景気後退感の中だけに結果が注目された。
 同日発表された議長声明では、世界は立ち向かわなくてはならない「不確実な環境」に直面しているが、「世界全体のファンダメンタルズは引き続き堅固」であるとし、今後の経済動向を注視し、経済の安定と成長の確保のため、「個別に、或いは共同して適切な行動を取って行く」として、具体的な協調行動などは示されなかった。欧州連合(EU)が欧州においてはマネージ可能な状態としたとされている。同時に、主要7カ国は、「必要な改革を通じて成長力を高める努力を強化」することを確認する一方、米国のポールソン財務長官は、会議後、日本の内需拡大による牽引力への期待感を表明している。
議長国は、本年のサミット(主要先進国首脳会議)の開催国となる日本が務めたが、議長声明には、石油価格の高騰にも言及し、OPEC他の産油国に増産を促すと共に、生産・精製能力の増強等の重要性を強調している。ところが、その後に「財政上の措置により国内エネルギー価格を人為的に引き下げることは、市場におけるエネルギー需要の調整を妨げ、温室効果ガスの排出を増加させることから、避けるべき」との一節が付け加えられていることから、一部マスコミや国会で問題となっている。
一部には、これはガソリン税暫定税率を一部又は全部廃止し、石油価格を引き下げることに反対する趣旨であるとも解釈され、野党等は、国内の個別的な問題であり、議長国の立場から国際会議を利用している等として問題視している。G7財務相会議が、各国の特定の「財政上の措置」に言及することは異例であるが、日本のガソリン税問題が7カ国財務相会議に飛び火した格好だ。
しかし、この文言は、暫定税率の維持を主張する政府やいわゆる道路族にとっては諸刃の刃になる可能性がある。
政府は、本年度の補正予算において、寒冷地の灯油購入費補助などの原油高対策費(570億円)などを含めているが、灯油購入費補助は温室効果ガス排出に繋がり、価格引下げ効果と同様の「財政上の措置」であると共に、一方で原油高対策を実施しながら、他方でこれを否定するという矛盾が生ずる。
そもそも暫定税率を廃止又は引き下げても、現在の物価高傾向の中で減税分がすべてガソリン需要に向かうとも思えない。暫定税減税による景気下支えの波及効果が期待される。また、暫定税率が長期にわたり「道路特定財源」として固定され、かなりの部分が有料高速道路の建設に使用されて来ているが、高速走行はガソリン消費量を高めるので、高速道路をこれまでのペースで作り続けることが省エネや温室効果ガスの抑制に貢献するとも思えない。高速道路建設は自然を削ることもあるので十分な環境アセスメントも不可欠だ。環境を重視するのであれば、既存道路の渋滞の解消や交差点・踏切の地下化・高架化、生活道路・市街地道路の環境改善などの方が効果的であろう。
更に、ガソリン税などが有料高速道路の建設に投入されてきているが、利用者はその高速道路の通行に高額の料金を民営化された「道路会社」に徴収され、いわば2重に徴収される形となっている。高速道路を管理していた道路公団は民営化し、会社経営に移行しているので、本来であれば新規の有料道路の建設は採算性を考慮して、「道路会社」が資金調達し、建設されなくては民営化の意味が薄れるばかりではなく、通行料金とガソリン税等の割り当てという2重の権益を「道路会社」が維持することになる。採算性を度返して有料高速道路が造り続けられれば、いずれは地域の負担となる恐れが強い。第三セクターの失敗を繰り返してはならない。
道路予算は、約1.8兆円の「一般財源」や1.2兆円の財投・「諸手数料収入」を含め、総額8兆円規模(内、約65%が道路特定財源)になっており、必要な道路の新設や改善等を行わないというわけではない。
基本的な問題は、暫定税率を含め、ガソリン税等を道路財源に特定し、優先すべきか、有料高速道路をこれまでのペースで建設すべきか、そして新たな国民のニーズを考慮し、その一部、全部を一般財源化すべきか否かであろう。暫定税率だけの問題ではない。
日本は、昨年の円安にも影響され一人当たりの国民所得は世界第18位に後退したが、製造業を中心とする経済力は強く、貿易収支は黒字を継続し、潤沢な外貨準備を維持しており、国民総生産では依然世界第2位の経済大国である。日本としては、約2.6兆円の「暫定税率」問題もさることながら、後退が予想されている米国経済と世界経済への影響を直視し、G7財務相会議が勧奨するように「必要な改革を通じて成長力を高める努力を強化」し、世界経済の安定の向けた牽引力となり、そのような方向でのリダーシップを発揮して欲しいものである。                  (Copy Right Reserved)
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2月9日、先進7カ国財務相会議が開催され、低所得層を対象としたサブプライム・ローンの破綻を背景とする米国発の世界的な株安や景気後退感の中だけに結果が注目された。
