内外政策評論 TheOpinion on Global & Domestic Issues

このブログは、広い視野から内外諸問題を分析し、提言を試みます。
Policy Essayist

今だからこそ応援しよう、2016年東京オリンピック招致

2009-03-17 | Weblog
今だからこそ応援しよう、2016年東京オリンピック招致
 2月12日、2016年の夏季オリンピック/パラリンピックの開催地を巡り、東京始めシカゴ、リオデジャネイロ、マドリッドの4都市が国際オリンピック委員会に立候補書類を提出した。開催地はこの中から10月2日に決定される。
 日本でオリンピックが開催されたのは1964年であるので、2016年に開催されることになれば52年振りであるのでよい頃合いなのかもしれない。しかし、また東京での開催になり新鮮味に欠ける上、箱物、道路・交通網など膨大な建設コストが掛かることなどから、日本では冷めた見方が強く、余り盛り上がっていない。今回の立候補申請に当たっても、東京都としては国会決議を添えようとしたが、決議は間に合わなかった。石原都知事(招致委員長)は、「何を勘違いしているのだ」などと語気を荒立て、批判しているが、それでは世論は引くばかりだろう。
 現在、日本始め世界は、世界の消費市場であり最大の経済大国である米国発の経済危機に見舞われており、現在国会では景気対策のため第2次補正と明年度予算が審議されている上、その過程で消費税増税、郵政民営化の見直し、遅々として進まない行政改革・簡素化などの緊急な問題で与野党とも忙殺されており、2016年オリンピックが国民的な関心事にはなり難い状況にあることも事実だ。特に昨年末以降、派遣等の非正規労働者の大量解雇問題や新卒内定者の取り消し、正規社員の解雇問題など、国民の職場や所得の確保が現実的な問題となっており、このような空気を察するべきであろう。
 しかし、経済危機、雇用危機にあるからこそ2016年オリンピック東京開催を応援しようではないか。
1、今必要な国民的プロジェクト
現在の経済危機は案外長引く恐れがある。この危機は米国発のものだけに、米国の景気
回復が鍵となるが、オバマ大統領も長引く可能性を示唆している。この度米国議会で承認された7,870億ドル(約70兆円)に及ぶ「史上最大規模の景気対策」も、オバマ大統領は「景気回復に向けての大きな一里塚ではあるが、道は長い」として国民の理解と協力を求めている。日本が米国よりも早く経済不振から抜け出して、世界経済の牽引力になりたいものではあるが、同時に長引くことも想定して置く必要がある。
 そのためには、目先の対症療法的な景気対策や雇用対策だけではなく、将来に繋がる国民的なプロジェクトが必要である。
 2016年オリンピックに向けての総合的な環境整備は、オリンピックという特定の目的であり、東京を中心とするプロジェクトではあるが、決定すれば8年間余に及ぶ象徴的なプロジェクトになろう。
 東京都の計画案では、半径8キロ以内に9割以上の施設が集中し、「コンパクトな大会」を目指し、地球温暖化防止に繋がる二酸化炭素削減を考慮した「環境重視」の大会としている。地球温暖化防止は、今後益々切実な問題として現実味を帯びるグローバルな課題となることが予想されるだけに、世界に訴えることが出来るコンセプトと言えよう。
 大会組織委員会によると、大会運営経費は仮設の施設建設を含め3,100億円としている。また国や地方の負担が求められるメインスタジアムなど恒久施設建設には2,420億円が計上され、総額5,500億円強となっている(欄外参照)。09年度からスタートすると16年度まで年平均約700億円のプロジェクトであるが、16年度に向かって傾斜的に増加する継続的な計画となり、広範な雇用効果を含む波及効果も期待される。
 本来であれば、景気対策にはより大規模な国民的プロジェクトが必要であるが、そのためには長期の計画立案・遂行に耐える政権が必要であり、その速やかな誕生が望まれるところである。
 もっとも内容や地方への配慮の面では工夫が必要であろう。まず関連の施設建設などについては太陽光など自然エネルギーの最大限の活用など、地球温暖化防止、クリーン・エアーの回復に明確に焦点を当てて世界に提案することが望まれる。同時に関連する道路や大衆交通手段、生活道路などについても、地下道路化などによる渋滞交差点や踏み切りの解消、低廉なコミュニテイ駐車・駐輪場の普及による路上駐車・駐輪の解消を進めるなど、都市の生活環境自体の改善に繋がる施策を着実に実施して行くことが重要であろう。経済後退により不動産価格も低迷しているので、手持ちの不動産との交換、処分等により、各種の改善を図る好機でもある。
 また、この大会への国民的な支持を得ていくためには、東京都が余り出過ぎることなく、諸スポ-ツ団体や企業、周辺県を始めとする地方公共団体の関与を最大限に引き出すことが不可欠であろう。宿泊施設の分散や強化合宿サイトの地方誘致、内外関係方面への情報提供など、地方の参加を促進すべきであろう。
2、スポーツ選手を始め若い世代に必要な目標と夢
経済効果より重要なことは、今だからこそ、スポーツ選手だけでなく若い世代が目標や
夢を与えることではないだろうか。
 経済後退により、今後就職難が続く可能性がある上、年金不信から将来不安が背景にある。だから最近若い世代も貯蓄志向、節約志向が強くなっている。このような状況が続くと、若い世代が萎縮し、それが社会の活力を益々削いで行く恐れがある。特に、経済後退により企業がスポーツ活動から撤退するケースも多くなっており、高まりつつあったスポーツ熱も冷めて行く恐れがある。
 2016年東京オリンピックへの支援は、スポーツ選手を中心として若い世代に目標や夢を与える。今それが必要なのである。
 またこの機会に、小・中学校を含め、学校や地方でのスポーツ活動や施設、各種スポーツクラブなどを抜本的に促進すると共に、社会人が廉価で活用出来るスポーツ施設を整備・拡充し、年齢を問わず国民が心身の健康向上を図る環境を改善して行くことが望まれる。介護サービスなどの改善も必要であろうが、それ以前に国民が健康で活力に満ちた生活が送れるような環境を作って行くことが望まれる。
 3、手強い候補地シカゴ
 候補地の中では、マドリッドについは、2012年がロンドン開催であるので2回続けてヨーロッパは難しそうだ。リオはリゾート観光地などとしては良いが、治安の問題と包括的なスポーツ・交通インフラなどの面で困難そうであり、シカゴが最大の競争相手になりそうだ。
 1964年オリンピックでも、候補地として東京はデトロイト他2市と競ったが、今回も米国と競うことになる。1959年に行われたIOC総会では、東京が1回目の投票で34票獲得し、開催地として決定された。その時デトロイトは10票で、ウィーン(9票)、ブラッセル(5票)と続いたが、1960年オリンピックの開催地投票ではローマに敗れていることを勘案すると、今回のシカゴはなかなか手強そうだ。それだけに日本国内の支持の輪を広げ、関係するスポーツ団体、企業、地方公共団体等と協力して世界に働き掛けて行かなくてはならない。それにより日本経済が元気を取り戻す一つの契機となるであろう。(09.03.)
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今だからこそ応援しよう、2016年東京オリンピック招致
 2月12日、2016年の夏季オリンピック/パラリンピックの開催地を巡り、東京始めシカゴ、リオデジャネイロ、マドリッドの4都市が国際オリンピック委員会に立候補書類を提出した。開催地はこの中から10月2日に決定される。
 日本でオリンピックが開催されたのは1964年であるので、2016年に開催されることになれば52年振りであるのでよい頃合いなのかもしれない。しかし、また東京での開催になり新鮮味に欠ける上、箱物、道路・交通網など膨大な建設コストが掛かることなどから、日本では冷めた見方が強く、余り盛り上がっていない。今回の立候補申請に当たっても、東京都としては国会決議を添えようとしたが、決議は間に合わなかった。石原都知事(招致委員長)は、「何を勘違いしているのだ」などと語気を荒立て、批判しているが、それでは世論は引くばかりだろう。
 現在、日本始め世界は、世界の消費市場であり最大の経済大国である米国発の経済危機に見舞われており、現在国会では景気対策のため第2次補正と明年度予算が審議されている上、その過程で消費税増税、郵政民営化の見直し、遅々として進まない行政改革・簡素化などの緊急な問題で与野党とも忙殺されており、2016年オリンピックが国民的な関心事にはなり難い状況にあることも事実だ。特に昨年末以降、派遣等の非正規労働者の大量解雇問題や新卒内定者の取り消し、正規社員の解雇問題など、国民の職場や所得の確保が現実的な問題となっており、このような空気を察するべきであろう。
 しかし、経済危機、雇用危機にあるからこそ2016年オリンピック東京開催を応援しようではないか。
1、今必要な国民的プロジェクト
現在の経済危機は案外長引く恐れがある。この危機は米国発のものだけに、米国の景気
回復が鍵となるが、オバマ大統領も長引く可能性を示唆している。この度米国議会で承認された7,870億ドル(約70兆円)に及ぶ「史上最大規模の景気対策」も、オバマ大統領は「景気回復に向けての大きな一里塚ではあるが、道は長い」として国民の理解と協力を求めている。日本が米国よりも早く経済不振から抜け出して、世界経済の牽引力になりたいものではあるが、同時に長引くことも想定して置く必要がある。
 そのためには、目先の対症療法的な景気対策や雇用対策だけではなく、将来に繋がる国民的なプロジェクトが必要である。
 2016年オリンピックに向けての総合的な環境整備は、オリンピックという特定の目的であり、東京を中心とするプロジェクトではあるが、決定すれば8年間余に及ぶ象徴的なプロジェクトになろう。
 東京都の計画案では、半径8キロ以内に9割以上の施設が集中し、「コンパクトな大会」を目指し、地球温暖化防止に繋がる二酸化炭素削減を考慮した「環境重視」の大会としている。地球温暖化防止は、今後益々切実な問題として現実味を帯びるグローバルな課題となることが予想されるだけに、世界に訴えることが出来るコンセプトと言えよう。
 大会組織委員会によると、大会運営経費は仮設の施設建設を含め3,100億円としている。また国や地方の負担が求められるメインスタジアムなど恒久施設建設には2,420億円が計上され、総額5,500億円強となっている(欄外参照)。09年度からスタートすると16年度まで年平均約700億円のプロジェクトであるが、16年度に向かって傾斜的に増加する継続的な計画となり、広範な雇用効果を含む波及効果も期待される。
 本来であれば、景気対策にはより大規模な国民的プロジェクトが必要であるが、そのためには長期の計画立案・遂行に耐える政権が必要であり、その速やかな誕生が望まれるところである。
 もっとも内容や地方への配慮の面では工夫が必要であろう。まず関連の施設建設などについては太陽光など自然エネルギーの最大限の活用など、地球温暖化防止、クリーン・エアーの回復に明確に焦点を当てて世界に提案することが望まれる。同時に関連する道路や大衆交通手段、生活道路などについても、地下道路化などによる渋滞交差点や踏み切りの解消、低廉なコミュニテイ駐車・駐輪場の普及による路上駐車・駐輪の解消を進めるなど、都市の生活環境自体の改善に繋がる施策を着実に実施して行くことが重要であろう。経済後退により不動産価格も低迷しているので、手持ちの不動産との交換、処分等により、各種の改善を図る好機でもある。
 また、この大会への国民的な支持を得ていくためには、東京都が余り出過ぎることなく、諸スポ-ツ団体や企業、周辺県を始めとする地方公共団体の関与を最大限に引き出すことが不可欠であろう。宿泊施設の分散や強化合宿サイトの地方誘致、内外関係方面への情報提供など、地方の参加を促進すべきであろう。
2、スポーツ選手を始め若い世代に必要な目標と夢
経済効果より重要なことは、今だからこそ、スポーツ選手だけでなく若い世代が目標や
夢を与えることではないだろうか。
 経済後退により、今後就職難が続く可能性がある上、年金不信から将来不安が背景にある。だから最近若い世代も貯蓄志向、節約志向が強くなっている。このような状況が続くと、若い世代が萎縮し、それが社会の活力を益々削いで行く恐れがある。特に、経済後退により企業がスポーツ活動から撤退するケースも多くなっており、高まりつつあったスポーツ熱も冷めて行く恐れがある。
 2016年東京オリンピックへの支援は、スポーツ選手を中心として若い世代に目標や夢を与える。今それが必要なのである。
 またこの機会に、小・中学校を含め、学校や地方でのスポーツ活動や施設、各種スポーツクラブなどを抜本的に促進すると共に、社会人が廉価で活用出来るスポーツ施設を整備・拡充し、年齢を問わず国民が心身の健康向上を図る環境を改善して行くことが望まれる。介護サービスなどの改善も必要であろうが、それ以前に国民が健康で活力に満ちた生活が送れるような環境を作って行くことが望まれる。
 3、手強い候補地シカゴ
 候補地の中では、マドリッドについは、2012年がロンドン開催であるので2回続けてヨーロッパは難しそうだ。リオはリゾート観光地などとしては良いが、治安の問題と包括的なスポーツ・交通インフラなどの面で困難そうであり、シカゴが最大の競争相手になりそうだ。
 1964年オリンピックでも、候補地として東京はデトロイト他2市と競ったが、今回も米国と競うことになる。1959年に行われたIOC総会では、東京が1回目の投票で34票獲得し、開催地として決定された。その時デトロイトは10票で、ウィーン(9票)、ブラッセル(5票)と続いたが、1960年オリンピックの開催地投票ではローマに敗れていることを勘案すると、今回のシカゴはなかなか手強そうだ。それだけに日本国内の支持の輪を広げ、関係するスポーツ団体、企業、地方公共団体等と協力して世界に働き掛けて行かなくてはならない。それにより日本経済が元気を取り戻す一つの契機となるであろう。(09.03.)
