水徒然2

主に、水に関する記事・感想を紹介します。
水が流れるままに自然科学的な眼で解析・コメントして交流できたらと思います。

鶏卵物価の高騰の原因という鶏の餌である輸入飼料に係る記載を調べました。

2014-03-10 | 食糧・エネルギー・資源の自給関連

'14-03-10投稿、追加・修正

 既報相変わらずの卵高値、猛暑でニワトリ減・エサ代高騰という。にて、以前では1個10円程度でしたが現状、倍以上である鶏卵価格の高騰に対して、個人的には世界各地の異状気象による水不足、水の汚染影響で餌の輸入価格が高騰したことが原因か?と推察していますが、ウィキペディアによれば、卵類の自給率は農林水産省の試算では日本の2010年の品目別自給率から、96%であるが、その餌である飼料作物の自給率は約25%であり、大部分を輸入しているようです。

 鶏卵価格の高騰については、世界各地の異常気象による水不足、水の汚染などによって引き起こされていると想われますが、一般的な食糧価格の高騰の実態を映す鏡と想われ、今後この推移に注目したいと想っています。

 そこで、今回、毎日お世話になっている「物価の優等生」とも呼ばれる鶏卵の高騰の原因と想われる鶏の餌に係る記載を調べました。

にわとりの部屋

1個10円の鶏卵は、輸入配合飼料と石油とで構成される
http://www.geocities.jp/yokoyokobee/tori/toriesa2.htm

鶏卵は高級品です。物価の優等生ではなく、貿易摩擦の優等生。

 安価な卵や鶏肉を生産しているのは、1万羽以上の大規模経営を行っています。その採算性を考慮すれば分かりますが、人件費を極力避けて自動化された工場のようなところで生産されています。鶏はエサを食べて、水を飲んで、フンをして、卵を産むだけです。動き回るスペースはありません。窓が無く自然光が入らない鶏舎もあます。鳥インフルエンザが社会的問題になってからは、特に神経質に管理されているようです。鶏は少数平飼いすると10年ほど生きるそうですが、商業用では1年ほどで採卵ペースが落ちるので、処分されて鶏肉になります。卵1個10円程度の販売価格から考えると、どうしようもない現実だと思います。
 卵というのは生卵が全てではなく、多数の加工食品や日用品、インフルエンザワクチン等に使用されています。1個50円~100円程度するいわゆる健康卵でこれを作ろうとすると、供給量、価格等からいって不可能でしょうね。昔ながらの自家消費分だけのにわとりを庭先で育てるというのが、現在ではもっとも贅沢な行為となってしまいました。

 ちなみに、国内の採卵鶏は約1億3700万羽(1戸平均3万羽)飼育されています。毎日産卵していれば、正に国民1人当たり1日1個ということになります。ちなみにブロイラーは約1億400万羽飼育されています。出荷されているので年間を通じると膨大な数です。

 ペット的飼育における完全配合飼料給餌は必要か → 不必要。ニワトリは好きだけど・・・。

完全配合飼料(以下「完配」という)とは、これのみ与えれば卵を産み続けることが出来るように調整された高カロリーのエサです。トウモロコシを主体とした穀類が全体の65~70%を占めており、その他にヌカ類が6%、魚粉が8%、大豆カスが6%、さらにさまざまな添加物(ビタミン、抗生物質、ホルモン剤等、メーカーや使途により内容は異なるが、超多頭飼育では健康維持?のために飼料に混ぜて経口摂取させる。)が加えられている。カロリーが高すぎるため性成熟が1ヶ月ほど早まる。また、毎日産卵するため産卵ピークも早く到達するので、商業ベースで考えれば実に効率的に採卵できるエサです。このため、庭先で少数を飼育し、採卵量よりもペットとしてのニワトリに価値を置く場合は、完配のみ与えることを必要としません。
 また、完配に使用されるトウモロコシ等の飼料作物は大部分が輸入品であり、カロリー云々よりも日本の食料安定供給の根幹を為す問題があります。食料自給率を押し下げている一因でもあり、将来的には世界的な食糧需要の逼迫により、海外からの飼料供給が止まる可能性のあるものに依存しているということです。

