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寺さんの【伝えたい話・残したい話】

新聞記事、出来事などから伝えたい話、残したい話を綴っていきます。
(過去掲載分は「付録」の「話・話」を開いて下さい)

(第2973話) 娘からの宅配便

2020年06月12日 | 出来事

 “わが家の子どもたちは、それぞれ家庭を持ち、遠くに住んでいる。コロナ禍のもと、連休、母の日も主人と二人の静かな生活だった。「もう私は母の日じゃなく、敬老の日の世代ね」と笑いながら主人と話していたある日、宅配便が届いた。京都の料理店からで、依頼人は東京の娘だ。
 すぐ電話すると、娘は「お母さん、いつもありがとう。今年はコロナで誰も帰省できないから、たまには気分転換して、お父さんと味わって」。お礼を言ってわけを聞くと、コロナが長引く中、この料理店も客足が減り、宅配便を始めたとのこと。少しでもお役に立てぱと、娘が申し込んだのだった。
 老夫婦と娘、料理店。三者三様の思いはあるが、そこには喜びと感謝があり、この時期、心が和む。娘から「おばあちゃん」と言われるのもうれしいが、「お母さん」の言葉は、子育てに忙しかったあのころが思い出されて懐かしい。
 さっそく、夕食はおうちレストラン。まず目で楽しみ、心はもう京都。風薫る街を思い浮かべ、おいしくいただく。そして、この困難な状況で頑張っている人々に思いをはせ、コロナが終息したらこの店に足を運びたい、と主人と話した。”(5月22日付け中日新聞)

 名古屋市の主婦・都築さん(73)の投稿文です。このコロナ禍で大変になっている商売は多いと思うが、飲食店もその1つであろう。客足の激減に、このように、宅配便やテイクアウトで今をしのいでいる店も多かろう。都築さんは、東京にいる娘さんの配慮で、京都の店から弁当が届いた。東京、京都、名古屋と1つの弁当がこんな経過をたどるとは、今の日本とはこんなものかと感嘆する。実はわが家も母の日には、娘がテイクアウトで料理店の弁当を持ってきてくれた。例年ならレストランであるが、その時その時の知恵を出すのである。
 先日妻と昼食外食に出かけた。お気に入りの料理店へ久しぶりに行ったら、どうも閉店された様子である。がっかりと共に、大変な世だと改めて知る。ビフォーコロナ、アフターコロナと言う言葉が使われ始めたようだ。もうコロナ騒ぎの前に戻るのは、多くの分野で無理だろう、コロナを境に時代様式が大きく変わるというのである。確かに新たな生活で、いろいろなことが確かめられた。良いことは残るだろう。問題は良いことが何かと言うことである。このコロナ禍で最大に減ったのは人との接触である。絆は更に減るのだろうか。人間は楽で怠惰な方向に流れがちである。それが気にかかる。


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