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子どもたちに渡すな!あぶない教科書 大阪の会

大阪で教科書問題にとり組む市民運動の交流ブログ

育鵬社公民教科書は「差別といじめ」を誘発する教科書!東大阪市教委に要請を!

2020-08-10 09:06:28 | 2020年度中学校教科書採択(大阪)
育鵬社公民教科書には「子どもの人権侵害」の記述がたくさんありますが、なかでも157ページのコラムの問題は深刻です。このコラムには明らかな地名の間違いもあり、教科書として失格です。心配していた名古屋でも、市民の力で育鵬社教科書採択を止めました。最後の1週間あまりの集中的要望や抗議も力を発揮したのではないかと思います。

大阪では大阪市、東大阪市、泉佐野市が育鵬社採択地域です。なかでも東大阪市は2011年以来、9年間も子どもや教員に育鵬社公民教科書を押しつけてきました。8月24日(月)の採択会議まであと2週間、市民たちは何とか阻止しようと頑張っています。

次のアピールをぜひ拡散してください。そして東大阪市教育委員会に「育鵬社公民教科書を採択するな!」の声を届けてください。

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子どもを傷つける教科書の採択は許せません!
育鵬社公民教科書は「差別といじめ」を誘発する教科書です。



2020年8月8日 
子どもたちに渡すな!あぶない教科書 大阪の会

育鵬社公民教科書157ページの「『子どもの貧困』と『子ども食堂』」というコラムは、育鵬社公民教科書157ページにあるコラムです。東大阪市ではすでに9年間も育鵬社公民教科書を使用していますが、今年は「人権侵害記述」がいっそう増えています。もし今年も採択されるなら、子どもたちは来年から、このコラムを目にすることになります。

「子ども食堂」を貧困な子どもの行く場所と決めつける育鵬社公民教科書


 現在、全国で多くの「子ども食堂」が運営されています。近年、家庭で十分な食事ができない子どもが増えてきたことから、地域の住民たちがボランティアで取り組み始め、今では地域の重要な交流の場になっています。
 運営している市民たちは「子ども食堂」を必要としている子どもたちが参加しやすいように、「どの子も来てよい食堂」にし、さらに地域住民も参加して「みんなで楽しくご飯を食べる場所」「みんなで学習する場所」にしてきました。その結果、地域の交流が活発になり、近所の子どもたちの見守りも進んでいるといわれます。
 ところが育鵬社公民教科書は、そんな市民たちの努力をぶち壊します。「子ども食堂」や「無料学習塾」は「貧困な子どもが行く所」というイメージが作られれば、本当に必要とする子どもたちは行きにくくなります。また周りの子どもたちには偏見が生まれ、「差別」や「いじめ」につながる可能性があります。

「ひとり親家庭」への偏見を助長し、子どもを傷つける育鵬社公民教科書


 このコラムには「特にひとり親の家庭は経済的に余裕のない状況にあります」という記述もあります。これも「ひとり親家庭」を「貧困」と決めつけています。
「こども食堂」で子どもの学習支援をおこなっている元教員のAさんは、「子どもたちは両親の離婚の時に修羅場を経験し、暴力のトラウマに苦しみ、荒れていく子も多い」と言います。たとえ「経済的に余裕のない状況」にあったとしても、子どもには子どものプライドがあります。「家庭のことには触れてほしくないと思っている思春期の子どもの傷ついた心に塩を塗るような、こんな教科書は絶対に許せない」と、Aさんは強く抗議しています。

教員も困らせる育鵬社公民教科書


 教室には「子ども食堂」に行っている子どもも「ひとり親家庭」の子どももいます。いろいろな事情を抱えた子どもたちが「差別」や「いじめ」を受けないように、日々心配りをしている教員たちは、この教科書を与えられてどんな授業をすればいいのでしょうか。
子どもたちの中には「貧しい」ことや「ひとり親」であることに何の引け目も感じず、堂々としている子もいるでしょう。また何の偏見も持たない子もいるでしょう。しかし学校現場での厳しい現実を考えると、教員たちはこのコラムには本当に困ってしまいます。
たいていの子どもたちは、教科書には正しいことが書いてあると思っています。その子どもたちに、教科書どおりに教えられないのが育鵬社公民教科書なのです。

愛知県に「守山市」はありません!


