ミシュランガイド京都・大阪 2010 日本ミシュランタイヤ株式会社このアイテムの詳細を見る |
昨日、待望の『ミシュランガイド京都・大阪 2010』が発売された。スポニチの記事「ミシュラン発売!関西人も関心高く売り上げ好調」(10/17)によると
http://www.sponichi.co.jp/osaka/soci/200910/17/soci224820.html
《フランス・ミシュラン社のレストランやホテルの格付け本「ミシュランガイド京都・大阪2010」が16日、発売された。午前0時から発売した大阪市内の書店では1時間で約50冊を売り上げる好調なスタート。三つ星を獲得した京都市内の和食店では、「問い合わせの電話は確かに増えている」と反響の大きさを話した》。
《ミシュランガイド京都・大阪版は2007年に発売された東京版に続く国内での出版。東京版発売時は初版12万部が4日でほぼ完売するほどのフィーバーだった。大阪・京都版では最高評価の三つ星は京都市6店、大阪市1店の計7店》。
大阪・難波のTSUTAYA戎橋店では《16日午前0時から発売開始した同店には、数多くの報道陣が詰めかけた。発売3時間前から並ぶ人もおり、発売開始から1時間で約50冊を売り上げたという。同店には1000部入荷しており、担当者は「(初日で)120冊はいくのでは」と期待していた。大阪市内の会社員男性は、同日に発売された口コミグルメサイト・カカクコムの「食べログ」もいっしょに購入。「庶民の意見とミシュランの意見を比べてみたい」と、“三つ星ブランド”の実力を楽しみにしていた》。
食べログ京都大阪神戸ゲイン(名古屋)このアイテムの詳細を見る |
『食べログ京都大阪神戸』(ゲイン刊 980円)が同時発売とは知らなかったが、うまい手を考えたものだ。ミシュランでは「コナモン」が入っていなくて話題になった。「日本コナモン協会」(大阪市浪速区)の熊谷真菜会長は《「関西人は世界的、歴史的に見ても食への興味が旺盛で、各人が好みや基準を持っている」と指摘。「格付けをありがたがる風潮はなく、むしろ紹介されたら“行列ができてかなわん”と思うのでは」と話した。ミシュランは世界的に有名な本。熊谷会長は「庶民の食文化が大事だと思ってきたので、“権威”あるミシュランに下手に触れてほしくないと思っていた。コナモンが入らなくてある意味ホッとしています」と語った》とあったが、その通りである。
そもそもミシュランはB級グルメではなく「A級グルメ」ガイド本であるという性格上、コナモンはそぐわない。東京版にも「もんじゃ焼き」は出ていなかった。三つ星店に天満の「うまい屋」が入ったとしても、嬉しいというより相当場違いな感じになるだろう。美味しいのは周知の事実だし、何より、今以上に「行列ができてかなわん」。
http://blog.zaq.ne.jp/takoyaki_meguri/article/1/
ミシュランに載るような「A級グルメ」とは無縁の私は、期待せずに『ミシュランガイド京都・大阪 2010』掲載店のリストをざっと眺めたところ、驚くべきことに三つ星店で1店(瓢亭)、二つ星店で2店(要庵西富家、魚三楼)、一つ星店で2店(たん熊北店、浜作)、お邪魔したお店が出ていた。星を獲得したお店の僚店(チェーン店)を含めると、あと4店(菊乃井、吉兆、和久傳、一宝)が該当する。
これら9か店のうち、三つ星と二つ星店は、会社のOB・先輩・同僚が作る「京都食べ歩き同好会」で訪ねたお店だった。お店選びからコース作り、集金、報告書作成と、何から何までお世話いただいている幹事のKさん、有難うございました。
※参考:京都食べ歩き同好会「吉田山荘」(当ブログ内)
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/a3203798bec443d5bb2be21c967c66b0
瓢亭―四季の料理と器高橋 英一柴田書店このアイテムの詳細を見る |