 同日発表された議長声明では、世界は立ち向かわなくてはならない「不確実な環境」に直面しているが、「世界全体のファンダメンタルズは引き続き堅固」であるとし、今後の経済動向を注視し、経済の安定と成長の確保のため、「個別に、或いは共同して適切な行動を取って行く」として、具体的な協調行動などは示されなかった。欧州連合(EU)が欧州においてはマネージ可能な状態としたとされている。同時に、主要7カ国は、「必要な改革を通じて成長力を高める努力を強化」することを確認する一方、米国のポールソン財務長官は、会議後、日本の内需拡大による牽引力への期待感を表明している。
議長国は、本年のサミット(主要先進国首脳会議)の開催国となる日本が務めたが、議長声明には、石油価格の高騰にも言及し、OPEC他の産油国に増産を促すと共に、生産・精製能力の増強等の重要性を強調している。ところが、その後に「財政上の措置により国内エネルギー価格を人為的に引き下げることは、市場におけるエネルギー需要の調整を妨げ、温室効果ガスの排出を増加させることから、避けるべき」との一節が付け加えられていることから、一部マスコミや国会で問題となっている。
一部には、これはガソリン税暫定税率を一部又は全部廃止し、石油価格を引き下げることに反対する趣旨であるとも解釈され、野党等は、国内の個別的な問題であり、議長国の立場から国際会議を利用している等として問題視している。G7財務相会議が、各国の特定の「財政上の措置」に言及することは異例であるが、日本のガソリン税問題が7カ国財務相会議に飛び火した格好だ。
しかし、この文言は、暫定税率の維持を主張する政府やいわゆる道路族にとっては諸刃の刃になる可能性がある。
政府は、本年度の補正予算において、寒冷地の灯油購入費補助などの原油高対策費(570億円)などを含めているが、灯油購入費補助は温室効果ガス排出に繋がり、価格引下げ効果と同様の「財政上の措置」であると共に、一方で原油高対策を実施しながら、他方でこれを否定するという矛盾が生ずる。
そもそも暫定税率を廃止又は引き下げても、現在の物価高傾向の中で減税分がすべてガソリン需要に向かうとも思えない。暫定税減税による景気下支えの波及効果が期待される。また、暫定税率が長期にわたり「道路特定財源」として固定され、かなりの部分が有料高速道路の建設に使用されて来ているが、高速走行はガソリン消費量を高めるので、高速道路をこれまでのペースで作り続けることが省エネや温室効果ガスの抑制に貢献するとも思えない。高速道路建設は自然を削ることもあるので十分な環境アセスメントも不可欠だ。環境を重視するのであれば、既存道路の渋滞の解消や交差点・踏切の地下化・高架化、生活道路・市街地道路の環境改善などの方が効果的であろう。
更に、ガソリン税などが有料高速道路の建設に投入されてきているが、利用者はその高速道路の通行に高額の料金を民営化された「道路会社」に徴収され、いわば2重に徴収される形となっている。高速道路を管理していた道路公団は民営化し、会社経営に移行しているので、本来であれば新規の有料道路の建設は採算性を考慮して、「道路会社」が資金調達し、建設されなくては民営化の意味が薄れるばかりではなく、通行料金とガソリン税等の割り当てという2重の権益を「道路会社」が維持することになる。採算性を度返して有料高速道路が造り続けられれば、いずれは地域の負担となる恐れが強い。第三セクターの失敗を繰り返してはならない。
道路予算は、約1.8兆円の「一般財源」や1.2兆円の財投・「諸手数料収入」を含め、総額8兆円規模(内、約65%が道路特定財源)になっており、必要な道路の新設や改善等を行わないというわけではない。
基本的な問題は、暫定税率を含め、ガソリン税等を道路財源に特定し、優先すべきか、有料高速道路をこれまでのペースで建設すべきか、そして新たな国民のニーズを考慮し、その一部、全部を一般財源化すべきか否かであろう。暫定税率だけの問題ではない。
日本は、昨年の円安にも影響され一人当たりの国民所得は世界第18位に後退したが、製造業を中心とする経済力は強く、貿易収支は黒字を継続し、潤沢な外貨準備を維持しており、国民総生産では依然世界第2位の経済大国である。日本としては、約2.6兆円の「暫定税率」問題もさることながら、後退が予想されている米国経済と世界経済への影響を直視し、G7財務相会議が勧奨するように「必要な改革を通じて成長力を高める努力を強化」し、世界経済の安定の向けた牽引力となり、そのような方向でのリダーシップを発揮して欲しいものである。                  (Copy Right Reserved)
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2月9日、先進7カ国財務相会議が開催され、低所得層を対象としたサブプライム・ローンの破綻を背景とする米国発の世界的な株安や景気後退感の中だけに結果が注目された。