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 2月12日、2016年の夏季オリンピック/パラリンピックの開催地を巡り、東京始めシカゴ、リオデジャネイロ、マドリッドの4都市が国際オリンピック委員会に立候補書類を提出した。開催地はこの中から10月2日に決定される。
 日本でオリンピックが開催されたのは1964年であるので、2016年に開催されることになれば52年振りであるのでよい頃合いなのかもしれない。しかし、また東京での開催になり新鮮味に欠ける上、箱物、道路・交通網など膨大な建設コストが掛かることなどから、日本では冷めた見方が強く、余り盛り上がっていない。今回の立候補申請に当たっても、東京都としては国会決議を添えようとしたが、決議は間に合わなかった。石原都知事(招致委員長)は、「何を勘違いしているのだ」などと語気を荒立て、批判しているが、それでは世論は引くばかりだろう。
 現在、日本始め世界は、世界の消費市場であり最大の経済大国である米国発の経済危機に見舞われており、現在国会では景気対策のため第2次補正と明年度予算が審議されている上、その過程で消費税増税、郵政民営化の見直し、遅々として進まない行政改革・簡素化などの緊急な問題で与野党とも忙殺されており、2016年オリンピックが国民的な関心事にはなり難い状況にあることも事実だ。特に昨年末以降、派遣等の非正規労働者の大量解雇問題や新卒内定者の取り消し、正規社員の解雇問題など、国民の職場や所得の確保が現実的な問題となっており、このような空気を察するべきであろう。
 しかし、経済危機、雇用危機にあるからこそ2016年オリンピック東京開催を応援しようではないか。
1、今必要な国民的プロジェクト
現在の経済危機は案外長引く恐れがある。この危機は米国発のものだけに、米国の景気
回復が鍵となるが、オバマ大統領も長引く可能性を示唆している。この度米国議会で承認された7,870億ドル(約70兆円)に及ぶ「史上最大規模の景気対策」も、オバマ大統領は「景気回復に向けての大きな一里塚ではあるが、道は長い」として国民の理解と協力を求めている。日本が米国よりも早く経済不振から抜け出して、世界経済の牽引力になりたいものではあるが、同時に長引くことも想定して置く必要がある。
 そのためには、目先の対症療法的な景気対策や雇用対策だけではなく、将来に繋がる国民的なプロジェクトが必要である。
 2016年オリンピックに向けての総合的な環境整備は、オリンピックという特定の目的であり、東京を中心とするプロジェクトではあるが、決定すれば8年間余に及ぶ象徴的なプロジェクトになろう。
 東京都の計画案では、半径8キロ以内に9割以上の施設が集中し、「コンパクトな大会」を目指し、地球温暖化防止に繋がる二酸化炭素削減を考慮した「環境重視」の大会としている。地球温暖化防止は、今後益々切実な問題として現実味を帯びるグローバルな課題となることが予想されるだけに、世界に訴えることが出来るコンセプトと言えよう。
 大会組織委員会によると、大会運営経費は仮設の施設建設を含め3,100億円としている。また国や地方の負担が求められるメインスタジアムなど恒久施設建設には2,420億円が計上され、総額5,500億円強となっている(欄外参照)。09年度からスタートすると16年度まで年平均約700億円のプロジェクトであるが、16年度に向かって傾斜的に増加する継続的な計画となり、広範な雇用効果を含む波及効果も期待される。
 本来であれば、景気対策にはより大規模な国民的プロジェクトが必要であるが、そのためには長期の計画立案・遂行に耐える政権が必要であり、その速やかな誕生が望まれるところである。
 もっとも内容や地方への配慮の面では工夫が必要であろう。まず関連の施設建設などについては太陽光など自然エネルギーの最大限の活用など、地球温暖化防止、クリーン・エアーの回復に明確に焦点を当てて世界に提案することが望まれる。同時に関連する道路や大衆交通手段、生活道路などについても、地下道路化などによる渋滞交差点や踏み切りの解消、低廉なコミュニテイ駐車・駐輪場の普及による路上駐車・駐輪の解消を進めるなど、都市の生活環境自体の改善に繋がる施策を着実に実施して行くことが重要であろう。経済後退により不動産価格も低迷しているので、手持ちの不動産との交換、処分等により、各種の改善を図る好機でもある。
 また、この大会への国民的な支持を得ていくためには、東京都が余り出過ぎることなく、諸スポ-ツ団体や企業、周辺県を始めとする地方公共団体の関与を最大限に引き出すことが不可欠であろう。宿泊施設の分散や強化合宿サイトの地方誘致、内外関係方面への情報提供など、地方の参加を促進すべきであろう。
2、スポーツ選手を始め若い世代に必要な目標と夢
経済効果より重要なことは、今だからこそ、スポーツ選手だけでなく若い世代が目標や
夢を与えることではないだろうか。
 経済後退により、今後就職難が続く可能性がある上、年金不信から将来不安が背景にある。だから最近若い世代も貯蓄志向、節約志向が強くなっている。このような状況が続くと、若い世代が萎縮し、それが社会の活力を益々削いで行く恐れがある。特に、経済後退により企業がスポーツ活動から撤退するケースも多くなっており、高まりつつあったスポーツ熱も冷めて行く恐れがある。
 2016年東京オリンピックへの支援は、スポーツ選手を中心として若い世代に目標や夢を与える。今それが必要なのである。
 またこの機会に、小・中学校を含め、学校や地方でのスポーツ活動や施設、各種スポーツクラブなどを抜本的に促進すると共に、社会人が廉価で活用出来るスポーツ施設を整備・拡充し、年齢を問わず国民が心身の健康向上を図る環境を改善して行くことが望まれる。介護サービスなどの改善も必要であろうが、それ以前に国民が健康で活力に満ちた生活が送れるような環境を作って行くことが望まれる。
 3、手強い候補地シカゴ
 候補地の中では、マドリッドについは、2012年がロンドン開催であるので2回続けてヨーロッパは難しそうだ。リオはリゾート観光地などとしては良いが、治安の問題と包括的なスポーツ・交通インフラなどの面で困難そうであり、シカゴが最大の競争相手になりそうだ。
 1964年オリンピックでも、候補地として東京はデトロイト他2市と競ったが、今回も米国と競うことになる。1959年に行われたIOC総会では、東京が1回目の投票で34票獲得し、開催地として決定された。その時デトロイトは10票で、ウィーン(9票)、ブラッセル(5票)と続いたが、1960年オリンピックの開催地投票ではローマに敗れていることを勘案すると、今回のシカゴはなかなか手強そうだ。それだけに日本国内の支持の輪を広げ、関係するスポーツ団体、企業、地方公共団体等と協力して世界に働き掛けて行かなくてはならない。それにより日本経済が元気を取り戻す一つの契機となるであろう。(09.03.)
