内外政策評論 TheOpinion on Global & Domestic Issues

このブログは、広い視野から内外諸問題を分析し、提言を試みます。
Policy Essayist

融ける北極海の氷海 (その2)

2012-09-27 | Weblog
融ける北極海の氷海 (その2)
 夏になると、特に8月から10月に掛けて北極海の氷海が縮小し、地球規模での温暖化の進行として懸念される一方、夏期限定ではあるがシベリア大陸やカナダ領の北方諸島との間に海路が出来るなど、ビジネスチャンスが広がっている。
 北極海の氷原の動きについては、アラスカ大学の国際北極研究センターが衛星写真を長期に亘りモニターし、夏期に氷原が縮んでいる状況を公開しているが、日本の宇宙航空研究開発機構も2012年8月、北極海の氷原が近年で最も縮小していることを公表し、また米国宇宙航空局も同様の分析結果を公表している。
 1、縮む北極海の氷海は地球温暖化の警鐘か (その1で掲載)
 2、北極海に広がるビジネス・チャンス 
 北極海の氷海が縮小し、シベリア大陸やカナダ領の北方諸島との間に海路が出来ると、北極海航路や資源開発などビジネスチャンスが広がる。
 北極航路には2つある。一つは、太平洋北端のベーリング海からシベリア・ユーラシア大陸に沿ってバレンツ海、ノルウエー海方面に向けての「北方海路」である。将来海路が開ければ、東アジアと欧州を結ぶ有力な国際海路となる。もう一つは、ベーリング海から米国アラスカ州、カナダの北方領沖の北極圏諸島をぬって大西洋に出る「北西航路」である。
 今後15年程度は年間を通じての使用は困難とする見方もあるが、それよりも早く氷海の融解が進むとの見方もある。
 また北極圏は、圏内の陸地はもとより、大陸棚も天然ガス、石油資源や金、銀、鉄、亜鉛、錫、ダイアモンドなど貴重な鉱物資源に富んでいる。
 このように北極海の氷原の縮小は温暖化への警告であるが、現実論として北極海に新たな経済開発の可能性が出て来ている。
 北極圏問題については、ノルウエーに北極評議会が設置されており、北極海開発の側面と環境保護についての共通の認識と協力を促進することを目的として協議が重ねられている。北極海周辺に領土を持つ米、加、露、ノルウェー、デンマークの5か国と外延のアイスランド、フィンランド、及びスエーデンの8カ国で構成され、日本のほか、中国、韓国などがオブザーバーとして参加できることになっている。
北極点の周辺には大陸はないが、周辺5カ国による大陸棚の線引きの問題について、2008年5月、周辺5か国は、国連海洋法条約(1982年に採択)に基づいて解決策を見出すことで合意し、当面領有権などを凍結している。しかしより長期の視点が必要であると共に、海運や資源開発等の面で国際的なガイドラインが必要になっていると言えよう。北極海の気象情報や航路情報を提供するシステムや緊急時の援護システムなども必要になって来よう。
 だが北極圏に広がるビジネスチャンスは、同時に温暖化への警鐘でもあるので、南極大陸同様、北極における大陸棚の領有権の凍結や調査・研究を除く経済活動の制限など、国際管理が必要になっていると言えよう。
(2012.08.12.)(Copy Right Reserved.)(不許無断転載・引用)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

融ける北極海の氷海 (その2)

2012-09-27 | Weblog
融ける北極海の氷海 (その2)
 夏になると、特に8月から10月に掛けて北極海の氷海が縮小し、地球規模での温暖化の進行として懸念される一方、夏期限定ではあるがシベリア大陸やカナダ領の北方諸島との間に海路が出来るなど、ビジネスチャンスが広がっている。
 北極海の氷原の動きについては、アラスカ大学の国際北極研究センターが衛星写真を長期に亘りモニターし、夏期に氷原が縮んでいる状況を公開しているが、日本の宇宙航空研究開発機構も2012年8月、北極海の氷原が近年で最も縮小していることを公表し、また米国宇宙航空局も同様の分析結果を公表している。
 1、縮む北極海の氷海は地球温暖化の警鐘か (その1で掲載)
 2、北極海に広がるビジネス・チャンス 
 北極海の氷海が縮小し、シベリア大陸やカナダ領の北方諸島との間に海路が出来ると、北極海航路や資源開発などビジネスチャンスが広がる。
 北極航路には2つある。一つは、太平洋北端のベーリング海からシベリア・ユーラシア大陸に沿ってバレンツ海、ノルウエー海方面に向けての「北方海路」である。将来海路が開ければ、東アジアと欧州を結ぶ有力な国際海路となる。もう一つは、ベーリング海から米国アラスカ州、カナダの北方領沖の北極圏諸島をぬって大西洋に出る「北西航路」である。
 今後15年程度は年間を通じての使用は困難とする見方もあるが、それよりも早く氷海の融解が進むとの見方もある。
 また北極圏は、圏内の陸地はもとより、大陸棚も天然ガス、石油資源や金、銀、鉄、亜鉛、錫、ダイアモンドなど貴重な鉱物資源に富んでいる。
 このように北極海の氷原の縮小は温暖化への警告であるが、現実論として北極海に新たな経済開発の可能性が出て来ている。
 北極圏問題については、ノルウエーに北極評議会が設置されており、北極海開発の側面と環境保護についての共通の認識と協力を促進することを目的として協議が重ねられている。北極海周辺に領土を持つ米、加、露、ノルウェー、デンマークの5か国と外延のアイスランド、フィンランド、及びスエーデンの8カ国で構成され、日本のほか、中国、韓国などがオブザーバーとして参加できることになっている。
北極点の周辺には大陸はないが、周辺5カ国による大陸棚の線引きの問題について、2008年5月、周辺5か国は、国連海洋法条約(1982年に採択)に基づいて解決策を見出すことで合意し、当面領有権などを凍結している。しかしより長期の視点が必要であると共に、海運や資源開発等の面で国際的なガイドラインが必要になっていると言えよう。北極海の気象情報や航路情報を提供するシステムや緊急時の援護システムなども必要になって来よう。
 だが北極圏に広がるビジネスチャンスは、同時に温暖化への警鐘でもあるので、南極大陸同様、北極における大陸棚の領有権の凍結や調査・研究を除く経済活動の制限など、国際管理が必要になっていると言えよう。
(2012.08.12.)(Copy Right Reserved.)(不許無断転載・引用)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