 同日発表された議長声明では、世界は立ち向かわなくてはならない「不確実な環境」に直面しているが、「世界全体のファンダメンタルズは引き続き堅固」であるとし、今後の経済動向を注視し、経済の安定と成長の確保のため、「個別に、或いは共同して適切な行動を取って行く」として、具体的な協調行動などは示されなかった。欧州連合(EU)が欧州においてはマネージ可能な状態としたとされている。同時に、主要7カ国は、「必要な改革を通じて成長力を高める努力を強化」することを確認する一方、米国のポールソン財務長官は、会議後、日本の内需拡大による牽引力への期待感を表明している。
議長国は、本年のサミット(主要先進国首脳会議)の開催国となる日本が務めたが、議長声明には、石油価格の高騰にも言及し、OPEC他の産油国に増産を促すと共に、生産・精製能力の増強等の重要性を強調している。ところが、その後に「財政上の措置により国内エネルギー価格を人為的に引き下げることは、市場におけるエネルギー需要の調整を妨げ、温室効果ガスの排出を増加させることから、避けるべき」との一節が付け加えられていることから、一部マスコミや国会で問題となっている。
一部には、これはガソリン税暫定税率を一部又は全部廃止し、石油価格を引き下げることに反対する趣旨であるとも解釈され、野党等は、国内の個別的な問題であり、議長国の立場から国際会議を利用している等として問題視している。G7財務相会議が、各国の特定の「財政上の措置」に言及することは異例であるが、日本のガソリン税問題が7カ国財務相会議に飛び火した格好だ。
しかし、この文言は、暫定税率の維持を主張する政府やいわゆる道路族にとっては諸刃の刃になる可能性がある。
政府は、本年度の補正予算において、寒冷地の灯油購入費補助などの原油高対策費(570億円)などを含めているが、灯油購入費補助は温室効果ガス排出に繋がり、価格引下げ効果と同様の「財政上の措置」であると共に、一方で原油高対策を実施しながら、他方でこれを否定するという矛盾が生ずる。
そもそも暫定税率を廃止又は引き下げても、現在の物価高傾向の中で減税分がすべてガソリン需要に向かうとも思えない。暫定税減税による景気下支えの波及効果が期待される。また、暫定税率が長期にわたり「道路特定財源」として固定され、かなりの部分が有料高速道路の建設に使用されて来ているが、高速走行はガソリン消費量を高めるので、高速道路をこれまでのペースで作り続けることが省エネや温室効果ガスの抑制に貢献するとも思えない。高速道路建設は自然を削ることもあるので十分な環境アセスメントも不可欠だ。環境を重視するのであれば、既存道路の渋滞の解消や交差点・踏切の地下化・高架化、生活道路・市街地道路の環境改善などの方が効果的であろう。
更に、ガソリン税などが有料高速道路の建設に投入されてきているが、利用者はその高速道路の通行に高額の料金を民営化された「道路会社」に徴収され、いわば2重に徴収される形となっている。高速道路を管理していた道路公団は民営化し、会社経営に移行しているので、本来であれば新規の有料道路の建設は採算性を考慮して、「道路会社」が資金調達し、建設されなくては民営化の意味が薄れるばかりではなく、通行料金とガソリン税等の割り当てという2重の権益を「道路会社」が維持することになる。採算性を度返して有料高速道路が造り続けられれば、いずれは地域の負担となる恐れが強い。第三セクターの失敗を繰り返してはならない。
道路予算は、約1.8兆円の「一般財源」や1.2兆円の財投・「諸手数料収入」を含め、総額8兆円規模(内、約65%が道路特定財源)になっており、必要な道路の新設や改善等を行わないというわけではない。
基本的な問題は、暫定税率を含め、ガソリン税等を道路財源に特定し、優先すべきか、有料高速道路をこれまでのペースで建設すべきか、そして新たな国民のニーズを考慮し、その一部、全部を一般財源化すべきか否かであろう。暫定税率だけの問題ではない。
日本は、昨年の円安にも影響され一人当たりの国民所得は世界第18位に後退したが、製造業を中心とする経済力は強く、貿易収支は黒字を継続し、潤沢な外貨準備を維持しており、国民総生産では依然世界第2位の経済大国である。日本としては、約2.6兆円の「暫定税率」問題もさることながら、後退が予想されている米国経済と世界経済への影響を直視し、G7財務相会議が勧奨するように「必要な改革を通じて成長力を高める努力を強化」し、世界経済の安定の向けた牽引力となり、そのような方向でのリダーシップを発揮して欲しいものである。                  (Copy Right Reserved)
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2月9日、先進7カ国財務相会議が開催され、低所得層を対象としたサブプライム・ローンの破綻を背景とする米国発の世界的な株安や景気後退感の中だけに結果が注目された。
