tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

吉野スタイル&エコモ

2008年12月22日 | 林業・割り箸
12/17(水)、吉野町商工会(吉野郡吉野町丹治)をお訪ねした。ひととおりの用件が済んだところで、事務局長の青木さんから「展示場をご覧になりませんか」とお声をかけていただいた。吉野材などを使った新感覚の製品を展示されているとのことだった。

そういえば以前参加した「吉野山灯り10周年記念フォーラム」も、こちらの商工会関連(吉野山灯り実行委員会)の催しだった。吉野も頑張っているのだ。
※吉野山灯り10周年記念フォーラム(当ブログ内)
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/5c24cf1d3d61dca90e7893965aac735b



入口で、この看板が目に飛び込んでくる。HPによると《吉野材と吉野手漉き和紙、この自然共生素材に新しいテイストと機能を持たせ、都市のこれからの住空間演出を2つの方向から「YOSHINO STYLE」と名づけ、発信します!》とある。手がけるのは「吉野ウッドプロダクト」(吉野町商工会を中心に組織された吉野町のメーカーの集合体)だ。
http://www.yoshino-style.com/index.htm

最近は「吉野スタイル」の発展形として、国の「小規模事業者新事業全国展開支援事業」の採択を受け、「YOSHINO ECO MODE」(ECOmO=エコモ)というブランド名で、新たな商品開発を進めている。その成果が以下の展示物なのだ。




吉野和紙を編み込んだクロス


和紙と杉の木枠で作られた壁材

HPによると、「エコモ」のねらいは《1番目が「吉野スタイル」の深耕化です。ジャパンブランド商品を更なる品質アップ(撥水処理・難燃処理等)を進めてまいります。2番目として「手仕事の工業化」で天然素材と工業化の共存を図ります。具体的には基本となるサイズ(モジュール)を創造し、更にはアルミなどの異素材とのハイブリット化した素材開発に取り組みます。3番目に京都や他地域(京都・大阪)の優れた技術や感性を持つ企業と組むことにより、より完成度の高い商品を仕上げると同時に、優れた企業のモノづくりにかける姿勢を学ぶ機会とします》。
※商品説明を含む詳細情報は「エコモ」のホームページで
http://ecomo.yoshinostyle.com/



《これまでに完成した商品はかばん、ベルト、照明器具、料理箱、置き時計、パーティション(間仕切り)など。かばんは吉野杉を厚さ0.3ミリ×幅2ミリメートルの細さにスリット加工して染色。それを厚さ0.4ミリ×幅2ミリメートルに加工した皮素材と組み合わせて作成するなど地元資源をフル活用する》。

http://j-net21.smrj.go.jp/expand/shigen/jirei/yoshino.html



そのカバンが上の写真である。皮(茶色の部分)と吉野杉のスライス(ベージュ色の部分)を編み込んでいるのがお分かりいただけるだろう。



上のトートーバッグは和紙が材料だ。《吉野手漉き和紙が大阪の鞄職人の手によって、いままでにないトートバッグに生まれ変わりました。和紙の風合い、手触り、高級感はそのままに、軽量で携帯性にすぐれたトートバッグです。大きさは、A4サイズのファイルが楽に入る大きさ。特殊加工が施され、丈夫で撥水性に優れた逸品に仕上がりました》。



《吉野の杉 京都の織り 大阪の鞄職人 三都の最高の職人が技を競い、この鞄が生まれました。豊かな自然に育まれた樹齢200年の吉野杉は精緻な技術と上質な革と組み合わされて、独特の風合いと輝きを持ち、軽くて丈夫な鞄が生まれました。大阪の鞄職人が丁寧に縫製を行いました。上質な皮と吉野杉の組み合わせは、見た目よりも軽く、買い物の負担になりません》。



《木目の美しい杉の無垢材は木の香りも高く、料理のディスプレイからアクセサリーのディスプレイまで、飾るものの美しさを引き出します》。冒頭の写真も同じ料理箱だが、おせちを盛る重箱として、雑誌「LEE」09年1月号でも紹介された。推薦者は「くるみの木」の石村由起子さんである。



《木目の美しい、筋の通った無垢の杉材で、箱を作ることは、簡単なことではありません。乾燥が悪いと冷暖房の効いた部屋の中では、歪が生まれます。四隅の継ぎ方が悪いと収縮と乾燥ではがれる可能性があります。食べ物を盛る器という使命から人体に悪い影響のある接着剤を使うことはできません。今回の料理箱を造るには、吉野杉を知り尽くした職人と美しい家具を作ることの出来る技術者と高精度加工機械の備わった業者が必要でした》。量産体制になっていないので、価格は「マーケットプライス」とはいえないが、この辺りは今後の販売動向を見て、ということになるのだろう。





上の写真の花瓶敷きとコースターは、欄間の細工を応用したものだ。《欄間や障子など木を使う住宅が減り、建具職人もその腕を活かす機会が減ってきました》。



《心を癒すのは、夕日が沈む頃のような「オレンジ色、暗め、低い位置からの光」です。人間の身体には本来、太陽の動きに深く関係した「生体リズム」があり、明るくなると活動的に、暗くなると静的になります。寝る直前まで明るい蛍光灯の光を浴びているとストレスが溜まるそうです。「暗めのオレンジ色のあかり」は実は人間にとって必要なあかりなのです。さらに自然素材の持つ「ゆらぎ」や手触り、貼りあわせによって生まれる陰影や「不均質さ」がリラックス効果を高めてくれるようです》。



《木を知り尽くした建具職人だから出来る高等な技がここでも発揮されています。コースターには吉野杉 神代杉 ブビンガ 桧 という木が組み合わせて作られいます。職人の遊び心が生んだ、木目と形が楽しい、コースターが誕生しました。三角形と木目を組み合わせることで様々な表情を作り出すことが出来ます》。

写真をご覧になって、いかがお感じだろう。以前(株)イムラの「吉野杉の家」を訪ねたときにも思ったことだが、ここには伝統の素材、伝承された技術と新しい感性の見事な調和がある。

このプロジェクトを牽引する中井章太さん(中神木材社長)は《かばん、ベルト、間仕切りなど売れる製品をたくさん作りだすことが最終目標となりますが、現段階では、まず消費者やメーカーの人に"吉野の素材"を見てもらい、知ってもらうことが重要だと考えています。開発した素材を通して、循環型の吉野スタイルに理解と賛同がいただければ、活路は開けてくると思います》と語っている。
http://j-net21.smrj.go.jp/expand/shigen/jirei/yoshino.html

《"吉野の素材"を見てもらい、知ってもらう》ために、この展示場はピッタリだ。ぜひ多くの方にここを訪れ、吉野の素材の良さを知っていただき、ひいてはエコモ製品をご利用いただきたいものだ。

ご案内いただいた青木事務局長さん、磯経営指導員さん、有難うございました。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 圓石本店 | トップ | ならならのお弁当 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

林業・割り箸」カテゴリの最新記事