 157ページのコラムにある「無料学習塾」の写真には、「愛知県守山市」という地名が書かれています。ところが愛知県には「守山市」はありません。こんな初歩的なミスをチェックできなかった文科省の責任も問われますが、育鵬社は厳密さが必要とされる教科書の編集じたいをきちんとできず、そもそも教科書を発行する資格のない出版社です。

教育委員会が「人権侵害」に加担することは、断じて許されません!


 東大阪市教育委員会は9年間も、子どもと教員に育鵬社公民教科書を押しつけてきました。「多文化共生の街」にふさわしい教科書を採択してほしいという市民の声を無視し、野田市長からの圧力に屈してきたのです。東大阪市教育委員会は、東大阪市の子どもたちと野田市長のどっちが大切なのでしょうか。教育委員会みずからが、子どもを傷つけることに加担することは、断じて許されません。
全国各地で育鵬社教科書は不採択になりました!
 今年、東京都立中高一貫校、神奈川県横浜市、藤沢市、大阪府四条畷市、河内長野市などは育鵬社採択をやめました。「南京虐殺」を否定する河村市長の名古屋市が、新たに育鵬社を採択するのではないかと心配されていましたが、市民の粘り強い批判を受けとめた教育委員たちは、最終的には育鵬社を拒否しました。東大阪市教育委員会も今年こそは、育鵬社採択をやめるべきです。
「育鵬社NO!」の声を、教育委員会に届けてください!


<要望先>

〒577-8521 東大阪市荒本北1丁目1番1号 東大阪市役所17階
      東大阪市教育委員会 教育長・土屋宝土 様
        電話:06-4309-3000(市役所代表)
        FAX: 06-4309-3837(教育委員会)


大阪府内の市町村教委に再度の要請書を提出

2020-08-10 08:56:37 | 2020年度中学校教科書採択(大阪)
大阪市教育委員会 教育長 山本晋次 様
選定委員会委員長 様

2020年8月5日
子どもたちに渡すな!あぶない教科書 大阪の会

2021年度使用中学校教科書採択についての追加要望書(その2)

 新型コロナによる厳しい状況が続いておりますが、貴教育委員会の教科書採択業務へのご尽力 に敬意を表します。
 いうまでもなく教科書は主たる教材であり、子どもたちが平和で民主的な社会の形成者として健やかに育つことに役立つ教科書が、公正で公平な手続きを経て採択されるよう、私たちは強く 願っております。
 しかるに現在、大阪市が採択している育鵬社の歴史・公民教科書は記述に非常に大きな問題が あります。私たちはこれまでも「育鵬社教科書は採択しないでほしい」という要望書を理由も含 めて提出してきましたが、さらに以下、3点において理由を説明し要望を追加いたします。
 すべての教育委員、選定委員の方にお読みいただき、正しい教科書採択をおこなっていただき ますよう、切にお願い申し上げます。