 同日発表された議長声明では、世界は立ち向かわなくてはならない「不確実な環境」に直面しているが、「世界全体のファンダメンタルズは引き続き堅固」であるとし、今後の経済動向を注視し、経済の安定と成長の確保のため、「個別に、或いは共同して適切な行動を取って行く」として、具体的な協調行動などは示されなかった。欧州連合(EU)が欧州においてはマネージ可能な状態としたとされている。同時に、主要7カ国は、「必要な改革を通じて成長力を高める努力を強化」することを確認する一方、米国のポールソン財務長官は、会議後、日本の内需拡大による牽引力への期待感を表明している。
議長国は、本年のサミット(主要先進国首脳会議)の開催国となる日本が務めたが、議長声明には、石油価格の高騰にも言及し、OPEC他の産油国に増産を促すと共に、生産・精製能力の増強等の重要性を強調している。ところが、その後に「財政上の措置により国内エネルギー価格を人為的に引き下げることは、市場におけるエネルギー需要の調整を妨げ、温室効果ガスの排出を増加させることから、避けるべき」との一節が付け加えられていることから、一部マスコミや国会で問題となっている。
一部には、これはガソリン税暫定税率を一部又は全部廃止し、石油価格を引き下げることに反対する趣旨であるとも解釈され、野党等は、国内の個別的な問題であり、議長国の立場から国際会議を利用している等として問題視している。G7財務相会議が、各国の特定の「財政上の措置」に言及することは異例であるが、日本のガソリン税問題が7カ国財務相会議に飛び火した格好だ。
しかし、この文言は、暫定税率の維持を主張する政府やいわゆる道路族にとっては諸刃の刃になる可能性がある。
政府は、本年度の補正予算において、寒冷地の灯油購入費補助などの原油高対策費(570億円)などを含めているが、灯油購入費補助は温室効果ガス排出に繋がり、価格引下げ効果と同様の「財政上の措置」であると共に、一方で原油高対策を実施しながら、他方でこれを否定するという矛盾が生ずる。
そもそも暫定税率を廃止又は引き下げても、現在の物価高傾向の中で減税分がすべてガソリン需要に向かうとも思えない。暫定税減税による景気下支えの波及効果が期待される。また、暫定税率が長期にわたり「道路特定財源」として固定され、かなりの部分が有料高速道路の建設に使用されて来ているが、高速走行はガソリン消費量を高めるので、高速道路をこれまでのペースで作り続けることが省エネや温室効果ガスの抑制に貢献するとも思えない。高速道路建設は自然を削ることもあるので十分な環境アセスメントも不可欠だ。環境を重視するのであれば、既存道路の渋滞の解消や交差点・踏切の地下化・高架化、生活道路・市街地道路の環境改善などの方が効果的であろう。
更に、ガソリン税などが有料高速道路の建設に投入されてきているが、利用者はその高速道路の通行に高額の料金を民営化された「道路会社」に徴収され、いわば2重に徴収される形となっている。高速道路を管理していた道路公団は民営化し、会社経営に移行しているので、本来であれば新規の有料道路の建設は採算性を考慮して、「道路会社」が資金調達し、建設されなくては民営化の意味が薄れるばかりではなく、通行料金とガソリン税等の割り当てという2重の権益を「道路会社」が維持することになる。採算性を度返して有料高速道路が造り続けられれば、いずれは地域の負担となる恐れが強い。第三セクターの失敗を繰り返してはならない。
道路予算は、約1.8兆円の「一般財源」や1.2兆円の財投・「諸手数料収入」を含め、総額8兆円規模(内、約65%が道路特定財源)になっており、必要な道路の新設や改善等を行わないというわけではない。
基本的な問題は、暫定税率を含め、ガソリン税等を道路財源に特定し、優先すべきか、有料高速道路をこれまでのペースで建設すべきか、そして新たな国民のニーズを考慮し、その一部、全部を一般財源化すべきか否かであろう。暫定税率だけの問題ではない。
日本は、昨年の円安にも影響され一人当たりの国民所得は世界第18位に後退したが、製造業を中心とする経済力は強く、貿易収支は黒字を継続し、潤沢な外貨準備を維持しており、国民総生産では依然世界第2位の経済大国である。日本としては、約2.6兆円の「暫定税率」問題もさることながら、後退が予想されている米国経済と世界経済への影響を直視し、G7財務相会議が勧奨するように「必要な改革を通じて成長力を高める努力を強化」し、世界経済の安定の向けた牽引力となり、そのような方向でのリダーシップを発揮して欲しいものである。                  (Copy Right Reserved)
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2月9日、先進7カ国財務相会議が開催され、低所得層を対象としたサブプライム・ローンの破綻を背景とする米国発の世界的な株安や景気後退感の中だけに結果が注目された。