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 2月12日、2016年の夏季オリンピック/パラリンピックの開催地を巡り、東京始めシカゴ、リオデジャネイロ、マドリッドの4都市が国際オリンピック委員会に立候補書類を提出した。開催地はこの中から10月2日に決定される。
 日本でオリンピックが開催されたのは1964年であるので、2016年に開催されることになれば52年振りであるのでよい頃合いなのかもしれない。しかし、また東京での開催になり新鮮味に欠ける上、箱物、道路・交通網など膨大な建設コストが掛かることなどから、日本では冷めた見方が強く、余り盛り上がっていない。今回の立候補申請に当たっても、東京都としては国会決議を添えようとしたが、決議は間に合わなかった。石原都知事(招致委員長)は、「何を勘違いしているのだ」などと語気を荒立て、批判しているが、それでは世論は引くばかりだろう。
 現在、日本始め世界は、世界の消費市場であり最大の経済大国である米国発の経済危機に見舞われており、現在国会では景気対策のため第2次補正と明年度予算が審議されている上、その過程で消費税増税、郵政民営化の見直し、遅々として進まない行政改革・簡素化などの緊急な問題で与野党とも忙殺されており、2016年オリンピックが国民的な関心事にはなり難い状況にあることも事実だ。特に昨年末以降、派遣等の非正規労働者の大量解雇問題や新卒内定者の取り消し、正規社員の解雇問題など、国民の職場や所得の確保が現実的な問題となっており、このような空気を察するべきであろう。
 しかし、経済危機、雇用危機にあるからこそ2016年オリンピック東京開催を応援しようではないか。
1、今必要な国民的プロジェクト
現在の経済危機は案外長引く恐れがある。この危機は米国発のものだけに、米国の景気
回復が鍵となるが、オバマ大統領も長引く可能性を示唆している。この度米国議会で承認された7,870億ドル(約70兆円)に及ぶ「史上最大規模の景気対策」も、オバマ大統領は「景気回復に向けての大きな一里塚ではあるが、道は長い」として国民の理解と協力を求めている。日本が米国よりも早く経済不振から抜け出して、世界経済の牽引力になりたいものではあるが、同時に長引くことも想定して置く必要がある。
 そのためには、目先の対症療法的な景気対策や雇用対策だけではなく、将来に繋がる国民的なプロジェクトが必要である。
 2016年オリンピックに向けての総合的な環境整備は、オリンピックという特定の目的であり、東京を中心とするプロジェクトではあるが、決定すれば8年間余に及ぶ象徴的なプロジェクトになろう。
 東京都の計画案では、半径8キロ以内に9割以上の施設が集中し、「コンパクトな大会」を目指し、地球温暖化防止に繋がる二酸化炭素削減を考慮した「環境重視」の大会としている。地球温暖化防止は、今後益々切実な問題として現実味を帯びるグローバルな課題となることが予想されるだけに、世界に訴えることが出来るコンセプトと言えよう。
 大会組織委員会によると、大会運営経費は仮設の施設建設を含め3,100億円としている。また国や地方の負担が求められるメインスタジアムなど恒久施設建設には2,420億円が計上され、総額5,500億円強となっている(欄外参照)。09年度からスタートすると16年度まで年平均約700億円のプロジェクトであるが、16年度に向かって傾斜的に増加する継続的な計画となり、広範な雇用効果を含む波及効果も期待される。
 本来であれば、景気対策にはより大規模な国民的プロジェクトが必要であるが、そのためには長期の計画立案・遂行に耐える政権が必要であり、その速やかな誕生が望まれるところである。
 もっとも内容や地方への配慮の面では工夫が必要であろう。まず関連の施設建設などについては太陽光など自然エネルギーの最大限の活用など、地球温暖化防止、クリーン・エアーの回復に明確に焦点を当てて世界に提案することが望まれる。同時に関連する道路や大衆交通手段、生活道路などについても、地下道路化などによる渋滞交差点や踏み切りの解消、低廉なコミュニテイ駐車・駐輪場の普及による路上駐車・駐輪の解消を進めるなど、都市の生活環境自体の改善に繋がる施策を着実に実施して行くことが重要であろう。経済後退により不動産価格も低迷しているので、手持ちの不動産との交換、処分等により、各種の改善を図る好機でもある。
 また、この大会への国民的な支持を得ていくためには、東京都が余り出過ぎることなく、諸スポ-ツ団体や企業、周辺県を始めとする地方公共団体の関与を最大限に引き出すことが不可欠であろう。宿泊施設の分散や強化合宿サイトの地方誘致、内外関係方面への情報提供など、地方の参加を促進すべきであろう。
2、スポーツ選手を始め若い世代に必要な目標と夢
経済効果より重要なことは、今だからこそ、スポーツ選手だけでなく若い世代が目標や
夢を与えることではないだろうか。
 経済後退により、今後就職難が続く可能性がある上、年金不信から将来不安が背景にある。だから最近若い世代も貯蓄志向、節約志向が強くなっている。このような状況が続くと、若い世代が萎縮し、それが社会の活力を益々削いで行く恐れがある。特に、経済後退により企業がスポーツ活動から撤退するケースも多くなっており、高まりつつあったスポーツ熱も冷めて行く恐れがある。
 2016年東京オリンピックへの支援は、スポーツ選手を中心として若い世代に目標や夢を与える。今それが必要なのである。
 またこの機会に、小・中学校を含め、学校や地方でのスポーツ活動や施設、各種スポーツクラブなどを抜本的に促進すると共に、社会人が廉価で活用出来るスポーツ施設を整備・拡充し、年齢を問わず国民が心身の健康向上を図る環境を改善して行くことが望まれる。介護サービスなどの改善も必要であろうが、それ以前に国民が健康で活力に満ちた生活が送れるような環境を作って行くことが望まれる。
 3、手強い候補地シカゴ
 候補地の中では、マドリッドについは、2012年がロンドン開催であるので2回続けてヨーロッパは難しそうだ。リオはリゾート観光地などとしては良いが、治安の問題と包括的なスポーツ・交通インフラなどの面で困難そうであり、シカゴが最大の競争相手になりそうだ。
 1964年オリンピックでも、候補地として東京はデトロイト他2市と競ったが、今回も米国と競うことになる。1959年に行われたIOC総会では、東京が1回目の投票で34票獲得し、開催地として決定された。その時デトロイトは10票で、ウィーン(9票)、ブラッセル(5票)と続いたが、1960年オリンピックの開催地投票ではローマに敗れていることを勘案すると、今回のシカゴはなかなか手強そうだ。それだけに日本国内の支持の輪を広げ、関係するスポーツ団体、企業、地方公共団体等と協力して世界に働き掛けて行かなくてはならない。それにより日本経済が元気を取り戻す一つの契機となるであろう。(09.03.)
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 2月12日、2016年の夏季オリンピック/パラリンピックの開催地を巡り、東京始めシカゴ、リオデジャネイロ、マドリッドの4都市が国際オリンピック委員会に立候補書類を提出した。開催地はこの中から10月2日に決定される。
 日本でオリンピックが開催されたのは1964年であるので、2016年に開催されることになれば52年振りであるのでよい頃合いなのかもしれない。しかし、また東京での開催になり新鮮味に欠ける上、箱物、道路・交通網など膨大な建設コストが掛かることなどから、日本では冷めた見方が強く、余り盛り上がっていない。今回の立候補申請に当たっても、東京都としては国会決議を添えようとしたが、決議は間に合わなかった。石原都知事(招致委員長)は、「何を勘違いしているのだ」などと語気を荒立て、批判しているが、それでは世論は引くばかりだろう。
 現在、日本始め世界は、世界の消費市場であり最大の経済大国である米国発の経済危機に見舞われており、現在国会では景気対策のため第2次補正と明年度予算が審議されている上、その過程で消費税増税、郵政民営化の見直し、遅々として進まない行政改革・簡素化などの緊急な問題で与野党とも忙殺されており、2016年オリンピックが国民的な関心事にはなり難い状況にあることも事実だ。特に昨年末以降、派遣等の非正規労働者の大量解雇問題や新卒内定者の取り消し、正規社員の解雇問題など、国民の職場や所得の確保が現実的な問題となっており、このような空気を察するべきであろう。
 しかし、経済危機、雇用危機にあるからこそ2016年オリンピック東京開催を応援しようではないか。
1、今必要な国民的プロジェクト
現在の経済危機は案外長引く恐れがある。この危機は米国発のものだけに、米国の景気
回復が鍵となるが、オバマ大統領も長引く可能性を示唆している。この度米国議会で承認された7,870億ドル(約70兆円)に及ぶ「史上最大規模の景気対策」も、オバマ大統領は「景気回復に向けての大きな一里塚ではあるが、道は長い」として国民の理解と協力を求めている。日本が米国よりも早く経済不振から抜け出して、世界経済の牽引力になりたいものではあるが、同時に長引くことも想定して置く必要がある。
 そのためには、目先の対症療法的な景気対策や雇用対策だけではなく、将来に繋がる国民的なプロジェクトが必要である。
 2016年オリンピックに向けての総合的な環境整備は、オリンピックという特定の目的であり、東京を中心とするプロジェクトではあるが、決定すれば8年間余に及ぶ象徴的なプロジェクトになろう。
 東京都の計画案では、半径8キロ以内に9割以上の施設が集中し、「コンパクトな大会」を目指し、地球温暖化防止に繋がる二酸化炭素削減を考慮した「環境重視」の大会としている。地球温暖化防止は、今後益々切実な問題として現実味を帯びるグローバルな課題となることが予想されるだけに、世界に訴えることが出来るコンセプトと言えよう。
 大会組織委員会によると、大会運営経費は仮設の施設建設を含め3,100億円としている。また国や地方の負担が求められるメインスタジアムなど恒久施設建設には2,420億円が計上され、総額5,500億円強となっている(欄外参照)。09年度からスタートすると16年度まで年平均約700億円のプロジェクトであるが、16年度に向かって傾斜的に増加する継続的な計画となり、広範な雇用効果を含む波及効果も期待される。
 本来であれば、景気対策にはより大規模な国民的プロジェクトが必要であるが、そのためには長期の計画立案・遂行に耐える政権が必要であり、その速やかな誕生が望まれるところである。
 もっとも内容や地方への配慮の面では工夫が必要であろう。まず関連の施設建設などについては太陽光など自然エネルギーの最大限の活用など、地球温暖化防止、クリーン・エアーの回復に明確に焦点を当てて世界に提案することが望まれる。同時に関連する道路や大衆交通手段、生活道路などについても、地下道路化などによる渋滞交差点や踏み切りの解消、低廉なコミュニテイ駐車・駐輪場の普及による路上駐車・駐輪の解消を進めるなど、都市の生活環境自体の改善に繋がる施策を着実に実施して行くことが重要であろう。経済後退により不動産価格も低迷しているので、手持ちの不動産との交換、処分等により、各種の改善を図る好機でもある。
 また、この大会への国民的な支持を得ていくためには、東京都が余り出過ぎることなく、諸スポ-ツ団体や企業、周辺県を始めとする地方公共団体の関与を最大限に引き出すことが不可欠であろう。宿泊施設の分散や強化合宿サイトの地方誘致、内外関係方面への情報提供など、地方の参加を促進すべきであろう。
2、スポーツ選手を始め若い世代に必要な目標と夢
経済効果より重要なことは、今だからこそ、スポーツ選手だけでなく若い世代が目標や
夢を与えることではないだろうか。
 経済後退により、今後就職難が続く可能性がある上、年金不信から将来不安が背景にある。だから最近若い世代も貯蓄志向、節約志向が強くなっている。このような状況が続くと、若い世代が萎縮し、それが社会の活力を益々削いで行く恐れがある。特に、経済後退により企業がスポーツ活動から撤退するケースも多くなっており、高まりつつあったスポーツ熱も冷めて行く恐れがある。
 2016年東京オリンピックへの支援は、スポーツ選手を中心として若い世代に目標や夢を与える。今それが必要なのである。
 またこの機会に、小・中学校を含め、学校や地方でのスポーツ活動や施設、各種スポーツクラブなどを抜本的に促進すると共に、社会人が廉価で活用出来るスポーツ施設を整備・拡充し、年齢を問わず国民が心身の健康向上を図る環境を改善して行くことが望まれる。介護サービスなどの改善も必要であろうが、それ以前に国民が健康で活力に満ちた生活が送れるような環境を作って行くことが望まれる。
 3、手強い候補地シカゴ
 候補地の中では、マドリッドについは、2012年がロンドン開催であるので2回続けてヨーロッパは難しそうだ。リオはリゾート観光地などとしては良いが、治安の問題と包括的なスポーツ・交通インフラなどの面で困難そうであり、シカゴが最大の競争相手になりそうだ。
 1964年オリンピックでも、候補地として東京はデトロイト他2市と競ったが、今回も米国と競うことになる。1959年に行われたIOC総会では、東京が1回目の投票で34票獲得し、開催地として決定された。その時デトロイトは10票で、ウィーン(9票)、ブラッセル(5票)と続いたが、1960年オリンピックの開催地投票ではローマに敗れていることを勘案すると、今回のシカゴはなかなか手強そうだ。それだけに日本国内の支持の輪を広げ、関係するスポーツ団体、企業、地方公共団体等と協力して世界に働き掛けて行かなくてはならない。それにより日本経済が元気を取り戻す一つの契機となるであろう。(09.03.)
