内外政策評論 TheOpinion on Global & Domestic Issues

このブログは、広い視野から内外諸問題を分析し、提言を試みます。
Policy Essayist

台湾の独立実現に転換すべき時

2020-12-07 | weblog
台湾の独立実現に転換すべき時
 1月末以来、中国武漢から世界に拡大したコロナウイルスは、既に680万人以上の感染者、40万人近くの死者を出し、世界レベルでの感染は未だに収まっていない。
 このような中、5月18日、世界保健機関(WHO)の年次総会を開かれ、焦点に1つであった非加盟の台湾のオブザーバー参加について、中国が「1つに中国」を主張して反対したため、見送りとなり、年内にも開かれる次回総会で協議されることになった。
 米国は、台湾のオブザーバー参加を支持する一方、WHOは中国寄りであり、改革を求めると共に、改革されなければ脱退も辞さないとした。
1、コロナウイルス問題は世界77億人の健康、存続に関する問題
コロナウイルス問題は、単に2,700万人の台湾の人々の健康、安全の問題ではなく、世界の77億人の健康、安全の問題であると共に、世界の健全な経済・社会・文化活動の回復、維持に影響する問題であり、いわば人類全体の健全な存続に関する問題である。
 武漢型コロナウイルスは、その発生源については別として、武漢から世界に拡散し、40万人を超える死者を出す拡散源となったことは確かである。習近平中国主席は、武漢を中心とする中国国内で感染が拡大したことを詫びたが、世界に対してはそのようなお詫びをしていない。確かに中国も新型コロナウイルスの被害者であるが、世界に拡散させた責任の一端はあり、世界に何らかの言葉があっても良いのではなかろうか。それどころか、世界が密接に協力してコロナウイルスを克服していかなくてはならない時期にWHO年次総会への台湾のオブザーバー参加を阻み、コロナウイルス克服へ向けての世界的努力から除外し、空白地帯を造っているに等しい。世界のどこかに空白地帯があれば、この問題の中・長期的な解決は難しい。
 2、台湾の独立を推進する時
 次のWHO総会でも、中国はかたくなに台湾が中国に帰属するとの原則を主張し、台湾の参加に反対するか、厳しい条件を課すであろう。台湾について中国が何かできるわけでもなく、台湾は国際的なコロナウイルス撲滅努力の外に置かれる。
 領土問題については、香港の問題がある。1997年6月に英国の99年間香港租借が終了し、50年間は香港の「高度の自治」が認められる1国2制度に移った。領土としては中国であり、香港での民主化運動の激化に対し、中国は香港に「国家安全法」を適用することを2020年5月の全人代で決めた。
米国等は香港の自由と民主主義を抑圧するものとして強く反発している。しかし中国は、香港は中国の一部であり、内政干渉として取り合う姿勢を示していない。中国は「領土」という原則は曲げないであろう。現在の国境を前提とする国家関係ではやむを得ないことだろう。そのことは香港を去った英国が一番よく知っている。
台湾については、戦後中華民国として中国共産党下の中華人民共和国とそれぞれが中国を代表するものとして対峙していたが、東西冷戦下の1971年に、アメリカ合衆国をはじめとする西側諸国と、ソビエト連邦(当時)をはじめとする東側諸国との間で政治的妥協が計られた結果、国際連合における「中国代表権」が中華人民共和国に移され、中華民国(台湾)は国連とその関連機関から脱退を余儀なくされ、「地域」として扱われてきた。
 台湾と外交関係を有する国も現在中南米、カリブ諸国を中心として15カ国に減少している。日本も外交関係を持っていない。
 台湾が国連を脱退して50年ほどになるが、中国は「1つの中国」を主張し、台湾をその1地域としている。台湾においては、台湾独立派と中国大陸派とが存在するが、自由と民主主義は根付いており、同じ中華系も多いが、高雄系などの台湾独自の人口も多いので、中国共産党とは相容れない社会経済体制となっている。双方とも、それぞれが中心となって中国統一を願っているようであり、それが双方国民の選択であれば良いが、差が縮まるどころか広がっている。
 これ以上待っても物事は動かないし、武漢型コロナウイルス問題など地球規模の問題への対応、健全な人類の存続を考えると、台湾を国連の外に置いておくことは望ましくない。今や東西冷戦はなくなっており、その時の東西両陣営の妥協の産物である中国の代表権問題はその役割を終えたと考えられるので、今や台湾の独立を推進すべき時代になっていると言えよう。台湾独立後、双方の国民が統一中国を希望するのであれば、それは双方の国民の選択に委ねれば良いことであろう。
(2020.6.8.All Rights Reserved.)
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学校の新学年9月開始を推奨する 