 同日発表された議長声明では、世界は立ち向かわなくてはならない「不確実な環境」に直面しているが、「世界全体のファンダメンタルズは引き続き堅固」であるとし、今後の経済動向を注視し、経済の安定と成長の確保のため、「個別に、或いは共同して適切な行動を取って行く」として、具体的な協調行動などは示されなかった。欧州連合(EU)が欧州においてはマネージ可能な状態としたとされている。同時に、主要7カ国は、「必要な改革を通じて成長力を高める努力を強化」することを確認する一方、米国のポールソン財務長官は、会議後、日本の内需拡大による牽引力への期待感を表明している。
議長国は、本年のサミット(主要先進国首脳会議)の開催国となる日本が務めたが、議長声明には、石油価格の高騰にも言及し、OPEC他の産油国に増産を促すと共に、生産・精製能力の増強等の重要性を強調している。ところが、その後に「財政上の措置により国内エネルギー価格を人為的に引き下げることは、市場におけるエネルギー需要の調整を妨げ、温室効果ガスの排出を増加させることから、避けるべき」との一節が付け加えられていることから、一部マスコミや国会で問題となっている。
一部には、これはガソリン税暫定税率を一部又は全部廃止し、石油価格を引き下げることに反対する趣旨であるとも解釈され、野党等は、国内の個別的な問題であり、議長国の立場から国際会議を利用している等として問題視している。G7財務相会議が、各国の特定の「財政上の措置」に言及することは異例であるが、日本のガソリン税問題が7カ国財務相会議に飛び火した格好だ。
しかし、この文言は、暫定税率の維持を主張する政府やいわゆる道路族にとっては諸刃の刃になる可能性がある。
政府は、本年度の補正予算において、寒冷地の灯油購入費補助などの原油高対策費(570億円)などを含めているが、灯油購入費補助は温室効果ガス排出に繋がり、価格引下げ効果と同様の「財政上の措置」であると共に、一方で原油高対策を実施しながら、他方でこれを否定するという矛盾が生ずる。
そもそも暫定税率を廃止又は引き下げても、現在の物価高傾向の中で減税分がすべてガソリン需要に向かうとも思えない。暫定税減税による景気下支えの波及効果が期待される。また、暫定税率が長期にわたり「道路特定財源」として固定され、かなりの部分が有料高速道路の建設に使用されて来ているが、高速走行はガソリン消費量を高めるので、高速道路をこれまでのペースで作り続けることが省エネや温室効果ガスの抑制に貢献するとも思えない。高速道路建設は自然を削ることもあるので十分な環境アセスメントも不可欠だ。環境を重視するのであれば、既存道路の渋滞の解消や交差点・踏切の地下化・高架化、生活道路・市街地道路の環境改善などの方が効果的であろう。
更に、ガソリン税などが有料高速道路の建設に投入されてきているが、利用者はその高速道路の通行に高額の料金を民営化された「道路会社」に徴収され、いわば2重に徴収される形となっている。高速道路を管理していた道路公団は民営化し、会社経営に移行しているので、本来であれば新規の有料道路の建設は採算性を考慮して、「道路会社」が資金調達し、建設されなくては民営化の意味が薄れるばかりではなく、通行料金とガソリン税等の割り当てという2重の権益を「道路会社」が維持することになる。採算性を度返して有料高速道路が造り続けられれば、いずれは地域の負担となる恐れが強い。第三セクターの失敗を繰り返してはならない。
道路予算は、約1.8兆円の「一般財源」や1.2兆円の財投・「諸手数料収入」を含め、総額8兆円規模(内、約65%が道路特定財源)になっており、必要な道路の新設や改善等を行わないというわけではない。
基本的な問題は、暫定税率を含め、ガソリン税等を道路財源に特定し、優先すべきか、有料高速道路をこれまでのペースで建設すべきか、そして新たな国民のニーズを考慮し、その一部、全部を一般財源化すべきか否かであろう。暫定税率だけの問題ではない。
日本は、昨年の円安にも影響され一人当たりの国民所得は世界第18位に後退したが、製造業を中心とする経済力は強く、貿易収支は黒字を継続し、潤沢な外貨準備を維持しており、国民総生産では依然世界第2位の経済大国である。日本としては、約2.6兆円の「暫定税率」問題もさることながら、後退が予想されている米国経済と世界経済への影響を直視し、G7財務相会議が勧奨するように「必要な改革を通じて成長力を高める努力を強化」し、世界経済の安定の向けた牽引力となり、そのような方向でのリダーシップを発揮して欲しいものである。                  (Copy Right Reserved)
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先進7カ国財務相会議とガソリン税暫定税率存廃問題 

2008-02-15 | Weblog
先進7カ国財務相会議とガソリン税暫定税率存廃問題 
2月9日、先進7カ国財務相会議が開催され、低所得層を対象としたサブプライム・ローンの破綻を背景とする米国発の世界的な株安や景気後退感の中だけに結果が注目された。