(1)教育現場を困らせ、採択まで歪める育鵬社教科書は採択しないでください。


 すでに大阪府下ではいくつかの地域で採択がおこなわれました。育鵬社歴史・公民教科書を採 択してきた四条畷市、育鵬社公民教科書を採択してきた河内長野市ともに育鵬社教科書の採択を やめました。全国的には東京都立中高一貫校、神奈川県藤沢市、横浜市が育鵬社採択をやめまし た。「記述が偏っている」「使いにくい」「受験の役に立たない」など現場教員からの評価も低く、 「子どもたちに自己中心的な愛国心を刷り込み、国際社会で友好関係を築けなくなる」「基本的人 権より義務ばかり強調している」など、市民からは厳しい批判を受け、育鵬社教科書の採択をや めたのです。
 2015年の大阪市の社会科教科書採択は異様な状況でおこなわれました。傍聴者を締め出し、 事務局は市民アンケートの7割が育鵬社支持だという報告をおこない、育鵬社の実質上の親会社であるフジ・サンケイグループの元重役だった高尾教育委員が育鵬社採択を主導しました。教育 委員の賛否も割れ、あまりにも強引な育鵬社採択だったため、大森教育委員長は副読本として他 社の教科書の併用を提案するという前代未聞のことも起こりました。大阪市民の貴重な税金を無 駄遣いし、教員は授業の際にいちいち副読本を運ばなければならないという面倒なことを強いら れたのです。これらはすべて無理な育鵬社採択にともなって起こったことでした。
 その後、大阪市の市民アンケートはフジ住宅が社員を動員して水増ししたものであったことが 発覚し、大阪市会教育こども委員会では真相究明を求める市民からの陳情書が採択され、第三者機関が採択の過程を検証し、いくつかの問題点を指摘しました。その結果、採択区が再度複数化され、調査報告や選定委員会答申には教科書の長所と短所が明記されるなど、かつての民主的採 択方式に少し戻ったのです。
 他方で、区長が教育次長という肩書で選定委員に入るなど政治的介入の余地は未だ残されてい ます。しかし先にも述べたように、今年は育鵬社教科書は採択できないという流れが各地ででき ています。9年間も育鵬社を採択してきた藤沢市、横浜市で育鵬社が拒否されたのは決定的なこ とです。大阪市に限らず2015年の育鵬社採択は、いずれの地域でも公正・公平な採択の原則 を逸脱し、教育委員たちの横暴な審議によってようやく可能になったものです。大阪市も5年前 のように無理な育鵬社採択は断じてやめねばなりません。
 現場教員の声を大切にするとともに、要望書やアンケートによって示された育鵬社教科書に対 する市民の意見に真摯に耳を傾け、育鵬社教科書だけは二度と採択することのないようにお願い いたします。

(2)育鵬社公民教科書には子どもを傷つけ、差別やいじめを誘発する人権侵害の記 述があります。絶対に採択しないでください。


 育鵬社公民教科書の157ページには、「『子どもの貧困』と『子ども食堂』」というコラムがあ ります。そこには「特にひとり親の家庭は経済的に余裕のない状況にあります」と書かれていま す。教室には「ひとり親の家庭」の子どもが大勢いるはずです。その子どもたちはこの記述をど う思うでしょうか。「ひとり親の家庭」だからといって必ず貧しいとは限りません。かりに「経済的に余裕のない状況」にあったとしても、貧しい家庭と決めつけられ、そういう目で見られるこ とに傷つき、子どもはつらい思いをするのではないでしょうか。また周りの子どもは「ひとり親 の家庭」はみんな貧しいのだと偏見の目で見てしまい、差別やいじめにもつながってしまうので はないでしょうか。
 このコラムには「こどもの貧困対策として、民間団体によって無料または低額で食事を提供す る『子ども食堂』が広がっています」という記述もあります。これも「子ども食堂」と「貧困対 策」をストレートに結びつけています。さらに「無料学習塾」についても「経済的な理由」から説 明しています。これでは「子ども食堂」や「無料学習塾」に行っている子どもは、教室で肩身の狭 い思いをし、つい足が遠のいてしまうのではないでしょうか。 このコラムの記述は、全国の「子ども食堂」を運営する人々が、子どもが肩身の狭い思いをし ないように、友だちも連れてきていいとか、地域の人たちも食事を通じて交流できるようにする など、さまざまな工夫をしている努力をも無にするものです。
 またこのコラムは、いろいろな事情を抱えた子どもたちが差別やいじめを受けないように心配 りをしている教員を困らせます。こんな教科書を与えられた教員はどうすればいいのでしょうか。 たいていの子どもたちは教科書には正しいことが書いてあると思っています。その子どもたちに 教科書通りに教えられないのが育鵬社教科書なのです。
 そもそも育鵬社公民の「社会福祉」のページは、「子ども食堂」や「無料学習塾」など民間の取 り組みを大きく取り上げていますが、これは経済的格差の拡大と公的支援の不足という日本社会 の根本問題を取り上げず、民間の「共助」こそが社会福祉の中心であるかのようにすりかえるものです。育鵬社公民教科書は安倍政権の宣伝パンフレットであると、私たちが考えざるをえない根拠のひとつがここにもあります。
 このコラムに象徴されるように、育鵬社公民教科書はこの教科書で学ぶさまざまな子どもたち のことも、教える教員たちのことも、当事者の身になって考えていません。執筆者の考えを一方 的に押しつけるだけです。こんなひどい記述を検定通過させた文科省の責任も重大です。 子どもを傷つける人権侵害教科書である育鵬社公民教科書は絶対に採択しないでください。大 阪市教育委員会が子どもを傷つけることに加担することは断じて許されません。