融ける北極海の氷海 (その2)

2012-09-27 | Weblog
融ける北極海の氷海 (その2)
 夏になると、特に8月から10月に掛けて北極海の氷海が縮小し、地球規模での温暖化の進行として懸念される一方、夏期限定ではあるがシベリア大陸やカナダ領の北方諸島との間に海路が出来るなど、ビジネスチャンスが広がっている。
 北極海の氷原の動きについては、アラスカ大学の国際北極研究センターが衛星写真を長期に亘りモニターし、夏期に氷原が縮んでいる状況を公開しているが、日本の宇宙航空研究開発機構も2012年8月、北極海の氷原が近年で最も縮小していることを公表し、また米国宇宙航空局も同様の分析結果を公表している。
 1、縮む北極海の氷海は地球温暖化の警鐘か (その1で掲載)
 2、北極海に広がるビジネス・チャンス 
 北極海の氷海が縮小し、シベリア大陸やカナダ領の北方諸島との間に海路が出来ると、北極海航路や資源開発などビジネスチャンスが広がる。
 北極航路には2つある。一つは、太平洋北端のベーリング海からシベリア・ユーラシア大陸に沿ってバレンツ海、ノルウエー海方面に向けての「北方海路」である。将来海路が開ければ、東アジアと欧州を結ぶ有力な国際海路となる。もう一つは、ベーリング海から米国アラスカ州、カナダの北方領沖の北極圏諸島をぬって大西洋に出る「北西航路」である。
 今後15年程度は年間を通じての使用は困難とする見方もあるが、それよりも早く氷海の融解が進むとの見方もある。
 また北極圏は、圏内の陸地はもとより、大陸棚も天然ガス、石油資源や金、銀、鉄、亜鉛、錫、ダイアモンドなど貴重な鉱物資源に富んでいる。
 このように北極海の氷原の縮小は温暖化への警告であるが、現実論として北極海に新たな経済開発の可能性が出て来ている。
 北極圏問題については、ノルウエーに北極評議会が設置されており、北極海開発の側面と環境保護についての共通の認識と協力を促進することを目的として協議が重ねられている。北極海周辺に領土を持つ米、加、露、ノルウェー、デンマークの5か国と外延のアイスランド、フィンランド、及びスエーデンの8カ国で構成され、日本のほか、中国、韓国などがオブザーバーとして参加できることになっている。
北極点の周辺には大陸はないが、周辺5カ国による大陸棚の線引きの問題について、2008年5月、周辺5か国は、国連海洋法条約(1982年に採択)に基づいて解決策を見出すことで合意し、当面領有権などを凍結している。しかしより長期の視点が必要であると共に、海運や資源開発等の面で国際的なガイドラインが必要になっていると言えよう。北極海の気象情報や航路情報を提供するシステムや緊急時の援護システムなども必要になって来よう。
 だが北極圏に広がるビジネスチャンスは、同時に温暖化への警鐘でもあるので、南極大陸同様、北極における大陸棚の領有権の凍結や調査・研究を除く経済活動の制限など、国際管理が必要になっていると言えよう。
(2012.08.12.)(Copy Right Reserved.)(不許無断転載・引用)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

融ける北極海の氷海 (その2)

2012-09-27 | Weblog
融ける北極海の氷海 (その2)
 夏になると、特に8月から10月に掛けて北極海の氷海が縮小し、地球規模での温暖化の進行として懸念される一方、夏期限定ではあるがシベリア大陸やカナダ領の北方諸島との間に海路が出来るなど、ビジネスチャンスが広がっている。
 北極海の氷原の動きについては、アラスカ大学の国際北極研究センターが衛星写真を長期に亘りモニターし、夏期に氷原が縮んでいる状況を公開しているが、日本の宇宙航空研究開発機構も2012年8月、北極海の氷原が近年で最も縮小していることを公表し、また米国宇宙航空局も同様の分析結果を公表している。
 1、縮む北極海の氷海は地球温暖化の警鐘か (その1で掲載)
 2、北極海に広がるビジネス・チャンス 
 北極海の氷海が縮小し、シベリア大陸やカナダ領の北方諸島との間に海路が出来ると、北極海航路や資源開発などビジネスチャンスが広がる。
 北極航路には2つある。一つは、太平洋北端のベーリング海からシベリア・ユーラシア大陸に沿ってバレンツ海、ノルウエー海方面に向けての「北方海路」である。将来海路が開ければ、東アジアと欧州を結ぶ有力な国際海路となる。もう一つは、ベーリング海から米国アラスカ州、カナダの北方領沖の北極圏諸島をぬって大西洋に出る「北西航路」である。
 今後15年程度は年間を通じての使用は困難とする見方もあるが、それよりも早く氷海の融解が進むとの見方もある。
 また北極圏は、圏内の陸地はもとより、大陸棚も天然ガス、石油資源や金、銀、鉄、亜鉛、錫、ダイアモンドなど貴重な鉱物資源に富んでいる。
 このように北極海の氷原の縮小は温暖化への警告であるが、現実論として北極海に新たな経済開発の可能性が出て来ている。
 北極圏問題については、ノルウエーに北極評議会が設置されており、北極海開発の側面と環境保護についての共通の認識と協力を促進することを目的として協議が重ねられている。北極海周辺に領土を持つ米、加、露、ノルウェー、デンマークの5か国と外延のアイスランド、フィンランド、及びスエーデンの8カ国で構成され、日本のほか、中国、韓国などがオブザーバーとして参加できることになっている。
北極点の周辺には大陸はないが、周辺5カ国による大陸棚の線引きの問題について、2008年5月、周辺5か国は、国連海洋法条約(1982年に採択)に基づいて解決策を見出すことで合意し、当面領有権などを凍結している。しかしより長期の視点が必要であると共に、海運や資源開発等の面で国際的なガイドラインが必要になっていると言えよう。北極海の気象情報や航路情報を提供するシステムや緊急時の援護システムなども必要になって来よう。
 だが北極圏に広がるビジネスチャンスは、同時に温暖化への警鐘でもあるので、南極大陸同様、北極における大陸棚の領有権の凍結や調査・研究を除く経済活動の制限など、国際管理が必要になっていると言えよう。
(2012.08.12.)(Copy Right Reserved.)(不許無断転載・引用)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

融ける北極海の氷海 (その2)