 同日発表された議長声明では、世界は立ち向かわなくてはならない「不確実な環境」に直面しているが、「世界全体のファンダメンタルズは引き続き堅固」であるとし、今後の経済動向を注視し、経済の安定と成長の確保のため、「個別に、或いは共同して適切な行動を取って行く」として、具体的な協調行動などは示されなかった。欧州連合(EU)が欧州においてはマネージ可能な状態としたとされている。同時に、主要7カ国は、「必要な改革を通じて成長力を高める努力を強化」することを確認する一方、米国のポールソン財務長官は、会議後、日本の内需拡大による牽引力への期待感を表明している。
議長国は、本年のサミット(主要先進国首脳会議)の開催国となる日本が務めたが、議長声明には、石油価格の高騰にも言及し、OPEC他の産油国に増産を促すと共に、生産・精製能力の増強等の重要性を強調している。ところが、その後に「財政上の措置により国内エネルギー価格を人為的に引き下げることは、市場におけるエネルギー需要の調整を妨げ、温室効果ガスの排出を増加させることから、避けるべき」との一節が付け加えられていることから、一部マスコミや国会で問題となっている。
一部には、これはガソリン税暫定税率を一部又は全部廃止し、石油価格を引き下げることに反対する趣旨であるとも解釈され、野党等は、国内の個別的な問題であり、議長国の立場から国際会議を利用している等として問題視している。G7財務相会議が、各国の特定の「財政上の措置」に言及することは異例であるが、日本のガソリン税問題が7カ国財務相会議に飛び火した格好だ。
しかし、この文言は、暫定税率の維持を主張する政府やいわゆる道路族にとっては諸刃の刃になる可能性がある。
政府は、本年度の補正予算において、寒冷地の灯油購入費補助などの原油高対策費(570億円)などを含めているが、灯油購入費補助は温室効果ガス排出に繋がり、価格引下げ効果と同様の「財政上の措置」であると共に、一方で原油高対策を実施しながら、他方でこれを否定するという矛盾が生ずる。
そもそも暫定税率を廃止又は引き下げても、現在の物価高傾向の中で減税分がすべてガソリン需要に向かうとも思えない。暫定税減税による景気下支えの波及効果が期待される。また、暫定税率が長期にわたり「道路特定財源」として固定され、かなりの部分が有料高速道路の建設に使用されて来ているが、高速走行はガソリン消費量を高めるので、高速道路をこれまでのペースで作り続けることが省エネや温室効果ガスの抑制に貢献するとも思えない。高速道路建設は自然を削ることもあるので十分な環境アセスメントも不可欠だ。環境を重視するのであれば、既存道路の渋滞の解消や交差点・踏切の地下化・高架化、生活道路・市街地道路の環境改善などの方が効果的であろう。
更に、ガソリン税などが有料高速道路の建設に投入されてきているが、利用者はその高速道路の通行に高額の料金を民営化された「道路会社」に徴収され、いわば2重に徴収される形となっている。高速道路を管理していた道路公団は民営化し、会社経営に移行しているので、本来であれば新規の有料道路の建設は採算性を考慮して、「道路会社」が資金調達し、建設されなくては民営化の意味が薄れるばかりではなく、通行料金とガソリン税等の割り当てという2重の権益を「道路会社」が維持することになる。採算性を度返して有料高速道路が造り続けられれば、いずれは地域の負担となる恐れが強い。第三セクターの失敗を繰り返してはならない。
道路予算は、約1.8兆円の「一般財源」や1.2兆円の財投・「諸手数料収入」を含め、総額8兆円規模(内、約65%が道路特定財源)になっており、必要な道路の新設や改善等を行わないというわけではない。
基本的な問題は、暫定税率を含め、ガソリン税等を道路財源に特定し、優先すべきか、有料高速道路をこれまでのペースで建設すべきか、そして新たな国民のニーズを考慮し、その一部、全部を一般財源化すべきか否かであろう。暫定税率だけの問題ではない。
日本は、昨年の円安にも影響され一人当たりの国民所得は世界第18位に後退したが、製造業を中心とする経済力は強く、貿易収支は黒字を継続し、潤沢な外貨準備を維持しており、国民総生産では依然世界第2位の経済大国である。日本としては、約2.6兆円の「暫定税率」問題もさることながら、後退が予想されている米国経済と世界経済への影響を直視し、G7財務相会議が勧奨するように「必要な改革を通じて成長力を高める努力を強化」し、世界経済の安定の向けた牽引力となり、そのような方向でのリダーシップを発揮して欲しいものである。                  (Copy Right Reserved)
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先進7カ国財務相会議とガソリン税暫定税率存廃問題 

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先進7カ国財務相会議とガソリン税暫定税率存廃問題 