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今だからこそ応援しよう、2016年東京オリンピック招致

2009-03-16 | Weblog
今だからこそ応援しよう、2016年東京オリンピック招致
 2月12日、2016年の夏季オリンピック/パラリンピックの開催地を巡り、東京始めシカゴ、リオデジャネイロ、マドリッドの4都市が国際オリンピック委員会に立候補書類を提出した。開催地はこの中から10月2日に決定される。
 日本でオリンピックが開催されたのは1964年であるので、2016年に開催されることになれば52年振りであるのでよい頃合いなのかもしれない。しかし、また東京での開催になり新鮮味に欠ける上、箱物、道路・交通網など膨大な建設コストが掛かることなどから、日本では冷めた見方が強く、余り盛り上がっていない。今回の立候補申請に当たっても、東京都としては国会決議を添えようとしたが、決議は間に合わなかった。石原都知事(招致委員長)は、「何を勘違いしているのだ」などと語気を荒立て、批判しているが、それでは世論は引くばかりだろう。
 現在、日本始め世界は、世界の消費市場であり最大の経済大国である米国発の経済危機に見舞われており、現在国会では景気対策のため第2次補正と明年度予算が審議されている上、その過程で消費税増税、郵政民営化の見直し、遅々として進まない行政改革・簡素化などの緊急な問題で与野党とも忙殺されており、2016年オリンピックが国民的な関心事にはなり難い状況にあることも事実だ。特に昨年末以降、派遣等の非正規労働者の大量解雇問題や新卒内定者の取り消し、正規社員の解雇問題など、国民の職場や所得の確保が現実的な問題となっており、このような空気を察するべきであろう。
 しかし、経済危機、雇用危機にあるからこそ2016年オリンピック東京開催を応援しようではないか。
1、今必要な国民的プロジェクト
現在の経済危機は案外長引く恐れがある。この危機は米国発のものだけに、米国の景気
回復が鍵となるが、オバマ大統領も長引く可能性を示唆している。この度米国議会で承認された7,870億ドル(約70兆円)に及ぶ「史上最大規模の景気対策」も、オバマ大統領は「景気回復に向けての大きな一里塚ではあるが、道は長い」として国民の理解と協力を求めている。日本が米国よりも早く経済不振から抜け出して、世界経済の牽引力になりたいものではあるが、同時に長引くことも想定して置く必要がある。
 そのためには、目先の対症療法的な景気対策や雇用対策だけではなく、将来に繋がる国民的なプロジェクトが必要である。
 2016年オリンピックに向けての総合的な環境整備は、オリンピックという特定の目的であり、東京を中心とするプロジェクトではあるが、決定すれば8年間余に及ぶ象徴的なプロジェクトになろう。
 東京都の計画案では、半径8キロ以内に9割以上の施設が集中し、「コンパクトな大会」を目指し、地球温暖化防止に繋がる二酸化炭素削減を考慮した「環境重視」の大会としている。地球温暖化防止は、今後益々切実な問題として現実味を帯びるグローバルな課題となることが予想されるだけに、世界に訴えることが出来るコンセプトと言えよう。
 大会組織委員会によると、大会運営経費は仮設の施設建設を含め3,100億円としている。また国や地方の負担が求められるメインスタジアムなど恒久施設建設には2,420億円が計上され、総額5,500億円強となっている(欄外参照)。09年度からスタートすると16年度まで年平均約700億円のプロジェクトであるが、16年度に向かって傾斜的に増加する継続的な計画となり、広範な雇用効果を含む波及効果も期待される。
 本来であれば、景気対策にはより大規模な国民的プロジェクトが必要であるが、そのためには長期の計画立案・遂行に耐える政権が必要であり、その速やかな誕生が望まれるところである。
 もっとも内容や地方への配慮の面では工夫が必要であろう。まず関連の施設建設などについては太陽光など自然エネルギーの最大限の活用など、地球温暖化防止、クリーン・エアーの回復に明確に焦点を当てて世界に提案することが望まれる。同時に関連する道路や大衆交通手段、生活道路などについても、地下道路化などによる渋滞交差点や踏み切りの解消、低廉なコミュニテイ駐車・駐輪場の普及による路上駐車・駐輪の解消を進めるなど、都市の生活環境自体の改善に繋がる施策を着実に実施して行くことが重要であろう。経済後退により不動産価格も低迷しているので、手持ちの不動産との交換、処分等により、各種の改善を図る好機でもある。
 また、この大会への国民的な支持を得ていくためには、東京都が余り出過ぎることなく、諸スポ-ツ団体や企業、周辺県を始めとする地方公共団体の関与を最大限に引き出すことが不可欠であろう。宿泊施設の分散や強化合宿サイトの地方誘致、内外関係方面への情報提供など、地方の参加を促進すべきであろう。
2、スポーツ選手を始め若い世代に必要な目標と夢
経済効果より重要なことは、今だからこそ、スポーツ選手だけでなく若い世代が目標や
夢を与えることではないだろうか。
 経済後退により、今後就職難が続く可能性がある上、年金不信から将来不安が背景にある。だから最近若い世代も貯蓄志向、節約志向が強くなっている。このような状況が続くと、若い世代が萎縮し、それが社会の活力を益々削いで行く恐れがある。特に、経済後退により企業がスポーツ活動から撤退するケースも多くなっており、高まりつつあったスポーツ熱も冷めて行く恐れがある。
 2016年東京オリンピックへの支援は、スポーツ選手を中心として若い世代に目標や夢を与える。今それが必要なのである。
 またこの機会に、小・中学校を含め、学校や地方でのスポーツ活動や施設、各種スポーツクラブなどを抜本的に促進すると共に、社会人が廉価で活用出来るスポーツ施設を整備・拡充し、年齢を問わず国民が心身の健康向上を図る環境を改善して行くことが望まれる。介護サービスなどの改善も必要であろうが、それ以前に国民が健康で活力に満ちた生活が送れるような環境を作って行くことが望まれる。
 3、手強い候補地シカゴ
 候補地の中では、マドリッドについは、2012年がロンドン開催であるので2回続けてヨーロッパは難しそうだ。リオはリゾート観光地などとしては良いが、治安の問題と包括的なスポーツ・交通インフラなどの面で困難そうであり、シカゴが最大の競争相手になりそうだ。
 1964年オリンピックでも、候補地として東京はデトロイト他2市と競ったが、今回も米国と競うことになる。1959年に行われたIOC総会では、東京が1回目の投票で34票獲得し、開催地として決定された。その時デトロイトは10票で、ウィーン(9票)、ブラッセル(5票)と続いたが、1960年オリンピックの開催地投票ではローマに敗れていることを勘案すると、今回のシカゴはなかなか手強そうだ。それだけに日本国内の支持の輪を広げ、関係するスポーツ団体、企業、地方公共団体等と協力して世界に働き掛けて行かなくてはならない。それにより日本経済が元気を取り戻す一つの契機となるであろう。(09.03.)
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2009-03-16 | Weblog
今だからこそ応援しよう、2016年東京オリンピック招致
 2月12日、2016年の夏季オリンピック/パラリンピックの開催地を巡り、東京始めシカゴ、リオデジャネイロ、マドリッドの4都市が国際オリンピック委員会に立候補書類を提出した。開催地はこの中から10月2日に決定される。
 日本でオリンピックが開催されたのは1964年であるので、2016年に開催されることになれば52年振りであるのでよい頃合いなのかもしれない。しかし、また東京での開催になり新鮮味に欠ける上、箱物、道路・交通網など膨大な建設コストが掛かることなどから、日本では冷めた見方が強く、余り盛り上がっていない。今回の立候補申請に当たっても、東京都としては国会決議を添えようとしたが、決議は間に合わなかった。石原都知事(招致委員長)は、「何を勘違いしているのだ」などと語気を荒立て、批判しているが、それでは世論は引くばかりだろう。
 現在、日本始め世界は、世界の消費市場であり最大の経済大国である米国発の経済危機に見舞われており、現在国会では景気対策のため第2次補正と明年度予算が審議されている上、その過程で消費税増税、郵政民営化の見直し、遅々として進まない行政改革・簡素化などの緊急な問題で与野党とも忙殺されており、2016年オリンピックが国民的な関心事にはなり難い状況にあることも事実だ。特に昨年末以降、派遣等の非正規労働者の大量解雇問題や新卒内定者の取り消し、正規社員の解雇問題など、国民の職場や所得の確保が現実的な問題となっており、このような空気を察するべきであろう。
 しかし、経済危機、雇用危機にあるからこそ2016年オリンピック東京開催を応援しようではないか。
1、今必要な国民的プロジェクト
現在の経済危機は案外長引く恐れがある。この危機は米国発のものだけに、米国の景気
回復が鍵となるが、オバマ大統領も長引く可能性を示唆している。この度米国議会で承認された7,870億ドル(約70兆円)に及ぶ「史上最大規模の景気対策」も、オバマ大統領は「景気回復に向けての大きな一里塚ではあるが、道は長い」として国民の理解と協力を求めている。日本が米国よりも早く経済不振から抜け出して、世界経済の牽引力になりたいものではあるが、同時に長引くことも想定して置く必要がある。
 そのためには、目先の対症療法的な景気対策や雇用対策だけではなく、将来に繋がる国民的なプロジェクトが必要である。
 2016年オリンピックに向けての総合的な環境整備は、オリンピックという特定の目的であり、東京を中心とするプロジェクトではあるが、決定すれば8年間余に及ぶ象徴的なプロジェクトになろう。
 東京都の計画案では、半径8キロ以内に9割以上の施設が集中し、「コンパクトな大会」を目指し、地球温暖化防止に繋がる二酸化炭素削減を考慮した「環境重視」の大会としている。地球温暖化防止は、今後益々切実な問題として現実味を帯びるグローバルな課題となることが予想されるだけに、世界に訴えることが出来るコンセプトと言えよう。
 大会組織委員会によると、大会運営経費は仮設の施設建設を含め3,100億円としている。また国や地方の負担が求められるメインスタジアムなど恒久施設建設には2,420億円が計上され、総額5,500億円強となっている(欄外参照)。09年度からスタートすると16年度まで年平均約700億円のプロジェクトであるが、16年度に向かって傾斜的に増加する継続的な計画となり、広範な雇用効果を含む波及効果も期待される。
 本来であれば、景気対策にはより大規模な国民的プロジェクトが必要であるが、そのためには長期の計画立案・遂行に耐える政権が必要であり、その速やかな誕生が望まれるところである。
 もっとも内容や地方への配慮の面では工夫が必要であろう。まず関連の施設建設などについては太陽光など自然エネルギーの最大限の活用など、地球温暖化防止、クリーン・エアーの回復に明確に焦点を当てて世界に提案することが望まれる。同時に関連する道路や大衆交通手段、生活道路などについても、地下道路化などによる渋滞交差点や踏み切りの解消、低廉なコミュニテイ駐車・駐輪場の普及による路上駐車・駐輪の解消を進めるなど、都市の生活環境自体の改善に繋がる施策を着実に実施して行くことが重要であろう。経済後退により不動産価格も低迷しているので、手持ちの不動産との交換、処分等により、各種の改善を図る好機でもある。
 また、この大会への国民的な支持を得ていくためには、東京都が余り出過ぎることなく、諸スポ-ツ団体や企業、周辺県を始めとする地方公共団体の関与を最大限に引き出すことが不可欠であろう。宿泊施設の分散や強化合宿サイトの地方誘致、内外関係方面への情報提供など、地方の参加を促進すべきであろう。
2、スポーツ選手を始め若い世代に必要な目標と夢
経済効果より重要なことは、今だからこそ、スポーツ選手だけでなく若い世代が目標や
夢を与えることではないだろうか。
 経済後退により、今後就職難が続く可能性がある上、年金不信から将来不安が背景にある。だから最近若い世代も貯蓄志向、節約志向が強くなっている。このような状況が続くと、若い世代が萎縮し、それが社会の活力を益々削いで行く恐れがある。特に、経済後退により企業がスポーツ活動から撤退するケースも多くなっており、高まりつつあったスポーツ熱も冷めて行く恐れがある。
 2016年東京オリンピックへの支援は、スポーツ選手を中心として若い世代に目標や夢を与える。今それが必要なのである。
 またこの機会に、小・中学校を含め、学校や地方でのスポーツ活動や施設、各種スポーツクラブなどを抜本的に促進すると共に、社会人が廉価で活用出来るスポーツ施設を整備・拡充し、年齢を問わず国民が心身の健康向上を図る環境を改善して行くことが望まれる。介護サービスなどの改善も必要であろうが、それ以前に国民が健康で活力に満ちた生活が送れるような環境を作って行くことが望まれる。
 3、手強い候補地シカゴ
 候補地の中では、マドリッドについは、2012年がロンドン開催であるので2回続けてヨーロッパは難しそうだ。リオはリゾート観光地などとしては良いが、治安の問題と包括的なスポーツ・交通インフラなどの面で困難そうであり、シカゴが最大の競争相手になりそうだ。
 1964年オリンピックでも、候補地として東京はデトロイト他2市と競ったが、今回も米国と競うことになる。1959年に行われたIOC総会では、東京が1回目の投票で34票獲得し、開催地として決定された。その時デトロイトは10票で、ウィーン(9票)、ブラッセル(5票)と続いたが、1960年オリンピックの開催地投票ではローマに敗れていることを勘案すると、今回のシカゴはなかなか手強そうだ。それだけに日本国内の支持の輪を広げ、関係するスポーツ団体、企業、地方公共団体等と協力して世界に働き掛けて行かなくてはならない。それにより日本経済が元気を取り戻す一つの契機となるであろう。(09.03.)