めでたく三つ星獲得の「瓢亭(ひょうてい)」(第12回食べ歩き会 05.5.7訪問)は、よく覚えている。低い天井が黒光りする純和風の部屋に通していただいたが、外国人にも対応できるよう、調節自在の「掘りごたつ式」になっていた。箸置きがなく(割り箸はお膳に立てかける)、これが正式だとも教えていただいた。著名な瓢亭卵(ひょうていたまご 黄身が真ん中に収まった半熟卵)は、色鮮やかなアクセントになっている。もちろん料理のお味は、素晴らしい。
http://www.digistyle-kyoto.com/gourmet/eat/miyabi/hyoutei.html
二つ星店のうち「魚三楼(うおさぶろう)」(第10回 03.11.8)は、私が特に希望してお連れいただいた店だ。奈良に近い伏見桃山にあり、名前の通り、明石直送の魚が有名である。骨を取った焼魚のあとに、骨の素(す)揚げが出てきたのには驚いた。パリパリしてとても美味しかった。
http://gourmet.yahoo.co.jp/0005200135/
ここでクイズである。ミシュランで星を獲得した店は、共通した「あるモノ」を使っていた。奈良の伝統・特産品で、京都だけでなく東京をはじめ全国各地の一流日本料理店で使われているが、それは何だろう?
答えあかしをしよう。「あるモノ」とは、吉野杉の割り箸である。この話は以前JanJan(インターネット新聞)に書いたことがある。「赤杉の利休箸」が出てきたお店が、二つ星の「要庵西富家(かなめあん・にしとみや)」(第9回 02.11.30)であった。星を獲得するような日本料理の名店が、こぞって吉野の杉箸を出しているという現状は、とても有難いことだし、奈良県民として誇りに思う。
※割り箸鑑定団(JanJan)
http://www.news.janjan.jp/business/0404/0404082947/1.php
あまから手帖奈良うまい店100選 (クリエテMOOK) このアイテムの詳細を見る |
残念ながら奈良のお店は『ミシュランガイド京都・大阪 2010』でも『食べログ京都大阪神戸』でも対象となっていないが、心配は無用である。つい先日 『あまから手帖 奈良 うまい店100選』というとっておきのガイド本が出たからである。
※参考: 『あまから手帖 奈良 うまい店100選』発刊! (当ブログ内)
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/faee78c2beff79f0a7f020aa330a4fbd
ミシュランガイドは日本人の調査員が調査しているそうだが、やはり「フランス人の目線で選んでいる」という印象は否めない。器とか雰囲気など、日本の料理店では料理以外の要素が大きな比重を占めるが、その辺りの評価がどうなっているかという点も気になる。
恨ミシュラン (上) (朝日文庫)西原 理恵子,神足 裕司朝日新聞社このアイテムの詳細を見る |
しかし、これだけ話題になり本も売れ、食事や食文化に関心が高まるのはとても良いことである。かつては『恨ミシュラン』という怪著もあったが、ぜひ星つき料理店をお訪ねいただき「さすが三つ星店や」「いや、これやったら奈良の菊水楼の方が上やで」などと口角泡を飛ばしていただきたいものだ。
民族によって味覚はずいぶん異なるそうです。
今回は日本人の調査員もおられるのでバランス良く選んでいると思われますが。。。
この手のガイドブックは店自体のランクですが別枠でメニュー自体のランクをしてもらいたいなあと思ったりすることもあります。
> 日本人の調査員もおられるのでバランス良く選んでいると思われますが。。。
> この手のガイドブックは店自体のランクですが別枠でメニュー自体のランクを
それは面白い発想ですね。記事に書いた瓢亭など、有名な「朝がゆ」は星で評価するといくつになるのでしょうか。
日本人は真面目なので、このような評価が出ると金科玉条のように信じ込んでしまうところがありますが、1つの見方と割り切って、もっと自分たちでいろんな「勝手格付け」をすれば楽しいのに、と思います。