(3)育鵬社公民教科書には初歩的なミスもあります。そもそも編集自体がいいかげ んな教科書は採択に値しません。

 157ページの「無料学習塾」の写真には「愛知県守山市」という地名が書かれていますが、 愛知県には「守山市」はありません。こんな初歩的なミスをチェックできなかった文科省の責任 も問われますが、育鵬社は厳密さが必要とされる教科書の編集自体がきちんとできず、そもそも 教科書を発行する資格のない出版社だと言わざるをえません。
 こんな杜撰な教科書は絶対に採択しないでください。

 以上3点の理由を述べましたが、育鵬社は指摘された箇所を、来年生徒に配布する供給本では 訂正してくるかもしれません。しかし文科省は2020年5月21日付の「令和3年度使用教科 書の採択に係る留意事項について」で、教科書発行者から送付された「教科書見本」を基に採択するように通達しています。したがって、育鵬社が今後どのような対応をするかにかかわらず、 現在提供されている見本本を基に、厳正に採択されるように要望いたします。 以上、よろしくお願い申し上げます。


参考資料  <「子ども食堂」の運営にたずさわる元教員からの訴え>


 私は大阪府の元教員です。今は、 「子ども食堂」に関わっています。育鵬社公民教科書157ペ ージのコラム「 『子どもの貧困』と『子ども食堂』」の記述について意見があります。
 「ひとり親の家庭は経済的に余裕のない状況にあります」と、育鵬社の教科書には書かれていますが、ひとり親の子どもたちは教室でどんな思いで授業を受けているのかご存知でしょうか。 子どもたちにとって、これがどんな残酷な言葉かわかっていただいているのでしょうか。
 子どもたちの多くは親がひとり親になる時、修羅場を見聞きし経験しています。「お父さんがお 母さんを階段から突き落として、お母さんが頭から血を出して倒れていた」「お父さんが包丁を振 り回して、お母さんを追いかけた」と、話してくれた子どももいます。
 子どもたちがそんな場面を見て経験する中で、「図工の時間にナイフを見ると、お父さんが包丁 を持っていた時のことを思い出して、怖くてナイフが使えない」「教科書にお父さんの話が出てくると頭が真っ白になって、もう何もわからなくなる」と、トラウマに苦しむ子どももいます。「クラスの子にお父さんがいないことを知られたくない」というのが、大半の子どもたちの思いです。
 もちろん、お母さんが出て行ったという子どももいます。その子たちの多くはもっと深刻でし た。お父さんがいなくなった以上に、人が変わったようにけんかを売ったり、万引きをしたり、 教室でも荒れていました。
 そんな子たちも含めた子どもたちに、「ひとり親は貧困だ」という否定的なメッセージを与える のは、ただでさえ親の離婚で心が傷ついている子どもたちの心の傷口に、塩を塗るような行為だ と思います。ひとり親の子どもたちが、親の離婚に向き合ってどんな思いで学校に来ているのか を知ってほしいと思います。
 私は現在、最後の勤務校の「子ども食堂」でボランティアの学習指導をしていますが、実際に 「子ども食堂」に来ているのは、ひとり親の家庭の子どもや貧困の子どもたちばかりではありま せん。学校の児童全員に「子ども食堂に来てください」というチラシを配っているので、来たい 子はみんな来ています。その中で勉強したり、ゲームをしたり、手づくりの料理を何度もお代わりをして喜んで食べて帰ります。
 「子ども食堂」で感じるのは、何よりも地域のつながりができてきているということです。外 で出会ったら「おばちゃん、ありがとう。昨日おいしかったわ」「お母ちゃんが申し込むのを忘れ たけど、行っていい?」など、世話をしていただいている地域の人から、 「子どもたちから、道で いつも声を掛けられるようになった」「 地域の大人と子どもが色々話せるようになってきた」とい う声を聞きます。子どもに「お母ちゃん、まだ帰って来てないん?うちでご飯食べていき」と声をかけれるようになったなど、確実に地域のつながりが深まり、しんどい子どもを地域で支えて いこう、自分たちでできることをしていこうという雰囲気ができてきています。
 私が若い頃は「あの子と遊んではだめ。あの家は怖い」などの偏見が、地域に蔓延している時 代もありました。しかし「子ども食堂」で色々な子どもたちと地域の人が一緒に過ごす中で、特 定の子どもに対する偏見は確実になくなってきています。不登校の子も来ています。夜中ずっと ゲームをしているので学校に来れない子も「子ども食堂」には来て、「勉強教えて!」と寄ってき ます。家での話も色々してくれます。その中で他の子とも繋がっていき、少しずつ学校にも来れ るようになってきています。
 中学 3 年の子も、子ども食堂に来ていました。「来年は高校生やなあ」と声を掛けたら、「え、 私高校行けるの?」とびっくりしていました。その子は、お兄ちゃんもお姉ちゃんも高校へは行 ってないので、自分も高校へ行きたいけど「行ける」とは思っていなかったようです。それを知 った子ども食堂のスタッフをはじめとした地域の力で、その子が特別に高校入試に向けて勉強できるようにしたり、経済的な支援の福祉の手続きをしたりして無事高校へ送ることができました。
 「子ども食堂」はもともと「事情を抱えた子どもたちに食事を提供しよう」と始まった取り組 みでしたが、今では地域と子どもが繋がっていく場、すべての子どもたちが安心して行ける居場 所なのです。しんどい思いをしている子どもに「子どもの貧困対策」と、ストレートに教える育 鵬社公民教科書の表現では、子どもの心が壊されてしまいます。それだけではなく、地域の力で 子どもを支えようとしている大人たちの努力をも壊すことを理解してほしいと思います。