それに比べるとカロリーが低く、平飼いで自然卵とかを販売している生産者が使用しているのが粗飼料と言われるものです。その内容の一例は、トウモロコシやクズ米、クズ麦などの穀類が50~55%、米ヌカが15%、大豆カスが10%、魚粉が6%、オガクズを発酵させたものを8%、その他にカキガラ、モミ殻、炭酸カルシウムなどが入っています。自然卵といえども業務用であるので輸入飼料を使用せざるを得ない状況です。
 健康卵とか自然卵とか表示しつつも大量高密度飼育をしていることもあるので、高い卵を買いたいのならば、それなりに情報公開している生産者を頼るしかないです。

庭先ニワトリは、菜っ葉や雑草などの緑エサを食べることができますが、大量飼いの場合はほとんど与えることが出来ません。1人で1万羽単位の鶏を管理していては、新鮮な緑エサを準備することすらできず、与えるとするならば緑草粉末を配合飼料の中に添加する程度です。

なお、卵黄が濃い黄色だと良質な卵のような印象を受けますが(たまにそういう広告を見ます)、エサに由来する色であるため、栄養価に関係ありません。トウモロコシを与えると濃い黄色になると言われていますので、ほとんどの卵は濃い黄色をしています。トウモロコシを少なくして、野菜や雑草などの緑飼をたくさん与えると薄い黄色になります。

結論としては、ニワトリには残飯と愛情を与え、無い時や忙しい時には補助的に完配も使用するということ。

  

 こっから下は脱線話。

完配は輸入飼料+暖房等は石油→ニワトリは輸入品?

畜産物のコストの中で飼料の占める割合は多く、いかに安く、安定的に入手できるかが日本の畜産の課題となっている。つまり、裏を返せば、輸入ストップ=廃業の危険性がとても高い。飼料コストは、卵は1個4~6円。

 アメリカで生産されるトウモロコシの半分を日本が輸入している。
 アメリカでのトウモロコシ生産量は約2580万トン、その内日本は1100万トンを飼料用として輸入している。それ以外に食用として200万トンを輸入。(数字は平成11年)。現在、日本の配合飼料の使用量は2400万トンと推定され、その半分をトウモロコシが占める。日本のトウモロコシ輸入量の9割をアメリカ産が占めている。アメリカ農業と日本の畜産業は密接な関係にあり、バランスが崩れるとどちらも崩壊してしまう。また、アメリカ産以外は石などの不純物が混入するなど品質に問題があり、安定的に供給できない状態である。
 もちろん飼料用作物は遺伝子組み換え作物の割合が多く、年々増加している。遺伝子組み換え技術は、食糧確保の観点から必要不可欠なものであり、食糧自給率の低い日本が、非組み換えを推奨しているのは矛盾点が多いと思うが・・・。食品表示には、非組み換えを使用している場合には、使用の旨を記載して良いことになっているが、ほとんどが非組み換えを使用しているように表示してある。全部が全部、非組み換え使用とは思えない。それが意図的であっても、偶発的であっても。

輸入される穀物飼料はほとんど遺伝子組み換え作物である。配合飼料の中の主な原料を非組み換えのものに変えると、約12%価格が高くなるとされている。これらを国産のものに変えるといっそう高くなる。現在の非組み換えの飼料用トウモロコシの輸入量はほんのわずかである。
 日本では遺伝子組み換え作物は、人間の口から直接摂取される形の食品にはいろいろ取り決めがあるが、「大豆由来成分」のように構造が破壊されているものについては規制が少ない。だから、ニワトリに組み換え作物を与えても、肉や卵になるまでに形質が変化しているので問題は無いとされている。問題が起きるまでは問題視されないということ。
 また、花粉により、遺伝子組換え体が非組換え作物や在来種に遺伝してしまうという遺伝子汚染が確実に進行している。これを食止めることは不可能である。すでに日本国内にも国内栽培未認可の遺伝子組換え体が混入している。

 現実に、有機畜産ではクズ米やくず小麦などを利用して100%近く飼料を自給している例もある。自給飼料で育てられた少量の畜産物を大切に食べるという食べ方の見直しも私たちに問われている。

おまけ】最近お騒がせの高病原性鳥インフルエンザQ&A

鳥インフルエンザは、家畜伝染病である「家きんペスト」(鳥インフルエンザA型ウイルスのうち血清型H5、H7及び高病原性のもの)以外のものをいう。
 大量密集飼育はひとたび感染すると、連鎖的に感染し、被害規模が大きくなってしまう。

~(後略) 」という。

アメリカのトウモロコシの主産地での異状気象と為替レートが影響することがわかりますが、遺伝子組み換え作物を大部分使用しているという。

NOCS
世界のとうもろこし(生産量、消費量、輸出量、輸入量、価格の推移)

<2011/07/27更新>
http://www.nocs.cc/study/geo/corn.htm
(一部割愛しました。)

「・・・■ 世界のとうもろこし(作付面積と生産量の推移)

  作付面積(百万ha) 生産量(百万トン)
1989/90 127.3 461.7
1990/91 129.2 482.0
1991/92 132.6 493.0
1992/93 133.2 535.6
1993/94 130.7 475.8
1994/95 135.2 559.3
1995/96 135.0 516.4
1996/97 141.7 593.0
1997/98 136.3 574.4
1998/99 139.2 606.0
1999/00 139.1 608.1
2000/01 137.3 591.4
2001/02 137.7 601.4
2002/03 137.7 601.4
2003/04 142.0 627.5
2004/05 145.5 715.8
2005/06 145.7 699.7
2006/07 149.9 714.0
2007/08 161.2 794.9
2008/09 158.8 799.3
2009/10 157.7 813.0
2010/11 162.7 820.0
2011/12 160.5 872.4

 (出典) USDA「World Markets and Trade」

■ 世界のとうもろこし(国別生産量)

(単位・・・千トン) 2007/08年 2008/09年 2009/10年 2010/11年 2011/12年
アメリカ    331,177 307,142 332,549 316,165 342,154
中国      152,300 165,900 158,000 173,000 178,000
EU(27か国) 47,555 62,321 57,281 55,467 59,288
ブラジル    58,600 51,000 56,100 55,000 55,000
アルゼンチン  22,017 15,500 22,800 22,000 26,000
メキシコ    23,600 24,226 20,374 20,900 24,000
インド     18,960 19,730 16,720 20,500 21,000
ウクライナ   7,421 11,447 10,486 11,919 15,500
南アフリカ   13,164 12,567 13,420 12,000 12,500
カナダ     11,649 10,592 9,561 11,714 11,300
ナイジェリア  6,500 7,970 8,759 8,700 8,700
インドネシア  8,500 8,700 6,900 6,750 8,100
フィリピン   7,277 6,853 6,231 7,275 7,200
セルビア    4,054 6,130 6,400 6,800 7,000
エジプト    6,174 6,645 6,280 6,500 6,700
ロシア     3,798 6,682 3,963 3,075 5,500
その他     72,111 75,929 77,152 82,257 84,451
合 計     794,857 799,334 812,976 820,022 872,393

 (出典) USDA「World Markets and Trade」 」とのこと。

 2011/12年までのデータですが、既報【追加・再掲】 北半球における温暖・寒冷化現象に影響する要因に係る雑感(2014-03-06)の影響がアメリカの産地に対してあるのでしょうか?

 今後とも着目すべき問題かと思われます。

 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。