2012-09-27 | Weblog
融ける北極海の氷海 (その2)
 夏になると、特に8月から10月に掛けて北極海の氷海が縮小し、地球規模での温暖化の進行として懸念される一方、夏期限定ではあるがシベリア大陸やカナダ領の北方諸島との間に海路が出来るなど、ビジネスチャンスが広がっている。
 北極海の氷原の動きについては、アラスカ大学の国際北極研究センターが衛星写真を長期に亘りモニターし、夏期に氷原が縮んでいる状況を公開しているが、日本の宇宙航空研究開発機構も2012年8月、北極海の氷原が近年で最も縮小していることを公表し、また米国宇宙航空局も同様の分析結果を公表している。
 1、縮む北極海の氷海は地球温暖化の警鐘か (その1で掲載)
 2、北極海に広がるビジネス・チャンス 
 北極海の氷海が縮小し、シベリア大陸やカナダ領の北方諸島との間に海路が出来ると、北極海航路や資源開発などビジネスチャンスが広がる。
 北極航路には2つある。一つは、太平洋北端のベーリング海からシベリア・ユーラシア大陸に沿ってバレンツ海、ノルウエー海方面に向けての「北方海路」である。将来海路が開ければ、東アジアと欧州を結ぶ有力な国際海路となる。もう一つは、ベーリング海から米国アラスカ州、カナダの北方領沖の北極圏諸島をぬって大西洋に出る「北西航路」である。
 今後15年程度は年間を通じての使用は困難とする見方もあるが、それよりも早く氷海の融解が進むとの見方もある。
 また北極圏は、圏内の陸地はもとより、大陸棚も天然ガス、石油資源や金、銀、鉄、亜鉛、錫、ダイアモンドなど貴重な鉱物資源に富んでいる。
 このように北極海の氷原の縮小は温暖化への警告であるが、現実論として北極海に新たな経済開発の可能性が出て来ている。
 北極圏問題については、ノルウエーに北極評議会が設置されており、北極海開発の側面と環境保護についての共通の認識と協力を促進することを目的として協議が重ねられている。北極海周辺に領土を持つ米、加、露、ノルウェー、デンマークの5か国と外延のアイスランド、フィンランド、及びスエーデンの8カ国で構成され、日本のほか、中国、韓国などがオブザーバーとして参加できることになっている。
北極点の周辺には大陸はないが、周辺5カ国による大陸棚の線引きの問題について、2008年5月、周辺5か国は、国連海洋法条約(1982年に採択)に基づいて解決策を見出すことで合意し、当面領有権などを凍結している。しかしより長期の視点が必要であると共に、海運や資源開発等の面で国際的なガイドラインが必要になっていると言えよう。北極海の気象情報や航路情報を提供するシステムや緊急時の援護システムなども必要になって来よう。
 だが北極圏に広がるビジネスチャンスは、同時に温暖化への警鐘でもあるので、南極大陸同様、北極における大陸棚の領有権の凍結や調査・研究を除く経済活動の制限など、国際管理が必要になっていると言えよう。
(2012.08.12.)(Copy Right Reserved.)(不許無断転載・引用)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

融ける北極海の氷海 (その2)

2012-09-27 | Weblog
融ける北極海の氷海 (その2)
 夏になると、特に8月から10月に掛けて北極海の氷海が縮小し、地球規模での温暖化の進行として懸念される一方、夏期限定ではあるがシベリア大陸やカナダ領の北方諸島との間に海路が出来るなど、ビジネスチャンスが広がっている。
 北極海の氷原の動きについては、アラスカ大学の国際北極研究センターが衛星写真を長期に亘りモニターし、夏期に氷原が縮んでいる状況を公開しているが、日本の宇宙航空研究開発機構も2012年8月、北極海の氷原が近年で最も縮小していることを公表し、また米国宇宙航空局も同様の分析結果を公表している。
 1、縮む北極海の氷海は地球温暖化の警鐘か (その1で掲載)
 2、北極海に広がるビジネス・チャンス 
 北極海の氷海が縮小し、シベリア大陸やカナダ領の北方諸島との間に海路が出来ると、北極海航路や資源開発などビジネスチャンスが広がる。
 北極航路には2つある。一つは、太平洋北端のベーリング海からシベリア・ユーラシア大陸に沿ってバレンツ海、ノルウエー海方面に向けての「北方海路」である。将来海路が開ければ、東アジアと欧州を結ぶ有力な国際海路となる。もう一つは、ベーリング海から米国アラスカ州、カナダの北方領沖の北極圏諸島をぬって大西洋に出る「北西航路」である。
 今後15年程度は年間を通じての使用は困難とする見方もあるが、それよりも早く氷海の融解が進むとの見方もある。
 また北極圏は、圏内の陸地はもとより、大陸棚も天然ガス、石油資源や金、銀、鉄、亜鉛、錫、ダイアモンドなど貴重な鉱物資源に富んでいる。
 このように北極海の氷原の縮小は温暖化への警告であるが、現実論として北極海に新たな経済開発の可能性が出て来ている。
 北極圏問題については、ノルウエーに北極評議会が設置されており、北極海開発の側面と環境保護についての共通の認識と協力を促進することを目的として協議が重ねられている。北極海周辺に領土を持つ米、加、露、ノルウェー、デンマークの5か国と外延のアイスランド、フィンランド、及びスエーデンの8カ国で構成され、日本のほか、中国、韓国などがオブザーバーとして参加できることになっている。
北極点の周辺には大陸はないが、周辺5カ国による大陸棚の線引きの問題について、2008年5月、周辺5か国は、国連海洋法条約(1982年に採択)に基づいて解決策を見出すことで合意し、当面領有権などを凍結している。しかしより長期の視点が必要であると共に、海運や資源開発等の面で国際的なガイドラインが必要になっていると言えよう。北極海の気象情報や航路情報を提供するシステムや緊急時の援護システムなども必要になって来よう。
 だが北極圏に広がるビジネスチャンスは、同時に温暖化への警鐘でもあるので、南極大陸同様、北極における大陸棚の領有権の凍結や調査・研究を除く経済活動の制限など、国際管理が必要になっていると言えよう。
(2012.08.12.)(Copy Right Reserved.)(不許無断転載・引用)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

融ける北極海の氷海 (その2 )