速報!育鵬社公民を採択していた河内長野市で育鵬社を不採択!

2020-07-28 21:16:52 | 2020年度中学校教科書採択(大阪)
本日(28日)、河内長野市の採択を傍聴した方からの報告によると、公民は育鵬社から日本文教に変更されたとのことです。歴史も帝国でした。

審議は次のようであったとのことです。

(1)そもそも公民の審議から始まった。

(2)選定委委員会報告には育鵬社を評価する意見はほぼなかった。教育委員からもほぼなかった。

(3)東京書籍と日本文教に絞られ、無記名投票で日本文教になった。無記名投票についてはこの間批判してきたが、今回は改善させることができなかった。

(4)2015年は教育長が高圧的で、強引に育鵬社採択に持ち込んだが今回は違った。

(5)歴史は現在も採択している帝国書院になった。

四条畷市に続いて河内長野市でも育鵬社採択を阻止することができて良かったです。

速報!四条畷市は育鵬社を不採択!

2020-07-25 16:00:39 | 2020年度中学校教科書採択(大阪)
7月24日(今日)、2015年に育鵬社歴史・公民を採択した四條畷市で教科書採択が行われました。

歴史は教育出版、公民は日本文教出版。育鵬社は不採択になりました。
道徳は日本文教出版でした。

維新系首長を落選させた四条畷での粘り強い運動の成果だと思います。

守口から平和と人権を考える会(もりナビ)が守口市教委に要望書

2020-07-12 09:14:39 | 2020年度中学校教科書採択(大阪)
7月10日、守口から平和と人権を考える会(もりナビ)が守口市教委に要望書を提出しました。


2020年7月10日
守口市教育委員会
教育長 太田 知啓 様

守口から平和と人権を考える会(もりナビ)

