参議院選挙の意義
―見直されるべき参議院のあり方-
7月29日、参議院議員選挙において有権者の各政党、政策への審判が下される。
今回の参院選は、半数改選ではあるが、6年間の任期があり、野党が実質的に過半数を確保する場合には、その間に政権交代の可能性が強くなり、日本の議会制民主主義の今後にとって重要な選挙である。逆に、今回の参院選で、与党が、郵政造反組などを取り込むことを含め、過半数を維持する場合は更に長期の与党政権を温存することになる。有権者、国民としても、今回の参院選はそのような戦後政治の節目ともなり得るような大切な選挙であることを認識し、政策選択、政党選択を行う必要がある。
結果はどうあれ、投票の結果は尊重されなくてはならない。ところが今回の参院選の公示前から、与党内で、参院選挙は半数改選であり、いわば「中間評価」であるので、過半数割れでも総理は辞任する必要はないとの発言がなされた。選挙であるので、結果が出るまではそのような発言は尚早だ。
しかし、このような発言がなされると、参議院の意義が疑問となる。参議院は、総選挙が無く、常に3年毎に半数が改選されることになるので、「中間評価」でしかない、だから与党が敗北し、参議院が過半数割れとなっても、責任を取る必要がないということであれば、参議院の議員数を100から150議席程度に削減し、道州制を念頭に置いて、中選挙区制(各選挙区2~3名程度)と選挙区に縛られない比例代表若干名とするなど、衆議院とは異なる選挙制度にしてはどうであろうか。現在は、選挙制度を見る限り、参議院は衆議院のクローンでしかない。本来、参院選も民意を問う国政選挙であり、総体として民意が公正に反映されるよう改善すべきであろう。
参議院については、一票の格差が5倍以上の選挙区が今なお存在しており、最高裁では、一応合憲とされているものの、改善意見や反対意見が複数付されている。国民の間でも、長期に亘る大幅な一票の格差に対する不公平感は根強い。ある地域の有権者の一票の価値が、2分の1程度でも良い、ましてや5分の1程度でも良いと考えるのは、余りにも鈍感であり、不公正ではないだろうか。選挙区により有権者が、衆院選挙では最大2票、参院選では最大5票の投票権を持っているというのに等しい。そのような不公正さが、参議院の評価と国民の代表としての正当性を大いに低めており、また、都市部の投票率が低いのは、一票の価値への幻滅感、無力感からではなかろうか。地方都市を含め、大都市の人口の多くは地方出身者であり、都市部の有権者は、地方の発展にも大きな関心と期待を持っている。
公正な「民主主義」と言うのであれば、また、国会が国民を代表すると言うのであれば、衆・参両院とも、1票の格差を出来るだけ1に近づけるよう、少なくても1.5倍以内に収める努力が不可欠であろう。不公正な選挙から公正な国会は望みようがない。
参院選も国政選挙であり、有権者の選択、民意は反映されなくてはならない。今回の参院選の隠れた争点は「参議院の意義」であったとも言えよう。
―見直されるべき参議院のあり方-
7月29日、参議院議員選挙において有権者の各政党、政策への審判が下される。
今回の参院選は、半数改選ではあるが、6年間の任期があり、野党が実質的に過半数を確保する場合には、その間に政権交代の可能性が強くなり、日本の議会制民主主義の今後にとって重要な選挙である。逆に、今回の参院選で、与党が、郵政造反組などを取り込むことを含め、過半数を維持する場合は更に長期の与党政権を温存することになる。有権者、国民としても、今回の参院選はそのような戦後政治の節目ともなり得るような大切な選挙であることを認識し、政策選択、政党選択を行う必要がある。
結果はどうあれ、投票の結果は尊重されなくてはならない。ところが今回の参院選の公示前から、与党内で、参院選挙は半数改選であり、いわば「中間評価」であるので、過半数割れでも総理は辞任する必要はないとの発言がなされた。選挙であるので、結果が出るまではそのような発言は尚早だ。
しかし、このような発言がなされると、参議院の意義が疑問となる。参議院は、総選挙が無く、常に3年毎に半数が改選されることになるので、「中間評価」でしかない、だから与党が敗北し、参議院が過半数割れとなっても、責任を取る必要がないということであれば、参議院の議員数を100から150議席程度に削減し、道州制を念頭に置いて、中選挙区制(各選挙区2~3名程度)と選挙区に縛られない比例代表若干名とするなど、衆議院とは異なる選挙制度にしてはどうであろうか。現在は、選挙制度を見る限り、参議院は衆議院のクローンでしかない。本来、参院選も民意を問う国政選挙であり、総体として民意が公正に反映されるよう改善すべきであろう。
参議院については、一票の格差が5倍以上の選挙区が今なお存在しており、最高裁では、一応合憲とされているものの、改善意見や反対意見が複数付されている。国民の間でも、長期に亘る大幅な一票の格差に対する不公平感は根強い。ある地域の有権者の一票の価値が、2分の1程度でも良い、ましてや5分の1程度でも良いと考えるのは、余りにも鈍感であり、不公正ではないだろうか。選挙区により有権者が、衆院選挙では最大2票、参院選では最大5票の投票権を持っているというのに等しい。そのような不公正さが、参議院の評価と国民の代表としての正当性を大いに低めており、また、都市部の投票率が低いのは、一票の価値への幻滅感、無力感からではなかろうか。地方都市を含め、大都市の人口の多くは地方出身者であり、都市部の有権者は、地方の発展にも大きな関心と期待を持っている。
公正な「民主主義」と言うのであれば、また、国会が国民を代表すると言うのであれば、衆・参両院とも、1票の格差を出来るだけ1に近づけるよう、少なくても1.5倍以内に収める努力が不可欠であろう。不公正な選挙から公正な国会は望みようがない。
参院選も国政選挙であり、有権者の選択、民意は反映されなくてはならない。今回の参院選の隠れた争点は「参議院の意義」であったとも言えよう。