2012-09-27 | Weblog
 融ける北極海の氷海 (その2)
 夏になると、特に8月から10月に掛けて北極海の氷海が縮小し、地球規模での温暖化の進行として懸念される一方、夏期限定ではあるがシベリア大陸やカナダ領の北方諸島との間に海路が出来るなど、ビジネスチャンスが広がっている。
 北極海の氷原の動きについては、アラスカ大学の国際北極研究センターが衛星写真を長期に亘りモニターし、夏期に氷原が縮んでいる状況を公開しているが、日本の宇宙航空研究開発機構も2012年8月、北極海の氷原が近年で最も縮小していることを公表し、また米国宇宙航空局も同様の分析結果を公表している。
 1、縮む北極海の氷海は地球温暖化の警鐘か (その1で掲載)
 2、北極海に広がるビジネス・チャンス 
 北極海の氷海が縮小し、シベリア大陸やカナダ領の北方諸島との間に海路が出来ると、北極海航路や資源開発などビジネスチャンスが広がる。
 北極航路には2つある。一つは、太平洋北端のベーリング海からシベリア・ユーラシア大陸に沿ってバレンツ海、ノルウエー海方面に向けての「北方海路」である。将来海路が開ければ、東アジアと欧州を結ぶ有力な国際海路となる。もう一つは、ベーリング海から米国アラスカ州、カナダの北方領沖の北極圏諸島をぬって大西洋に出る「北西航路」である。
 今後15年程度は年間を通じての使用は困難とする見方もあるが、それよりも早く氷海の融解が進むとの見方もある。
 また北極圏は、圏内の陸地はもとより、大陸棚も天然ガス、石油資源や金、銀、鉄、亜鉛、錫、ダイアモンドなど貴重な鉱物資源に富んでいる。
 このように北極海の氷原の縮小は温暖化への警告であるが、現実論として北極海に新たな経済開発の可能性が出て来ている。
 北極圏問題については、ノルウエーに北極評議会が設置されており、北極海開発の側面と環境保護についての共通の認識と協力を促進することを目的として協議が重ねられている。北極海周辺に領土を持つ米、加、露、ノルウェー、デンマークの5か国と外延のアイスランド、フィンランド、及びスエーデンの8カ国で構成され、日本のほか、中国、韓国などがオブザーバーとして参加できることになっている。
北極点の周辺には大陸はないが、周辺5カ国による大陸棚の線引きの問題について、2008年5月、周辺5か国は、国連海洋法条約(1982年に採択)に基づいて解決策を見出すことで合意し、当面領有権などを凍結している。しかしより長期の視点が必要であると共に、海運や資源開発等の面で国際的なガイドラインが必要になっていると言えよう。北極海の気象情報や航路情報を提供するシステムや緊急時の援護システムなども必要になって来よう。
 だが北極圏に広がるビジネスチャンスは、同時に温暖化への警鐘でもあるので、南極大陸同様、北極における大陸棚の領有権の凍結や調査・研究を除く経済活動の制限など、国際管理が必要になっていると言えよう。
(2012.08.12.)(Copy Right Reserved.)(不許無断転載・引用)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

融ける北極海の氷海 (その1)

2012-09-27 | Weblog
融ける北極海の氷海 (その1)
 夏になると、特に8月から10月に掛けて北極海の氷海が縮小し、地球規模での温暖化の進行として懸念される一方、夏期限定ではあるがシベリア大陸やカナダ領の北方諸島との間に海路が出来るなど、ビジネスチャンスが広がっている。
 北極海の氷原の動きについては、アラスカ大学の国際北極研究センターが衛星写真を長期に亘りモニターし、夏期に氷原が縮んでいる状況を公開しているが、日本の宇宙航空研究開発機構も2012年8月、北極海の氷原が近年で最も縮小していることを公表し、また米国宇宙航空局も同様の分析結果を公表している。
 1、縮む北極海の氷海は地球温暖化の警鐘か
 温暖化の速度などについては議論が分かれている。スイスを本拠とする民間団体「世界自然保護基金」(WWF)は、2013年から40年までに、北極圏の氷は夏期には全て消えるとの報告を出している。国連の「気候変動に関する政府間パネル」が出した07年の第4次評価報告書でも、“ヒマラヤの氷河は35年までに解けてなくなる可能性が強い”と指摘している。同グループはゴア米元副大統領と共にノーベル賞を受賞したが、氷河学者より300mもの厚さの氷河がそんなに早くは融けないとの疑問が呈され、同グループがそれを認めるなど、信憑性が疑われている。地球がミニ氷河期に入っているとの説もある。
 どの説を取るかは別として、着実に進んでいる事実がある。北極海の氷原が夏期に融けて縮小していることだ。衛星写真でも、08年においては6月末頃までは陸地まで氷海で覆われていたが、8月20日頃前後から氷海は陸地を離れ、海路が開け、砕氷船を使用すれば年間5ヶ月内外は航行可能となる。その期間は毎年伸びている。8月中旬には2-3週間程度砕氷船無しでも航行可能のようだ。5年前には、氷海が最も小さくなる8月下旬でも氷海は陸まで張り出ていた。
 これは今起きている現実であり、それは温暖化への警告でもある。北極の氷海縮小は、気流や海流による冷却効果を失わせ、地球温暖化を早める恐れがあり、現在世界各地で起っている局地的な豪雨や突風、旱魃など、これまでには見られなかった異常な気候変動との関連が考えられる。氷海が融ければ白熊や微生物などの希少生物は死滅して行く。取り戻すことは出来ない。北極圏の環境悪化は、米、露など沿岸5か国のみの問題では無く、この地球の運命にも影響を与えている。冷蔵庫の中の冷凍器部分が夏の一定期間融け落ちることを想像すれば影響の大きさは分かるだろう。
 同時に忘れてはならないのは、反対側の南極大陸でも氷河、氷原が急速に融けているという事実だ。またヒマラヤやアルプス、キリマンジェロ等の氷河も融け、後退しているので、これらの相乗効果を考慮しなくてはならない。
 北極圏も南極同様、人類の共通の資産と位置付け、大陸棚の領有権や「線引き」の凍結や北極圏の一定の範囲を世界遺産に指定するなど、国際的な保護の必要性が高まっている。
 2、北極海に広がるビジネス・チャンス (その2に掲載)
 (2012.08.12.)(Copy Right Reserved.)(不許無断転載・引用)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

融ける北極海の氷海 (その1)