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 2月12日、2016年の夏季オリンピック/パラリンピックの開催地を巡り、東京始めシカゴ、リオデジャネイロ、マドリッドの4都市が国際オリンピック委員会に立候補書類を提出した。開催地はこの中から10月2日に決定される。
 日本でオリンピックが開催されたのは1964年であるので、2016年に開催されることになれば52年振りであるのでよい頃合いなのかもしれない。しかし、また東京での開催になり新鮮味に欠ける上、箱物、道路・交通網など膨大な建設コストが掛かることなどから、日本では冷めた見方が強く、余り盛り上がっていない。今回の立候補申請に当たっても、東京都としては国会決議を添えようとしたが、決議は間に合わなかった。石原都知事(招致委員長)は、「何を勘違いしているのだ」などと語気を荒立て、批判しているが、それでは世論は引くばかりだろう。
 現在、日本始め世界は、世界の消費市場であり最大の経済大国である米国発の経済危機に見舞われており、現在国会では景気対策のため第2次補正と明年度予算が審議されている上、その過程で消費税増税、郵政民営化の見直し、遅々として進まない行政改革・簡素化などの緊急な問題で与野党とも忙殺されており、2016年オリンピックが国民的な関心事にはなり難い状況にあることも事実だ。特に昨年末以降、派遣等の非正規労働者の大量解雇問題や新卒内定者の取り消し、正規社員の解雇問題など、国民の職場や所得の確保が現実的な問題となっており、このような空気を察するべきであろう。
 しかし、経済危機、雇用危機にあるからこそ2016年オリンピック東京開催を応援しようではないか。
1、今必要な国民的プロジェクト
現在の経済危機は案外長引く恐れがある。この危機は米国発のものだけに、米国の景気
回復が鍵となるが、オバマ大統領も長引く可能性を示唆している。この度米国議会で承認された7,870億ドル(約70兆円)に及ぶ「史上最大規模の景気対策」も、オバマ大統領は「景気回復に向けての大きな一里塚ではあるが、道は長い」として国民の理解と協力を求めている。日本が米国よりも早く経済不振から抜け出して、世界経済の牽引力になりたいものではあるが、同時に長引くことも想定して置く必要がある。
 そのためには、目先の対症療法的な景気対策や雇用対策だけではなく、将来に繋がる国民的なプロジェクトが必要である。
 2016年オリンピックに向けての総合的な環境整備は、オリンピックという特定の目的であり、東京を中心とするプロジェクトではあるが、決定すれば8年間余に及ぶ象徴的なプロジェクトになろう。
 東京都の計画案では、半径8キロ以内に9割以上の施設が集中し、「コンパクトな大会」を目指し、地球温暖化防止に繋がる二酸化炭素削減を考慮した「環境重視」の大会としている。地球温暖化防止は、今後益々切実な問題として現実味を帯びるグローバルな課題となることが予想されるだけに、世界に訴えることが出来るコンセプトと言えよう。
 大会組織委員会によると、大会運営経費は仮設の施設建設を含め3,100億円としている。また国や地方の負担が求められるメインスタジアムなど恒久施設建設には2,420億円が計上され、総額5,500億円強となっている(欄外参照)。09年度からスタートすると16年度まで年平均約700億円のプロジェクトであるが、16年度に向かって傾斜的に増加する継続的な計画となり、広範な雇用効果を含む波及効果も期待される。
 本来であれば、景気対策にはより大規模な国民的プロジェクトが必要であるが、そのためには長期の計画立案・遂行に耐える政権が必要であり、その速やかな誕生が望まれるところである。
 もっとも内容や地方への配慮の面では工夫が必要であろう。まず関連の施設建設などについては太陽光など自然エネルギーの最大限の活用など、地球温暖化防止、クリーン・エアーの回復に明確に焦点を当てて世界に提案することが望まれる。同時に関連する道路や大衆交通手段、生活道路などについても、地下道路化などによる渋滞交差点や踏み切りの解消、低廉なコミュニテイ駐車・駐輪場の普及による路上駐車・駐輪の解消を進めるなど、都市の生活環境自体の改善に繋がる施策を着実に実施して行くことが重要であろう。経済後退により不動産価格も低迷しているので、手持ちの不動産との交換、処分等により、各種の改善を図る好機でもある。
 また、この大会への国民的な支持を得ていくためには、東京都が余り出過ぎることなく、諸スポ-ツ団体や企業、周辺県を始めとする地方公共団体の関与を最大限に引き出すことが不可欠であろう。宿泊施設の分散や強化合宿サイトの地方誘致、内外関係方面への情報提供など、地方の参加を促進すべきであろう。
2、スポーツ選手を始め若い世代に必要な目標と夢
経済効果より重要なことは、今だからこそ、スポーツ選手だけでなく若い世代が目標や
夢を与えることではないだろうか。
 経済後退により、今後就職難が続く可能性がある上、年金不信から将来不安が背景にある。だから最近若い世代も貯蓄志向、節約志向が強くなっている。このような状況が続くと、若い世代が萎縮し、それが社会の活力を益々削いで行く恐れがある。特に、経済後退により企業がスポーツ活動から撤退するケースも多くなっており、高まりつつあったスポーツ熱も冷めて行く恐れがある。
 2016年東京オリンピックへの支援は、スポーツ選手を中心として若い世代に目標や夢を与える。今それが必要なのである。
 またこの機会に、小・中学校を含め、学校や地方でのスポーツ活動や施設、各種スポーツクラブなどを抜本的に促進すると共に、社会人が廉価で活用出来るスポーツ施設を整備・拡充し、年齢を問わず国民が心身の健康向上を図る環境を改善して行くことが望まれる。介護サービスなどの改善も必要であろうが、それ以前に国民が健康で活力に満ちた生活が送れるような環境を作って行くことが望まれる。
 3、手強い候補地シカゴ
 候補地の中では、マドリッドについは、2012年がロンドン開催であるので2回続けてヨーロッパは難しそうだ。リオはリゾート観光地などとしては良いが、治安の問題と包括的なスポーツ・交通インフラなどの面で困難そうであり、シカゴが最大の競争相手になりそうだ。
 1964年オリンピックでも、候補地として東京はデトロイト他2市と競ったが、今回も米国と競うことになる。1959年に行われたIOC総会では、東京が1回目の投票で34票獲得し、開催地として決定された。その時デトロイトは10票で、ウィーン(9票)、ブラッセル(5票)と続いたが、1960年オリンピックの開催地投票ではローマに敗れていることを勘案すると、今回のシカゴはなかなか手強そうだ。それだけに日本国内の支持の輪を広げ、関係するスポーツ団体、企業、地方公共団体等と協力して世界に働き掛けて行かなくてはならない。それにより日本経済が元気を取り戻す一つの契機となるであろう。(09.03.)
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 2月12日、2016年の夏季オリンピック/パラリンピックの開催地を巡り、東京始めシカゴ、リオデジャネイロ、マドリッドの4都市が国際オリンピック委員会に立候補書類を提出した。開催地はこの中から10月2日に決定される。
 日本でオリンピックが開催されたのは1964年であるので、2016年に開催されることになれば52年振りであるのでよい頃合いなのかもしれない。しかし、また東京での開催になり新鮮味に欠ける上、箱物、道路・交通網など膨大な建設コストが掛かることなどから、日本では冷めた見方が強く、余り盛り上がっていない。今回の立候補申請に当たっても、東京都としては国会決議を添えようとしたが、決議は間に合わなかった。石原都知事(招致委員長)は、「何を勘違いしているのだ」などと語気を荒立て、批判しているが、それでは世論は引くばかりだろう。
 現在、日本始め世界は、世界の消費市場であり最大の経済大国である米国発の経済危機に見舞われており、現在国会では景気対策のため第2次補正と明年度予算が審議されている上、その過程で消費税増税、郵政民営化の見直し、遅々として進まない行政改革・簡素化などの緊急な問題で与野党とも忙殺されており、2016年オリンピックが国民的な関心事にはなり難い状況にあることも事実だ。特に昨年末以降、派遣等の非正規労働者の大量解雇問題や新卒内定者の取り消し、正規社員の解雇問題など、国民の職場や所得の確保が現実的な問題となっており、このような空気を察するべきであろう。
 しかし、経済危機、雇用危機にあるからこそ2016年オリンピック東京開催を応援しようではないか。
1、今必要な国民的プロジェクト
現在の経済危機は案外長引く恐れがある。この危機は米国発のものだけに、米国の景気
回復が鍵となるが、オバマ大統領も長引く可能性を示唆している。この度米国議会で承認された7,870億ドル(約70兆円)に及ぶ「史上最大規模の景気対策」も、オバマ大統領は「景気回復に向けての大きな一里塚ではあるが、道は長い」として国民の理解と協力を求めている。日本が米国よりも早く経済不振から抜け出して、世界経済の牽引力になりたいものではあるが、同時に長引くことも想定して置く必要がある。
 そのためには、目先の対症療法的な景気対策や雇用対策だけではなく、将来に繋がる国民的なプロジェクトが必要である。
 2016年オリンピックに向けての総合的な環境整備は、オリンピックという特定の目的であり、東京を中心とするプロジェクトではあるが、決定すれば8年間余に及ぶ象徴的なプロジェクトになろう。
 東京都の計画案では、半径8キロ以内に9割以上の施設が集中し、「コンパクトな大会」を目指し、地球温暖化防止に繋がる二酸化炭素削減を考慮した「環境重視」の大会としている。地球温暖化防止は、今後益々切実な問題として現実味を帯びるグローバルな課題となることが予想されるだけに、世界に訴えることが出来るコンセプトと言えよう。
 大会組織委員会によると、大会運営経費は仮設の施設建設を含め3,100億円としている。また国や地方の負担が求められるメインスタジアムなど恒久施設建設には2,420億円が計上され、総額5,500億円強となっている(欄外参照)。09年度からスタートすると16年度まで年平均約700億円のプロジェクトであるが、16年度に向かって傾斜的に増加する継続的な計画となり、広範な雇用効果を含む波及効果も期待される。
 本来であれば、景気対策にはより大規模な国民的プロジェクトが必要であるが、そのためには長期の計画立案・遂行に耐える政権が必要であり、その速やかな誕生が望まれるところである。
 もっとも内容や地方への配慮の面では工夫が必要であろう。まず関連の施設建設などについては太陽光など自然エネルギーの最大限の活用など、地球温暖化防止、クリーン・エアーの回復に明確に焦点を当てて世界に提案することが望まれる。同時に関連する道路や大衆交通手段、生活道路などについても、地下道路化などによる渋滞交差点や踏み切りの解消、低廉なコミュニテイ駐車・駐輪場の普及による路上駐車・駐輪の解消を進めるなど、都市の生活環境自体の改善に繋がる施策を着実に実施して行くことが重要であろう。経済後退により不動産価格も低迷しているので、手持ちの不動産との交換、処分等により、各種の改善を図る好機でもある。
 また、この大会への国民的な支持を得ていくためには、東京都が余り出過ぎることなく、諸スポ-ツ団体や企業、周辺県を始めとする地方公共団体の関与を最大限に引き出すことが不可欠であろう。宿泊施設の分散や強化合宿サイトの地方誘致、内外関係方面への情報提供など、地方の参加を促進すべきであろう。
2、スポーツ選手を始め若い世代に必要な目標と夢
経済効果より重要なことは、今だからこそ、スポーツ選手だけでなく若い世代が目標や
夢を与えることではないだろうか。
 経済後退により、今後就職難が続く可能性がある上、年金不信から将来不安が背景にある。だから最近若い世代も貯蓄志向、節約志向が強くなっている。このような状況が続くと、若い世代が萎縮し、それが社会の活力を益々削いで行く恐れがある。特に、経済後退により企業がスポーツ活動から撤退するケースも多くなっており、高まりつつあったスポーツ熱も冷めて行く恐れがある。
 2016年東京オリンピックへの支援は、スポーツ選手を中心として若い世代に目標や夢を与える。今それが必要なのである。
 またこの機会に、小・中学校を含め、学校や地方でのスポーツ活動や施設、各種スポーツクラブなどを抜本的に促進すると共に、社会人が廉価で活用出来るスポーツ施設を整備・拡充し、年齢を問わず国民が心身の健康向上を図る環境を改善して行くことが望まれる。介護サービスなどの改善も必要であろうが、それ以前に国民が健康で活力に満ちた生活が送れるような環境を作って行くことが望まれる。
 3、手強い候補地シカゴ
 候補地の中では、マドリッドについは、2012年がロンドン開催であるので2回続けてヨーロッパは難しそうだ。リオはリゾート観光地などとしては良いが、治安の問題と包括的なスポーツ・交通インフラなどの面で困難そうであり、シカゴが最大の競争相手になりそうだ。
 1964年オリンピックでも、候補地として東京はデトロイト他2市と競ったが、今回も米国と競うことになる。1959年に行われたIOC総会では、東京が1回目の投票で34票獲得し、開催地として決定された。その時デトロイトは10票で、ウィーン(9票)、ブラッセル(5票)と続いたが、1960年オリンピックの開催地投票ではローマに敗れていることを勘案すると、今回のシカゴはなかなか手強そうだ。それだけに日本国内の支持の輪を広げ、関係するスポーツ団体、企業、地方公共団体等と協力して世界に働き掛けて行かなくてはならない。それにより日本経済が元気を取り戻す一つの契機となるであろう。(09.03.)
