tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

竜田公園と三室山(斑鳩町)/桜も紅葉も(毎日新聞「ディスカバー!奈良」第11回)

2017年03月26日 | ディスカバー!奈良(毎日新聞)
NPO法人「奈良まほろばソムリエの会」が毎週木曜日、毎日新聞奈良版に連載している「ディスカバー!奈良」、第11回(3/23付)は「ちはやふる 斑鳩町の竜田公園」、筆者は同会の落語名人・西川誠さん(もと落研)である。
※トップ写真は、桜の美しい竜田公園(斑鳩町)

町おこしの活動に異を唱えるつもりは毛頭ないが、正確に記しておかねばなるまい。紅葉の名所として知られる「竜田川」は、今の竜田川ではなく「大和川」下流のことである。昔は1本の川も、いろんな名前で呼ばれたのである。『日本歴史地名大系』によると、

平群谷から南下して大和川に出る竜田川は紅葉の名所であるが、古くはほぼその合流点以西の大和川下流を竜田川といった。古歌に詠まれる竜田川は大和川下流をさす。

また「三室山」(御室山)も複数の山があり、『日本国語大辞典』によると、

(1)奈良県桜井市の三輪山(みわやま)のこと。
*万葉集〔8C後〕七・一〇九四
「我(あ)が衣色取り染めむ味酒(うまさけ)三室山(みむろのやま)は黄葉しにけり〈人麻呂歌集〉」
(2)奈良県生駒郡斑鳩(いかるが)町の神奈備山(かんなびやま)のこと。ふもとを龍田川が流れ、紅葉・時雨の名所として知られた。
*古今和歌集〔905〜914〕秋下・二八四
「たつた川もみぢばながる神なびのみむろの山に時雨ふるらし〈よみ人しらず〉」


とあり、古今集に登場するのは今回の斑鳩町の三室山、つまり(2)の三室山である。なお生駒郡三郷町にも、また兵庫県宍粟市と鳥取県八頭郡若桜町の県境にも三室山があるので、混同しないでいただきたい。「三室=御諸(みもろ・みむろ)」で、神の降臨する場所を意味する。だから各地に三室山があってもおかしくはないのだ。では、記事全文を紹介する。


在原業平と能因法師の歌を刻んだ碑

ちはやふる
百人一首「ちはやふ(ぶ)る 神代(かみよ)も聞かず竜田川 からくれなゐに水くくるとは」。詠み人は、平安時代の歌人で六歌仙にもかぞえられた在原業平です。

最近は人気漫画「ちはやふる」が話題を呼んで、競技かるたを始める方も多いそうです。アニメ化や映画化もされたので、竜田川を知った方も多いかも知れません。


 ちはやふる(34) (BE・LOVEコミックス)
 末次由紀
 講談社

数ある和歌から藤原定家が選んだ百首の中に、もう一首竜田川が詠まれています。能因法師の「嵐吹く三室(みむろ)の山のもみぢ葉は 竜田の川の錦なりけり」と、こちらも秋の様子を愛(め)でています。

時は過ぎ、川の流れも変わりましたが、整備された竜田公園は今も美しく、春には河口近くの三室山で、桜が見事な景色を見せてくれます。業平や能因法師がこの景色を見れば、神代も聞かず(神様も見たことのない)と、桜を詠んでくれるのではないでしょうか。

メモ
三室山へは、JR・近鉄王寺駅より奈良方面行きバスで約5分、「三室山下」下車徒歩10分。竜田公園へは、法隆寺行・国道横田行バスで約8分、「竜田大橋」下車、徒歩3分。【奈良まほろばソムリエの会 西川誠】



コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 奈良シニア大学が、学生(第3... | トップ | 奈良市で初!地ビール醸造所... »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
綺麗ですね (奈良)
2020-03-26 09:39:19
竜田川の桜は綺麗ですね。
返信する
そろそろ (tetsuda)
2020-03-28 12:31:28
奈良さん、コメントありがとうございました。竜田川の桜、そろそろ咲き始めているようです。
返信する

コメントを投稿

ディスカバー!奈良(毎日新聞)」カテゴリの最新記事