2021年度使用中学校教科書には生徒の人権に配慮した教科書を選定してください
育鵬社の社会科教科書、日本教科書・教育出版の道徳教科書は選ばないでください


 守口市は「めざす守口の教育」として『郷土を誇りに思い、夢と志をもって、国際化社会で主体的に行動する人の育成』を教育理念に掲げています。
 守口市には日本の植民地支配を起源とするたくさんの在日コリアンや中国人、そして近年にも外国にルーツをもつ子どもたちがたくさん暮らすようになり、その子たちは日本人の子どもと同じように守口市の公立小中学校で教育を受けています。教育基本法は日本国籍の児童・生徒にのみ適用され、外国籍の子どもには就学させる義務がないという解釈もあるようですが、近年外国籍の無就学児が多いことに批判があります。ましてや日本国憲法の権利規定は、外国籍の人を除外するものではありません。人権とは全ての人にそなわっているものであり、外国籍の児童・生徒、外国にルーツを持つ児童・生徒にも当然、義務教育を受ける権利があります。
 「めざす守口の教育」も当然、全ての児童・生徒に適用されるべきものであり、その基本理念は、全ての子どもたちの教育権や人格権に反するものであってはならないということは、言うまでもありません。
 その観点から、私たちは来年度使用の中学校教科書選定にあって、以下の点に留意して選定していただくよう申し入れします。

1、日本の戦争と植民地支配について正しく教えない育鵬社教科書は、採択しないでください

 近年、歴史認識問題を巡り、日本と、日本が過去侵略し植民地支配した国々との間で、歴史認識を巡る対立があります。そのほとんどは、日本の政治家が、日本が過去を行った侵略戦争や植民地支配を正当化することによってもたらされています。
 育鵬社歴史教科書は、日本が過去を行った侵略戦争や植民地支配を正当化しようという意図がにじみ出ています。
 一例をあげます。「韓国併合」について、育鵬社教科書は「植民地」という言葉を一回も用いることなく説明しています。(そのような教科書は育鵬社だけです。)そして韓国併合後に、朝鮮半島でどれだけ米の収穫高が増えたか、どれだけ学校が増えたかを説明しています。
 しかし、その米が日本に送られたために、朝鮮の農民は食べるのがなく、日本の炭坑や工場、土木工事などに出稼ぎに行かざるを得ない状況にまで困窮したことには触れられません。朝鮮半島に増えた学校で、朝鮮人の子どもたちは日本名を名乗らされ皇民化教育を受けさせられたことには触れられません。
 太平洋戦争を大東亜戦争と併記し、アジア解放に寄与したのだとイメージづけされています。しかし、日清戦争時の甲午農民戦争に対する弾圧や三・一独立運動への弾圧など、朝鮮を植民地支配するためにどれだけの朝鮮人を殺してきたかには触れられません。(それは台湾についても同じことです。)
 在日コリアン・中国人の生徒のルーツは、日本が過去に行った植民地支配にあります。在日コリアン・中国人の生徒のいる教室でこのような授業を行うことは、歴史の事実を曲げるばかりか、教室内に差別といじめの芽をもたらすことにしかなりません。
 外国にルーツを持つ子どもたちに自尊感情を持ってもらうためにも、そして日本人の子どもたちが戦後の民主主義社会に誇りを持つためにも、歴史は正しく教えるべきです。
 育鵬社歴史教科書には歴史歪曲ともいえる記述が各所にあります。大阪の歴史に6ページも割いているからと言って、歴史歪曲の罪を帳消しできるものではありません。守口市の中学生には、「普通」の歴史認識に基づいた歴史教科書を選定するよう、お願いします。