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今だからこそ応援しよう、2016年東京オリンピック招致

2009-03-15 | Weblog
今だからこそ応援しよう、2016年東京オリンピック招致
 2月12日、2016年の夏季オリンピック/パラリンピックの開催地を巡り、東京始めシカゴ、リオデジャネイロ、マドリッドの4都市が国際オリンピック委員会に立候補書類を提出した。開催地はこの中から10月2日に決定される。
 日本でオリンピックが開催されたのは1964年であるので、2016年に開催されることになれば52年振りであるのでよい頃合いなのかもしれない。しかし、また東京での開催になり新鮮味に欠ける上、箱物、道路・交通網など膨大な建設コストが掛かることなどから、日本では冷めた見方が強く、余り盛り上がっていない。今回の立候補申請に当たっても、東京都としては国会決議を添えようとしたが、決議は間に合わなかった。石原都知事(招致委員長)は、「何を勘違いしているのだ」などと語気を荒立て、批判しているが、それでは世論は引くばかりだろう。
 現在、日本始め世界は、世界の消費市場であり最大の経済大国である米国発の経済危機に見舞われており、現在国会では景気対策のため第2次補正と明年度予算が審議されている上、その過程で消費税増税、郵政民営化の見直し、遅々として進まない行政改革・簡素化などの緊急な問題で与野党とも忙殺されており、2016年オリンピックが国民的な関心事にはなり難い状況にあることも事実だ。特に昨年末以降、派遣等の非正規労働者の大量解雇問題や新卒内定者の取り消し、正規社員の解雇問題など、国民の職場や所得の確保が現実的な問題となっており、このような空気を察するべきであろう。
 しかし、経済危機、雇用危機にあるからこそ2016年オリンピック東京開催を応援しようではないか。
1、今必要な国民的プロジェクト
現在の経済危機は案外長引く恐れがある。この危機は米国発のものだけに、米国の景気
回復が鍵となるが、オバマ大統領も長引く可能性を示唆している。この度米国議会で承認された7,870億ドル(約70兆円)に及ぶ「史上最大規模の景気対策」も、オバマ大統領は「景気回復に向けての大きな一里塚ではあるが、道は長い」として国民の理解と協力を求めている。日本が米国よりも早く経済不振から抜け出して、世界経済の牽引力になりたいものではあるが、同時に長引くことも想定して置く必要がある。
 そのためには、目先の対症療法的な景気対策や雇用対策だけではなく、将来に繋がる国民的なプロジェクトが必要である。
 2016年オリンピックに向けての総合的な環境整備は、オリンピックという特定の目的であり、東京を中心とするプロジェクトではあるが、決定すれば8年間余に及ぶ象徴的なプロジェクトになろう。
 東京都の計画案では、半径8キロ以内に9割以上の施設が集中し、「コンパクトな大会」を目指し、地球温暖化防止に繋がる二酸化炭素削減を考慮した「環境重視」の大会としている。地球温暖化防止は、今後益々切実な問題として現実味を帯びるグローバルな課題となることが予想されるだけに、世界に訴えることが出来るコンセプトと言えよう。
 大会組織委員会によると、大会運営経費は仮設の施設建設を含め3,100億円としている。また国や地方の負担が求められるメインスタジアムなど恒久施設建設には2,420億円が計上され、総額5,500億円強となっている(欄外参照)。09年度からスタートすると16年度まで年平均約700億円のプロジェクトであるが、16年度に向かって傾斜的に増加する継続的な計画となり、広範な雇用効果を含む波及効果も期待される。
 本来であれば、景気対策にはより大規模な国民的プロジェクトが必要であるが、そのためには長期の計画立案・遂行に耐える政権が必要であり、その速やかな誕生が望まれるところである。
 もっとも内容や地方への配慮の面では工夫が必要であろう。まず関連の施設建設などについては太陽光など自然エネルギーの最大限の活用など、地球温暖化防止、クリーン・エアーの回復に明確に焦点を当てて世界に提案することが望まれる。同時に関連する道路や大衆交通手段、生活道路などについても、地下道路化などによる渋滞交差点や踏み切りの解消、低廉なコミュニテイ駐車・駐輪場の普及による路上駐車・駐輪の解消を進めるなど、都市の生活環境自体の改善に繋がる施策を着実に実施して行くことが重要であろう。経済後退により不動産価格も低迷しているので、手持ちの不動産との交換、処分等により、各種の改善を図る好機でもある。
 また、この大会への国民的な支持を得ていくためには、東京都が余り出過ぎることなく、諸スポ-ツ団体や企業、周辺県を始めとする地方公共団体の関与を最大限に引き出すことが不可欠であろう。宿泊施設の分散や強化合宿サイトの地方誘致、内外関係方面への情報提供など、地方の参加を促進すべきであろう。
2、スポーツ選手を始め若い世代に必要な目標と夢
経済効果より重要なことは、今だからこそ、スポーツ選手だけでなく若い世代が目標や
夢を与えることではないだろうか。
 経済後退により、今後就職難が続く可能性がある上、年金不信から将来不安が背景にある。だから最近若い世代も貯蓄志向、節約志向が強くなっている。このような状況が続くと、若い世代が萎縮し、それが社会の活力を益々削いで行く恐れがある。特に、経済後退により企業がスポーツ活動から撤退するケースも多くなっており、高まりつつあったスポーツ熱も冷めて行く恐れがある。
 2016年東京オリンピックへの支援は、スポーツ選手を中心として若い世代に目標や夢を与える。今それが必要なのである。
 またこの機会に、小・中学校を含め、学校や地方でのスポーツ活動や施設、各種スポーツクラブなどを抜本的に促進すると共に、社会人が廉価で活用出来るスポーツ施設を整備・拡充し、年齢を問わず国民が心身の健康向上を図る環境を改善して行くことが望まれる。介護サービスなどの改善も必要であろうが、それ以前に国民が健康で活力に満ちた生活が送れるような環境を作って行くことが望まれる。
 3、手強い候補地シカゴ
 候補地の中では、マドリッドについは、2012年がロンドン開催であるので2回続けてヨーロッパは難しそうだ。リオはリゾート観光地などとしては良いが、治安の問題と包括的なスポーツ・交通インフラなどの面で困難そうであり、シカゴが最大の競争相手になりそうだ。
 1964年オリンピックでも、候補地として東京はデトロイト他2市と競ったが、今回も米国と競うことになる。1959年に行われたIOC総会では、東京が1回目の投票で34票獲得し、開催地として決定された。その時デトロイトは10票で、ウィーン(9票)、ブラッセル(5票)と続いたが、1960年オリンピックの開催地投票ではローマに敗れていることを勘案すると、今回のシカゴはなかなか手強そうだ。それだけに日本国内の支持の輪を広げ、関係するスポーツ団体、企業、地方公共団体等と協力して世界に働き掛けて行かなくてはならない。それにより日本経済が元気を取り戻す一つの契機となるであろう。(09.03.)