2012-09-27 | Weblog
融ける北極海の氷海 (その1)
 夏になると、特に8月から10月に掛けて北極海の氷海が縮小し、地球規模での温暖化の進行として懸念される一方、夏期限定ではあるがシベリア大陸やカナダ領の北方諸島との間に海路が出来るなど、ビジネスチャンスが広がっている。
 北極海の氷原の動きについては、アラスカ大学の国際北極研究センターが衛星写真を長期に亘りモニターし、夏期に氷原が縮んでいる状況を公開しているが、日本の宇宙航空研究開発機構も2012年8月、北極海の氷原が近年で最も縮小していることを公表し、また米国宇宙航空局も同様の分析結果を公表している。
 1、縮む北極海の氷海は地球温暖化の警鐘か
 温暖化の速度などについては議論が分かれている。スイスを本拠とする民間団体「世界自然保護基金」(WWF)は、2013年から40年までに、北極圏の氷は夏期には全て消えるとの報告を出している。国連の「気候変動に関する政府間パネル」が出した07年の第4次評価報告書でも、“ヒマラヤの氷河は35年までに解けてなくなる可能性が強い”と指摘している。同グループはゴア米元副大統領と共にノーベル賞を受賞したが、氷河学者より300mもの厚さの氷河がそんなに早くは融けないとの疑問が呈され、同グループがそれを認めるなど、信憑性が疑われている。地球がミニ氷河期に入っているとの説もある。
 どの説を取るかは別として、着実に進んでいる事実がある。北極海の氷原が夏期に融けて縮小していることだ。衛星写真でも、08年においては6月末頃までは陸地まで氷海で覆われていたが、8月20日頃前後から氷海は陸地を離れ、海路が開け、砕氷船を使用すれば年間5ヶ月内外は航行可能となる。その期間は毎年伸びている。8月中旬には2-3週間程度砕氷船無しでも航行可能のようだ。5年前には、氷海が最も小さくなる8月下旬でも氷海は陸まで張り出ていた。
 これは今起きている現実であり、それは温暖化への警告でもある。北極の氷海縮小は、気流や海流による冷却効果を失わせ、地球温暖化を早める恐れがあり、現在世界各地で起っている局地的な豪雨や突風、旱魃など、これまでには見られなかった異常な気候変動との関連が考えられる。氷海が融ければ白熊や微生物などの希少生物は死滅して行く。取り戻すことは出来ない。北極圏の環境悪化は、米、露など沿岸5か国のみの問題では無く、この地球の運命にも影響を与えている。冷蔵庫の中の冷凍器部分が夏の一定期間融け落ちることを想像すれば影響の大きさは分かるだろう。
 同時に忘れてはならないのは、反対側の南極大陸でも氷河、氷原が急速に融けているという事実だ。またヒマラヤやアルプス、キリマンジェロ等の氷河も融け、後退しているので、これらの相乗効果を考慮しなくてはならない。
 北極圏も南極同様、人類の共通の資産と位置付け、大陸棚の領有権や「線引き」の凍結や北極圏の一定の範囲を世界遺産に指定するなど、国際的な保護の必要性が高まっている。
 2、北極海に広がるビジネス・チャンス (その2に掲載)
 (2012.08.12.)(Copy Right Reserved.)(不許無断転載・引用)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

竹島問題を大所高所から解決すべき時   (その4)

2012-09-27 | Weblog
竹島問題を大所高所から解決すべき時   (その4)
 韓国の李明博大統領は、8月10日、ヘリコプターで竹島(韓国名独島)に上陸し視察し、その後も日本側の批判、抗議等に耳を貸さず、石碑を建てるなど、心無い行動を継続した。竹島は島根県に属するが、李承晩・大韓民国(韓国)大統領が、1952年1月18日、「海洋主権」を宣言し、周辺海域に「漁船立ち入り禁止線」、通称「李承晩ライン」を設定し、同島は韓国の支配下にあると一方的に宣言して以来、日韓間の喉もとの小骨となっている。
 今回の李明博韓国大統領の竹島上陸は日韓関係にとって極めて深刻な行為であり、日本としても重大な決意を持って竹島問題の解決に努めるべきであろう。
 1、日韓の古くからの接点、竹島(独島)の歴史  (そのに掲載)
 2、「日韓新時代」は竹島(独島)問題の早期解決が鍵 (その2に掲載)
 3、模索すべき大所高所からの解決策 (その3に掲載)
 4、歴史も状況も異なる竹島、尖閣列島、北方4島問題 
 日本は、竹島以外にも、中国と尖閣列島、ロシアと北方4島について領土問題を抱えている。
 尖閣列島については、1978年に日中平和友好条約が締結されるに際しその取り扱いが問題となったが、ソ連の地域覇権を警戒する中国側がソ連に対する反覇権を念頭に置いた第三国条項の確保を優先し、尖閣列島については“将来の世代に委ねる”として平和友好条約を締結した経緯がある。
 北方4島については、太平洋戦争の終戦を6日後に控え、1945年8月9日、ソ連が米英とのヤルタ会談に基づき、日本との中立(不可侵)条約を一方的に破棄して対日参戦し、北方4島に侵入し、その後も占拠し続けている。プーチン大統領は、“北方4島は戦争により獲得したもの”と明言しており、その取り扱いは今後のロシアとの平和条約交渉に委ねられている。
このように、竹島、尖閣、北方4島の3つの領土問題は、それぞれ状況も歴史的な経緯も異なるので、竹島問題は竹島問題として韓国側ときちんと対応して行くことが不可欠だ。
(2012.08.25.)(Copy Right Reserved.)(不許無断転載・引用)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

竹島問題を大所高所から解決すべき時   (その4)