2月9日、先進7カ国財務相会議が開催され、低所得層を対象としたサブプライム・ローンの破綻を背景とする米国発の世界的な株安や景気後退感の中だけに結果が注目された。
 同日発表された議長声明では、世界は立ち向かわなくてはならない「不確実な環境」に直面しているが、「世界全体のファンダメンタルズは引き続き堅固」であるとし、今後の経済動向を注視し、経済の安定と成長の確保のため、「個別に、或いは共同して適切な行動を取って行く」として、具体的な協調行動などは示されなかった。欧州連合(EU)が欧州においてはマネージ可能な状態としたとされている。同時に、主要7カ国は、「必要な改革を通じて成長力を高める努力を強化」することを確認する一方、米国のポールソン財務長官は、会議後、日本の内需拡大による牽引力への期待感を表明している。
議長国は、本年のサミット(主要先進国首脳会議)の開催国となる日本が務めたが、議長声明には、石油価格の高騰にも言及し、OPEC他の産油国に増産を促すと共に、生産・精製能力の増強等の重要性を強調している。ところが、その後に「財政上の措置により国内エネルギー価格を人為的に引き下げることは、市場におけるエネルギー需要の調整を妨げ、温室効果ガスの排出を増加させることから、避けるべき」との一節が付け加えられていることから、一部マスコミや国会で問題となっている。
一部には、これはガソリン税暫定税率を一部又は全部廃止し、石油価格を引き下げることに反対する趣旨であるとも解釈され、野党等は、国内の個別的な問題であり、議長国の立場から国際会議を利用している等として問題視している。G7財務相会議が、各国の特定の「財政上の措置」に言及することは異例であるが、日本のガソリン税問題が7カ国財務相会議に飛び火した格好だ。
しかし、この文言は、暫定税率の維持を主張する政府やいわゆる道路族にとっては諸刃の刃になる可能性がある。
政府は、本年度の補正予算において、寒冷地の灯油購入費補助などの原油高対策費(570億円)などを含めているが、灯油購入費補助は温室効果ガス排出に繋がり、価格引下げ効果と同様の「財政上の措置」であると共に、一方で原油高対策を実施しながら、他方でこれを否定するという矛盾が生ずる。
そもそも暫定税率を廃止又は引き下げても、現在の物価高傾向の中で減税分がすべてガソリン需要に向かうとも思えない。暫定税減税による景気下支えの波及効果が期待される。また、暫定税率が長期にわたり「道路特定財源」として固定され、かなりの部分が有料高速道路の建設に使用されて来ているが、高速走行はガソリン消費量を高めるので、高速道路をこれまでのペースで作り続けることが省エネや温室効果ガスの抑制に貢献するとも思えない。高速道路建設は自然を削ることもあるので十分な環境アセスメントも不可欠だ。環境を重視するのであれば、既存道路の渋滞の解消や交差点・踏切の地下化・高架化、生活道路・市街地道路の環境改善などの方が効果的であろう。
更に、ガソリン税などが有料高速道路の建設に投入されてきているが、利用者はその高速道路の通行に高額の料金を民営化された「道路会社」に徴収され、いわば2重に徴収される形となっている。高速道路を管理していた道路公団は民営化し、会社経営に移行しているので、本来であれば新規の有料道路の建設は採算性を考慮して、「道路会社」が資金調達し、建設されなくては民営化の意味が薄れるばかりではなく、通行料金とガソリン税等の割り当てという2重の権益を「道路会社」が維持することになる。採算性を度返して有料高速道路が造り続けられれば、いずれは地域の負担となる恐れが強い。第三セクターの失敗を繰り返してはならない。
道路予算は、約1.8兆円の「一般財源」や1.2兆円の財投・「諸手数料収入」を含め、総額8兆円規模(内、約65%が道路特定財源)になっており、必要な道路の新設や改善等を行わないというわけではない。
基本的な問題は、暫定税率を含め、ガソリン税等を道路財源に特定し、優先すべきか、有料高速道路をこれまでのペースで建設すべきか、そして新たな国民のニーズを考慮し、その一部、全部を一般財源化すべきか否かであろう。暫定税率だけの問題ではない。
日本は、昨年の円安にも影響され一人当たりの国民所得は世界第18位に後退したが、製造業を中心とする経済力は強く、貿易収支は黒字を継続し、潤沢な外貨準備を維持しており、国民総生産では依然世界第2位の経済大国である。日本としては、約2.6兆円の「暫定税率」問題もさることながら、後退が予想されている米国経済と世界経済への影響を直視し、G7財務相会議が勧奨するように「必要な改革を通じて成長力を高める努力を強化」し、世界経済の安定の向けた牽引力となり、そのような方向でのリダーシップを発揮して欲しいものである。                  (Copy Right Reserved)