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 2月12日、2016年の夏季オリンピック/パラリンピックの開催地を巡り、東京始めシカゴ、リオデジャネイロ、マドリッドの4都市が国際オリンピック委員会に立候補書類を提出した。開催地はこの中から10月2日に決定される。
 日本でオリンピックが開催されたのは1964年であるので、2016年に開催されることになれば52年振りであるのでよい頃合いなのかもしれない。しかし、また東京での開催になり新鮮味に欠ける上、箱物、道路・交通網など膨大な建設コストが掛かることなどから、日本では冷めた見方が強く、余り盛り上がっていない。今回の立候補申請に当たっても、東京都としては国会決議を添えようとしたが、決議は間に合わなかった。石原都知事(招致委員長)は、「何を勘違いしているのだ」などと語気を荒立て、批判しているが、それでは世論は引くばかりだろう。
 現在、日本始め世界は、世界の消費市場であり最大の経済大国である米国発の経済危機に見舞われており、現在国会では景気対策のため第2次補正と明年度予算が審議されている上、その過程で消費税増税、郵政民営化の見直し、遅々として進まない行政改革・簡素化などの緊急な問題で与野党とも忙殺されており、2016年オリンピックが国民的な関心事にはなり難い状況にあることも事実だ。特に昨年末以降、派遣等の非正規労働者の大量解雇問題や新卒内定者の取り消し、正規社員の解雇問題など、国民の職場や所得の確保が現実的な問題となっており、このような空気を察するべきであろう。
 しかし、経済危機、雇用危機にあるからこそ2016年オリンピック東京開催を応援しようではないか。
1、今必要な国民的プロジェクト
現在の経済危機は案外長引く恐れがある。この危機は米国発のものだけに、米国の景気
回復が鍵となるが、オバマ大統領も長引く可能性を示唆している。この度米国議会で承認された7,870億ドル(約70兆円)に及ぶ「史上最大規模の景気対策」も、オバマ大統領は「景気回復に向けての大きな一里塚ではあるが、道は長い」として国民の理解と協力を求めている。日本が米国よりも早く経済不振から抜け出して、世界経済の牽引力になりたいものではあるが、同時に長引くことも想定して置く必要がある。
 そのためには、目先の対症療法的な景気対策や雇用対策だけではなく、将来に繋がる国民的なプロジェクトが必要である。
 2016年オリンピックに向けての総合的な環境整備は、オリンピックという特定の目的であり、東京を中心とするプロジェクトではあるが、決定すれば8年間余に及ぶ象徴的なプロジェクトになろう。
 東京都の計画案では、半径8キロ以内に9割以上の施設が集中し、「コンパクトな大会」を目指し、地球温暖化防止に繋がる二酸化炭素削減を考慮した「環境重視」の大会としている。地球温暖化防止は、今後益々切実な問題として現実味を帯びるグローバルな課題となることが予想されるだけに、世界に訴えることが出来るコンセプトと言えよう。
 大会組織委員会によると、大会運営経費は仮設の施設建設を含め3,100億円としている。また国や地方の負担が求められるメインスタジアムなど恒久施設建設には2,420億円が計上され、総額5,500億円強となっている(欄外参照)。09年度からスタートすると16年度まで年平均約700億円のプロジェクトであるが、16年度に向かって傾斜的に増加する継続的な計画となり、広範な雇用効果を含む波及効果も期待される。
 本来であれば、景気対策にはより大規模な国民的プロジェクトが必要であるが、そのためには長期の計画立案・遂行に耐える政権が必要であり、その速やかな誕生が望まれるところである。
 もっとも内容や地方への配慮の面では工夫が必要であろう。まず関連の施設建設などについては太陽光など自然エネルギーの最大限の活用など、地球温暖化防止、クリーン・エアーの回復に明確に焦点を当てて世界に提案することが望まれる。同時に関連する道路や大衆交通手段、生活道路などについても、地下道路化などによる渋滞交差点や踏み切りの解消、低廉なコミュニテイ駐車・駐輪場の普及による路上駐車・駐輪の解消を進めるなど、都市の生活環境自体の改善に繋がる施策を着実に実施して行くことが重要であろう。経済後退により不動産価格も低迷しているので、手持ちの不動産との交換、処分等により、各種の改善を図る好機でもある。
 また、この大会への国民的な支持を得ていくためには、東京都が余り出過ぎることなく、諸スポ-ツ団体や企業、周辺県を始めとする地方公共団体の関与を最大限に引き出すことが不可欠であろう。宿泊施設の分散や強化合宿サイトの地方誘致、内外関係方面への情報提供など、地方の参加を促進すべきであろう。
2、スポーツ選手を始め若い世代に必要な目標と夢
経済効果より重要なことは、今だからこそ、スポーツ選手だけでなく若い世代が目標や
夢を与えることではないだろうか。
 経済後退により、今後就職難が続く可能性がある上、年金不信から将来不安が背景にある。だから最近若い世代も貯蓄志向、節約志向が強くなっている。このような状況が続くと、若い世代が萎縮し、それが社会の活力を益々削いで行く恐れがある。特に、経済後退により企業がスポーツ活動から撤退するケースも多くなっており、高まりつつあったスポーツ熱も冷めて行く恐れがある。
 2016年東京オリンピックへの支援は、スポーツ選手を中心として若い世代に目標や夢を与える。今それが必要なのである。
 またこの機会に、小・中学校を含め、学校や地方でのスポーツ活動や施設、各種スポーツクラブなどを抜本的に促進すると共に、社会人が廉価で活用出来るスポーツ施設を整備・拡充し、年齢を問わず国民が心身の健康向上を図る環境を改善して行くことが望まれる。介護サービスなどの改善も必要であろうが、それ以前に国民が健康で活力に満ちた生活が送れるような環境を作って行くことが望まれる。
 3、手強い候補地シカゴ
 候補地の中では、マドリッドについは、2012年がロンドン開催であるので2回続けてヨーロッパは難しそうだ。リオはリゾート観光地などとしては良いが、治安の問題と包括的なスポーツ・交通インフラなどの面で困難そうであり、シカゴが最大の競争相手になりそうだ。
 1964年オリンピックでも、候補地として東京はデトロイト他2市と競ったが、今回も米国と競うことになる。1959年に行われたIOC総会では、東京が1回目の投票で34票獲得し、開催地として決定された。その時デトロイトは10票で、ウィーン(9票)、ブラッセル(5票)と続いたが、1960年オリンピックの開催地投票ではローマに敗れていることを勘案すると、今回のシカゴはなかなか手強そうだ。それだけに日本国内の支持の輪を広げ、関係するスポーツ団体、企業、地方公共団体等と協力して世界に働き掛けて行かなくてはならない。それにより日本経済が元気を取り戻す一つの契機となるであろう。(09.03.)
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 2月12日、2016年の夏季オリンピック/パラリンピックの開催地を巡り、東京始めシカゴ、リオデジャネイロ、マドリッドの4都市が国際オリンピック委員会に立候補書類を提出した。開催地はこの中から10月2日に決定される。
 日本でオリンピックが開催されたのは1964年であるので、2016年に開催されることになれば52年振りであるのでよい頃合いなのかもしれない。しかし、また東京での開催になり新鮮味に欠ける上、箱物、道路・交通網など膨大な建設コストが掛かることなどから、日本では冷めた見方が強く、余り盛り上がっていない。今回の立候補申請に当たっても、東京都としては国会決議を添えようとしたが、決議は間に合わなかった。石原都知事(招致委員長)は、「何を勘違いしているのだ」などと語気を荒立て、批判しているが、それでは世論は引くばかりだろう。
 現在、日本始め世界は、世界の消費市場であり最大の経済大国である米国発の経済危機に見舞われており、現在国会では景気対策のため第2次補正と明年度予算が審議されている上、その過程で消費税増税、郵政民営化の見直し、遅々として進まない行政改革・簡素化などの緊急な問題で与野党とも忙殺されており、2016年オリンピックが国民的な関心事にはなり難い状況にあることも事実だ。特に昨年末以降、派遣等の非正規労働者の大量解雇問題や新卒内定者の取り消し、正規社員の解雇問題など、国民の職場や所得の確保が現実的な問題となっており、このような空気を察するべきであろう。
 しかし、経済危機、雇用危機にあるからこそ2016年オリンピック東京開催を応援しようではないか。
1、今必要な国民的プロジェクト
現在の経済危機は案外長引く恐れがある。この危機は米国発のものだけに、米国の景気
回復が鍵となるが、オバマ大統領も長引く可能性を示唆している。この度米国議会で承認された7,870億ドル(約70兆円)に及ぶ「史上最大規模の景気対策」も、オバマ大統領は「景気回復に向けての大きな一里塚ではあるが、道は長い」として国民の理解と協力を求めている。日本が米国よりも早く経済不振から抜け出して、世界経済の牽引力になりたいものではあるが、同時に長引くことも想定して置く必要がある。
 そのためには、目先の対症療法的な景気対策や雇用対策だけではなく、将来に繋がる国民的なプロジェクトが必要である。
 2016年オリンピックに向けての総合的な環境整備は、オリンピックという特定の目的であり、東京を中心とするプロジェクトではあるが、決定すれば8年間余に及ぶ象徴的なプロジェクトになろう。
 東京都の計画案では、半径8キロ以内に9割以上の施設が集中し、「コンパクトな大会」を目指し、地球温暖化防止に繋がる二酸化炭素削減を考慮した「環境重視」の大会としている。地球温暖化防止は、今後益々切実な問題として現実味を帯びるグローバルな課題となることが予想されるだけに、世界に訴えることが出来るコンセプトと言えよう。
 大会組織委員会によると、大会運営経費は仮設の施設建設を含め3,100億円としている。また国や地方の負担が求められるメインスタジアムなど恒久施設建設には2,420億円が計上され、総額5,500億円強となっている(欄外参照)。09年度からスタートすると16年度まで年平均約700億円のプロジェクトであるが、16年度に向かって傾斜的に増加する継続的な計画となり、広範な雇用効果を含む波及効果も期待される。
 本来であれば、景気対策にはより大規模な国民的プロジェクトが必要であるが、そのためには長期の計画立案・遂行に耐える政権が必要であり、その速やかな誕生が望まれるところである。
 もっとも内容や地方への配慮の面では工夫が必要であろう。まず関連の施設建設などについては太陽光など自然エネルギーの最大限の活用など、地球温暖化防止、クリーン・エアーの回復に明確に焦点を当てて世界に提案することが望まれる。同時に関連する道路や大衆交通手段、生活道路などについても、地下道路化などによる渋滞交差点や踏み切りの解消、低廉なコミュニテイ駐車・駐輪場の普及による路上駐車・駐輪の解消を進めるなど、都市の生活環境自体の改善に繋がる施策を着実に実施して行くことが重要であろう。経済後退により不動産価格も低迷しているので、手持ちの不動産との交換、処分等により、各種の改善を図る好機でもある。
 また、この大会への国民的な支持を得ていくためには、東京都が余り出過ぎることなく、諸スポ-ツ団体や企業、周辺県を始めとする地方公共団体の関与を最大限に引き出すことが不可欠であろう。宿泊施設の分散や強化合宿サイトの地方誘致、内外関係方面への情報提供など、地方の参加を促進すべきであろう。
2、スポーツ選手を始め若い世代に必要な目標と夢
経済効果より重要なことは、今だからこそ、スポーツ選手だけでなく若い世代が目標や
夢を与えることではないだろうか。
 経済後退により、今後就職難が続く可能性がある上、年金不信から将来不安が背景にある。だから最近若い世代も貯蓄志向、節約志向が強くなっている。このような状況が続くと、若い世代が萎縮し、それが社会の活力を益々削いで行く恐れがある。特に、経済後退により企業がスポーツ活動から撤退するケースも多くなっており、高まりつつあったスポーツ熱も冷めて行く恐れがある。
 2016年東京オリンピックへの支援は、スポーツ選手を中心として若い世代に目標や夢を与える。今それが必要なのである。
 またこの機会に、小・中学校を含め、学校や地方でのスポーツ活動や施設、各種スポーツクラブなどを抜本的に促進すると共に、社会人が廉価で活用出来るスポーツ施設を整備・拡充し、年齢を問わず国民が心身の健康向上を図る環境を改善して行くことが望まれる。介護サービスなどの改善も必要であろうが、それ以前に国民が健康で活力に満ちた生活が送れるような環境を作って行くことが望まれる。
 3、手強い候補地シカゴ
 候補地の中では、マドリッドについは、2012年がロンドン開催であるので2回続けてヨーロッパは難しそうだ。リオはリゾート観光地などとしては良いが、治安の問題と包括的なスポーツ・交通インフラなどの面で困難そうであり、シカゴが最大の競争相手になりそうだ。
 1964年オリンピックでも、候補地として東京はデトロイト他2市と競ったが、今回も米国と競うことになる。1959年に行われたIOC総会では、東京が1回目の投票で34票獲得し、開催地として決定された。その時デトロイトは10票で、ウィーン(9票)、ブラッセル(5票)と続いたが、1960年オリンピックの開催地投票ではローマに敗れていることを勘案すると、今回のシカゴはなかなか手強そうだ。それだけに日本国内の支持の輪を広げ、関係するスポーツ団体、企業、地方公共団体等と協力して世界に働き掛けて行かなくてはならない。それにより日本経済が元気を取り戻す一つの契機となるであろう。(09.03.)