2012-09-27 | Weblog
竹島問題を大所高所から解決すべき時   (その4)
 韓国の李明博大統領は、8月10日、ヘリコプターで竹島(韓国名独島)に上陸し視察し、その後も日本側の批判、抗議等に耳を貸さず、石碑を建てるなど、心無い行動を継続した。竹島は島根県に属するが、李承晩・大韓民国(韓国)大統領が、1952年1月18日、「海洋主権」を宣言し、周辺海域に「漁船立ち入り禁止線」、通称「李承晩ライン」を設定し、同島は韓国の支配下にあると一方的に宣言して以来、日韓間の喉もとの小骨となっている。
 今回の李明博韓国大統領の竹島上陸は日韓関係にとって極めて深刻な行為であり、日本としても重大な決意を持って竹島問題の解決に努めるべきであろう。
 1、日韓の古くからの接点、竹島(独島)の歴史  (そのに掲載)
 2、「日韓新時代」は竹島(独島)問題の早期解決が鍵 (その2に掲載)
 3、模索すべき大所高所からの解決策 (その3に掲載)
 4、歴史も状況も異なる竹島、尖閣列島、北方4島問題 
 日本は、竹島以外にも、中国と尖閣列島、ロシアと北方4島について領土問題を抱えている。
 尖閣列島については、1978年に日中平和友好条約が締結されるに際しその取り扱いが問題となったが、ソ連の地域覇権を警戒する中国側がソ連に対する反覇権を念頭に置いた第三国条項の確保を優先し、尖閣列島については“将来の世代に委ねる”として平和友好条約を締結した経緯がある。
 北方4島については、太平洋戦争の終戦を6日後に控え、1945年8月9日、ソ連が米英とのヤルタ会談に基づき、日本との中立(不可侵)条約を一方的に破棄して対日参戦し、北方4島に侵入し、その後も占拠し続けている。プーチン大統領は、“北方4島は戦争により獲得したもの”と明言しており、その取り扱いは今後のロシアとの平和条約交渉に委ねられている。
このように、竹島、尖閣、北方4島の3つの領土問題は、それぞれ状況も歴史的な経緯も異なるので、竹島問題は竹島問題として韓国側ときちんと対応して行くことが不可欠だ。
(2012.08.25.)(Copy Right Reserved.)(不許無断転載・引用)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

竹島問題を大所高所から解決すべき時 (その3)

2012-09-27 | Weblog
竹島問題を大所高所から解決すべき時 (その3)
 韓国の李明博大統領は、8月10日、ヘリコプターで竹島(韓国名独島)に上陸し視察し、その後も日本側の批判、抗議等に耳を貸さず、石碑を建てるなど、心無い行動を継続した。竹島は島根県に属するが、李承晩・大韓民国(韓国)大統領が、1952年1月18日、「海洋主権」を宣言し、周辺海域に「漁船立ち入り禁止線」、通称「李承晩ライン」を設定し、同島は韓国の支配下にあると一方的に宣言して以来、日韓間の喉もとの小骨となっている。
 今回の李明博韓国大統領の竹島上陸は日韓関係にとって極めて深刻な行為であり、日本としても重大な決意を持って竹島問題の解決に努めるべきであろう。
 1、日韓の古くからの接点、竹島(独島)の歴史  (そのに掲載)
 2、「日韓新時代」は竹島(独島)問題の早期解決が鍵 (その2に掲載)
 3、模索すべき大所高所からの解決策
 米国国務省公開文書「1964年から68年米国の外交関係29編」に基づけば、同島の「日韓共同所有案」について、1965年5月17日、訪米した朴大統領(当時)に対し、ラスク米国務長官が、解決に向けての方策として提案したが、朴大統領は「あるまじきこと」として固辞した旨伝えられている。またその後、米国は韓国に対し同島問題を議題として韓日外相会談を提案したが、同大統領の受け入れるところにはならなかったとされている。
 共同所有案にしても、共同管理・分割領有にしても、両国国内の世論等もあり困難が伴うと予想されるが、日韓関係は当時とは異なっている。日韓両国は、1965年6月22日に日韓基本条約を締結し、国交を正常化すると共に、戦後請求権問題も経済協力等の形で処理し、基本的な友好関係の枠組みもそれなりに確立しており、市民レベルの交流も盛り上がりを見せている。今後日韓関係が健全に発展するか、阻害されるかが、竹島問題解決への両国首脳のリーダーシップと大所高所からの英断に掛かっていると言えよう。この問題の解決なくしては、真の「日韓新時代」の幕開はないであろう。       
 4、歴史も状況も異なる竹島、尖閣列島、北方4島問題  (その4で掲載)
(2012.08.25.)(Copy Right Reserved.)(不許無断転載・引用)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

竹島問題を大所高所から解決すべき時 (その3)

2012-09-27 | Weblog
竹島問題を大所高所から解決すべき時 (その3)
 韓国の李明博大統領は、8月10日、ヘリコプターで竹島(韓国名独島)に上陸し視察し、その後も日本側の批判、抗議等に耳を貸さず、石碑を建てるなど、心無い行動を継続した。竹島は島根県に属するが、李承晩・大韓民国(韓国)大統領が、1952年1月18日、「海洋主権」を宣言し、周辺海域に「漁船立ち入り禁止線」、通称「李承晩ライン」を設定し、同島は韓国の支配下にあると一方的に宣言して以来、日韓間の喉もとの小骨となっている。
 今回の李明博韓国大統領の竹島上陸は日韓関係にとって極めて深刻な行為であり、日本としても重大な決意を持って竹島問題の解決に努めるべきであろう。
 1、日韓の古くからの接点、竹島(独島)の歴史  (そのに掲載)
 2、「日韓新時代」は竹島(独島)問題の早期解決が鍵 (その2に掲載)
 3、模索すべき大所高所からの解決策
 米国国務省公開文書「1964年から68年米国の外交関係29編」に基づけば、同島の「日韓共同所有案」について、1965年5月17日、訪米した朴大統領(当時)に対し、ラスク米国務長官が、解決に向けての方策として提案したが、朴大統領は「あるまじきこと」として固辞した旨伝えられている。またその後、米国は韓国に対し同島問題を議題として韓日外相会談を提案したが、同大統領の受け入れるところにはならなかったとされている。
 共同所有案にしても、共同管理・分割領有にしても、両国国内の世論等もあり困難が伴うと予想されるが、日韓関係は当時とは異なっている。日韓両国は、1965年6月22日に日韓基本条約を締結し、国交を正常化すると共に、戦後請求権問題も経済協力等の形で処理し、基本的な友好関係の枠組みもそれなりに確立しており、市民レベルの交流も盛り上がりを見せている。今後日韓関係が健全に発展するか、阻害されるかが、竹島問題解決への両国首脳のリーダーシップと大所高所からの英断に掛かっていると言えよう。この問題の解決なくしては、真の「日韓新時代」の幕開はないであろう。       
 4、歴史も状況も異なる竹島、尖閣列島、北方4島問題  (その4で掲載)
(2012.08.25.)(Copy Right Reserved.)(不許無断転載・引用)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

竹島問題を大所高所から解決すべき時 (その2)