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2月9日、先進7カ国財務相会議が開催され、低所得層を対象としたサブプライム・ローンの破綻を背景とする米国発の世界的な株安や景気後退感の中だけに結果が注目された。
 同日発表された議長声明では、世界は立ち向かわなくてはならない「不確実な環境」に直面しているが、「世界全体のファンダメンタルズは引き続き堅固」であるとし、今後の経済動向を注視し、経済の安定と成長の確保のため、「個別に、或いは共同して適切な行動を取って行く」として、具体的な協調行動などは示されなかった。欧州連合(EU)が欧州においてはマネージ可能な状態としたとされている。同時に、主要7カ国は、「必要な改革を通じて成長力を高める努力を強化」することを確認する一方、米国のポールソン財務長官は、会議後、日本の内需拡大による牽引力への期待感を表明している。
議長国は、本年のサミット(主要先進国首脳会議)の開催国となる日本が務めたが、議長声明には、石油価格の高騰にも言及し、OPEC他の産油国に増産を促すと共に、生産・精製能力の増強等の重要性を強調している。ところが、その後に「財政上の措置により国内エネルギー価格を人為的に引き下げることは、市場におけるエネルギー需要の調整を妨げ、温室効果ガスの排出を増加させることから、避けるべき」との一節が付け加えられていることから、一部マスコミや国会で問題となっている。
一部には、これはガソリン税暫定税率を一部又は全部廃止し、石油価格を引き下げることに反対する趣旨であるとも解釈され、野党等は、国内の個別的な問題であり、議長国の立場から国際会議を利用している等として問題視している。G7財務相会議が、各国の特定の「財政上の措置」に言及することは異例であるが、日本のガソリン税問題が7カ国財務相会議に飛び火した格好だ。
しかし、この文言は、暫定税率の維持を主張する政府やいわゆる道路族にとっては諸刃の刃になる可能性がある。
政府は、本年度の補正予算において、寒冷地の灯油購入費補助などの原油高対策費(570億円)などを含めているが、灯油購入費補助は温室効果ガス排出に繋がり、価格引下げ効果と同様の「財政上の措置」であると共に、一方で原油高対策を実施しながら、他方でこれを否定するという矛盾が生ずる。
そもそも暫定税率を廃止又は引き下げても、現在の物価高傾向の中で減税分がすべてガソリン需要に向かうとも思えない。暫定税減税による景気下支えの波及効果が期待される。また、暫定税率が長期にわたり「道路特定財源」として固定され、かなりの部分が有料高速道路の建設に使用されて来ているが、高速走行はガソリン消費量を高めるので、高速道路をこれまでのペースで作り続けることが省エネや温室効果ガスの抑制に貢献するとも思えない。高速道路建設は自然を削ることもあるので十分な環境アセスメントも不可欠だ。環境を重視するのであれば、既存道路の渋滞の解消や交差点・踏切の地下化・高架化、生活道路・市街地道路の環境改善などの方が効果的であろう。
更に、ガソリン税などが有料高速道路の建設に投入されてきているが、利用者はその高速道路の通行に高額の料金を民営化された「道路会社」に徴収され、いわば2重に徴収される形となっている。高速道路を管理していた道路公団は民営化し、会社経営に移行しているので、本来であれば新規の有料道路の建設は採算性を考慮して、「道路会社」が資金調達し、建設されなくては民営化の意味が薄れるばかりではなく、通行料金とガソリン税等の割り当てという2重の権益を「道路会社」が維持することになる。採算性を度返して有料高速道路が造り続けられれば、いずれは地域の負担となる恐れが強い。第三セクターの失敗を繰り返してはならない。
道路予算は、約1.8兆円の「一般財源」や1.2兆円の財投・「諸手数料収入」を含め、総額8兆円規模(内、約65%が道路特定財源)になっており、必要な道路の新設や改善等を行わないというわけではない。
基本的な問題は、暫定税率を含め、ガソリン税等を道路財源に特定し、優先すべきか、有料高速道路をこれまでのペースで建設すべきか、そして新たな国民のニーズを考慮し、その一部、全部を一般財源化すべきか否かであろう。暫定税率だけの問題ではない。
日本は、昨年の円安にも影響され一人当たりの国民所得は世界第18位に後退したが、製造業を中心とする経済力は強く、貿易収支は黒字を継続し、潤沢な外貨準備を維持しており、国民総生産では依然世界第2位の経済大国である。日本としては、約2.6兆円の「暫定税率」問題もさることながら、後退が予想されている米国経済と世界経済への影響を直視し、G7財務相会議が勧奨するように「必要な改革を通じて成長力を高める努力を強化」し、世界経済の安定の向けた牽引力となり、そのような方向でのリダーシップを発揮して欲しいものである。                  (Copy Right Reserved)
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