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 2月12日、2016年の夏季オリンピック/パラリンピックの開催地を巡り、東京始めシカゴ、リオデジャネイロ、マドリッドの4都市が国際オリンピック委員会に立候補書類を提出した。開催地はこの中から10月2日に決定される。
 日本でオリンピックが開催されたのは1964年であるので、2016年に開催されることになれば52年振りであるのでよい頃合いなのかもしれない。しかし、また東京での開催になり新鮮味に欠ける上、箱物、道路・交通網など膨大な建設コストが掛かることなどから、日本では冷めた見方が強く、余り盛り上がっていない。今回の立候補申請に当たっても、東京都としては国会決議を添えようとしたが、決議は間に合わなかった。石原都知事(招致委員長)は、「何を勘違いしているのだ」などと語気を荒立て、批判しているが、それでは世論は引くばかりだろう。
 現在、日本始め世界は、世界の消費市場であり最大の経済大国である米国発の経済危機に見舞われており、現在国会では景気対策のため第2次補正と明年度予算が審議されている上、その過程で消費税増税、郵政民営化の見直し、遅々として進まない行政改革・簡素化などの緊急な問題で与野党とも忙殺されており、2016年オリンピックが国民的な関心事にはなり難い状況にあることも事実だ。特に昨年末以降、派遣等の非正規労働者の大量解雇問題や新卒内定者の取り消し、正規社員の解雇問題など、国民の職場や所得の確保が現実的な問題となっており、このような空気を察するべきであろう。
 しかし、経済危機、雇用危機にあるからこそ2016年オリンピック東京開催を応援しようではないか。
1、今必要な国民的プロジェクト
現在の経済危機は案外長引く恐れがある。この危機は米国発のものだけに、米国の景気
回復が鍵となるが、オバマ大統領も長引く可能性を示唆している。この度米国議会で承認された7,870億ドル(約70兆円)に及ぶ「史上最大規模の景気対策」も、オバマ大統領は「景気回復に向けての大きな一里塚ではあるが、道は長い」として国民の理解と協力を求めている。日本が米国よりも早く経済不振から抜け出して、世界経済の牽引力になりたいものではあるが、同時に長引くことも想定して置く必要がある。
 そのためには、目先の対症療法的な景気対策や雇用対策だけではなく、将来に繋がる国民的なプロジェクトが必要である。
 2016年オリンピックに向けての総合的な環境整備は、オリンピックという特定の目的であり、東京を中心とするプロジェクトではあるが、決定すれば8年間余に及ぶ象徴的なプロジェクトになろう。
 東京都の計画案では、半径8キロ以内に9割以上の施設が集中し、「コンパクトな大会」を目指し、地球温暖化防止に繋がる二酸化炭素削減を考慮した「環境重視」の大会としている。地球温暖化防止は、今後益々切実な問題として現実味を帯びるグローバルな課題となることが予想されるだけに、世界に訴えることが出来るコンセプトと言えよう。
 大会組織委員会によると、大会運営経費は仮設の施設建設を含め3,100億円としている。また国や地方の負担が求められるメインスタジアムなど恒久施設建設には2,420億円が計上され、総額5,500億円強となっている(欄外参照)。09年度からスタートすると16年度まで年平均約700億円のプロジェクトであるが、16年度に向かって傾斜的に増加する継続的な計画となり、広範な雇用効果を含む波及効果も期待される。
 本来であれば、景気対策にはより大規模な国民的プロジェクトが必要であるが、そのためには長期の計画立案・遂行に耐える政権が必要であり、その速やかな誕生が望まれるところである。
 もっとも内容や地方への配慮の面では工夫が必要であろう。まず関連の施設建設などについては太陽光など自然エネルギーの最大限の活用など、地球温暖化防止、クリーン・エアーの回復に明確に焦点を当てて世界に提案することが望まれる。同時に関連する道路や大衆交通手段、生活道路などについても、地下道路化などによる渋滞交差点や踏み切りの解消、低廉なコミュニテイ駐車・駐輪場の普及による路上駐車・駐輪の解消を進めるなど、都市の生活環境自体の改善に繋がる施策を着実に実施して行くことが重要であろう。経済後退により不動産価格も低迷しているので、手持ちの不動産との交換、処分等により、各種の改善を図る好機でもある。
 また、この大会への国民的な支持を得ていくためには、東京都が余り出過ぎることなく、諸スポ-ツ団体や企業、周辺県を始めとする地方公共団体の関与を最大限に引き出すことが不可欠であろう。宿泊施設の分散や強化合宿サイトの地方誘致、内外関係方面への情報提供など、地方の参加を促進すべきであろう。
2、スポーツ選手を始め若い世代に必要な目標と夢
経済効果より重要なことは、今だからこそ、スポーツ選手だけでなく若い世代が目標や
夢を与えることではないだろうか。
 経済後退により、今後就職難が続く可能性がある上、年金不信から将来不安が背景にある。だから最近若い世代も貯蓄志向、節約志向が強くなっている。このような状況が続くと、若い世代が萎縮し、それが社会の活力を益々削いで行く恐れがある。特に、経済後退により企業がスポーツ活動から撤退するケースも多くなっており、高まりつつあったスポーツ熱も冷めて行く恐れがある。
 2016年東京オリンピックへの支援は、スポーツ選手を中心として若い世代に目標や夢を与える。今それが必要なのである。
 またこの機会に、小・中学校を含め、学校や地方でのスポーツ活動や施設、各種スポーツクラブなどを抜本的に促進すると共に、社会人が廉価で活用出来るスポーツ施設を整備・拡充し、年齢を問わず国民が心身の健康向上を図る環境を改善して行くことが望まれる。介護サービスなどの改善も必要であろうが、それ以前に国民が健康で活力に満ちた生活が送れるような環境を作って行くことが望まれる。
 3、手強い候補地シカゴ
 候補地の中では、マドリッドについは、2012年がロンドン開催であるので2回続けてヨーロッパは難しそうだ。リオはリゾート観光地などとしては良いが、治安の問題と包括的なスポーツ・交通インフラなどの面で困難そうであり、シカゴが最大の競争相手になりそうだ。
 1964年オリンピックでも、候補地として東京はデトロイト他2市と競ったが、今回も米国と競うことになる。1959年に行われたIOC総会では、東京が1回目の投票で34票獲得し、開催地として決定された。その時デトロイトは10票で、ウィーン(9票)、ブラッセル(5票)と続いたが、1960年オリンピックの開催地投票ではローマに敗れていることを勘案すると、今回のシカゴはなかなか手強そうだ。それだけに日本国内の支持の輪を広げ、関係するスポーツ団体、企業、地方公共団体等と協力して世界に働き掛けて行かなくてはならない。それにより日本経済が元気を取り戻す一つの契機となるであろう。(09.03.)
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 日本でオリンピックが開催されたのは1964年であるので、2016年に開催されることになれば52年振りであるのでよい頃合いなのかもしれない。しかし、また東京での開催になり新鮮味に欠ける上、箱物、道路・交通網など膨大な建設コストが掛かることなどから、日本では冷めた見方が強く、余り盛り上がっていない。今回の立候補申請に当たっても、東京都としては国会決議を添えようとしたが、決議は間に合わなかった。石原都知事(招致委員長)は、「何を勘違いしているのだ」などと語気を荒立て、批判しているが、それでは世論は引くばかりだろう。
 現在、日本始め世界は、世界の消費市場であり最大の経済大国である米国発の経済危機に見舞われており、現在国会では景気対策のため第2次補正と明年度予算が審議されている上、その過程で消費税増税、郵政民営化の見直し、遅々として進まない行政改革・簡素化などの緊急な問題で与野党とも忙殺されており、2016年オリンピックが国民的な関心事にはなり難い状況にあることも事実だ。特に昨年末以降、派遣等の非正規労働者の大量解雇問題や新卒内定者の取り消し、正規社員の解雇問題など、国民の職場や所得の確保が現実的な問題となっており、このような空気を察するべきであろう。
 しかし、経済危機、雇用危機にあるからこそ2016年オリンピック東京開催を応援しようではないか。
1、今必要な国民的プロジェクト
現在の経済危機は案外長引く恐れがある。この危機は米国発のものだけに、米国の景気
回復が鍵となるが、オバマ大統領も長引く可能性を示唆している。この度米国議会で承認された7,870億ドル(約70兆円)に及ぶ「史上最大規模の景気対策」も、オバマ大統領は「景気回復に向けての大きな一里塚ではあるが、道は長い」として国民の理解と協力を求めている。日本が米国よりも早く経済不振から抜け出して、世界経済の牽引力になりたいものではあるが、同時に長引くことも想定して置く必要がある。
 そのためには、目先の対症療法的な景気対策や雇用対策だけではなく、将来に繋がる国民的なプロジェクトが必要である。
 2016年オリンピックに向けての総合的な環境整備は、オリンピックという特定の目的であり、東京を中心とするプロジェクトではあるが、決定すれば8年間余に及ぶ象徴的なプロジェクトになろう。
 東京都の計画案では、半径8キロ以内に9割以上の施設が集中し、「コンパクトな大会」を目指し、地球温暖化防止に繋がる二酸化炭素削減を考慮した「環境重視」の大会としている。地球温暖化防止は、今後益々切実な問題として現実味を帯びるグローバルな課題となることが予想されるだけに、世界に訴えることが出来るコンセプトと言えよう。
 大会組織委員会によると、大会運営経費は仮設の施設建設を含め3,100億円としている。また国や地方の負担が求められるメインスタジアムなど恒久施設建設には2,420億円が計上され、総額5,500億円強となっている(欄外参照)。09年度からスタートすると16年度まで年平均約700億円のプロジェクトであるが、16年度に向かって傾斜的に増加する継続的な計画となり、広範な雇用効果を含む波及効果も期待される。
 本来であれば、景気対策にはより大規模な国民的プロジェクトが必要であるが、そのためには長期の計画立案・遂行に耐える政権が必要であり、その速やかな誕生が望まれるところである。
 もっとも内容や地方への配慮の面では工夫が必要であろう。まず関連の施設建設などについては太陽光など自然エネルギーの最大限の活用など、地球温暖化防止、クリーン・エアーの回復に明確に焦点を当てて世界に提案することが望まれる。同時に関連する道路や大衆交通手段、生活道路などについても、地下道路化などによる渋滞交差点や踏み切りの解消、低廉なコミュニテイ駐車・駐輪場の普及による路上駐車・駐輪の解消を進めるなど、都市の生活環境自体の改善に繋がる施策を着実に実施して行くことが重要であろう。経済後退により不動産価格も低迷しているので、手持ちの不動産との交換、処分等により、各種の改善を図る好機でもある。
 また、この大会への国民的な支持を得ていくためには、東京都が余り出過ぎることなく、諸スポ-ツ団体や企業、周辺県を始めとする地方公共団体の関与を最大限に引き出すことが不可欠であろう。宿泊施設の分散や強化合宿サイトの地方誘致、内外関係方面への情報提供など、地方の参加を促進すべきであろう。
2、スポーツ選手を始め若い世代に必要な目標と夢
経済効果より重要なことは、今だからこそ、スポーツ選手だけでなく若い世代が目標や
夢を与えることではないだろうか。
 経済後退により、今後就職難が続く可能性がある上、年金不信から将来不安が背景にある。だから最近若い世代も貯蓄志向、節約志向が強くなっている。このような状況が続くと、若い世代が萎縮し、それが社会の活力を益々削いで行く恐れがある。特に、経済後退により企業がスポーツ活動から撤退するケースも多くなっており、高まりつつあったスポーツ熱も冷めて行く恐れがある。
 2016年東京オリンピックへの支援は、スポーツ選手を中心として若い世代に目標や夢を与える。今それが必要なのである。
 またこの機会に、小・中学校を含め、学校や地方でのスポーツ活動や施設、各種スポーツクラブなどを抜本的に促進すると共に、社会人が廉価で活用出来るスポーツ施設を整備・拡充し、年齢を問わず国民が心身の健康向上を図る環境を改善して行くことが望まれる。介護サービスなどの改善も必要であろうが、それ以前に国民が健康で活力に満ちた生活が送れるような環境を作って行くことが望まれる。
 3、手強い候補地シカゴ
 候補地の中では、マドリッドについは、2012年がロンドン開催であるので2回続けてヨーロッパは難しそうだ。リオはリゾート観光地などとしては良いが、治安の問題と包括的なスポーツ・交通インフラなどの面で困難そうであり、シカゴが最大の競争相手になりそうだ。
 1964年オリンピックでも、候補地として東京はデトロイト他2市と競ったが、今回も米国と競うことになる。1959年に行われたIOC総会では、東京が1回目の投票で34票獲得し、開催地として決定された。その時デトロイトは10票で、ウィーン(9票)、ブラッセル(5票)と続いたが、1960年オリンピックの開催地投票ではローマに敗れていることを勘案すると、今回のシカゴはなかなか手強そうだ。それだけに日本国内の支持の輪を広げ、関係するスポーツ団体、企業、地方公共団体等と協力して世界に働き掛けて行かなくてはならない。それにより日本経済が元気を取り戻す一つの契機となるであろう。(09.03.)
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