2012-09-27 | Weblog
竹島問題を大所高所から解決すべき時 (その2)
 韓国の李明博大統領は、8月10日、ヘリコプターで竹島(韓国名独島)に上陸し視察し、その後も日本側の批判、抗議等に耳を貸さず、石碑を建てるなど、心無い行動を継続した。竹島は島根県に属するが、李承晩・大韓民国(韓国)大統領が、1952年1月18日、「海洋主権」を宣言し、周辺海域に「漁船立ち入り禁止線」、通称「李承晩ライン」を設定し、同島は韓国の支配下にあると一方的に宣言して以来、日韓間の喉もとの小骨となっている。
 今回の李明博韓国大統領の竹島上陸は日韓関係にとって極めて深刻な行為であり、日本としても重大な決意を持って竹島問題の解決に努めるべきであろう。
 1、日韓の古くからの接点、竹島(独島)の歴史 (その1で掲載)
 2、「日韓新時代」は竹島(独島)問題の早期解決が鍵
 竹島の帰属問題は、日本政府としては1954年、1962年に国際司法裁判所に付託することを韓国側に提案し来ているが、韓国政府が同意していないため実現していない。
 竹島は韓国により事実上占拠されており、韓国側はこれを「実効支配」と称している。しかし本来「実効支配」とは、「政府承認の重要な要件」の一つとして、特定国の政府が国内全域において実効的に支配が確立出来ているか否かを判断する概念であり、日本が領有を主張し、両国間の国際問題となっているので、同島を「実力行使」で占拠しても、日本が領有権を明確に表明している限り、実力行使による「占拠」でしかない。
日本政府は今回も国際司法裁判所へ提訴するなど、国際法にしたがって平和的解決を図るとしているが、これまで通り韓国が国際司法裁判所への付託に同意しない限り係争案件として受理されない。これまでのようにこの問題で建前論や事なかれを繰り返し、或いは韓国側を刺激することを恐れてこの問題を避けて通ることはもはや許されない。
 今回についても韓国政府は、国際司法裁判所への共同提案はもとより、付託自体を拒否する姿勢を明らかにしている。その上、野田首相が今回の一連の行動を遺憾とし、国際司法裁判所への共同提案を促す内容の李明博大統領宛親書を在京韓国大使館に託したが、韓国側はこれを差し戻そうとした上、書留郵便で外務省に返送するとの呆れた行動に出ている。これを受けて日本政府は、当初経済的影響を考慮し対応を慎重に検討するとしていた。しかし韓国大統領の竹島上陸は、日韓両国政府の信頼関係を著しく損なう行動であるので、この行動が日韓関係に影響を与えないはずがない。竹島は日本の領土であるのでしっかりと主張し、短期的に両国関係に影響することがあるとしても、毅然としてあらゆる措置、対策を取るべきであろう。言葉だけの外交や、問題先送り外交により事態の改善をもたらすことはないことが、李大統領の今回の同島訪問で明らかになった。影響を恐れて従来のような事なかれ外交を繰り返すことは、韓国側に日本は従来通り何も出来ない、何もしないとの誤ったメッセージを送り、現状を事実上容認することになる恐れが強い。従来の措置を超える明確且つ具体的な措置を検討、実施すべきであろう。
 領土の保全は、国家、国民の存立の基礎であり、安全保障、防衛の基本的な役割である。従って、韓国政府が竹島を巡る領有権問題で日本の利益を害する行動を継続するのであれば、日韓間の防衛協力については実務的な情報交換や信頼醸成措置程度に止める一方、朝鮮半島有事に際する協力は凍結し、日本自身の領土保全、安全保障に重点をシフトするなど、防衛政策の転換を検討すべきであろう。
 他方、日韓両国は近年において経済の相互依存関係を強め、また民間レベルの文化・芸能交流などが深まっているので、このような民間レベルの日韓交流に影響を与えないよう留意しつつ、国際司法裁判所への付託を含め、首脳レベルでの協議を打診し、常に本件協議への門戸を開放しておく一方、一般的な首脳レベルでの交流を停止する。また日韓経済連携協議の凍結や金融・資本、高度技術分野などでの政府レベルの交流、協力を抑制するなど、竹島問題の解決に向けて明確なメッセージを送り続けるべきであろう。但し、2国間関係は相互の努力で発展するものであるので、日本だけではなく、韓国の官民もこの問題が民間レベルの交流に影響を与えないよう努力することを期待したい。この関連で、日韓間の議員交流を超党派での交流を含めもっと頻繁に行うことが望ましい。
この問題の解決なくして「日韓新時代」の幕開けなどは、実体が伴わない標語に過ぎない。
 なお李明博大統領は、今回の竹島を巡る行動は慰安婦問題に対する日本側のはっきりしない姿勢が背景にあるなどとしている。しかし戦時中の賠償問題については、1965年6月22日に日韓基本条約を締結し、国交を正常化すると共に、請求権問題も経済協力等の形で政府間で処理し、個々人の請求権については相互に放棄し、それぞれの政府が対応すべきものと合意されている。従って明示はしていないものの、慰安婦問題も韓国国内で請求等がある場合には韓国政府が対処すべきことであろう。更に慰安婦問題が韓国の他、フィリピン、台湾など一部アジア地域で問題となったことを受けて、村山連立政権当時、政府間の賠償請求については合意済みとの立場を取りつつも、1995年7月、民間資金も募り、「女性のためのアジア平和国民基金」を設立し、アジア地域で被害を受けたと思われる女性に対し償い金を支払い、日本国民としての償いの気持ちを表わしている。同基金は2007年に解散されているが、戦時という異常な状態でのこととは言え、もしそのような被害を受けられた女性がなおおられたとすれば心からお詫びをしたい。
 また同大統領は、天皇が訪韓されたいということであれば独立運動で亡くなった方に謝罪すべきと発言した旨報道され、日本政府が遺憾の意を表明するなど問題となっている。確かに同大統領は、就任後2008年4月に訪日し、天皇陛下と謁見の上歓談されているのに何故あのような発言をされたのか理解に苦しむ。しかし同発言は、韓国教員大学校で開催された教員関連の会合でのものであり、公開の場や公式の場での発言ではないので、日本政府が公式にコメントする必要はないと思われる。これらの発言の応酬は無用であり、お互いに自制することが望まれる。
 3、模索すべき大所高所からの解決策         (その3で掲載)
 4、歴史も状況も異なる竹島、尖閣列島、北方4島問題  (その4で掲載)
(2012.08.25.)(Copy Right Reserved.)(不許無断転載・引用)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

竹島問題を大所高所から解決すべき時 (その2)

