奈良県の歴史 (県史シリーズ)和田 萃,幡鎌 一弘,山上 豊,安田 次郎,谷山 正道山川出版社このアイテムの詳細を見る |
私と同様、1級に合格された方もたくさんおられ、「来年は、ソムリエをめざしましょう」というコメントもあった。私の知人にも1級に合格した人がいて、「来年のソムリエ級のテストでは、何をどう勉強すれば良いのやら、今から頭を抱えております」というメールが届いた。これは私も同じ心境である。
たまたま「奈良ねっと-みんなで作る奈良の情報サイト-」というブログに、今年(初回)の「奈良まほろばソムリエ」級の問題が載っているのを知った。そこで、これを参照しつつ、ソムリエ試験の出題傾向をチェックすることにしたい。来年ソムリエをめざす方の参考になれば、幸いである。また何かご意見があれば、ぜひコメントをいただきたいと思う。
http://nara-jp.net/1148
「奈良まほろばソムリエ検定」(通称:奈良検定)の最高級が「奈良まほろばソムリエ」級である。ソムリエ試験は、四択問題が30問(各問2点)、200字の記述問題が2問(5題から2題選ぶ・各問10点)、400字の記述問題が1問(5題から1題選ぶ・1問20点)で、70点以上が合格である。
●四択問題
まず、四択の出題分野を並べてみる。
地理 1
歴史 7(飛鳥1、天平1、江戸2、明治2、大正1)
寺院 12
仏像 2
国宝 1
古墳 1
平城宮跡 1
祭りと行事 5(寺院の行事3、その他2)
お寺に関する問題が17問(寺院+仏像+行事)も出ていることに驚く。約6割がお寺の問題なのだ。以前「お寺を征する者は、奈良検定2級を征す」と書いたことがあるが、これはソムリエにもあてはまるのだ。
●記述式
200字の解説文(5題から2題を選択)を書く問題でも、
地理 1(奈良盆地の河川)
寺院 2(東大寺の歴史1、金峯山寺の行事1)
遺跡 2(高松塚壁画1、長屋王邸1)
と、お寺が優位を占める。お寺が得意な人は、2題ともお寺について書けば済むのだ。
400字の見学コースを書く問題(5題から1題選ぶ)では、
奈良市(平城宮跡朱雀門)
宇陀市(かぎろいの丘万葉公園)
天理市(石上神宮)
明日香村(石舞台古墳)
吉野町(竹林院)
と、地理的に満遍なく選ばれているが、ここにも寺院が1つ入っていることと、朱雀門が入っていることに注目したい。平城宮跡に関する四択問題が1問出ていたし、長屋王邸に関する200字問題が出ていたが、遷都1300年祭を控え、平城宮跡が重視されているのだ。
本番試験前に実施されたソムリエの「認定支援セミナー」を受けた人の話では、200字解説では、「唐古・鍵遺跡の調査と意義について」「唐招提寺のうちわまきについて」のようなテーマに関する解説が求められ、400字小論文では、「キトラ古墳」「大神神社」など、奈良県下の文化遺産(寺社・遺跡・史跡・建築・行事・美術・工芸)や自然遺産(景勝地・ 天然記念物)などから抜粋したテーマが5つ提示される、とのことだった。なお漢字の間違いなどのミスは1箇所について減点1点だそうだ。
いずれにしても記述式では、比較的「よく知られた」事柄に関する「深い」知識を試すような問題が出るのである。
●まとめ
以上見てきたように、全体的にお寺に関する問題が多いこと、平城宮跡に関する知識が欠かせないこと、記述式では著名な行事や史跡に関する深い知識が試されることがお分かりいただけるだろう。
そういう訳で私は、『奈良の寺』岩波新書、『奈良の仏像』アスキー新書、『平城京遷都』中公新書 などの安い本ばかりを買い込み、読んでいるところである。
とりわけ、最近出たばかりの『奈良の仏像』(紺野敏文著 09.2.10刊)は、自信を持ってお薦めできる本だ。著者は、奈良県教育委員会文化財保存会主査の経歴も持つ慶應義塾大学名誉教授(仏像彫刻史)で、カバーの宣伝文句には《仏教彫刻史の権威が、最新の調査と研究をふまえて、仏像に秘められた謎に迫る。中・上級者向け鑑賞ガイド》とある。よくある仏像鑑賞本ではなく、歴史的な意義づけがきちんとなされているので、頭に入りやすい。
こういう分析に基づいて、私はソムリエ対策をスタートさせたが、皆さんは、いかがだろうか。
●ソムリエ対策の追記
この記事をお読みになった畳薦さん(今回ソムリエを受験)から、参考になるコメントをいただいた。
《70点をクリヤーすればいい。満点など狙う必要はない。特に出題方法が来年度も同じなら四肢選択はそこそこで良いのではないか。ということは全分野ではなく、得意分野を深めてお任せ分野を作るが良い。それは寺社関連と言うことになりましょう。論述は簡単。ただし文章を書き慣れない方は、時間を切って書く練習がいるかも知れません》。
《試験会場では異常心理になります。2,1級ではならないがソムリエの場合、書く時間を確保しなければならないので時間配分を考えざるを得ない》《もっとも私はたくさんの時間を残して退場した》《早く終わらせたかった。冷静なつもりではあったのですが・・・・》。やはり記述問題対策として、答案作成練習が必要なのだ。時間配分にも気を配り、集中力を維持しなければ…。
また、ソムリエを受験した会社の同僚によれば、山川出版社の『奈良県の歴史散歩(上)(下)』と、『奈良県の歴史』が役に立ったという。以前蔵武Sさんも『奈良県の歴史』を推しておられた。旧版(昭和46年発行)は面白く読んだのだが、最新版を入手しなければ…。
論述は簡単。ただし文章を書き慣れない方は、時間を切って書く練習がいるかも知れません。私は全然しなかった。唐古・鍵遺跡など出てくれたらしめたもの。書く練習が一度はいる。
試験会場では異常心理になります。2,1級ではならないがソムリエの場合、書く時間を確保しなければならないので時間配分を考えざるを得ない。廃藩置県の時の県の数を解答する問題、ざっとあげてマークすればいいのだが、いちいち数える時間をおしんでマークした。不正解であったのは異常心理で国中以外を失念していた。五條が視野外になってしまっていた。過去問で練習なら数えられたと思う。
もっとも私はたくさんの時間を残して退場したので
数え上げれば良かったのだが、これは正解を出せないという判断をしてしまったのです。早く終わらせたかった。冷静なつもりではあったのですが・・・・
> 出題方法が来年度も同じなら四肢選択はそこそこで良いのでは
> ないか。ということは全分野ではなく、得意分野を深めてお任せ
> 分野を作るが良い。それは寺社関連と言うことになりましょう。
なるほど。これは説得力があります。
> 論述は簡単。ただし文章を書き慣れない方は、
> 時間を切って書く練習がいるかも知れません。
> 試験会場では異常心理になります。2,1級ではならないが
記述問題は答案作成練習が必要のようですね。あとは時間配分ですか。これは参考になります。昨日、ソムリエを受験した同僚からも参考書のことを教えてもらいました。畳薦さんのお話と併せて、本文中に追記させていただきます。
> 『奈良県の歴史』は類書に比べて中世の記述が豊富です。
それは、永島福太郎著の旧版(昭和46年発行)でも同じ傾向でした。1人の方が書く通史というのは、とても面白いということが分かりました。
昨日、蔵武Sさんご推薦の最新版を買いました。これから勉強することにします。私も山川出版社の営業担当者ではありませんが、これは良い本です。