2、人権に配慮することなく義務感ばかりを教え込む育鵬社・自由社の公民教科書は、
採択しないでください

 育鵬社の公民教科書は、子どもたちの人権に配慮が足りないと言わざるを得ません。
 「グローバル化の時代に必要な資質とは」というコラムで曽野綾子の文章を引用し、このように書いています。
《人は一つの国家にきっちりと帰属しないと、『人間』にもならないし、他国を理解することもできない》
 外国にルーツを持つ子どもたちには、「一つの国家にきっちりと帰属」していないケースは少なくありません。両親の国籍が違う場合、日本の法律では20歳になるまでふたつの国家に「帰属」することになります。また市役所には出生届をしても本国領事館に届け出をしないために、国籍を有しない子どももいます。いわゆる朝鮮籍の子どもたちも、国籍を有しているわけではありません。きっと守口市の小中学校にも、そのような子どもは少なからずいるはずです。
ふたつの戸籍をもつ子ども、戸籍を持たない子どもは、人間ではないのでしょうか? 本当に他国を理解することはできないのでしょうか?
 育鵬社公民教科書を選定するということは、このような差別と人権侵害を容認するということです。
 守口市が目指す「国際化社会で主体的に行動する人の育成」とは、「『人間』にもならない」というような人権侵害教育を容認するものではないと、私たちは信じています。
 育鵬社の公民教科書は、憲法の項目では大日本帝国憲法は人権を尊重し、日本国憲法は押し付け憲法であったとイメージづけしています。国民主権の項目では主権者としての意味よりも天皇の意義を、基本的人権については人権そのものを教えるよりも公共の福祉と国民の義務に紙面を割き、平和主義では国防の義務を大きく取り上げます。これが正しい憲法観といえるでしょうか。生徒たちを主権者としてしっかりと育て、人権と平和を尊重しようという意識が、育鵬社公民教科書には皆無です。
 自由社公民教科書については、育鵬社に輪をかけてひどいものであるため、紙幅の都合から触れません。
 守口市の生徒のために、まっとうな人権感覚の教科書を選定してください。

3、生徒の心を型にはめようとする日本教科書・教育出版の道徳教科書は採択しないでください

 道徳という教科は人の内心に踏み込みます。より人権感覚に対して敏感であるべきです。
守口市の「めざす守口の教育」では重点項目7として「正義感・倫理観、自らを律し人を思いやる心、郷土や国を愛する心等を身につける取組みをすすめます」とありますが、それは教科書から獲得するのではなく、生徒たちの実生活や自発的な学びから獲得すべきと考えます。教科化や教科書が本当に必要なのかという疑問が常にありますが、そのことはここでの趣旨にあわないので、ひとまず措きます。

 日本教科書は差別を容認する教材がいくつもあります。『永久欠番42』『レーナ・マリアの挑戦』は差別されても黙って成功することを素晴らしいとする教材です。「黒人はジャングルに帰れ」とか「一本足」などとひどい差別発言を投げつけられても、耐えることが美徳なのでしょうか。
『大地~八田與一の夢』や『台湾に残したもの』は、台湾の植民地支配にあたって「日本人がどんないいことをしたか」ということを題材にしています。過去の植民地にルーツを持つ生徒がいる状況にあって、植民地支配を正当化する教材を用いるべきではありません。
 教育出版は、生徒の自主的な学びを促す気があるのだろうかと、疑問に思わざるを得ません。『怒りの救助活動』では、救助された人から礼がないことを怒り「人間として失格だ」とまで断じていますが、救命作業はどんな人でも助けるのが当然。しかも相手が救命後どんな状態かもわからない。それはあまりにも度を越えた身勝手な怒りではないでしょうか。また『校長先生の模擬面接』という、校長がルールを無視した面接に耐えうるか生徒を試すという教材があります。圧迫面接そのものが人権侵害であり容認できるものではありません。教育出版は、どこか人として大切な「守らなければならない一線」を勘違いしているとしか思えない教材が多いです。
 『あなたは顔で差別しますか』という教材では、差別される人、いじめられる人の努力を前提として「差別や偏見のない社会を築いていくために何が必要か」と問いかけられています。差別、いじめそのものが重大な人権侵害であり、差別される人、いじめられる人が自分を変える必要はありません。

 生徒がどのような大人になりたいかということは、生徒たち自身が決めることです。保護者も学校もそれを強制することはできません。せめて強制力の少ない道徳教科書を選定していただくようお願いします。日本教科書や教育出版の道徳教科書を選定すべきではありません。


 守口市には民族学級や夜間中学など、素晴らしい伝統があります。日本人だけではなく、外国にルーツを持つ子どもたち、就学する機会を奪われてきた人たちにもきちんと教育を保障することは、当該の人たちだけでなく、同じ教室、同じ学校にいるすべての生徒たちにとっても必要なことだし、それこそが本当の歴史、公民、道徳の教育だと思います。
 貴教育委員会におかれては、おとながどんな教育を与えたいか、ではなく、おもたちがどんな教育を望み必要としているかという視点から、子どもたちにとってよりよい教科書を選定していただきますよう要望します。