内外政策評論 TheOpinion on Global & Domestic Issues

このブログは、広い視野から内外諸問題を分析し、提言を試みます。
Policy Essayist

今だからこそ読み返して欲しい提言書

2010-08-09 | Weblog
今だからこそ読み返して欲しい提言書
―「日本の倫理融解(メルトダウン) 提言編」 (電子書籍) ―
 日本各地で幼児の放置死やせっかん死などが伝えられている中で、7月末に東京足立区の住居で区内最高齢の男性と見られる白骨死体が見付かり、111歳と見られていたが死後約30年経過している一方、その間年金が支払われ、一部は遺族により引き出されていたことが発覚した。そして杉並区では、113歳になると見られる女性の所在が確認できず、今になって家族から行方不明者届が提出された。
 100歳以上の長寿者は日本に4万人強に達するが、これを契機に各都道府県で一定の調査が行われ、これまでに東京の以外の府県を含め70人以上が所在不明であることが判明している。
 本来であれば長寿者として祝われて良い超高齢者が、一部は身寄りの無い独居者と見られるものの、家族からおろそかにされ、所在地の地方自治体からも存在すら確認されず、いわば放置されていた状態にあったことが明らかになった。更に、所在や安否が確認されないまま年金が支払われ続けていたことも、正に国民に届いていない行政を象徴するものであろう。
 メデイアでも様々なコメントがなされおり、市区町村レベルでの長寿者の所在確認方法や年金支給に当たっての本人確認のあり方などが指摘されている。無論これらは当然改善されてなくてはならないことであるが、所在確認がより正確に行われるようになれば社会から忘れられている超高齢者の問題が解決するとも思えない。逆に年金目当ての犯罪など、
悪用される恐れもある。
 高齢者の独居問題や家族との問題は今に始まったことではなく、戦後の核家族化という生活スタイルの変化を背景として、90年代初頭より顕著になって来た少子・高齢化の流れの中で起こっていることであり、その流れに家族や地域コミュニテイ、行政組織が対応し切れていないところに問題があるのであろう。同時に、個々人の意識が“集団”から“個”に重点を移していると共に、良し悪しの基準や倫理観も独りよがりとなり、身勝手な行動に出易くなっているのではないだろうか。親が死に、身内が死んでいるのに葬儀をしてきちんと別れを告げさせることなく放置し、年金を受け取り続けるというような行為をどのように説明したらよいのだろうか。それも1件や2件の例外的な話ではなさそうだ。
 このような社会の各層に生じている倫理の融解(メルトダウン)を2000年前後の事件や犯罪から横断的、類型的に分析すると共に、その根底にある社会の変化を指摘し、家庭・保育幼稚園・学校・コミュニテイレベル、企業組織レベルや行政レベルでの必要な対応を提言し、国民レベルでの心の再生を訴えているのが
「日本の倫理融解(メルトダウン) 提言編
ー「心の再生」を国民的プロジェクトとして取り組むべき時 ー」である。
07年5月の出版であり、印刷本としては稀少となっているが、電子書籍(パピレス)としてはパイオニア的な著作であり電子書籍としてインターネットで購入できる。これまでは政府関係者を中心として読まれているようである。これで全てが解決するものではないが、家庭・保育幼稚園・学校・地域コミュニテイレベル、企業組織レベルや行政レベルでの参考、ヒントの一つとして頂ければ幸いである。報道を重ね、議論を繰り返すことは十分行われている。個々人が心の再生の必要性を認識し、それに向かってそれぞれのレベルで行動する時ではないだろうか。(2010.08.)(All Rights Reserved.)
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