2012-09-27 | Weblog
竹島問題を大所高所から解決すべき時 (その2)
 韓国の李明博大統領は、8月10日、ヘリコプターで竹島(韓国名独島)に上陸し視察し、その後も日本側の批判、抗議等に耳を貸さず、石碑を建てるなど、心無い行動を継続した。竹島は島根県に属するが、李承晩・大韓民国(韓国)大統領が、1952年1月18日、「海洋主権」を宣言し、周辺海域に「漁船立ち入り禁止線」、通称「李承晩ライン」を設定し、同島は韓国の支配下にあると一方的に宣言して以来、日韓間の喉もとの小骨となっている。
 今回の李明博韓国大統領の竹島上陸は日韓関係にとって極めて深刻な行為であり、日本としても重大な決意を持って竹島問題の解決に努めるべきであろう。
 1、日韓の古くからの接点、竹島(独島)の歴史 (その1で掲載)
 2、「日韓新時代」は竹島(独島)問題の早期解決が鍵
 竹島の帰属問題は、日本政府としては1954年、1962年に国際司法裁判所に付託することを韓国側に提案し来ているが、韓国政府が同意していないため実現していない。
 竹島は韓国により事実上占拠されており、韓国側はこれを「実効支配」と称している。しかし本来「実効支配」とは、「政府承認の重要な要件」の一つとして、特定国の政府が国内全域において実効的に支配が確立出来ているか否かを判断する概念であり、日本が領有を主張し、両国間の国際問題となっているので、同島を「実力行使」で占拠しても、日本が領有権を明確に表明している限り、実力行使による「占拠」でしかない。
日本政府は今回も国際司法裁判所へ提訴するなど、国際法にしたがって平和的解決を図るとしているが、これまで通り韓国が国際司法裁判所への付託に同意しない限り係争案件として受理されない。これまでのようにこの問題で建前論や事なかれを繰り返し、或いは韓国側を刺激することを恐れてこの問題を避けて通ることはもはや許されない。
 今回についても韓国政府は、国際司法裁判所への共同提案はもとより、付託自体を拒否する姿勢を明らかにしている。その上、野田首相が今回の一連の行動を遺憾とし、国際司法裁判所への共同提案を促す内容の李明博大統領宛親書を在京韓国大使館に託したが、韓国側はこれを差し戻そうとした上、書留郵便で外務省に返送するとの呆れた行動に出ている。これを受けて日本政府は、当初経済的影響を考慮し対応を慎重に検討するとしていた。しかし韓国大統領の竹島上陸は、日韓両国政府の信頼関係を著しく損なう行動であるので、この行動が日韓関係に影響を与えないはずがない。竹島は日本の領土であるのでしっかりと主張し、短期的に両国関係に影響することがあるとしても、毅然としてあらゆる措置、対策を取るべきであろう。言葉だけの外交や、問題先送り外交により事態の改善をもたらすことはないことが、李大統領の今回の同島訪問で明らかになった。影響を恐れて従来のような事なかれ外交を繰り返すことは、韓国側に日本は従来通り何も出来ない、何もしないとの誤ったメッセージを送り、現状を事実上容認することになる恐れが強い。従来の措置を超える明確且つ具体的な措置を検討、実施すべきであろう。
 領土の保全は、国家、国民の存立の基礎であり、安全保障、防衛の基本的な役割である。従って、韓国政府が竹島を巡る領有権問題で日本の利益を害する行動を継続するのであれば、日韓間の防衛協力については実務的な情報交換や信頼醸成措置程度に止める一方、朝鮮半島有事に際する協力は凍結し、日本自身の領土保全、安全保障に重点をシフトするなど、防衛政策の転換を検討すべきであろう。
 他方、日韓両国は近年において経済の相互依存関係を強め、また民間レベルの文化・芸能交流などが深まっているので、このような民間レベルの日韓交流に影響を与えないよう留意しつつ、国際司法裁判所への付託を含め、首脳レベルでの協議を打診し、常に本件協議への門戸を開放しておく一方、一般的な首脳レベルでの交流を停止する。また日韓経済連携協議の凍結や金融・資本、高度技術分野などでの政府レベルの交流、協力を抑制するなど、竹島問題の解決に向けて明確なメッセージを送り続けるべきであろう。但し、2国間関係は相互の努力で発展するものであるので、日本だけではなく、韓国の官民もこの問題が民間レベルの交流に影響を与えないよう努力することを期待したい。この関連で、日韓間の議員交流を超党派での交流を含めもっと頻繁に行うことが望ましい。
この問題の解決なくして「日韓新時代」の幕開けなどは、実体が伴わない標語に過ぎない。
 なお李明博大統領は、今回の竹島を巡る行動は慰安婦問題に対する日本側のはっきりしない姿勢が背景にあるなどとしている。しかし戦時中の賠償問題については、1965年6月22日に日韓基本条約を締結し、国交を正常化すると共に、請求権問題も経済協力等の形で政府間で処理し、個々人の請求権については相互に放棄し、それぞれの政府が対応すべきものと合意されている。従って明示はしていないものの、慰安婦問題も韓国国内で請求等がある場合には韓国政府が対処すべきことであろう。更に慰安婦問題が韓国の他、フィリピン、台湾など一部アジア地域で問題となったことを受けて、村山連立政権当時、政府間の賠償請求については合意済みとの立場を取りつつも、1995年7月、民間資金も募り、「女性のためのアジア平和国民基金」を設立し、アジア地域で被害を受けたと思われる女性に対し償い金を支払い、日本国民としての償いの気持ちを表わしている。同基金は2007年に解散されているが、戦時という異常な状態でのこととは言え、もしそのような被害を受けられた女性がなおおられたとすれば心からお詫びをしたい。
 また同大統領は、天皇が訪韓されたいということであれば独立運動で亡くなった方に謝罪すべきと発言した旨報道され、日本政府が遺憾の意を表明するなど問題となっている。確かに同大統領は、就任後2008年4月に訪日し、天皇陛下と謁見の上歓談されているのに何故あのような発言をされたのか理解に苦しむ。しかし同発言は、韓国教員大学校で開催された教員関連の会合でのものであり、公開の場や公式の場での発言ではないので、日本政府が公式にコメントする必要はないと思われる。これらの発言の応酬は無用であり、お互いに自制することが望まれる。
 3、模索すべき大所高所からの解決策         (その3で掲載)
 4、歴史も状況も異なる竹島、尖閣列島、北方4島問題  (その4で掲載)
(2012.08.25.)(Copy Right Reserved.)(不許無断転載・引用)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする