“2020年4月東京ドーム、プロ野球開幕戦。「プレーボール」試合開始の合図が大音量のスピーカーから球場内に響き渡る。いよいよ試合開始。投手が第一球を投じる。「ストライーク」糸を引くような快速球がコーナーいっぱいに決まり、またまた球場内にスピーカーからの大音量が響き渡る。
「久しぶりにプロ野球見に来たんだけど、なんだか雰囲気が変わりましたね」「リクエスト制度なんてルールができてから、球場のあちらこちらにカメラとセンサーが設置され、ならば最初からカメラとコンピューターに判定してもらえ、ということになったんだ」
「そうか、なんか寒い感じがすると思ったら、審判が一人もグラウンドにいないわ」”(1月6日付け中日新聞)
「300文字小説」から浜松市の主婦・大西さん(55)の作品です。この小説は平成30年7月29日に掲載された作品で、この度最優秀賞を受けたものです。2018年5月から10月までに投稿総数1911点、掲載された作品75点の内の最優秀作品です。
いろいろなものが人間に頼らず、機器に頼るようになっていく現代。その風潮を皮肉ったものであろうか。AIなど人間の能力を超える機器が次々開発されていく。昔、流れ作業を皮肉ったものもあったが、今はその比ではない。自動車も自動運転されようとしている。この小説の話など、する気になれば今すぐにもできよう。しかし、人間は何をし何を喜びとしようとしていくのだろうか。手間を省けば省くほど喜びは減る。人間は生きる機械になろうとしているのだろうか。
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