2020-05-27 | weblog
学校の新学年9月開始を推奨する 
 2010年年初よりの新型コロナウイルスの伝染被害が広がり、予防のため3月の小・中・高校の休校に続き、4月7日の約1ヶ月間の緊急事態宣言により、大学、専門学校を含め入学式が延期されるなど、教育の場が長期に休校状態になっている。5月6日までの緊急事態宣言は、全面的に解除される見通しは無く、休校状態が延長される可能性もある。
 これから夏までの教育をそれぞれのレベルでどうするかは工夫の余地があるが、知事の間にグローバリゼイションの中で、この際新学期を9月にしてはとの提案が出されている。
 学校の新学年9月開始については大学レベルでも検討されており、これを支持する大学も少なくないが、小・中・高、専門学校等についても、次の理由で新学期の9月開始を早急に検討し、実施の方向で学校改革を行う絶好のチャンスではなかろうか。それが出来れば、大学の新学期9月開始への障害はほとんど無くなるであろう。
1、 教育の場の国際化
 現在人的な国際交流が一般的となり、日本人の海外留学、外国人の日本留学なども頻繁になっているが、新学期が9月の諸国が多いため、留学するにも、また母国に帰り教育を続ける場合にも、円滑な継続が困難となっており、これが日本の教育の国際化の妨げになっている。それは日本の大学の国際的な水準の低さの原因ともなっている。最近の世界大学ランキング100校には、日本の国立大学が2校入っているだけであり、一人当たりのGDPを加味すると実質的に世界第2位の経済大国である日本にとっては少し寂しいところだ。新学年の開始時期が国際的な基準に沿っていなければ、それだけで国際的評価は得れないであろう。
 現在、小学校から大学まで、進入学はストップしており、再開の見通しは立っていない。小中学校から大学まで新学期を9月に揃えるチャンスと言えよう。それまでの間をどう活用するかは別途考えれば良い。
 新学年開始を9月とすれば、日本の学校から海外の学校への転出、転入が円滑となるので、海外留学や外国人の日本への留学等も障害が少なくなり、日本からの海外留学、外国人の日本留学を促進し易くなろう。
 入試試験は7月中・下旬から8月に実施可能であり、また高校野球も維持できる。

 2、学年途中の長期の夏季休暇は非効率で子供に負担
1か月半前後の夏休み中に、多くの宿題、課題が課されているが、学習の継続性を保つためなどと思われ、旧来から行われている。しかし最近では宿題、課題の種類や量が多いため、「宿題代行業」が全国に普及している状況のようだ。このような状況では、学年途中での長期の休みによる学習中断の弊害は補い切れていない。それどころか、9月の学期初めに宿題、課題を学校に提出しなくてはならないので、夏休みの終盤は子供たちにプレッシャーやストレスを与えている。夏休み後の新学期を前にして子供の自殺が一番多いと言われているが、楽しく、自由に能力を伸ばせる夏休みが、悲劇の種ともなっているようだ。個人レベルで学習塾などを利用している生徒も多いようだが、それは夏季休暇が学年途中の学習中断になっているからに他ならない。
 9月に新学年開始とすれば、子供たちは夏の間は学校から課される宿題などから解放され、自由に能力を伸ばせるし、家族とゆっくりと過ごし、また新学年に向けてそれぞれの準備や新しい習い事なども始められるだろう。少なくても子供たちにプレッシャーやストレスを与えることは少なくなろう。他方、休みの間の生徒への指導や安全対策などは必要となろう。

3、新卒者の就職活動と採用試験や予算編成などの時期の調整は可能
 新卒者の就職試験については、3年終了後の8月頃採用広報開始、翌年1月に選考(面接)開始とすることは可能であろう。
 また予算編成については、米国同様10月1日を新予算年度開始とすると、翌年度の政府予算につき各省庁の概算要求案の予算当局への提出を10月か11月までとし、翌年4月下旬までに政府原案の決定、4月下旬国会提出、5月の連休明けに国会での予算審議開始、9月下旬までに国会(8月は原則国会休会)での予算採択を軸に行政府と国会の間で調整、検討することは可能であろう。
このスケジュールで行くと、国会の予算審議は1か月間の夏季休会を挟んでほぼ3か月間取ることも可能となるので、十分な審議が出来るようになる。日本の場合、議院内閣制のため、指名された政権が予算の政府原案を作り国会での承認を求めるが、政府原案が修正されることはほとんどない。衆議院で採択されたものが参議院で否決されても、30日ルールで衆議院が優越することになり、両院協議会で修正協議されることもない。国家、国民の生活に大きな影響を与える予算であり、また有権者の4割前後は無党派層であるので、政府原案は政府原案として、国会での審議を通じ、或いは参議院で異なる要請を出した場合などには両院協議会を通じる衆・参両院の調整が行えるようにし、広く国民の関心が反映出来るようにすることが望まれる。そのために一元的に予算を検討できるよう、国会内に衆・参合同の予算管理局のような組織を設置する必要が出て来よう。
 10月1日が新会計年度となると、諸法令を修正しなくてはならず、行政事務当局や国会事務局の手間は掛かると予想されるが、決めればそれに従って対応する問題であろう。世界が更にグローバル化し、諸国間の交流もボーダーレスになって行くと共に、少子化の中で就労者の確保、学生の確保等の上で年長者や女性の就労機会の拡大と共に、外国人の人材や学生の受け入れがよりスムーズに行えるようにすることが望ましいので、9月新学年制が望ましい。環太平洋経済連携取り決め(TPP)が11カ国で発足しているのでなおさらのことであろう。
但しグローバル化は、今回の新コロナウイルス問題で明らかになったように、伝染病なども伝播し易くし、危険も孕んでいるので、このような場合には、グローバルな動きを一時止めるメカニズムも必要になっている。(2020.4.29.)(All Rights Reserved.)
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